緒方恵美さん、井上喜久子さん他80年代ヒットを歌うイベント開催

緒方恵美さん、井上喜久子さんらが80年代のヒット曲を歌い踊る!『噴水爆弾 -1980年代songs!』ライブレポート

 緒方恵美さんのプロデュースによる、声優たちが1980年代のJ-POP、ロック、歌謡曲をアコースティックアレンジでカバーするライブ『噴水爆弾 -1980年代songs!』が8月26日に開催された。ボーカルの緒方恵美さん、ボーカル&ギターの鷲崎健さん、パーカッションの内田稔さんという異色コラボを中心とした実験色の強いライブで、ゲストも井上喜久子さんに榎本温子さんと、本番で何が起こっても対応できる芸達者ばかりを集め、即興満載の非常に楽しいライブを作り上げた。

 なお、会場のテレビ朝日umuホールは、ステージの後ろがけやき坂に面して全面ガラス張りになっているため、通りを歩く人が中を覗けるような作りになっている。普段はここを締めて使うのだが、緒方さんはこれを初めて全面オープンで使用。観客は、背景に夜の六本木の街並みを見ながら歌を楽しみ、通行人は外からステージを興味深げに眺めることに。だがこれが功を奏し、通りすがりの一見さんを何人も中に引き込むことに成功したという。また歌う曲が80年代に一世を風靡した名曲ばかりなので、ステージの声優たちを知らない人でも関係なく大いに盛り上がり、緒方さんが目指した“オープンなライブ”は大成功となった。

 アンコールでは緒方さんがセーラーウラヌスのセリフで会場中を痺れさせ、緒方さん、井上さん、榎本さんによる『セーラームーン』主題歌「ムーンライト伝説」を振りつきで披露するなど、サービス満点で楽しませた。


●アイドル曲からムード歌謡まで、80年代ソングを楽しく熱唱!

 登場するなり、自ら前説や会場の解説を始める緒方さん。鷲崎さんたちのチューニングの間繋ぎでもあるのだが、そこに鷲崎さんも絡んでさっそく漫才のノリになってしまう。

 今回は1980年代縛りのアコースティックライブということで、80年代ならばジャンルを問わない選曲も見所となる。緒方さんが選んだオープニングナンバーは、米米CLUBの大ヒット曲「浪漫飛行」。鷲崎さんのギター、内田さんのパーカッション、そして2人のコーラスに乗り、緒方さんのかっこいい声が響くと、3人しかいないとは思えないほど世界観が拡がる。観客も「ウォウォー!」とコーラスを合わせ、1曲目から早くも会場の一体感が最高潮に。続くREBECCAの「RASPBERRY DREAM」では、一転してかわいいほうの緒方さんの声でNOKKOばりに歌い上げる。さすがは声優、曲ごとにがらりと声まで変えて歌の世界観を作り込んでくる。

 そして歌声に痺れた感動を、MCに入った途端に緒方さんと鷲崎さんの漫才トークでぶち壊すのも魅力。今回は緒方さんが“新人声優”という設定になったらしく、初々しい仕草で観客に手を振ったり、かわいい声で挨拶したりとアイドル声優風に振る舞い、観客もそれに乗って掛け声をかけるなど、妙なノリを生んでいた。また普段低音の緒方さんが、声を変えて高音の曲を歌う様を、鷲崎さんが“ひとり大都会”と名付けて笑いを誘った。

 安全地帯の「恋の予感」、松田聖子さんの「SWEET MEMORIES」と、低音曲と高音曲を緒方さんがまたもや声を変えて歌った後、最初のゲストとして榎本温子さんが呼び込まれる。雨女として有名な榎本さんは、今日は晴れてホッとしたそうだが、その理由を緒方さんが「それは私が迷惑なほど高気圧女だから」と説明していた。

 榎本さんは何を歌おうかと80年代の歌を調べる中で、よく聴いていた工藤静香さんの曲に、これは自分が歌うしかないと思ったものがあったと語り、歌い出したのが「嵐の素顔」。観客から笑い声が上がるほどウケたことに榎本さんはご満悦といった様子で、「今度からこの曲を聴いたら私を想い出してね」とアピールも。

 なお榎本さんと内田さんは今夏これが3回目となる共演で、内田さんをアニメ畑に引き込んだ張本人の鷲崎さんは、いつの間にか自分より業界に多く関わるようになった内田さんに嫉妬気味。さらに、昔はギター1本で好きなように演奏していたのに、パーカッションが入ると好き勝手にできなくなって困ると、理不尽な文句もつけていた。なお、鷲崎さんの言い分は「だって1番と2番の間奏の長さを決めろって言うんだよ!」と明らかに間違っていたのだが、共演歴の長い榎本さんとの間ではそれでも上手くやれてきたそうで、実際にアイコンタクトで歌と演奏をピッタリ合わせる妙技もやって見せた。

 榎本さんの2曲目は、同じくゲストの井上喜久子さんにちなんで『らんま1/2』からエンディング曲の「もう泣かないで」を披露。お姉ちゃんファンが詰め掛けていたこともあって大盛り上がりとなった。

 続いてのゲストはそのお姉ちゃんこと井上喜久子さん。「井上喜久子、17才です(おいおい)」の儀式でひとしきり盛り上がった後、「でも本当は、恵美ちゃんよりちょっとお姉さんです」としっかりオチまでつける。
お姉ちゃんの服が鷲崎さんとペアルックに見えるという話題に始まり、2人が父娘の設定で共演したラジオ番組『はーい井上商店ですよ!』の想い出話に花が咲き、さらに榎本さんが『機動天使エンジェリックレイヤー』でお姉ちゃんと母娘の関係だったことから「健くん、おじいちゃんだー!」と人物関係がどんどん思わぬ方向に転がっていく。

 お姉ちゃんと榎本さんのデュエットでは、80年代のデュエット曲と言えばコレというWinkの「淋しい熱帯魚」。お姉ちゃん曰く「この曲というよりも、この振りがやりたかった」と、サビ部分の有名な振りを2人で合わせてみせた。

 ソロコーナーでは、「かわいらしい曲なんですけど、よーく歌詞を聞いてるとけっこう怖い」という石川ひとみさんの「まちぶせ」を切なく、続いて中森明菜さんの「飾りじゃないのよ、涙は」を緒方さんのコーラス付きでかっこよくと、こちらも声優らしく声を曲ごとにがらりと変えて歌った。

 お姉ちゃんコーナーのラストは鷲崎さんとのデュエットだが、お姉ちゃんは何を歌うか考えた末、「ムード歌謡がいい」と思ったそうで、ロス・インディオス・アンド・シルヴィアの「別れても好きな人」を選択。緒方さんがファルセットでコーラスを入れ、観客が「別れてもー(別れてもー)好きな人ー(好きな人ー)」とコール・アンド・レスポンスで参加し、歌の世界の臨場感を増す夜の六本木の街並みをバックに、会場全体が異様なノリでムード歌謡に浸った。

セーラーウラヌス役の緒方さんを中心に「ムーンライト伝説」を振りつきで披露

セーラーウラヌス役の緒方さんを中心に「ムーンライト伝説」を振りつきで披露

今ライブをプロデュースした緒方さん。後ろのガラス張りを開けっ放しにすることで、夜の六本木の街が最高のセットに!

今ライブをプロデュースした緒方さん。後ろのガラス張りを開けっ放しにすることで、夜の六本木の街が最高のセットに!

ギターの鷲崎さんとパーカッションの内田さんは即興の達人。どんな曲でもその場で合わせられる

ギターの鷲崎さんとパーカッションの内田さんは即興の達人。どんな曲でもその場で合わせられる

雨女の榎本さんが、工藤静香の「嵐の素顔」を熱唱したため会場が笑いの渦に

雨女の榎本さんが、工藤静香の「嵐の素顔」を熱唱したため会場が笑いの渦に

お姉ちゃんと榎本さんによる、振りつき「淋しい熱帯魚」

お姉ちゃんと榎本さんによる、振りつき「淋しい熱帯魚」

●80年代バンドブームも一挙カバー! アンコールはみんなで『セーラームーン』!

