アニメ
『放課後ミッドナイターズ』竹清監督『009』神山監督対談!

『放課後ミッドナイターズ』竹清監督『009』神山監督対談!

 2012年8月25日(土)より公開の映画『放課後ミッドナイターズ』は映画史上「初」の人体模型と骨格標本が主人公という作品。

 初長編作品となった本作の竹清仁監督と『攻殻機動隊』シリーズ、『東のエデン』などを手がけ、10月27日(土)からは『009 RE:CYBORG』の公開が控える神山健治監督が対談した。

 対談前に『放課後ミッドナイターズ』を観た神山監督は終始本作を絶賛! 3DCGアニメ制作における酸いも甘いも知り尽くしている者同士が監督観や制作秘話について語り尽くした。その内容とはいかに!

―― 「放課後ミッドナイターズ」の印象をお聞かせください

神山監督:竹清監督のことは、僕等ですら3DCGに手を出すことに尻込みしていた時期に、福岡のほうで果敢に挑戦されているとは聞いていましたので、すごいなと思っていました。「放課後ミッドナイターズ」にはモーションキャプチャーの良さを出来るだけ引き出した作品だと聞いていたのですが、拝見するまでいまいちどういったものなのかピンと来ていませんでした。実際、拝見してみて思ったのが"ライブ感がすごいな"と。人体模型や骸骨標本のキャラクターは手書きのアニメだけど、モーションキャプチャーで実際の人のリアルな動きと交って、"生"の面白さが出ている。お笑いもライブのほうが面白いように、「放課後ミッドナイターズ」はそういう"生"感の面白さをもっている。最初に拝見させて頂いたときは(スクリーンに向かって)「もっとキュン様(人体模型の主人公)出てこないかな?」と思いながら観ていました。


―― 「放課後ミッドナイターズ」の主人公、人体模型のキュンストレーキというキャラクターが生まれた経緯は?

竹清監督:別の仕事でモーションキャプチャーを扱ったことがあるのですが、お芝居に入る前とお芝居が終わったあとが一番面白かったんです。つまり演技に入る役者さんのひととなりが自然と出る瞬間の動きこそが面白かったんですね。これはうまく芝居をつければカラっとしたコメディが撮れると思い、アニメとモーションキャプチャーの組み合わせのアイデアを思いつきました。人体模型というキャラクターにしたのは、実は多分に予算の都合があってですね(笑)。髪の毛を書かず服すら着せなくてよい、というコストカットが実現でき、見た目もインパクトがあって面白いから「こいつしかいないんじゃないか」という結論に至ったわけです。懸念点としては見た目が気持ち悪いということだったのですが、最初はそうでもあとから好きになってもらえるようなキャラ設定に気をつけました。

神山監督:日本の商業アニメーションでは見た目が気持ち悪いと、主人公にはしてもらえないと思うのですが、海外ではそういった傾向はないので、「放課後ミッドナイターズ」のキュンストレーキというキャラクターはすごく新鮮でした。"キュン様"というキャラクターを、画的にもキャラ的にも、もっと観ていたいなと思いました。近年の商業アニメでは忘れられていた大事な部分だなと改めて思いましたし、ずっと観ていたいキャラクターを掘り起し、CGでうまく作り上げているなと感心しました。

竹清監督:映画「放課後ミッドナイターズ」の原作である「放課後MIDNIGHT」というショートムービーがあるのですが、こちらはキャラ設定もストーリーも、「海猿」の原作者である小森陽一さんと一緒に作り上げていったのです。小森さんが福岡在住で、僕とご近所さんということもあって、とにかくボケ倒す設定を考えて頂きました。

神山監督:そもそも「放課後ミッドナイターズ」の絵コンテはどの程度書いているのですか?モーションキャプチャーの部分は人が演じるものだから、ある程度決め込まずに現場で撮ってゆくといった流れだったとか?

竹清監督:絵コンテは通常のアニメーション作品で書く量を100だとしたら、おそらく60ぐらいだと思います。3Dならなんでもできるだろうと思っていたのですが、実際には絵コンテどおりにできないことがたくさん出てきましたので現場で実際の動きを見ながら決め込んでいく工程をとりました。モーションキャプチャーの難しさはアニメのキャラならではのコミカルな動きが人間にはできないこと。現場で役者さんに「監督、そんなに飛べません」なんて言われるのですが、僕も「うーん、でももうちょっと飛んでみようか」といったやりとりがたくさんありましたね(笑)。

――竹清監督に伺います。初の長編映画を撮ってみていかがでしたか?

竹清監督:とにかくスケジューリングが大変でした。まるで一度も走ったことのないフルマラソンに挑戦しているような感覚でした。短距離走や中距離走といったレベルの作品は何度も作っているので、今回はとにかくペース配分がわからずに苦労しました。もうそろそろ30キロ地点か?と思いきや、プロデューサーに「いや、まだ15キロぐらいだろ」と突っ込まれたりして。ジョージ・ルーカスも「スターウォーズ」を作っているときに「もうやめちゃおっか」と言ったらしく、そのときは"なんて贅沢なこと言うんだろう"と思っていたのですが、今回自分で制作してみて、今はジョージ・ルーカスに謝りたいですね(笑)。


――竹清監督に伺います。作品にはどのような思い入れが込められているのでしょうか?

竹清監督:僕が中学生の頃は、劇場に行くと「ゴーストバスターズ」、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、「グレムリン」など、テーマ性を重視したというよりも、80年代のいい娯楽映画ばかりが上映されていたので、今回の「放課後ミッドナイターズ」もそのような映画にしたかったんですね。コメディとして作った作品なので思い入れやテーマ性というよりも、何も考えずに劇場で楽しんでもらえれば嬉しいです。

神山監督:僕が「放課後ミッドナイターズ」に思ったのはキャラクターと世界観なんですね。どこまでがリアルでどこまでがファンタジーかという疑問は全く生まれず、とにかく見せ方が非常にうまいなと思いました。万人に受け入れられる80年代の娯楽映画の面白さを感じましたし、笑いの入れ方やセンスが抜群だと思います。素直に"キュン様、面白いなあ"
とか"もっと踊ってほしいなあ"とか思いながら観てました(笑)。




『放課後ミッドナイターズ』
2012年8月25日(土)新宿バルト9ほかアジア一斉公開

<STAFF>
企画・監督: 竹清仁
脚本: 小森陽一
音楽: 北里玲ニ
音響効果: 笠松広司
CGプロデューサー: 田中賢一郎
エグゼクティブプロデューサー: 紀伊宗之
プロデューサー: 伊藤耕一郎/平田武志
配給: ティ・ジョイ 

主題歌:ねごと『Re:myend!』(Ki/oon Music)

<声の出演>
山寺宏一、田口浩正、戸松遥、雨蘭咲木子、寿美菜子
小杉十郎太、谷育子、家中宏、茶風林、松本大、
郷田ほづみ、屋良有作、大塚芳忠、黒田勇樹(アルバイト)
伊瀬茉莉也、下崎紘史、飯塚昭三

詳細は公式サイトへ!

>>放課後ミッドナイターズ 公式サイト
>>ニコニコ動画公式チャンネル

おすすめタグ
あわせて読みたい

放課後ミッドナイターズの関連画像集

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2024年春アニメ一覧 4月放送開始
2024年冬アニメ一覧 1月放送開始
2024年夏アニメ一覧 7月放送開始
2024年秋アニメ一覧 10月放送開始
2024春アニメ何観る
2024年春アニメ最速放送日
2024春アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング