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『リゼロ』最終回を観て小林裕介さん、高橋李依さんが思ったコト

TVアニメ『リゼロ』最終回を観てスバル役・小林裕介さん、エミリア役・高橋李依さんが思ったコトとは

TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』(以下、リゼロ)の声優陣やテーマソング担当アーティストの特別インタビューを連続で掲載していく「Re:ゼロから始める取材生活」。アニメも先日、最終回を終えましたが、興奮冷めやらぬ中でお送りする本企画も今回で最終回目前。ご登場いただくのは、ナツキ・スバル役の小林裕介さんエミリア役の高橋李依さんです。

主人公&ヒロイン、かつ本企画に最多登場のお二人を迎えてのインタビューは前後編に分けてお届けします。前編の今回は感動の最終回、25話を振り返りつつ、自身が演じたキャラの変化や印象深いシーンを語っていただきました。
 

目次

最終回はタイトル通りの内容で終わり方にも納得の小林さん。高橋さんは……



――まず先日放送された最終回を振り返ってみての感想をお聞かせください。

ナツキ・スバル役 小林裕介さん(以下 小林):最高の終わり方だったなと思います。「ただそれだけの物語」というタイトルで、原作でも「ひとりの自信のない少年が、ひとりの自信のない少女に想いを伝える。ただそれだけのために頑張った――それだけの物語。」という言葉で締めていますが、1クール目のエミリアとの出会いから始まって、2クール目で決別があり、それでも彼女を助けようと、終始エミリアのために走った25話だったと思うので、エミリアと和解し、かつ想いを伝えることができて報われた気分になりました。

エミリア役 高橋李依さん(以下 高橋):私はエミリアを演じたからかもしれないけど、「これで終わっていいのかな?」と。スバルが1話から25話までエミリアのために駆け抜けてくれたけど、皆さんはこの終わり方で満足してくれるのか、不安でしょうがなくて。
――レムがスバルのために一生懸命に頑張った姿が印象的だったので「ヒロインはレム」みたいな声もありましたが、ここにいる小林さんや渡邊監督は、ヒロインはエミリアと最初からずっとおっしゃっていて。終盤にエミリアが再登場した時に待ち望んでいたという声も多かったと思います。

高橋:レムがヒロインと言いたくなる気持ちもわかるし……スバルのそばにいて守るために命がけで戦ったり、辛い時に手を差し伸べたり、ずっと支えていて。男性が見て魅力的だと思う気持ちもわかるし、女の子目線でも共感できるし、素敵だなと思えるし。だからこそ、25話がオンエアされるのが怖くて怖くて。


小林さんが思うスバルにとってのエミリアとレムの存在

――でもスバルがエミリア一筋で頑張ってきて、2人のラストシーンの会話で報われることで、よかったと思えたのでは?

高橋:スバルにとって報われる形になるのかな? 自分の何とも言えない気持ちを吐露したら、スバルが受け入れてくれたけど……。

小林:僕は、スバルにとってエミリアは頑張る理由で、レムは頑張れる理由だと思ってるんです。
高橋:なるほど……。

小林:エミリアがいないと何のためにこの世界で頑張るのかわからない。けど一人だけでは守れないからレムの力を借りたり、心強さを感じたりすることで頑張れる。どちらも欠かすことはできないけどやっぱり一番は頑張る理由で、そこにたどり着いた時はよかったなと。正直、25話を演じるまでは「何でレムじゃないんだろう?」と思っていましたけど、25話の収録が始まったら「やっぱりエミリアだな」と納得しました。

高橋:ゆっけ氏がそうなら、少し安心できました。


収録を終えた瞬間の感想

――収録を終えた瞬間はどんな気持ちや感情になりましたか?

小林:メンタル的に大変な作品でしたので終わった瞬間、清々しさがあった反面、心に大きな穴が空いたようで想像以上のダメージもあって、複雑な心境で。でもとりあえずは終わってホッとしています。


高橋:スタッフさんたちの制作作業はまだ残っているのに、私たちはこの先は関われないのか……というもどかしさもありましたが、私たちができることは全力でやったので、後はオンエアを楽しみにしようと。収録がゴールって雰囲気よりは、アンカーにバトンを託して、最終話オンエアというゴールの瞬間を応援し続けるイメージでした。


収録前から終わった後での作品の印象の変化

――収録前と収録中、そして全話収録後に作品について感じたことや印象の変化はありましたか?

小林:僕は原作を読み進めず、台本の部分だけをその場で読むというスタンスでやっていたので、1話の時から「この先どうなるんだろう?」と、観てくださった皆さんと同じ気持ちで。毎回毎回終わり方が絶妙で、オンエアを観たら絵もきれいで、音楽も素晴らしくて、様々な要素やこだわりが詰め込まれていて。どんな作品でも思うことではあるけど、この作品では特にそう感じるし、毎回驚かされるばかりでした。印象は右肩上がりに良くなっていくんですけど、演じる身としてはどんどん気分が落ちていって(笑)そのバランスの取れ方が面白かったです。

高橋:私も収録に臨む方法はゆっけ氏と同じです。異世界もののヒロインって、よく主人公を導く存在であるイメージなのですが、エミリアはそうではない存在で。彼女も、初めての事ばかりで知らない事ばかりの、誰かが導いてあげなきゃいけない存在だと思うんです。

そんな彼女自身でもよくわかっていない性格を演じるのは何度も悩みましたが、スタッフさん方とお話したり、オンエアで背景や音楽、空気感など情報をたくさんいただき、第2章、第3章でもどんどん情報を得ることで、私もイメージを明確に膨らませていくことができました。2クールあったからこそ、スタッフさんと一緒にじっくり作ることができたキャラクターだなと思います。


たくさんの人を熱くさせたのは原作の力とスバルの人間臭さ

――ネット上などで話題になって、オンエア中や終了後にはたくさん感想が書き込みされるなど、視聴者的にも盛り上がった作品だと思います。観る人を熱くさせた要因とは?

小林:一番は原作の力だと思います。原作の情報量がすごいのでアニメではどうしても削らなくてはいけなくて、台本を読んだ時点では僕も「ここなくなっちゃったんだ。悔しいな」と思うこともありましたが、そこをうまく補いつつ、原作の良さを落とさず魅せるところは素晴らしくて。原作ファンの方も「そうなるんだ!?」と驚かせたり、納得させたり。そこは今度は制作に関わる皆さんの力だと思います。

あとスバルが人間臭過ぎるし、彼に対して振りかかる状況はどれも厳しいものばかりなので、「こんな主人公でお客さんが離れていかないかな」と心配でした。でも皆さんの反響が「自分と同じ」とか「自分を見ているようです」という声が多いのを見て、アニメのキャラクターというより1人のリアルな人間として描かれているからこそ、この世界でスバルがすごく活きているし、皆さんにも受け入れられたんだろうなと。皆さんの言葉で僕も自信を持てました。

高橋:ここまで人間臭いキャラって珍しいですよね。でもそこが魅力的だし、知らず知らずのうちに引きこまれてしまうんですよね。それは作品中でも彼の周りにどんどん仲間が集まってくるところにも現れていると思います。


――小林さんもおっしゃっていた毎回がサプライズで、特に終わり方が衝撃的でした。誰かに語りたくなっちゃうから終了後のネットでの感想も熱くなるんでしょうね。

小林:そうですよね。何も考えずに「ああ、よかった」って終われたのはたぶん11話だけだと思うんです。

高橋:エルザとの対決を乗り越えた第1章のラストである3話でもラインハルトが不穏な感じでしたからね。

小林:11話はスバルとエミリアの笑顔で終われて。あそこで終われてたらよかったのにと心の底から思いました(笑)。

高橋:確かに。王選が開始しないままだけど(笑)。


スバルの生きる意味はエミリア、成長させたのはレム

――1話から最終話までで、ご自身が演じるキャラの変化や成長について感じることはありますか?

