ゆったりと音を楽しむ“美郷あきライブツアー2011”をレポート

自由な雰囲気のなかゆったりと音を楽しむ――そしてラストはファンと声を揃えての大団円!美郷あき「Aki Misato Live Tour 2011~My Honesty~」渋谷O-WESTライブをレポート

 美郷あき初となる東名阪ライブツアー「Aki Misato Live Tour 2011~My Honesty~」のラストを飾る東京公演が、2011年6月26日、東京公演が東京・渋谷O-WESTで開催された。

 同ツアーは、4月に発売した5thアルバム『My Honesty』を受けてのもの。ツアーを駆け抜けた美郷が見せるパフォーマンスを見届けるべく、会場には超満員の観衆が詰めかけた。

●アルバム『My Honesty』を凝縮した前半。アコースティックコーナーも

 息苦しさを覚えるほどぎゅっとファンが詰まった渋谷O-WEST。眩いライトが照らし出す逆光の中から現れた美郷の姿は、より自信に満ち大きく見えるようにも感じられた。

 オープニングナンバーは「honest word,honest world」。自然に起こるクラップのなか、語りかけるような歌声が客席に染み入っていく。

 そのまま「奇跡」へとつなぐ、落ち着いた聴かせる立ち上がりからMCに入った美郷。

 まずは「皆さんこんばんは!“Aki Misato Live Tour 2011~My Honesty~”へようこそ!今日は最後まで楽しんで、くつろいでください!」とあいさつ。

 一転明るくアップテンポな「シアワセは月より高く」や「Wild succession」、「ここからはちょっと切ない系の曲で行きたいと思います。泣きたい人は泣いてください」と語っての「once more again」「Separating moment」と、様々な色の楽曲が続く。

 前半の締めは歌い出しはしっとりと、しかしサビでは切なさのなかに激しい熱を感じさせる「さよなら君の声」。

 『My Honesty』収録曲を中心に、「明るい曲だったりちょっと暗い曲だったり、楽しい曲だったり切ない曲だったり。いろんな曲が入っています」と美郷が語るアルバムの“らしさ”を凝縮したような構成だ。

 中盤の山場はアコースティックコーナー。「before」で自らギターを持った美郷はやや緊張した面持ち。しかしメンバーを増やしながら「ふたりが忘れない」「Made in WONDER」と歌っていくなかで、徐々に自然な笑顔で歌うことを楽しんでいるように見えた。

 MC中に「今日はリラックスしてやろうと決めてきた」と漏らした美郷だったが、トーク内容もツアー中に乗ったタクシーでの会話など、何気ない日常のエピソードが中心。ゆったりとした気持ちで、客席と音を楽しむ。そんな姿勢が伝わってくるようだ。



●出し惜しみ無しのメドレーでライブは最高潮へ!

 明らかに空気が変化したのは「Cross Illusion」から。美しく静かなピアノソロのイントロから一転、疾走感のあるサビに向けてエネルギーを高めていくこの曲は、戦いの始まりを告げるのにふさわしい。

 そう、ここからはステージも客席もまさに戦い。「最後のエデン」「僕らの自由」とアップテンポな曲が続くのはまだまだ序の口。

 極めつけは「beautiful flower」~「くちびる白昼夢」~「Jewelry tears」~「BLOODY QUEEN」~「HAPPY CHERRY FESTA」~「Scarlet Bomb!」とたたみかけるメドレー! 比較的スローテンポだった前半で溜め込んだ熱を全て解放するような圧巻の内容だ。

 とはいえ代表曲とも言えるナンバーがメドレーに含まれているのが少し勿体ないか…と思ったところで、「少女迷路でつかまえて」はフルコーラスで満腹させてくれるのが心憎い。

 本編の最後は、「この曲を皆さんに聴いてもらいたいと思います」との言葉から、「陽だまりの中へ」でしっとりと締めくくった。

 鳴りやまないコールのなか始まったアンコールは、『俺たちに翼はない』タイム。暗転したステージに流れ始めたイントロは「Spread Wings.」!

 ここで美郷から、誕生日の9月2日にアコースティックライブ「AKI MISATO Birthday Live 2011 Unplugged Vol.2」を開催することが発表されると、会場はこの日最大の歓喜の声に包まれていた。

 そして会場との記念撮影を挾み、今度は『俺たちに翼はない』エンディング「PARANoiA」へ。「ララララ」が続くパートで、集まったファン全員が大きく腕を振りながら声を揃え、美郷が「みんなありがとう、大好きだよ!」と答える姿は、大団円と呼ぶにふさわしい光景だ。

 その上でダブルアンコールに美郷が選んだのは「明日をとめないで」。震災に対して軽々には語れず、自分にできることは何かにも悩んだという美郷の答えが、この曲だ。

 「音楽は聴いて元気を出したり、幸せになったり、時には泣いたりもできるものです。皆さんの心に飛び込んでいきたいと思って、このツアーをやってきました。そのために歌おうと、この曲を選びました」と語り歌った美郷は、最後は「また、必ず会いましょう!」と笑顔でライブツアーを締めくくっていた。

 ライブを通して印象的だったのは、会場に漂う柔らかく優しい空気だ。必要以上に騒がず、サイリウムを持つ人もいれば、静かに聴き入る人もいる。こうしなければいけない、という堅苦しさもない。そうした空気を作り出しているのは、他ならない美郷の人柄だろう。

 最後に、この日の会場の空気を象徴するような美郷のMCでレポートを締めくくりたい。「私は意地っ張りだったり、人見知りだったりもしたのが、歌うことと、周りにいてくれる素敵な人たちのおかげで変わってきた気がします。会場のみんなも、ほんとにあたたかいよね…みんなの気持ちを大切にして、このステージに立っていたいと思います(美郷)」。※敬称略

<取材・文:中里キリ>

美郷あきLIVE2011“Aki Misato Live Tour 2011~My Honesty~”
東京会場セットリスト


M01:honest word,honest world
M02:奇跡
M03:シアワセは月より高く
M04:あかるい恋のうた
M05:Wild succession
M06:once more again
M07:Separating moment
M08:さよなら君の声
M09:before(アコースティック)
M10:二人が忘れない(アコースティック)
M11:Made in WONDER(アコースティック)
M12:最後の旅
M13:What a beautiful world
M14:Cross Illusion
M15:最後のエデン
M16:僕らの自由
M17:beautiful flower~くちびる白昼夢~Jewelry tears~BLOOD QUEEN~HAPPY CHERRY FESTA~Scarlet Bomb!
M18:少女迷路でつかまえて
M19:陽だまりの中へ
E01:Spread Wings.
E02:PARANoiA
WE01:明日をとめないで

>>美郷あきオフィシャルウェブサイト


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