話題の3DCGアニメ、ついに劇場公開！　吉浦康裕監督、福山潤さんらが作品を熱く語る!!　『イヴの時間 劇場版』初日舞台挨拶レポート

　00年代の新たな潮流となった個人制作アニメーション。その流れから登場した世界が注目するパーソンの1人、吉浦康裕氏。彼の初グループワークとなったWebアニメーション『イヴの時間』が6日、ついに公開された。

　未来の”日本らしき国”の日常風景に溶け込んだアンドロイドたち。あくまで家電のように、機械として扱われる彼らが集う人間とロボットを区別しないルールを持つ喫茶店……。そこで繰り広げられる物語は、2008年の初公開以降、今なお多くのファンの心を掴み続けている。

　作品の総再生回数は300万回を超え、DVD、コミック、ノベライズと世界を広げ続けるこの『イヴの時間』の公開初日を祝うべく、3回に分けて行われた初日舞台挨拶。多くのファンが集まり新たな姿となった『イヴの時間』とキャストのコメントを楽しんでいた。3回のうち初回は吉浦康裕監督（※関連インタビューはこちら）、福山潤さんが参加し、観客の喝采を浴びた。

　『イヴの時間』の熱烈なファンだという、日本放送の吉田尚記さんを司会に迎えて行われた今回の舞台挨拶。割れんばかりの拍手に迎えられ登場した吉浦康裕監督、そしてリクオ役の福山潤さんは作品について、「満席で感無量です。皆さんの顔を見ると、自分もなんだかホンワカしてしまいました」（吉浦監督）「本当に皆さんに早く見ていただきたかったんです。僕も一足先に劇場版を見たのですが、こんなに楽しい時間を過ごせたのは久しぶりだったので」（福山）と、それぞれコメント。

　トークではWeb版1stシーズン6話と、劇場版での演出の違いに触れる場面も。新たなシーンの追加で新たな視点で物語を再度観ることができた観客からは、思わず感心の声が上がっていた。新たな深みを増した劇場版、これから観賞予定の読者はぜひ期待して欲しい。

　収録時の吉浦監督と福山さんの関係も興味深い内容。監督は音響監督を通じてディレクションする形になることが多いが、吉浦監督はキャスト陣にキメ細やかな配慮を欠かさずディレクションしていたとのこと。福山さんも、収録のたびに資料をチェックするのが楽しみだったそうだ。　

　そのように作り上げたWeb版、そしてそれをさらに練り上げた劇場版だけに2人とも様々な思いがあるようだ。劇場版を上映までこぎつけた感想を、このように語っている。　

　「Web配信のものをどう劇場版作品にするか、すごく悩んだりもしたのですが、こういう形で大きな画面でチェックしてみて、本当に劇場版にして良かったと感じることができました。皆さんの笑顔を見て空気を共有できたことは、作り手として何かをいただけたと実感できますし、Web配信とは違うところだなと思いました」（吉浦監督）

　「劇場版でキャラが変わっていないことに安心しました。僕は普段、自分の出演した作品を見ると、反省の方に意識を持っていかれてしまうのですが、この『イヴの時間　劇場版』では、作品の力に引っ張られてそんなこと感じることもありませんでした。だから、見終わった時は本当に嬉しかったですね」（福山）

　当初13話で構成されていたという『イヴの時間』。やはり続編を求める声も高まっている様子で、司会の吉田さんも自ら音頭をとって「次につながるように、皆に広めていこう」と呼びかけていた。

　舞台挨拶ではその他にも、福山さんの生アフレコや、吉浦監督から福山さんへのサプライズプレゼント（劇場販売グッズの『イヴの時間』タンブラー）などでも盛り上がった。『イヴの時間 劇場版』は現在、池袋テアトルダイヤで公開中。テアトル新宿では1週間限定モーニング＆レイトショー公開。4月3日（土）からはテアトル梅田でも公開。ぜひ劇場に足を運んで、その息吹を体感して欲しい。

＜取材・文：飯富二郎＞


＜STAFF＞
原作、脚本、監督：吉浦康裕
キャラクターデザイン、作画監督：茶山隆介
音楽：岡田徹
アニメーション製作：スタジオ・リッカ
制作：ディレクションズ
配給：アスミック・エース

主題歌　Kalafina 「Ｉ have a dream」　(SME Records)

＜CAST＞
リクオ：福山潤
マサキ：野島健児
サミィ：田中理恵
ナギ：佐藤利奈
アキコ：ゆかな
コージ：中尾みち雄
リナ：伊藤美紀


>>『イヴの時間』公式サイト
>>スタジオ六花（吉浦康裕）公式サイト