小林:言葉にするのは難しいんですよね。

高橋:1話の中でも変化はいっぱいありますしね。

小林:何もない状態でここに来て。スマホとコンビニで買い物したものがあるだけで(笑)。そんな状況の中、この世界で彼が生きる理由は、そこにいる人たちとの人間関係でしかないと思うんです。1番はエミリアだし、話が進んでいくうちにレムとラム、ベア子などと出会うけど、その人たちとの人間関係もが崩壊していって。

僕らが思っている以上にスバルの苦痛は大きかったはずです。引きこもろうにも場所はないし、常に誰かと接しないと生きていけないし。でも、自分の周りにいる、大好きな人たちと生きていきたいと思えるようになることで絶望の中でも強くなっていって。成長していることははっきり見えてきました。


――人とのふれ合いや困難を克服して、喜びや痛みを感じていく中で強くなっていきましたね。

小林:一番の心の成長を感じたのは18話のレムとのシーンです。7話は落ち込んだところから元のところに戻る、言うなればゼロからのリスタートでしたが、18話はベクトルを変えて、新たな人生を歩むという転機になるお話で。そこからは言葉遣いが変わったり、今まで安っぽく言っていた言葉も少なくなって、覚悟が見えたようで感慨深いものがありました。その後のクルシュとの交渉や駆け引きや白鯨戦でも「変わってやろう」という決意が見えて、1話と最終回ではまったくの別人のようだし、最後のエミリアとのシーンでもスバルのほうが大人になって接しているのかなって。
高橋:私もそれは思った!

小林:だからこそ、最後は納得できるシーンになったと思います。

高橋:頼もしかったです。13話でケンカした時は、スバルにもエミリアにも幼さがあって、17話で再会した時にエミリアを逃がすために涙ながらに必死に説得しようとするシーンでも、スバルはまだ感情的で幼いイメージでした。
エミリアとスバルは、同い年の雰囲気だったりエミリアがお姉さんな時もあるけど、最終回のスバルはまぶしく引っ張ってくれて、カッコよかったです。


終盤のスバルはカッコイイけど悔しさもありby高橋さん

――エミリアも1話では頼れるのはパックしかいなくて、スバルと出会った後も王選への責任感やハーフエルフであることを負い目に感じることで、なかなか心を開きませんでした。

高橋:エミリアはそれまで心を開いたことがないはずだから、こじ開けられた時、どんな感じ方をするのかなって。1話で突っぱねるシーンもあったけど、それ自体も初めてだと思うし、スバルと出会ってから起きたこと、特に人との交流は初めて尽くしだったはずです。だから最後にスバルに心を開いたシーンで、それが彼女にとって初めてのことであり、いかに大きな出来事だったのかというのが、観てくださる皆さんに届いたらいいなと思って演じました。


――13話で決別した後、18話でのレムとの会話からエミリアへの想いを再確認したスバルですが、24話で姿を隠してエミリアに助言したり、村人を説得したりする姿はカッコよかったですよね。

高橋:24話でフードをかぶったまま、ペトラに話しかけるシーンのスバルはすごく声が優しくて。でも手のひらで踊らされている感じが悔しくもありました。

一同: (爆笑)

高橋:認識阻害ローブをかぶっているからエミリアは誰だかわかっていないけれど。そのまま、エミリアを転がしちゃえとも思っちゃいました(笑)。
――スバルの成長といえば、女性への接し方もどんどん上手になっていきましたね。髪をなでたり、レムで女性をオトす術を身に付けていって……。

小林:別にレムは転がしてないですよ! 何をしても好きになってくれちゃうだけで。スバルは何もやってないのに。

高橋:さすがです。

小林:そんなふうに言わないで! 風当たりがまた強くなるから!


松岡さんから高橋さんへの質問?

――ここで唐突ですがリレーインタビュー企画です。前回登場の松岡禎丞さんから質問をいただきました。「高橋さんはラジオに出演させていただいた時に思ったんですけれど、テンパっているようで、すごく周りが見えているなと。あれは演技なんですか? と聞きたいですね。それとも勢いで乗り切ろうと思っているのか」。

高橋:全然、演技じゃないですよ(笑)!


