『バリエンテス 伊達の鬼 片倉小十郎』発売!田中克樹先生が語る!

『コミックゼノン』から新たな戦国絵巻誕生!『バリエンテス 伊達の鬼 片倉小十郎』――「“伊達者” 小十郎は今の日本に必要な存在」田中克樹先生が熱く語った!

 現在『コミックゼノン』で好評連載中の『バリエンテス 伊達の鬼 片倉小十郎』。戦国時代を舞台に、あの伊達政宗が最も信頼したといわれる名軍師・片倉小十郎を主人公に描かれる新感覚の歴史ロマンだ。
 今回は、独創的な世界を生み出す田中克樹先生にインタビュー。知られざる田中先生のデビュー秘話など、今明かされる新たな戦国絵巻への道のりを余すところなく語っていただいた。

田中先生から描き下ろしのイラストもご提供いただきました!

田中先生から描き下ろしのイラストもご提供いただきました!

●「情熱を傾けられるもの」=マンガを描くこと

――まずは『バリエンテス 伊達の鬼 片倉小十郎』第一巻発売おめでとうございます。

田中先生(以下、田中):ありがとうございます。

――まずは田中先生のマンガ家としての経歴からお伺いしてもよろしいでしょうか?

田中:初めて持ち込もうと思ったのは大学卒業してからですね。中学生の頃はマンガ家目指してたんですけど、その時ずっと読んでいたマンガ雑誌がそれまでとはどんどん違う方向に行っちゃってて、しばらくマンガ自体から離れてたんですよ。
 それで大学卒業するぐらいの頃に『コミックバンチ』が出て、読んだらちょうど俺が好きだったあの頃のマンガ雑誌みたいな感じで「来た!」と思って。ちょうど大学卒業だってのに進路も何も考えてなかったんですけど「そういや昔マンガ家になりたかったなぁ」って思い出したんです。
 それまでは「この世の中に情熱を傾けられるものなんてあるのか?」って思ってたんですけど、「マンガって良いよなぁ」って思える雑誌が出たんで、それが持ち込みの動機でしたね。それで色々な先生方のアシスタントを経験させて貰って、一番長くお世話になったのは原哲夫先生の所でした。

●爆笑!?デビュー秘話

田中:そこで修業させてもらい連載用のネームを切ってたら、それが通っちゃいまして。それで秋田書店の『少年チャンピオン』でデビューしたんですけど、それが今から4~5年前ですね。原先生に「武者修行のつもりで行ってきます」って言って出て行ったら…半年で終わっちゃいました(笑)。

――それはどんなマンガなんですか?

田中:『モテキング』ていう、童貞の高校生がホストになるっていうマンガだったんですけど、第1回目から「高校生がホストなんて!」みたいな苦情が来たそうです。結局あまり人気も出なくて……秋田書店に爪跡だけ残して帰ってきました(笑)。

一同:(笑)

田中:当時の担当さんは「お前のせいで飛ばされた」って、その後会うたびにいつも酒の肴もなってます(笑)。ほろ苦いデビューでしたね。その後、他の出版社さんで描かせてもらったりはしてたんですけど、結局またこちらに戻ってくることになりました。

●『伊達の鬼 軍氏 片倉小十郎』に至るまで

――では特に戦国ものに拘られていたというわけではなかったんですか?

田中:最初のうちは何でも描けるようになりたいと思ってました。でもコアミックスに戻ってからすぐに「時代劇ってどう?」と言われまして、時代劇ならアシスタントもやった事ありますし、大河ドラマとかも好きだったんで「ええ、好きですよ」て言ったら「好きな武将は誰?」って聞かれたんですよ。で、「伊達政宗」って答えたら「ちょうどあるよ」って言われて、そのまま決まった感じですね。
ちょうどその時バンチ編集部でも『義風堂々』の他にも伊達政宗を題材にした戦国モノの企画があったそうで、だから本当に運命だと思ったんですよね。

