【黒崎真音スペシャル企画第2弾】自身が全作詞を手がけた待望のニューアルバム『五色詠-Immortal Lovers-』は「ファンの方に学んで、自分も成長できたアルバム」――8/10リリースを前に語った"薄桜鬼"への想い
8月10日に待望のニューアルバム『五色詠-Immortal Lovers-』をリリースする黒崎真音。本アルバムはOVA『薄桜鬼 雪華録』第一章~第五章までのエンディングテーマを集めたミニアルバムとなっており、『薄桜鬼』の世界観を存分に反映した作品に仕上がっている。
そして今回のアルバムでは、すべての楽曲の歌詞を黒崎自身が担当。『薄桜鬼』の大ファンであると言う彼女が、楽曲に込めた想いとは――?その真相に迫った。
――まず、アルバムが完成したお気持ちをお聞かせください。
黒崎真音さん(以下黒崎):制作期間は今年の春から6月中旬くらいまでだったんですが、その間ずっと『薄桜鬼』のアニメを観たりゲームをやったりして、作品の世界観に近づいていけるようにしました。心を込めて制作したものがやっと形になって、皆さんに届けられることがとても嬉しいです。
――ご自身で振り返ってみて、どんなアルバムになったと思いますか?
黒崎:今回のアルバムには「Immortal Lovers」と言うサブタイトルがついているんですが、その言葉どおり、「大切な人」がキーワードになっています。『薄桜鬼』を観ていて、誰かのために戦ったり、誰かを守るために生きる、と言うメッセージを強く感じて、「大切な人」に向けた歌を作りました。歌う時ももちろんその気持ちを意識して歌わせていただいたんですが、改めて時間が経ってから聴いてみると、自分が作詞をしたり歌った曲にも関わらず、すごく感情移入してしまいました(笑)。
――『薄桜鬼』の世界観がとても強く反映されたアルバムだと思うのですが、その世界観を作るために苦労した部分やこだわった部分などありますか?
黒崎:全体的に難しかったですし、悩むことも多かったので、何度もアニメを観てゲームをやって、どのように近づけていくか考えました。あとは『薄鬼桜』のファンの方のブログやサイトを見させていただいて、どういうお気持ちで皆さんがこの作品を愛しているのかをチェックをしたり。
――かなり研究されたんですね。
黒崎:はい。『薄桜鬼』を愛している方はすごくたくさんいらっしゃるので、そう言った方々にも共感していただいたり、好きなっていただければ嬉しいな、と思って。ファンの皆さんの声を聞きたかったんです。
――黒崎さんご自身も『薄桜鬼』の大ファンとのことですが、楽曲の中に作品に対する想いや気持ちなど反映されていますか?
黒崎:はい!このお話を頂いた時はまだ曲数などは決まっていなかったんですが、「もし作詞をするとしたら、どんな歌にしようかな」とその時から既に考えていて。あらかじめ歌詞を書いて溜めておいたりもしました。最初はプレッシャーのほうが大きなくらい緊張していたんでが、その分「良いものを作りたい」って気持ちもすごく強くて。本格的な作業に入ったのは春くらいでしたけど、冬くらいから色々と作りこんでいました。
――楽曲についても伺っていきたいんですが、アルバムの幕を開ける「夢幻-a true love tale-」の作詞作業はどのように?
黒崎:この曲は一番最初に頂いた曲だったので、じっくり歌詞を考える時間があったんです。『薄桜鬼 雪華録 第一章 ~沖田総司~』のEDテーマになっているので、まず沖田総司さんの事を知りたいな、と思って、実際に歴史の本を読んだりして調べました。そうやって彼に近づいていくことから作業を始めて、どんどん形にしていったんです。病を患いながらも志高く戦っていく姿はすごくカッコイイですし、心を打たれたんですが、やっぱりすごく儚くて。志があるのに、それが叶わず体が弱っていく、という所を見ていて、彼の気持ちや儚さを表したいなと思って、この歌詞を書いたんです。
――タイトルの「夢幻」は「ゆめ」と読むわけですが、この2つの文字で「ゆめ」としたのはなぜでしょうか?
黒崎:この「夢」と「幻」と言う言葉が、まさに「儚さ」を表しているな、と思ったんです。「夢」と言う言葉だけを見ると、広いイメージがあって。例えば、叶える夢もあるし、眠っている時に見る夢もあるから……。でも「幻」をつけることによって、手に入らない切なさや儚さを表せるかな、と思って「夢幻」にしました。
――2曲目の「風花 -The whisper of snow falling-」への流れもすごくキレイですよね。
黒崎:この曲は『薄桜鬼 雪華録 第二章 ~斎藤 一~』のEDテーマです。実はこの曲は、OVAのとあるシーンにインスピレーションを受けて作った曲なんです。
――どんなシーンだったんですか?
