劇団「乙女企画クロジ☆」福圓美里さん、松崎亜希子さんインタビ..

あふれる芝居スピリット! 話題の劇団「乙女企画クロジ☆」主宰の福圓美里さん、松崎亜希子さんにインタビュー[前編]

2005年の立ち上げから第6回公演を経た現在に至るまで、アニメや舞台ファンだけでなく、業界関係者からも注目を集めている劇団「乙女企画クロジ☆」。劇団といっても、主な構成メンバーは声優としても活躍されている、福圓美里さん、松崎亜希子さんの2人のみ。公演ごとに違う作・演出家を招いて、さまざまなフィールドで活動する役者陣たちと共に、オリジナル作品を精力的に発表している劇団です。

今回、アニメイトTVでは、第6回公演『桜屋敷の三姫』(出演:武藤啓太、清水 愛、中村麗香、松崎亜希子、福圓美里ほか)を終え、次回作準備中の「乙女企画クロジ☆」主宰のお2人に直撃インタビュー! 現在に至るまでの紆余曲折や、お互いのこと、舞台への熱い想いなどをじっくりと語っていただきました! 前後編でお届けいたします。

<乙女企画クロジ☆第6回公演『桜屋敷の三姫』あらすじ>
1年中桜が咲き誇る、美しくも怪しげな「桜屋敷」を舞台にした物語。郵便配達人の赤星(武藤啓太)とその妹の麦子(清水 愛)、そして桜屋敷に住まう美しくも呪われた三姉妹(中村麗香、松崎亜希子、福圓美里)などの個性的な使用人たちを絡ませながら、屋敷に閉じ込められた三姉妹の呪いにまつわる伏線と、キャラクターの心情を巧みに織り込み、クロジ・オリジナルの見ごたえあるファンタジーを紡ぎ出しました。随所にコミカルなやりとりを挟み、それでいて女らしい怖さも漂わせながらも、人間愛を感じさせる幕引きが深く胸に残る作品。

舞台のお話をするときのオーラが魅力的な福圓美里さん(左)と松崎亜希子さん(右)。劇団でよく使用する稽古場でお話をうかがいました。

舞台のお話をするときのオーラが魅力的な福圓美里さん(左)と松崎亜希子さん(右)。劇団でよく使用する稽古場でお話をうかがいました。


●劇団の誕生「まずは一本やってみよう」

――まずは、『乙女企画クロジ☆』を立ち上げたきっかけやエピソードを教えてください。

福圓美里さん:私たちが22~23歳のとき、最初はもう1人メンバーの女の子がいて、3人で『クロジ』を立ち上げました。私は、ちょうど事務所に所属した頃で、以前から舞台をやっていたんですけど、そのときはほとんど声の活動だけになり、やっぱり舞台もやっていかなければ厳しいなと思ったというのと、自分が本当に面白いと思える演劇を作ってみたくて。それで、松崎が立ち上げていた劇団の公演を観に行き、「今だったら、この人と同じ目線でものが考えられるかもしれない」と感じて、「一緒にやらない?」と話をしたんです。

松崎亜希子さん: 1回目の公演は、「まずは1本やってみよう!」ということで、今後続けていくことをあまり考えていなかったんですよ。

福圓さん:だから、“乙女企画”なんて名前をつけてしまったんですけど(笑)。

松崎さん:そう、私たちの中に「乙女」という要素が一切ないのに(笑)。この名前のせいで、舞台を見にいらっしゃらない方もいると思うんですよね…。22~23歳の当時の私たちに言ってあげたいですよ、「乙女なんて言葉、何年通じると思ってんだ!」って(笑)。

福圓さん:で、乙女企画って名前もそうですけど、最初はやっぱりバカにされたんです。

松崎さん:22~23歳の女の子だけで「舞台をやります」と言っても笑われたし。そんな中での1回目は、私たちがお願いしたことを、「そんな約束していないよ」って、けんもほろろにナシにされたことがすごく多くて、私たちにとって試練だった。何も知らなかった私たちが悪かったんですけど、課題が多く残る公演だったんですね。

福圓さん:芝居に関しては、あのときやれる精一杯をやったと思うし、アリカという自分の役もすごく好きだったんです。でも、制作の部分がしっちゃかめっちゃかだった。出てくださった皆様にも申し訳ないくらい、中身もぐちゃぐちゃで。

松崎さん:それでも、できない自分たちがとても悔しくて、あきらめきれなかったので、第2回公演を決めたんです。

福圓さん:当初は、お客様に何かを届けるということよりも、“芝居がうまくなりたい”ということが一番だった。でも、3回公演くらいから、クロジで何かを表現するということをちょっとずつ意識するようになり、ようやくちゃんとした劇団らしい心構えになってきて。

松崎さん:1回、2回は既存の戯曲をお借りしてやったんですけど、3回公演からオリジナル物を上演するようになったんです。そこから、私たちはお客さんに何を提示したいのか、何を持って帰ってもらいたいのかを模索するようになって、5回公演になんとなく見えてきて、その集大成が前回の6回公演の『桜屋敷の三姫』となりました。