――松岡さんの発言を続けます(笑)。「僕がゲスト出演させていただいた回で、告知を僕が読まなきゃいけないのに、ちょっと言い遅れてしまって。その瞬間に高橋さんが「はい! 松岡さん、よろしくお願いします!」と言ってくれて。でも一生懸命なんでしょうね」

小林:質問というよりほめてますよね。

高橋:これってほめているんですか!? こちらこそ、たくさんの話題に全て勤勉に対応してくださって、本当にありがとうございました!


読者が選ぶ印象深いシーンのトップは?

――ではご自身のキャラ的な印象深いシーンを教えてください。まず当サイトで印象的なシーンを募集したところ、1番多かったのは23話のペテルギウスがスバルに乗り移られたシーンでした。

小林:そこなんだ!?

高橋:スバルギウスですね。

小林:ナツキ・コンティ(笑)。
――あと15話も。

高橋:すごいですね。ペテルギウス人気は。


――そしてそれぞれのヒロインとの名シーンがあった18話と8話ですね。

小林:8話はエミリアたんのひざ枕ですね。

高橋:あのシーンが印象深いと言ってくださる方がいらっしゃるのはうれしいです。

小林:本当にひざ枕の頃が懐かしい(笑)。
――ひざ枕のシーンを挙げられた方はすべて男性でした(笑)。

高橋:うれしい!

宣伝担当:あの頃はE・M・T(エミリアたん・マジ・天使)で盛り上がったのに、その後いろいろあり過ぎて。

高橋:すごく、いいシーンなのになぁ(笑)。

小林:ペテルギウスにかき消されてしまったね。23話に関して言わせてもらうと、最後のシーンは感動的だけど苦しくて。スバルギウスを演じるにあたっては勢いで演じてやってしまった部分がありました。もちろん研究はいろいろしたけど。それが認めてもらえたのはうれしいです。僕的には人間ドラマが濃かった回が印象深いですね。最新だと25話もそうだし、18話に15話に、13話も捨てがたいし、7話もヤバいし、8話も……。ああ、選べない!



小林さんの心が病んだ15話は1番の見せ場?

――15話ではいろいろなシーンが挙がりました。ペテルギウスの初登場だけでなく、レムが瀕死になりながらスバルに生きてというシーンや、ラストでスバルが死んだまま雪が積もるシーンとか。

小林:僕にとって15話は1番心が病んだ回です。あの回はいいことが一つもなかったし、スバルにとって得るものもなく、ただ闇しかなくて。まともなセリフも少なかったし。もちろんペテルギウスのお芝居に度肝を抜かれたこともあって、これに負けたら終わりだと思って、スバルのあらん限りの憎しみを込めて叫びました。
あそこで何かが自分の中で生まれた気がします。演じる上での感情の変化というか、1つのきっかけになった回ですね。そう考えると一番は15話になっちゃうのかな? ある意味、『リゼロ』という作品の一番の見せ場だった気がします。


高橋さんが明かすエミリアのセリフの意図に小林さんも驚き!?

――エミリア的に印象深いシーンと言えば?

高橋:やっぱり13話ですね。最終回だと思って演じたので。この回で想いを吐露して、ふたりの関係性に区切りを付けたくらいの感じで、そこから「『リゼロ』って2クール作品なんだ」って思い直してもいいくらいに。好きなシーンは23話でスバルがペテルギウスの指先に襲われそうになった時、「そこまでよ、悪党!」と言えたのがすごくうれしかったです。
一同: (爆笑)

高橋:1話でトン・チン・カンからスバルを助けた時と同じセリフだけど、死に戻りしているのでこの世界では言っていないんですよね。本編でエミリアが初めて発した言葉なので、彼女自身、まったく軸は変わっていないんだなと思えたのがうれしくて、胸がアツかったです。

小林:あっ! 確かにそうだよね!
高橋:最終話の「ありがとう、スバル。私を助けてくれて」はこの世界でも言ったことがあって。言ってあるセリフと言ってないセリフを意識したり、注目する点を変えると更におもしろくなる作品だなあと。

小林:僕も気付かなかった! おもしろい話が聞けた。


<次ページ:ヴィルヘルムのような男になりたいと思った>

(C) 長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活製作委員会
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