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TVアニメ『恋愛暴君』総作画監督が絵に込めたモノとは

TVアニメ『恋愛暴君』の女の子が可愛いのは、この人のおかげ!総作画監督が絵に込めたモノとは

 2017年4月より放送中のTVアニメ『恋愛暴君』ですが、物語も残すところ後2話となりました。そして、ここまで声優陣・スタッフの方々にお話しを伺ってきた連載企画もラストスパート! 今回は、総作画監督・谷津美弥子さんに作画の方面から作品の魅力を語っていただきました。

 個性的なスタッフが集結したという本作ですが、数多くの名作に関わってきた谷津 総作画監督の力があって、原作の良さや女の子のかわいらしさがアニメからも溢れ出ているのだと感じます。谷津 総作画監督はどのような想いで個性的なキャラクターを描いていったのでしょうか――

 

恋愛暴君での総作画監督の役割
――まず、総作画監督とはどういうことをするポジションなのでしょうか?

谷津美弥子さん(以下、谷津):いろいろな方が原画を描いてくれるので、絵柄がバラバラになっちゃうんですね。それを直していくのが作監作業なんですけど、総作画監督というのは、それをさらにトータルで見る役割です。なので本当は12本やるつもりだったんですけど、ちょっとスケジュールの関係で難しくて……。でも半分以上の話数は担当している感じです。作監が上げてきたものをさらにキャラ表に寄せたり、表情が今いちだと思ったら変えたりしています。

――作監が何人もいることが、最近は多いですよね?

谷津:一本に何人もの作監がいることが今は多いですね。昔は1人で作監をやるのが普通だったんですけど、最近は作監ずら~~っていうのが多くて。なのでどうしても統一を取らないといけなくなるから、それが総作監の仕事になるんです。

――絵柄の統一が一番?

谷津:あとは原作の雰囲気を壊さないように、原作に表情や絵柄を寄せていく作業ですね。

――今作は、キャラクターデザイナーと総作画監督が別になっていますが、同じ場合もありますよね?

谷津:今回は、キャラクターデザインの方(いとうまりこ さん)がいらっしゃって、キャラ表というキャラの設計図を描くんですけど、それを踏まえつつ原作を拾いつつっていう、足し算みたいな作業をするんです。キャラ表の枠内で、いかに原作に寄せていくか、みたいなところで。やっぱり決まり事ってあるじゃないですか。タレ目だったり、バランスだったり。そのキャラ表を下敷きにしながら、いかに原作の要素を入れていくか。ここはこうでしょ!みたいなのをいかに入れていくか、ですね。

――キャラデザと作画監督は同じほうがやりやすいのですか?

谷津:いろんなタイプがいると思うんですけど、私に関しては違う方がやりやすいです。キャラクターを作って総作監をやると、決め込みを作りつつ、なおかつ直す作業をしていかないといけないんです。でも決め込みがあれば、その枠内で自由にやることができるんです。

――自分でキャラを作ると、その決め込みを変えちゃうかもしれない?

谷津:そう。決め込みが迷っちゃうんですよ(笑)。


読み進めていくにつれて増していく作品の良さ

――原作の要素を入れているということですが、原作を読んだときは、どう思われましたか?

谷津:最初正直、おいおい!って思ったんですけど(笑)、読み進めていくうちに、話の筋がちゃんとしているし、キャラ作りとか表情付けとかポージングも素晴らしくて! なので、そうでない原画が上がってきたときに、なるべく原作に近づけたいというか、負けたくないなって思うんです。それ以上のものにしてやるぞって。そういう感じでやってますね。

――おいおい!って思ったのは、グルカナイフを振り回したりするところとかですか?

谷津:あと“キスノート”だったり。これ出落ちなのか?って思ったんですけど、読み進めていくうちに、ちゃんとしているなぁって思いました。

――最初、世界観についていくのが大変なんですけど、どんどん面白くなりますよね。絵についてはいかがですか?