 鷲崎さんのコーナーは、選曲も曲数も決まっておらず、時間が来たらおしまいという完全なるフリーダム。パーカッションの内田さんも何をやるのか知らず、本番で即興で合わせていくというライブ感溢れ過ぎるステージだが、それを「いつも通りじゃないですか」と笑って語る内田さんが実に頼もしい。

 「じゃあ」と言って鷲崎さんは世良公則&ツイストの「宿無し」をいきなり歌い始め、内田さんも慣れた様子で付いていく。さらに「あんまり歌ったことない曲」という河島英五の「時代おくれ」をしみじみと歌い、とどめは80年代後半のバンドブームの曲をメドレーで披露。ただこのメドレーというのが尋常ではなく、BOOWY、THE BLUE HEARTS、筋肉少女帯、ZIGGY、米米CLUB、ユニコーン、爆風スランプ、プリンセス・プリンセス、JITTERIN'JINN、アンジー、カブキロックスほか多彩なアーティストの代表的な曲から、フレーズを切り貼りしてメドレーにしているため、聴いていても次の展開がまるで読めない。それでも有名な曲ばかりのため、突然切り替わった曲にも観客がすばやく合いの手を入れ、会場全員でこの即興メドレーを楽しんだ。

 緒方さんは80年代縛りとは言ったものの、数ある名曲を2時間足らずのライブでどれだけやれるのかと悩んでいたそうだが、「ワッシーのおかげですっごい埋まったよね」と大喜び。また鷲崎さんは、20曲くらい入れたこのメドレーについて、「ダウトが1個あったの気付きました、みなさん? バンドブームの曲の中に、光GENJIが入ってたの」とネタバラシもして、エンターテイナーぶりを見せつけた。

 最後は緒方さんもバンドブームからTHE BLUE HEARTSの「ロクデナシ」、さらにお姉ちゃんと榎本さんも加わって「TRAINTRAIN」で大合唱して終了となった。

 ところがステージ上で全員が蹲り、アンコールを受けて立ち上がるという世界一早いアンコールの登場を見せる。楽屋に戻るのが大変な上、時間ももったいないからという理由が実にこのメンバーらしい。

 そしてアンコールに選んだ曲を、榎本さんが「私、この曲を緒方さんと歌えるの幸せです! メンバーの中で緒方さんのキャラが一番好きでした!」と告白すると、緒方さんもセーラーウラヌスの声で「どうもありがとう」と応じ、客席からも黄色い歓声が上がる。そこへお姉ちゃんがポツリと「私もちょっと出てたんだけどね……」とこぼしたため、榎本さんが慌ててフォロー。しかしお姉ちゃんもセーラーアルーミナムセイレーンの名が思い出せず、「いいのいいの、ほんとに気にしないで」と自分でまとめて笑いを誘った。

 その『美少女戦士セーラームーン』主題歌「ムーンライト伝説」を、緒方さん、お姉ちゃん、榎本さんの3人が振りまでつけて歌い、出演者も観客も大満足といった感じでライブを終えた。


M-1 浪漫飛行(米米CLUB)歌:緒方恵美
M-2 RASPBERRY DREAM(REBECCA)歌:緒方恵美
M-3 恋の予感(安全地帯)歌:緒方恵美
M-4 SWEET MEMORIES(松田聖子)歌:緒方恵美
M-5 嵐の素顔(工藤静香)歌:榎本温子
M-6 もう泣かないで(瀬能あづさ)歌:榎本温子
M-7 淋しい熱帯魚(Wink)歌:井上喜久子・榎本温子
M-8 まちぶせ(石川ひとみ)歌:井上喜久子
M-9 飾りじゃないのよ、涙は(中森明菜)歌:井上喜久子
M-10 別れても好きな人(ロス・インディオス・アンド・シルヴィア)歌:鷲崎健・井上喜久子
M-11 宿無し(世良公則&ツイスト)歌:鷲崎健
M-12 時代おくれ(河島英五)歌:鷲崎健
M-13 バンドブームメドレー 歌:鷲崎健
M-14 ロクデナシ(THE BLUE HEARTS)歌:緒方恵美
M-15 TRAINTRAIN(THE BLUE HEARTS)歌:全員
EN-1 ムーンライト伝説(DALI)歌:緒方恵美・井上喜久子・榎本温子

>>緒方恵美オフィシャルブログ


お姉ちゃんと鷲崎さんの井上商店コンビで「別れても好きな人」をムードたっぷりに

お姉ちゃんと鷲崎さんの井上商店コンビで「別れても好きな人」をムードたっぷりに

会場全員で歌った「TRAINTRAIN」は大盛り上がり!

会場全員で歌った「TRAINTRAIN」は大盛り上がり!

おすすめタグ
あわせて読みたい

関連商品

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2024年春アニメ一覧 4月放送開始
2024年冬アニメ一覧 1月放送開始
2024年夏アニメ一覧 7月放送開始
2024年秋アニメ一覧 10月放送開始
2024春アニメ何観る
2024年春アニメ最速放送日
2024春アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング