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- わたなべみきこ
- 出産を機にライターになる。『シャーマンキング』『鋼の錬金術師』『アイドリッシュセブン』と好きなジャンルは様々。

2026年4月に第1期が放送され、続編となる第2期の放送が10月1日よりスタートしたアニメ『氷の城壁』(原作・阿賀沢紅茶先生)。
人と接するのが苦手な主人公・氷川小雪と幼馴染の安曇美姫、美姫の友達・雨宮湊と日野陽太の4人を中心に、不器用にすれ違う高校生たちの群像劇が描かれる人気作です。
本稿では、各話のレビューをお届け! 今回は第19話「変遷」。美姫、湊、桃香の目線で変化が語られた本話。自分の気持ちの落としどころがついた小雪に対して、湊と桃香は……?
※本話には少々ネタバレ要素が含まれます。
本話で私は小雪の成長にジーンときました。自分の気持ちに素直になれなかった小雪が「友達的な好きと恋愛的な好き どっちかを選んだらもう片方が消えるってわけじゃなくて どっちも私にとって大切」そう言ったんです!
そうだよこゆん! どっちも大切にしていいんだよ‼
恋愛的な好きは成就しないと苦しくなってしまうので、どうしても無くなってしまえと思いがちですが、気持ちはそんなに簡単にコントロールできるものではありません。小雪はその苦しさごと自分の心を受け止められるほど強くなったんですね……感無量です。
ちゃんと自分で納得できる結論を出せたことで腹が据わった結果が、湊への自然な態度だったのでしょう。また、「付き合ってる2人の邪魔はしない」と思えたのも、友達として好きな気持ちがあって、湊に幸せになってほしい気持ちがあるからこそ。小雪がまたひとつ素敵な女性になったなあとしみじみしてしまいました。
美姫に「つらくない?」と尋ねられ、「悲しいけど不幸ではない」と答えていたのも、自分自身で自分の気持ちを受け入れてあげられたからでしょうね。結局、他者にいくら受け入れられても自己肯定ができなければ本当の意味で幸せには感じられないのだとこの一言から感じました。
前話で月子に「「バレないように」が強すぎてバレなさ過ぎたんだよ雨宮くんに」と指摘されたことや、中学時代の元カレ・五十嵐に「お前は普段思ってることがわかりにく過ぎんだよ」と言われていたことも割と効いているのかな、とも思ったり。
美姫、陽太、湊と遊んだ後、男子たちと別れるときに「また遊ぼうね!」と小雪から言っていたのも、五十嵐と思っていたことを言い合ったあの日があったからだと思います。思いは口にしないと伝わらないと学んだばかりですからね! この調子で湊への愛情も滲ませていきましょう!
一方の美姫は、「友達も、恋愛も」という小雪の言葉を受け、陽太のことを思い出していましたね。美姫はなぜ陽太を思い出したのか疑問に思っていたようですが、思い出すのもある意味当然のこと。陽太だって恋愛的にだけでなく友達的にも美姫のことが好きなんですから。
美姫はわかっていないふりをしていましたが、この場面で陽太を想起するということは本当は感覚的にそのことを理解している証拠。陽太、まだまだチャンスはありそうだぞ! がんばれ~‼
小雪のことが好きなのに、桃香と付き合う選択をした湊。それ以降彼のことを冷たい目で見てしまっていた私でしたが、彼の家庭環境が一因となっていたとは……。
喧嘩ばかりの兄・姉、兄を悪く言う家族、そのときの家庭内の空気……末っ子としてその場にいる湊はさぞしんどかったことでしょう。孤立するクラスメイトと兄を無意識に重ねていたんですね。
本当はこうやって兄のことも救いたかったのではないでしょうか。それが叶わなかったからクラスで孤立する人たちを気にかけ、心の鍵を開く行為を続けているように見えます。
湊は悪口を聞くことを極端に嫌っている節がありますが、それも家庭内でたくさん悪口や暴言を耳にしていたからこそでしょうね。自分に向けられたものではないにしろ、幼い頃にたくさん聞いていた悪口は彼の心に無数の小さな傷をつけているように感じられます。
その小さな傷たちが自分の心を優先できないという湊の性格的な欠陥を生んでしまいました。自分の気持ちを突き通して、誰かの表情が曇るくらいなら、4人の良好な関係が崩れるくらいなら、気持ちは閉ざしてしまった方が良い──そう考えてしまうのが湊という人物。