谷津:原作は女性の方でいらっしゃると思うんですけど、少女漫画的な要素が随所にあったので、それを活かしたいなと思いました。すぐふざけたほうに行こうとするんですけど、根っこはすごく少女漫画なんですよね。

――絵柄で女性や男性って分かるんですか?

谷津:分かりますね。作監さんで男の方も結構入っているんですけど、同じ男の人でも少女漫画を通ってきている人とそうじゃない人は、すごく分かります。お姉ちゃんがいて、少女漫画を読んでいたっていう方は、男の人でも少女漫画力があるんですよ。通ってない人は、どうも感覚的に分からないみたいで、それを足していく感じですね。

――なかなか言葉で表現するのは難しいところですね。漫画をアニメにするときに、大事にしていることなどはあるのでしょうか?

谷津:う~ん。漫画とアニメは違うので、漫画は止め絵なので、それをこう動かしたらこの雰囲気が出るのかとかは考えますね。あとはやっぱり、そのキャラクターの気持ちになって描くというくらいです。


物語の詰め込み具合には良い意味で驚き

――『恋愛暴君』は、特にグリの顔がデフォルメされたり変わったりするかなと思うのですが、あれは描いていて面白いところですか?

谷津:あれはこのパロディだっていう正解がはっきりと分かっているので、そこに寄せればいいので描きやすいです。あとグリの丸くなる顔も原作に正解があるので、それをそのまま描けばいいし、単純だからこそバランスが難しかったりするんですけど、面白いというよりは、描きやすいです。

――ちなみに監督がキャラクターの線が黒ではないという話をされていましたが、それは描く作業に影響があったりするんですか?

谷津:あれは色彩さんのアイディアなので、私らは普通に描いて、1話の完成品ができたときに「面白い色みだなぁ」って思ったんです。うまいこと効いてるなと思いました。原画の作業的にはまったく変わらないんですけど、あれでより原作の雰囲気が出たんじゃないかなって思います。あと目の処理とかも色彩さんの作業なんですけど、すごくきれいで「うわ~すげーな」ってうなりました(笑)。

――暗闇で襲われたあとに幽霊が出てきたりと、『恋愛暴君』は、1話ごとの前半と後半で全く話の雰囲気が違っていたりするかと思いますがそのあたりについてはいかがでしょう?

谷津:私、コンテを読んでいるときにそれを自覚していなくて。すごく詰め込んだなっていう視聴者の感想を読んで、そうだったんだ!くらいに思ってたんですけど。

――緩急に関してはどうですか?

谷津:シリアスになったりギャグになったり、忙しいですよね。それがこの作品なのかなぁって思ってますけど、その緩急を付けるのもシナリオであり、コンテなので、それをちゃんと理解して画をハメていくということですね。緩急って振り切ったほうが面白いじゃないですか。だからここはこうなんだな!っていうのをしっかり振り切るだけです。

――思い切り遊んでいる感が出ていますよね。それとアニメの場合は画の芝居と声の芝居が合わさることで、一人のキャラクターができると思うのですが、声と合わさった感じを見てどうでしたか?

谷津:今回は声優さんが全員ピタリとハマっていて、すごく良いなって思いました。やっぱりグリはいいですよね。確かに主人公だし、女の子だし、萌えに走るタイプの声優の方もいらっしゃると思うんですけど、そうではない斜め上に振り切っているところが素晴らしいなって。振り切ってるキャラだと分かっていても、やっぱりかわいいから、それを出そうとする人もいると思うんだけど、それをしないところが潔い!と。ツイッターとかはよく見ているんですけど、素の青山さんっぽいって言っている人が結構いて、ちょっと会ってみたいなって思いました。素の青山さん見てみたい(笑)!

宣伝担当:素でもだいたい急に歌い始めますね。

谷津:あははは。じゃあ、選ばれるべくして選ばれた感じなんですね。面白いですね。


12話は渾身の出来!? 最後の最後まで見逃せない!!

――インタビューは10話のあとに掲載されるのですが、ここまでで一番大変だった話数などはありますか?

谷津:やっぱり7~8話ですね。茜さんの見せ場が多いので。怖い茜さんをいかにかわいく持っていくか、というところが大変でした。茜さんの感情芝居、表情を見てほしいです。

――では10話で見てほしいところというと、どこになりますか?

谷津:う~ん。それぞれのキャラクターに見せ場があったので、それぞれの女子キャラのかわいさを見てほしいです。茜さんに樒ちゃんに柚ちゃんにグリにあくあ。

――みんなかわいかったですね。

谷津:それぞれのかわいさがあるんですよね。

――ストラスも出てきましたけど。

谷津:まぁ、ペンギンはどうでもいいですけど(笑)。でもペンギンが出てくることであくあちゃんがかわいく見れるので、そういう道具として(笑)。

――とは言っても、毎回ストラスはすごく気合いの入った作画でしたけど。

谷津:そうですね(笑)。あと意外にコラリとあくあちゃんの組み合わせが好きです。

――まさに10話ですね。OPのコラリもかわいいですよね。

谷津:私、猫飼ってるので。茜さんと青司との出会いのところにブルーが出てくるんですけど、猫に愛がなかったので、そこは直しましたね(笑)。OPのコラリに関しては、荒川(真嗣)さんの原画もすごく良かったので。荒川さんも確か猫を飼っていたと思うので。

――巻末にありましたが、原作の先生も猫を飼っているんですよね。

谷津:そうかなぁって思いました。このシーンの原作とかを読んでて。

――ペンギンより猫派なんですね(笑)。

谷津:ペンギンを飼ってる人は知らないですから(笑)。

――谷津さんのお気に入りのキャラクターは誰なんですか?

谷津:私、描けば描くほど愛情が湧いてくるので、出番が多いという意味ではグリか茜さん。

――青司はどうですか? 先程から名前が上がってないんですけど…出番はかなり多いです。

谷津:青司……も。あの、最初の方向性として監督さんが、この作品は女の子がかわいければいい!と言っていたので、それを踏まえて女の子に集中してたんですけど、途中で「みんなが青司に愛がないからどうにかしてくれ」と言われて(笑)。

そこから愛を注ぎ始めたので、まだ私の愛が追いついていないんですよ(笑)。でも青司をカッコ良くしないと、後半は話が成り立たなくなっちゃうので。これは惚れるわ!っていう風に描かないといけないので、今、愛を注いでいるところですし、青司は嫌いじゃなくて、好きです。

――最後に、いよいよあと2話ですが、今後の見どころを。

谷津:12話は担当するので、描くのが楽しみです! 込めます!

[インタビュー・文/塚越淳一]

 
作品概要
■TVアニメ『恋愛暴君』

【放送情報】
2017年4月6日からテレビ東京にて、毎週木曜日深夜2:35~
2017年4月8日から?BSジャパンにて、毎週土曜日深夜0:30~
2017年4月8日からAT-Xにて、毎週土曜日夜11:30~
リピート放送:毎週日曜深夜2:30~/毎週火曜午後3:30~/毎週金曜朝7:30~

【STAFF】
原作:三星めがね(COMICメテオ連載)
監督:濁川 敦
シリーズ構成:高橋ナツコ
キャラクターデザイン:いとうまりこ
総作画監督:谷津美弥子
美術設定:小山真由子 松本浩樹
美術監督:松本浩樹 菊地明子
色彩設計:いわみみか。
音楽: MONACA
音楽制作:DIVEⅡentertainment
音響監督:本山哲
音響制作:HALF H・P STUDIO
編集:近藤勇二(REAL‐T)
撮影監督:岩崎敦
撮影:T2studio
アニメーション制作:EMTスクエアード

【CAST】
グリ: 青山吉能
藍野 青司:小野賢章
緋山 茜: 沼倉愛美
黄蝶ヶ崎 柚:長野佑紀
白峰 樒: 原 由実
ほか

【音楽】
OPテーマ:恋?で愛?で暴君です!/Wake Up, Girls!
EDテーマ:「スキ」を教えて/smileY inc.

>>公式サイト
>>公式Twitter(@boukun_PR)

(C)三星めがね・COMICメテオ/恋愛暴君製作委員会
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