福圓さん:今、ようやくですね。「劇団やっています」と言えるようになったのは。これまでは、「あ、本当に小さいところで適当に……」と濁していたんですけど、今は「劇団やっています」と言わなければ、関わってくださった皆様にも、観に来てくださった皆様にも申し訳ないなとも思うくらいになっています。


●“クロジ第2章”『桜屋敷の三姫』

――『桜屋敷の三姫』はとても素晴らしい舞台でした。お2人の感触はいかがだったでしょうか。

松崎さん:『桜屋敷の三姫』は、5回公演の『アニメ大国ニッポン』の少し前の、1年半くらい前から構想していたので、長い間取り掛かっていた分だけ思い入れも強く、終わったあとは少しぼんやりしている感じでしたね。

福圓さん:私もそうでした。終わったらやっぱり寂しくて、松崎と会って飲んだり、2人で酔っ払いながらセリフを言ってみたりして(笑) 。でも、面白い公演だったからこそ、なおさら次をどうしてやろうという未来の話も出てきたんですよ。それに、関わってくださった皆様を1回で手放すつもりもないので(笑)、また次どうやろうか、なんて気持ちも浮かんできて。

――かなり充実していた時間だったんですね。

福圓さん:もちろん、全ての公演を楽しんで自分たちの思うことをやっていたんですけれど、ここまで出来上がったものを強く愛しいと感じられたのは、ここ2回の公演くらいなんです。

松崎さん:最初は、何も分からないままに舞台を立ち上げたので、本当に失敗や反省続きだったんですけど、5回、6回公演では、ようやく自分たちの足で立ち、まわりの方に素直に協力をお願いできるようになれて。6回目の『桜屋敷』は、特に仲間が増えたなと思いましたね。私たちの中では第6回公演から“乙女企画クロジ☆第2章”と勝手に呼んでいるんですけど、今まで失敗したことも踏まえて、いろいろ詰めていった作品だったので、これをお出しできたことで、7回目という次のステップにいけるのでは?と思っています。

――観客の反応はいかがでしたか?

福圓さん:こんなにファンタジーな作風というか、ここまで地に足がついていない内容のお話をやるのは初めてだったんですよ。

松崎さん:特に好みが分かれると思っていた作品なので、「自分の好みの話じゃない」と言われてしまったらそれまでだったんですけれど、「乙女企画クロジ☆がやるファンタジーとは?」というところに挑戦したかったんです。

福圓さん:それ、すごく話したよね。お客様と関係者の感想がいつも逆転しちゃうくらい、バラバラの感想が出てしまうので、どうにか一つに出来ないかというところから、傾向と対策、どのような点をお客さんはどう思うのか、私たちが譲れないものとは、みたいな研究をものすごくした。多種多様な好みを持つ全てのお客さんに、一箇所でも面白いと思ってもらうにはどうすればいいのか、ということをものすごく考えて。どこまで伝わるかは挑戦だったんですけれど、そんな策略がもののみごとに成功したというか。

松崎さん:今までのクロジの公演の中で、一番、お客さんからも関係者の方からも同じ感触で好評をいただいて。それがすごく嬉しかったですね。

福圓さん:あと、“お姉さま”とか“お屋敷”という世界観は初めてだったので、この公演だけ浮いてしまったら…と心配していたんですけど、「やっぱりクロジらしい舞台でしたね」と言っていただけたことが嬉しかったですね。

松崎さん:5回までは、福圓と松崎のどちらかが必ず主役だったんですけど、6回公演で初めて私たちが主役から降りる形をとったんです。それでも、やっぱりクロジらしいねって言っていただけたし。

――自分たちというところから、劇団という大きな形も見えてきたと。

福圓さん:そうですね、2人なんですけどね(笑)。それによって、どんなジャンルの、何をやったって大丈夫な気がして、これからやれる選択肢が広がった感じがします。よく「福圓さんは、台本を書きもしなければ演出もしないんでしょ? 何をやっているの?」と聞かれて、私も「何やっているんだろう?」と思うんですけど(笑)。主役をやらなくても、2人の匂いがちゃんと舞台に乗るんだったら、クロジはカンパニーとしての必要性があるなって。それが嬉しかったですね。

――劇場には男性の観客が多くいらっしゃるようですが、女性も共感できる部分が多いですよね。

福圓さん:実は、一度ゲスト出演の俳優さんを目当てに来てくださった女性の方が、その俳優さんが出演されていないにもかかわらず、次の公演に来てくださるということが多いんです。「ここの劇団だけは観に来るんです」と言ってくださる女性の方がいると、

福圓さん・松崎さん:ウワッショーイ!!!!

福圓さん:って思いますね(笑)。もっとたくさんの女性の方に見ていただけるよう、どうしていけばいいのかなっていうのは、模索中ではあります。


次回後編は、声の仕事と舞台との関係や、お2人の関係についてのエピソード、そして今後の活動についてお話をうかがいます。お楽しみに!


Stage■乙女企画クロジ☆第7回公演「僕の愛した冒険」
公演日:2008年12月25日(木)~28日(日)
会場:新宿・シアターモリエール
作・演出:澁谷光平(スプリングマン)
キャスト:市来光弘、木村はるか、波多野和俊、福圓美里、藤波瞬平、松崎亜希子、武藤啓太、若林直美ほか(五十音順)
一般チケット発売日:10月26日(日)

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