でも、南京錠までかけて厳重に仕舞ってしまうということは、本当は宝物のように大切な気持ちなはずなのに……。それでいいのか湊ぉ……。
湊だけでなく、小雪も陽太も家庭環境によって心に傷や重いものを抱えており、家庭環境って本当に大事だなあと本作を見ながら痛感しています。
いくら自分の気持ちを優先できないからと言っても、好きじゃない人と付き合うことは許されないことだけは、何度だって湊に言ってやりたいと思っています。本話で明かされた桃香の過去と湊を好きになった経緯を見て、よりその思いは強まりました。
恋愛強者のように見えていた桃香でしたが、実際は自分から誰かを好きになるのは湊が初めてだったんですね。しかも、見た目で好きになったわけではなく、具合が悪かったところを助けてもらったのがきっかけというじゃないですか! あんな助けられ方したら好きになっちゃいますよね。
しかも、マスクをしているし髪もメイクも万全ではない状態なので、湊が助けてくれた理由に桃香の容姿は入っていません。今まで見た目ばかりで評価されてきた桃香にとってこれはとても大きいことだったはず。
初恋をした桃香は思っていた以上に必死で、がむしゃらで……。彼女になれば好きになってくれると思ったのも、追う側の恋愛が初めてだったから。健気じゃねえか桃香よぉ……。
ですが、そう簡単に人の心は変えられませんでしたね。相変わらず湊は小雪と仲が良いし、いつ振られるか不安は募るばかり。これでは桃香もつらかろうに……。
そんな桃香に対して「俺って浮気しそう?」とか聞いてしまう湊。そもそも心は桃香にないだろうがお前‼ 浮気未満の話なんだよ‼ とうっかりヒートアップしてしまいそうになった心を抑えたところで、「桃香は俺にどうしてほしい?」と……。
いやだからそういうところ!!!!! もっと!!! 主体性を!!! 出せ!!!(大声)……取り乱してしまい申し訳ありません。
「モヤモヤを解消したい」と主体性を出しているように見えて、結局桃香に委ねてしまっています。とはいえ、湊がどうしたいかと問われたら「小雪と付き合いたい」になってしまうので、桃香のモヤモヤは解消されないわけですが。湊も心のどこかでそれをわかってて桃香に委ねているように見えます。
それでも「別れないように対策したい」という桃香……健気すぎる。しかし、聡い桃香は湊の性格的欠陥に気付き、絶対に手放してなんてやるものかと固く決意。健気だけど、決してか弱くはないんですよね桃香は。
そうはいっても湊からの好きオーラは正直ゼロ。元カノたちはいくら与えても「好き」一切が返ってこない苦しさに耐えられず、湊のもとから去っていきました。健気に奮闘する桃香にも幸せになってほしいからこそ、私は問いたい──「そこに愛はあるんか」と……。
| 作品名 | 氷の城壁 第2期 |
|---|---|
| スケジュール | 2026年10月1日(木)~ TBS系28局にて |
| あらすじ | 人と接するのが苦手で、他人との間に壁を作ってしまう高校生・氷川小雪。幼なじみの安曇美姫以外誰ともつるまず、静かに日々を過ごしていた彼女の前に、なぜかぐいぐい距離を詰めてくる男子・雨宮湊が現れて――?孤高の女子・小雪、学校のアイドル・美姫、距離ナシ男子・湊、優しく穏やかなバスケ部員・陽太。不器用で、じれったくて、それでも愛おしい。青春のすれ違いが織りなす群像劇が今、幕を開ける |
| キャスト | 氷川小雪:永瀬アンナ 安曇美姫:和泉風花 雨宮湊:千葉翔也 日野陽太:猪股慧士 霜島月子:新福桜 五十嵐翼:小林千晃 栗木桃香:鬼頭明里 安曇優希:波多野翔 熱川秋音:川井田夏海 |
| スタッフ | 原作:阿賀沢紅茶 監督:まんきゅう 助監督:石井輝 シリーズ構成:中西やすひろ キャラクターデザイン:荻野美希 サブキャラクターデザイン:伊藤依織子 プロップデザイン:濵田悠示 衣装デザイン:琴乃 笛木優奈 美術監督・美術設定:前田慎 色彩設定:のぼりはるこ 3DCGディレクター:酒寄直哉 撮影監督:渡辺実花 編集:吉武将人 劇伴:佐久間奏 田渕夏海 劇伴制作:日音 音響監督:吉田光平 原作協力:マーガレット編集部 チーフアニメーションプロデューサー:柴宏和 アニメーションプロデューサー:伊藤太貴 アニメーション制作:スタジオKAI |
| 主題歌 | OP:「エスコート」THE BEAT GARDEN ED:「花蔭」Superfly |
| 電子書籍 | 『氷の城壁』電子書籍(コミック) |
