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『映画キラキラ☆プリキュアアラモード』内藤圭祐プロデューサーインタビュー

明るく楽しくお祭り感を詰め込んだ作品に! 『映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!』内藤圭祐プロデューサーインタビュー

アニメ『キラキラ☆プリキュアアラモード』(以下、『プリアラ』)の劇場版となる『映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!』が、10月28日(土)に公開されます。

映画の舞台は、キラリンとピカリオがスイーツ作りの修行をしていたフランス・パリ。いちかたちキラパティメンバーが、テレビシリーズ37話にも登場したシエルの師匠・ジャン=ピエール(CV:尾上松也)と出会い、街全体がスイーツに変えられる大事件に巻き込まれていく……というストーリーです。

今作をプロデュースするのは、昨年のテレビシリーズ『魔法つかいプリキュア!』も手がけた内藤圭祐さん。楽しい仕掛けがたっぷりの本作について、その狙いなどを語っていただきました。

 

シエルを中心とした、6人全員の成長物語
――秋のプリキュア映画はテレビシリーズがベースになるわけですが、『プリアラ』の映画を作るにあたって、最初にどんなコンセプトを掲げられたのでしょうか?

内藤圭祐プロデューサー(以下、内藤):今回は、明るく楽しくお祭り感のある、かわいくて笑える映画を目指しました。

『プリアラ』って、メイン6人のキャラがみんな立っていて、にぎやかでポップで、かわいい作品だと思うんです。ただ、どのシリーズにもいえることですが、秋ごろになると話が佳境に入り始めて、どうしてもシリアスな話が増えてくるんですね。

その意味でも、映画はひとつのお祭りのような感覚で、『プリアラ』らしい明るく楽しい方向性が良いのかなと思いました。

――そのなかで、特にシエルにフォーカスされたのはなぜだったのでしょうか?

内藤:今回の映画の企画はテレビシリーズ第1話のオンエアよりも前の去年12月ごろからスタートしたんですが、テレビチームと情報共有をするなかで、シエル(キラリン)の設定が面白いなと感じていたんです。パリで修行した超一流の天才パティシエということで、パリを舞台に、その修行時代を絡めたお話ができそうだなと思いました。

テレビチームとしてはそこまで修行時代を描かないということだったので、「じゃあ映画でいただきます」ということになりました(笑)。

――シエルの成長が、ひとつテーマになるわけですね。

内藤:そうですね。大きなテーマでいいますと、シエルを中心に、みんなの成長物語という位置付けです。

6人が30数話かけて積み上げてきた関係性や、彼女たちの成長を改めて映画で伝えられればと意識しました。主に、お互いをフォローし合えるようなチームワークでしたり、6人としての成長ですね。

▲『映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!』より

▲『映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!』より

 
シエルもジャン=ピエールも尊敬できる存在
――シエルの修行時代に絡んだ内容ということで、彼女の師匠・ジャン=ピエールの存在感も大きいです。ジャン=ピエールのキャラは、どんなふうに作られたのでしょうか?

内藤:女の子がたくさん出てくるからイケメンも出そう、というのが大元だったと思います。キャラ付けに関しては、シエルとの対比から発想していった部分が大きいです。

先ほど「シエルの成長物語」と申し上げましたが、パリで修行をしていたある時期まで、彼女とジャン=ピエールって同じような価値観でスイーツに向き合っていたと思うんです。

▲第18話 『ウワサの主は強敵ビブリー!』(6月4日放送)より

▲第18話 『ウワサの主は強敵ビブリー!』(6月4日放送)より

でも、ピカリオの件がきっかけでシエルは日本に戻り、いちかたちに出会って良い意味で変化があった。その最たるものが、「仲間」を得られたことですよね。

一方で、昔のシエルそのまま、ひとり我が道を行くジャン=ピエールがいる……という形です。

▲第24話 『転校生は妖精キラリン!?』(7月23日放送)より

▲第24話 『転校生は妖精キラリン!?』(7月23日放送)より

――たしかに、いちご坂に来た当初のシエルはジャン=ピエールに近い要素があった気がします。

内藤:もちろん、どちらのスタンスが良い悪いという話ではなく、どちらも尊敬に値する価値観です。ただ、もしかしたら仲間に出会えたシエルのほうが、より強くなれたんじゃないか……と。

このあたりがひとつ、映画のテーマになってきます。「悪者ジャン=ピエールをぶっ飛ばす!」だと、ちょっと違うんですよね。

▲ジャン=ピエール・ジルベルスタイン(CV:尾上松也)

▲ジャン=ピエール・ジルベルスタイン(CV:尾上松也)

――ジャン=ピエールの細かい性格付けに関してはいかがですか? とてもぶっ飛んだキャラのようですが。

内藤:シナリオの時点から、とにかくエキセントリックな人にしようというコンセプトでした。ただ、本人としては至って真面目で。大衆には理解されないけれど、ストイックにスイーツに向き合い続けている……というキャラクターになっています。

動きやセリフも独特なんですが、このあたりの味付けは土田(豊)監督がまさに得意とするところですね。結果として……ああいう人になりました(笑)。

――ジャン=ピエール役に尾上松也さん、彼のパートナーであるパティシエのおばけ・クック役に悠木碧さんをキャスティングされた決め手はなんだったのでしょうか?

内藤:尾上さんに関しては、声優として出演されていた映画を拝見して、お声がけさせていただきました。すごく声が通るうえに歌もお上手なんですよね。

スイーツを好きで作っていらっしゃるという個人的なエピソードもあったので、ジャン=ピエールにピッタリなんじゃないかと思いました。

クックは一筋縄ではいかないキャラクターなんですが、かわいらしい姿をしているので、それに似合うかわいらしい声というポイントで、悠木さんにお声がけさせていただいた形です。

▲クック(CV:悠木碧)

▲クック(CV:悠木碧)

悠木さんが『プリアラ』のことを大好きでいらっしゃることを後で知ったんですが、お願いしてなおさら良かったですね。

▲悠木碧さんの本気の『プリアラ』愛が分かるインタビューはこちら。

 
子ども目線から生まれた画作りやギャグシーン
――先ほど少しお話ありましたが、監督に土田豊さん(*1)を起用されたのは、どういったことを期待されてだったのでしょうか?

内藤:昨年末に脚本の村山(功)さんとアイデアを出しあうなかで、早々に「明るく楽しくコメディー要素も多め」という方向性に決まって、それならもう土田さんだろうと、早い段階で監督をお願いしたと思います。

シエルとジャン=ピエールの対比や、ほかの動物に変えられてもフォローしあって乗り越える姿などの脚本段階で固めた要素はそのままに、全体的にギャグ表現をかなり積んでいただきました。土田さんのカラーがたっぷり出た映画になっていると思います。

▲第10話 『ゆかりVSあきら!嵐を呼ぶおつかい!』(4月9日放送)より

▲第10話 『ゆかりVSあきら!嵐を呼ぶおつかい!』(4月9日放送)より

▲第18話 『ウワサの主は強敵ビブリー!』(6月4日放送)より

▲第18話 『ウワサの主は強敵ビブリー!』(6月4日放送)より

*1 東映アニメーション所属の演出家。『プリアラ』では、第10話「ゆかりVSあきら!嵐を呼ぶおつかい!」の絵コンテ・演出、第18話「ウワサの主は強敵ビブリー!」の絵コンテを担当。ギャグ、コメディー演出に特に定評がある

 

――画作り面に関しても、明るく楽しい印象を受けます。戦いが激しくなっても、パリの街中がスイーツになり、むしろ画面が華やかになったりしていますよね。

内藤:特にクライマックスでは敵とガッツリ戦うわけですが、ただでさえ暗い映画館で、画面までおどろおどろしくしてしまうと、小さいお子さまは怖がってしまっているという議論は以前からありました。

なので、危機的状況を「怖さ」で演出するのではなく、楽しく見えてしまう「混乱」で演出したかった。それで敵が、「街中をお菓子にしてしまう存在」になりました。

――なるほど。同じくお子さんをつかむ仕掛けという点ではミラクルライトも大きな要素ですが、今回は例年と少し違う使い方だなと感じました。どんな視点から、ミラクルライトの組み込み方を考えたのでしょうか?

内藤:ミラクルライトに関しては、「プリキュアたちと映画館に来たお子さんたちが、みんなでまぜまぜする」というコンセプトが大元でした。せっかくプリキュアたちがスイーツ作りをするので、観ているお子さまたちとも一緒に何かできればな、と。

だから今回のミラクルライトは泡立て器の形になっているんです。完成した映画でも若干その名残りがあるので、たしかに例年とは少し違うかもしれません。

▲ミラクル☆キラキラルライトを使って、モフルンやキュアミラクルたちも、プリキュアアラモードチームと一緒に戦います!

▲ミラクル☆キラキラルライトを使って、モフルンやキュアミラクルたちも、プリキュアアラモードチームと一緒に戦います!

>>『映画プリアラ』に『まほプリ』のキュアミラクルたちが登場! 「ミラクル☆キラキラルライト」でキュアホイップたちを応援!