黒崎:優しさに包まれたような、にこやかになれるシーンがありまして……とても印象的でした。「あの時、彼はこう言う気持ちを抱いていたんじゃないかな」とか、色々想像しながら作ったんです。そのシーンを曲の中で表した、と言う感じですね。
――3曲目の「蘭 -The end of struggle-」は1曲目、2曲目とは曲調が変わり、スカ調になっています。
黒崎:EDテーマと言うことでゆったりした曲になりがちなんですが、この曲をここに持ってくることで、アルバムにスパイスを加える役割を果たしていると思います。この曲は『薄桜鬼 雪華録 第三章 ~原田左之助~』のEDテーマなんですが、彼は大人の魅力を纏ったカッコイイ方なので、スカのような曲調が合うんじゃないか、という事で3曲目に持ってきました。
――「傘はいらぬ」や「刃に籠めて」など、歌詞の言葉遣いも男性的なイメージですよね。
黒崎:そうですね。彼の男らしさ、果敢さを表現したいと思ったので。華やかさ、と言うよりも一途さや力強さを表していきたかったので、歌い方も自分なりに男らしく、アクセントを効かせてパワフルにしています。
――そして4曲目「光 -I promise you-」では、切ない歌詞が印象的です。
黒崎:この曲は『薄桜鬼 雪華録 第四章 ~藤堂平助~』EDテーマになっています。作品を通して彼は道に迷ったりして、結局自分の信じたもののために新選組を離れていくんですが、それがすごく印象的で、考えさせられる部分もあったんです。
――どんな風に感じられたんですか?
黒崎:ずっと一緒にいた仲間から、自分の信じた道を行くために離れていくのって、とても強い意志や心が必要だと思ったんです。彼の持つ揺るがない決意や志の強さを表したくて、この曲を書きました。
――なるほど。そしてアルバムを締めくくる「真実 -The light lasting-」は、まるでこのアルバムの集大成のような、ピュアで力強く、でもどこかに儚さを帯びた楽曲になっていますよね。
黒崎:この曲は『薄桜鬼 雪華録 第五章 ~土方歳三~』のEDテーマなんですが、土方さんはすごく心が広い方で、新選組にいる皆の思いや意思を背負って、皆を引っ張って、先陣を切って戦っていた人だな、と思ったんです。新選組を語る時に彼は絶対に欠かせない人だと思いますし、その新選組と言うものをまとめていた人だったんだな、と感じていて。大切な人一人に向かって歌っている曲もあるんですが、土方さんの曲に対しては、皆に語りかけているようなイメージの歌になっています。
――確かにラブソングとして聴くこともできますし、もっと普遍的なテーマも感じます。
黒崎:サビの「輝く夜空に 浮かぶ星座見上げて」と言う部分は、散っていった命に向けて伝えているような意味も込めて書きました。新選組って、現在も語り継がれている存在ですよね。そんな風に、同じ志を持った仲間達が、いつまでも一緒にあり続けると言うか……、歴史が続いていく中でも、時代が変わっても、ずっと一緒にい続けてほしい、と言う気持ちも込めて歌っています。
――作詞作業の中で苦労したことなどありましたか?
黒崎:楽曲を頂いてから歌詞を書くことが多いんですが、曲からあまりにも離れた歌詞を書くと乗らないと言うか、ちぐはぐな感じになってしまうんです。それを、『薄桜鬼』に合うように、頂いた楽曲に一番良い言葉を乗せる、言葉選びの作業は難しく感じました。
――このアルバムを制作したことで、黒崎さんご自身が成長を感じたことなどありましたか?
黒崎:歌詞を書くのに悩んだ分、以前よりも表現の仕方や言葉選びを勉強することができたと思います。今まではもう、悩んで悩んで、なかなか書くことが出来なかったんです。でも、この歌詞を書いた後に新曲の歌詞を書いたんですが、それはすごく早く書くことができて。
――スピードが上がった、と言うのは目に見える成長ですよね。
黒崎:以前はイメージや伝えたいことがたくさんありすぎて、一つにまとめるのに時間がかかっちゃったんです。でも『五色詠-Immortal Lovers-』に関しては一人ひとりの隊士に向けての曲だったので、「この人のイメージで書くんだ!」と強く思って書いていたんですが、それが自分にとっては新しい考え方だったみたいで。おかげで新曲を頂いた時も、自分の中でイメージを確立しやすくなりました。
――新曲も楽しみですね!では、最後にファンの方にメッセージをお願いします。
黒崎:『薄桜鬼』を愛してくれている皆さんに、このアルバムを好きになっていただけたらすごく嬉しいです。『薄桜鬼』をまだご覧になったことが無い方にも、大切な人を思い浮かべながら聴いていただけるアルバムになっていますので、ぜひ、皆さんに聴いて頂きたいと思います。宜しくお願いします!(取材・文 杉山 玲菜)
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