――そこから『伊達の鬼』が始まるというわけですね

田中:『義風堂々』のヒットや、石田三成にスポットが当たった時期でもあったので、伊達政宗を題材にすることは決まっていたんですが、そこを敢えて伊達家の重臣である片倉小十郎にしようという話になったんです。でも最初はピンとこなかったんですよ。でも政宗って殿様なんで、そんなに派手に活躍させられないんですよね。(史実との兼ね合いのなかで)小十郎の方が動かしやすいとか、そういうところから興味を持っていったんですよ。
伊達政宗という人物は非常にセンセ-ショナルで魅力的ではあるんですけど、政宗をメインに描いてたら小十郎の魅力には気付かなかったんじゃないかと思います。作家としては小十郎をメインで描いていくことも楽しいですね。

<b>『バリエンテス 伊達の鬼 片倉小十郎』第1巻/田中克樹</b><br>2011年4月20日発売<br>590円(税込)

『バリエンテス 伊達の鬼 片倉小十郎』第1巻/田中克樹
2011年4月20日発売
590円(税込)

●「伊達家のプロデューサー」片倉小十郎の魅力

――片倉小十郎の魅力とは?

田中:政宗を影で支えていたためあまり目立たないのですが、伊達家のブレーンとしてものすごく大きい存在で、「この人がいなければ伊達家は成り立っていなかったであろう」と言われるぐらいの人物だったと。それぐらい政宗に信頼されている人物だったんですよね。
政宗というのは本当にスケールの大きい人物で「生まれるのがあと10年早かったら天下を取っていたかもしれない」と言われるほど。ですが、このマンガの主人公があくまで小十郎である以上、もっとすごい事を考えさせなければいけない。
それで考えたのが、「伊達家のプロデューサー」という立ち位置だったんですね。名プロデューサーでありながら主人公という、非常に難しいキャラなんですけど、その分描き甲斐はありますね。

――既存の戦国ものの枠から脱却した、新しい戦国マンガのスタイルを作られたような気がします。

田中:それを作ることができたらいいなと思いながらやっています。政宗がいて小十郎がいて、伊達家の家臣達がいるという群像劇を描きたいんですよ。更にそれだけじゃなく、当時の東北って戦国時代よりさらに前の時代から続く由緒正し血筋を持った英傑達が大勢いるんです。
そういうライバル達の中に政宗が出てきて、やがて奥州を統一していく……という所を描いていきたいですね。中央で豊臣秀吉や徳川家康のような爺さん達が天下統一に向けて動いているときに、奥州では“伊達者”と呼ばれる若い奴らがやんちゃをするという図式は、そのまま現代と通じると思ったんです。
今の世の中はもう何もかもが決まり切っていて、若い人達は凄い閉塞感を感じていると思うんです。そんななか、伊達家のような時の権力者にいつまでも盾付いて、「天下取ってやる」みたいな気持ちを持ち続ける若い集団っていうのは、とても魅力的なんじゃないかと。世の中が何と言おうと、俺たちの信じているものは正しいと信じる彼等と“俺はこいつらがカッコいいから描くんだ!”って想いをぶつけて描いています。

――“傾奇者(かぶきもの)”が世間に流されずにマイペースで生きていくのなら、“伊達者”は世の中に対するカウンター的な姿勢で生きていると?

田中:「敵わないなら思い切り戦おう!」という気持ちですよね。傾奇者はやっぱり一武将じゃないですか。伊達者は常に天下を目指す集団なんですよ。国を背負っていますからね。大企業に立ち向かうベンチャー企業みたいなもんです。

――最後に読者の方へのメッセージをお願い致します

田中:読者の方には出来れば“ふんわり”と読んで欲しいと思っているんです。僕らは“ガーッ”と力を入れて、感情こめて、人の生き死にとか一生懸命な生きざまを描いているんですけど、だからこそ知らない人にはふんわりと読んでもらって、そこで何かを感じてくれたら嬉しいですね。

待望の『バリエンテス 伊達の鬼 片倉小十郎』第一巻は4月20日に発売。熱き男達の生きざまをその目に焼きつけろ!

<TEXT:渡辺 佑>

『バリエンテス 伊達の鬼 片倉小十郎』第1巻 / 田中克樹
2011年4月20日発売
590円(税込)
ゼノンコミックス

『コミックゼノン』
毎月25日発売
予価650円(税込)

>>コミックゼノン公式サイト

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