――プリキュアたちが違う動物モチーフの姿になってしまうシーンについても、うかがわせてください。この場面のスチールが公開されて話題になっていますが、それぞれの動物をどう選んでいったんでしょうか?

内藤:全体的に、普段のアニマルが持つ特徴から真逆の方向に振るようなイメージです。

素早いホイップがカメになってしまうのは早々に決まったんですが、ほかの4人の動物は最後まで迷いましたね……。

最終的には土田監督の判断に委ねたんですが、とりわけショコラのザリガニには監督のこだわりが強く出ていると思います(笑)。



――ザリガニは特に衝撃的でした(笑)。ショコラをブタにする案もあったそうですね?

内藤:その点は、特にテレビチームと密にやりとりをして考えた部分でした。キュアショコラを好きでいてくれている子どもたちのことを考えたとき、果たして彼らは、かっこ悪いネタ的なショコラの姿が見たいんだろうか……と。

結局のところ、あくまでショコラはかっこいい存在なんだという結論になり、ブタは却下になりました(笑)。

ザリガニの姿になっても、ショコラはショコラでやはりかっこいいなと思います。


――このスチールだけ見ても、ショコラは慌てずに状況を打破しようとしている感じがしますよね。ショコラ大好きな悠木碧さんにインタビューさせていただいた際も、ザリガニショコラを絶賛されていました。

内藤:ショコラ単体でもそうなんですが、やっぱり高校生組のゆとりは感じますよね(笑)。ゆかりさんもゆかりさんで、パンダに変えられてもいつも通りというか……。

――その一方で、ジェラートのナマケモノは変化が特に激しいですね。

内藤:表情や演技にも変化があって、ふだんは見られないジェラートになりました。

このシーンに関していうと、違う動物に2回変身してしまう案も当初ありました。ジェラートは最初イモリになって、そのあとでヤモリになる……とか。尺などの都合で、結局1回の変身になりましたけど(笑)。

――今回の映画は特にお子さんに刺さる印象なのですが、なかでもこのシーンは大喜びだろうなと思います。

内藤:このシーンに関しても、見え様というか、楽しい画作りというポイントからの発想なんですよね。

普段とは違う映画ならではの楽しい画は何だろうと話し合うなかで、脚本の村山さんが初期のころに提案してくださったんです。

今日あった関係者試写には大人しかいなかったので、こういったギャグシーンへのリアクションが薄くて、どうしようかと監督と話したんですけれど……(笑)。

いまは子どもたちの反応が楽しみですし、一人でも多くの子どもたちに届けられたらなと思っています。

――それでは最後に改めて、映画を楽しみにしているファンの方にメッセージをお願いします!

内藤:楽しくてお祭り感のある仕掛けを色々と盛り込んだつもりです。観るたびに新しい発見があると思いますので、ぜひ映画館でご覧ください!

 [取材&文・小林真之輔]


作品情報

『映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!』
『Petit☆ドリームスターズ!レッツ・ラ・クッキン?ショータイム!』(同時上映)



【公開日】
10月28日(土)ロードショー

【ストーリー】
スイーツの本場・パリで開催される世界パティシエコンテストに出場が決定したキラキラパティスリーメンバー! しかしシエルが突然スイーツづくりも、プリキュアの変身もうまくいかなくなり絶不調になってしまう。不安を抱えつつもコンテスト前夜祭のパーティーに向かういちかたちは個性的でひとくせありそうなパティシエ・ジャン=ピエール・ジルベルスタインと妖精に似ている不思議な女の子・クックに出会う。
インパクトの強い2人にとまどういちかたちだったが、なんとジャン=ピエールはシエルの<パリ修行時代の師匠>だということが発覚する! 久しぶりの再開だが、「頼れるのは自分の力のみ!」という信念を持つジャン=ピエールは仲良くスイーツ作りをするシエルの姿に落胆する。落ち込むシエルを元気づけるため、いちかはジャン=ピエールに初めてつくってもらったというシエルの想い出のスイーツ【ミルフィーユ】をみんなでつくることをキラッとひらめく! しかし、次々とコンテスト出場のパティシエを襲う謎の巨大スイーツが出現し、さらにパリの街がスイーツになってしまい…!?はたしてパリの街もコンテストも、どうなってしまうのか? そして天才パティシエは復活できるのか…??

【声の出演】
美山加恋 福原遥 村中知 藤田咲 森なな子 水瀬いのり かないみか / 悠木碧

【ゲスト声優】
尾上松也

>>公式サイト
>>公式twitter(@precure_movie)

(C)2017 映画キラキラ☆プリキュアアラモード製作委員会
(C)ABC-A・東映アニメーション
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