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『直球表題ロボットアニメ』はこうして作られた! スタッフに聞く!

『直球表題ロボットアニメ』はこうして作られた! 制作スタッフ超ロングインタビュー!!

現在放送中のアニメのなかで、ひときわ異彩を放つ全編CGのショートアニメ『直球表題ロボットアニメ』。映像制作にフリーソフト『MikuMikuDance(MMD)』を使っているのも話題のひとつだ。

この作品がどのように作られているのか、企画を立ち上げたつばさエンタテインメント・取締役であり本作のプロデューサーでもある福原慶匡さんと、『gdgd妖精s』を作ったことで知られる構成作家の石舘光太郎さん(本作では監督・脚本を担当)、「MMD杯」の主催も行なっていた映像作家のcortさん(本作では、アニメーション監督)にお話を伺った。

制作に至った経緯や現場の裏側など、とても興味深いおもしろトークを聞かせてくださいました。アニメファンだけでなく、これからアニメを作ってみたいクリエイターの方々にも参考になるインタビューをどうぞ!


■ 低予算だけどノリとスピードは業界イチの制作環境!

写真左より、プロデューサー・福原慶匡さん監督・脚本・石舘光太郎さんアニメーション監督・cortさん。

写真左より、プロデューサー・福原慶匡さん監督・脚本・石舘光太郎さんアニメーション監督・cortさん。

――さっそくですが、『直球表題ロボットアニメ』を制作した経緯についてお聞かせください。

福原さん:もともと僕と石舘さんが友人で、僕はぜんぜんアニメは好きじゃなかったんです。でも6年前くらいに「アニメを見ろ!」と言われて、それからアニメに興味を持ちました。

それで「自分でも作ってみたいな~」って思ったんです。でもアニメの新規参入は難しいので悩んでいました。ちょうどそのころ、僕はボカロとかアキバ系の仕事をしていた影響で、当時からニコニコ動画のMMDをプロデュースされていたcortさんと出会えたんです。

そしていろいろ話をしているうちに、「MMDを使えばある程度制作費を抑えて僕らでも参入できるんじゃないかな」と思い、制作を決定したんです。

石舘さん:僕が福原さんに誘われたときは、ほんとに日常会話のなかで「『gdgd妖精s』が良かったんで、今度何か一緒にアニメやらない?」と言われたんです。そのときは話半分で聞いていて、「あ~、そうっスね」みたいな感じだったと思います。

cortさん:僕も福原さんから「アニメやらない?」って言われたからです。いつの間にか参加してました(笑)。

――まるで飲み屋の会話ですね。それでも実行に移してしまうのは行動力だと思います。

石舘さん:いまはCGを使えば「こんなに簡単にアニメができるんだ」って時代が来ているんです。MMDは身近ですよね? もちろん手描きのちゃんとした30分のアニメに敵いませんけどね。例えば『少年週刊ジャンプ』という雑誌のなかで、一番最後の4コママンガのページ、『直球表題ロボットアニメ』はあんな感じのアニメだと思っていただけるといいかもしれません。気の利いた箸休め的なアニメになれれば嬉しいです。

――制作を決定したのは何年くらい前ですか?

福原さん:半年くらいじゃないかな? 「やろうよ」って話になったのは2012年8月くらいで、具体的に固まってきたのは10~11月くらいです。

石舘さん:そのころ僕は別件で、脚本と演出でショートアニメを2本やっていたんです。しかも11月に舞台も決まっていたものですから、あのころは本当に時間がなくて動けなかった。けっこうバタバタで、実際に動き始めたのは10月くらい。なので年末進行忙しい時期に台本を2本だけ書いて、11月の頭に初回収録です。そこから2日で僕が音声を編集して、映像をつけてなんとか第2話まで完成です。

福原さん:そんな調子で、いまは全12話中、6話目まで終わりかけてるかなって感じですかね!?(二人を見る)
※インタビューは、放送前の1月末に実施。

石舘さん:1話と2話はイメージを近づけるために映像を何度も直させていただいたので、制作日数もかかりましたが、いまでは気になる部分だけを直せば完成って状態になってます。なので、1話につき、10日くらいで映像が完成します。

――アニメの制作に当たり、制作委員会や外部からの要望は?

石舘さん:ありがたいことに、チーフプロデューサーの寺井さんが、委員会の方と話をする時に「内容には一切クチを出さない」という条件を取り付けてきてくれるんです(笑)。そういう営業方針なので、僕らは内容に関しては一切注文されたことがないんです。どんな話にしろとか、誰々を使ってほしいとか、まったくないです(笑)。

■ ラジオの手法を取り入れたアフレコ(プレスコ)現場!

――キャストに西明日香さん、荒川美穂さん、大久保瑠美さんが出演されていますが、選定はどのように行なったのですか?

石舘さん:音響監督さんにオーディションをしてもらったんです。そして僕らは音声をいただいて会議して、この3人に決めました。こんな作品にすごく著名な方も複数応募してくださってとても恐縮したんですが、さすがにそんな方々に「物ボケ」なんてお願いしづらいっていうのと(笑)、新しいことに挑戦しているっていう作品イメージを大切にしたいと思ってこのメンバーを選ばせていただきました。

左から、カトウ(CV:荒川 美穂)、フジイ(CV:西 明日香)、モリ(CV:大久保 瑠美)。

左から、カトウ(CV:荒川 美穂)、フジイ(CV:西 明日香)、モリ(CV:大久保 瑠美)。

――でも、『gdgd妖精s』を作ってる石舘さんのアニメだと知ってて、アドリブをやりたくてオーディションに参加されたという可能性もありますよね?

石舘さん:そうだったらいいんですけど、本来、声優事務所さんから「芸人じゃなくて役者なので、全部台本にしてください」って言われてしまうのが普通なので、なるべくこういう普通じゃないアニメの現場に積極的に乗ってくれそうな印象を受けた3人を、独断と偏見でチョイスさせていただきました。

――そんな現場に参加してくださった声優さんからの反応はいかがでしたか?

石舘さん:アフレコはプレスコ(ラフ画を元にアフレコをする手法)だったんですけど、僕のアニメは毎度そんな空気なんですが、皆さん初めは「なにかしらこの仕事? なんで事務所はこの仕事を取ってきたんだろう?」みたいな、キョトンとしてたような気がします(笑)。僕の印象ですけどね。

――あははは! 普通この質問をすると、たいてい「みなさんノリノリで、とても楽しい現場でした!」とか答えてくださるんですが(笑)。

石舘さん:いや~、だって絵も見れないですし、聞いたことない会社でしょうし、初めて会うスタッフばかりですし。キョトンとしますよ。

福原さん:しかも初めはオンエアする局がまだ決まってなかったから、VTR作品だと思われてたみたいです。

石舘さん:だから簡単な収録だと思われてたんじゃないでしょうか?(笑) でも、2回目くらいからはみなさん勝手がわかってきて、乗ってきてくれましたね。楽しみながらやっていただいているようでしたし、アドリブもいい感じです。

――もうひとりの声優さん、平田広明さんがナレーションを担当していますね。

石舘さん:はい。3体のロボットキャラクターはマジメにやっている設定なので、誰も客観的な目線でツッコめる人がいない。なので視聴者目線で誰かがツッコまないとさすがにユーザーさんを突き放しすぎだな、と。で、そういうアニメは他にあるかな? そう考えたときに浮かんだのが『ちびまる子ちゃん』だったんです。とにかく良い声で「後半に続く」って言ってもらいたいっていう理由から、平田広明さんにナレーションをお願いしました(笑)

――『gdgd妖精s』もそうでしたが、『直球表題ロボットアニメ』後半の「物ボケ」のコーナーが独特だと思うのですが、アフレコはどのように行なっているんですか?

石舘さん:台本のないパートに関しては『gdgd妖精s』のとき同様、バラエティ番組やラジオ番組の演出方法で収録しています。それぞれキャストさんと個別に打ち合わせをさせていただいて、そのキャラクターが言いそうなイメージのボケ案はこちらでいくつか用意してお渡しし、それをそのまま言っていただいても良いですし、アレンジしていただいても良いですし、演者のみなさんが他に思いついたらアドリブで出していただく、というスタイルです。なので現場にスケッチブックとペンを用意して、イラストや説明を描いてもらいながら収録をしています。

cortさん:そのスケッチブックが、僕にとっては唯一の絵コンテなんですよ……。

石舘さん:あはははは!(笑) そうそう、その1枚で前後のつなぎの映像とかを作っていかなきゃいけないんですよね。

cortさん:そうなんです。音声だけを聞いてると、なにをやってるかわからない!

福原さん:なので収録中のイラストは重要です。イラストと言えば、西明日香さんのイラストはとてもかわいいんですよ。

これが、噂のスケッチブック! 許可が下り、公開される日はくるのか!?

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――収録中にかなりの枚数のイラストが描かれると思いますが、それらのイラストは公開しませんか? ファンは見たがっていると思います。

石舘さん:そうですね。もし各事務所さんから許可がいただけたらイラストはBDやDVDなどのパッケージを販売したときの特典にしようかなぁ? それか、トレーディングカードにしようか?(笑)

一同:あはははは!

――なぜこの独特な手法を考えたのですか? 通常アニメは尺もキッチリ決まっていて、決められた台本をキレイに読むのが声優さんの仕事だと思うのですが。

石舘さん:それは僕がもともとアニメ業界の人間じゃないからですね。アニメは大好きだったけど、本業は放送作家。ケンコバさんがMCのコスプレの専門番組をやったり、『HEY!HEY!HEY! music champ』、『人志松本のすべらない話』とかの放送作家をしていました。

■ 『gdgd妖精s』の経験を生かして作られた『直球表題ロボットアニメ』

――アニメはいつごろから好きだったのですか?

石舘さん:子供のころに見た『機動戦士ガンダム』あたりからアニメ好きですね。あ、でも、『新世紀エヴァンゲリオン』のあとに、ちょっと見ない時期がありました。で、久々に最近のアニメを見てみようかなと思って見たのが『涼宮ハルヒの憂鬱』でした。それを見て「うわぁ~、これは『うる星やつら』のオマージュだ。最近のアニメはキてるな!」と思い、それから再び手当たり次第アニメを見まくりました。そして、いまに至るって感じですね。

予告編を観れば、石舘さんの好きなアニメが分かっちゃう!?

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――アニメの仕事はやってみたかったのですか?

石舘さん:それ以前に、アニメの仕事ができるとは思っていませんでした。『gdgd妖精s』のとき、事務所から「アニメや声優さんに詳しいバラエティ作家を探している」と言われて僕がやることになったんです。あの作品が生まれた経緯は少々ややこしくて、もともとは声優さんを起用して菅原そうた君のバカバカしいCGを使ったDVD企画をやりたいって話だったんです。

――初期段階はアニメの企画ではなかったんですね。

石舘さん:そうですね。イメージとしては声優さんのラジオに後から映像をつけるような感じですね。で、そこに僕が入るようになったんですが、ちょうどそのころ、TOKYO MXで全話オンエアしたいという話が来て、「だったらちゃんとアニメ作品のパッケージにしたほうがいいですよ」と、構成から作り直させていただくことになり、当初のDVD企画イメージはBパートとCパートに分けてそれぞれ別の形で実現させて、最終的に3部構成の一応アニメ作品というパッケージを構成させていただしました。全く必要のない次回予告まで加えて(笑)

――必要のない次回予告も作品の魅力のひとつだと思います。

石舘さん:『gdgd妖精s』はキャラクターの可愛さと面白さがお互いを生かしあう構造にしたかったんです。それをAパートとBパートで積み上げてきて、最後にアドリブとパロディでぶち壊す、っていう構造なんですよね。

――『直球表題ロボットアニメ』は『gdgd妖精s』から学んだことも含まれていますか?

石舘さん:作品というものは、どこに焦点を当てるかで作り方が変わってくると思うんですが、「物ボケ」のパートは「アフレ湖」とすごく近いと思います。『直球表題ロボットアニメ』が「アフレ湖」と違うのは、笑いを探し求めているロボットたちという設定なので、彼女らは笑っちゃいけないんです。なので物ボケをやってはいるけど、キャラクターが崩れてしまうので耐えなくちゃいけない。いちおう保険として、「古いシステムの部屋なのでノイズが乗ることがある~」とは言ってるんですけどね。笑っちゃいけないからキャラクターが首をそむけたりしてるなんて、アニメではまだ見たことがないんじゃないかな?(笑)

――笑いをこらえているキャラクターの動きは、とても細かいですよね。

石舘さん:あと、3部構成の作り方は『gdgd妖精s』と似ているけど、『直球表題ロボットアニメ』の登場人物は「笑いで戦争を止める」という目的がある。そこがゼンゼン違いますね。目的に向かうことに対して、そこをメタにぶち壊すことだけはしないようにしています。

――先に進むとストーリーラインがあるということでしょうか?

石舘さん:う~ん、どうかな?

福原さん:これも普通のアニメの作り方と違うんですけど、台本も最後までできてないんです(笑)。

石舘さん:だって、第8話と第9話は今朝あげたところですからね!

――いまはおもしろいギャグアニメですが、最終話に向けて感動の場面がある可能性は?

石舘さん:そうですね。何かしら感動できる作品に持って行けたらいいな~とも思っています。せっかく世界観と設定がある作品ですからね。『gdgd妖精s』はお笑いだったのですが、『直球表題ロボットアニメ』はお芝居に近いかな? ちょっと大人向けなシュールアニメ。僕の中でですけど、若干ターゲットも違うし、楽しみ方も違うように作っています。

――なるほど! 大人のためのシュールなアニメ。短時間で楽しめるので、忙しい人に最適です。

石舘さん:ショートアニメは「ちゃんと見なきゃ」って気にならないところがいいですよね(笑)。『僕の妹は「大阪おかん」』っていうショートアニメも作っているんですけど、僕はもともと芸人だったので、コントみたいなショート作品しか作れないんだと思います。

――え? もともとは芸人だったのですか?

石舘さん:はい。芸人から作家になって、アニメが好きだったので、いつのまにかアニメも作っています。

■ ビジュアル系バンドマンから萌えアニメファン、そして映像作家になったcortさん

――cortさんに伺います。映像はすべてご自身で作られているんですか?

cortさん:映像は全部です。他のディレクターが2~3人いるんですが、AパートとCパートは僕です。映像内に登場するキャラクターのモデリングは他の人にお願いしてます。アクセサリー類はすべて音声が届いてから依頼をしているので、メールを送った2日後に完成します。1話で登場した「高枝切りバサミ」とか(笑)。でも、映像を作っている最中にチョキンチョキンと動くようにしたい……そうなった場合に3Dモデルを直すのは自分だったりします。

――そんなcortさんは、以前はどのような活動をされていましたか?

cortさん:僕はMMDの「MMD杯」の2代目主催者です。第5回~第8回を担当していました。あの仕事はボランティアですが、期間締め切り前は2~3日ほとんど寝ないでskype会議をしたりしています。かなりハードですよ。

――cortさん自身も、いままでMMDで作った作品を大量に公開していますか?

cortさん:MMDの動画は100本以上投稿してますね。もともとはビジュアル系バンドでベースをやってました。


『【MMD】shiningray【PV】』
アニメーション監督のcortさんが制作し、ニコニコ動画で殿堂入りした作品。

――ビジュアル系バンドだったら、オタクじゃない?

cortさん:そうですね。興味がなかったですね。

――なぜMMDやアニメに興味を持ったのですか?

cortさん:バンドのメンバーが、ゴシック系っぽいカッコイイ路線のアニメに大ハマりしたのがきっかけですね。
じゃあ、オレもなにかアニメを見ようと思ったのが始まりでした

――ビジュアル系バンドなら、ゴシック系アニメは親和性が高そうですね。

cortさん:はい。ゴシックアニメならそうなんですけど、自分はなにをトチ狂ったのか『涼宮ハルヒの憂鬱』を見ちゃったんです(笑)。しかもパッとテレビをつけたときが、偶然にも12話の「ライブアライブ」だったんです。そのときは衝撃でしたね。アニメがライブをやってるんですよ! それからアニメがちょっと好きになっちゃって……。

――それは衝撃でしょうね。いままで実写系しか見てなかった「ライブ映像」がアニメになっているというのは。

cortさん:でも、それから、かっこいい系のアニメを見ればいいのに、なぜか次に見たアニメが『ゼロの使い魔』だったんですよね~。

一同:(爆笑)

cortさん:なんかねぇ、かわいい女の子のアニメが見たいなぁ~って(笑)。

――いきなりすぎます! ビジュアル系バンドはドコにいっちゃったんですか?(笑)

cortさん:ハルヒが悪いんですよ! それからかわいい女の子のアニメをすごーく見るようになっちゃったんです。

――メンバーにはなんて言い訳をしてたんですか?

cortさん:ストラップとかつけちゃってるから、言い訳もなにもないですよね(笑)。「あいつ変わったよな」とか言われてました。

で、そういう深夜帯のかわいい女の子のアニメを見るようになったら、次にYouTubeも見るようになってしまいました。MAD映像は好きでしたが、一番見ていたのは「弾いてみた系」。バンドマンですからね(笑)。そのころかっこよくて好きだったプレイヤーのblogを読んだら「初音ミク」という単語が書いてあった。ちょうど初音ミクが出たばかりのころだったんですが、「初音ミク3D化計画」というタグがあったんです。それらを見ていたら自分でも作ってみたくなりました。

でも、CGをやってみたいけどソフトは高い。諦めていたころに出会ったのが「MMD」です。これならできると、リリースしてすぐに使いました。まだカメラが実装されていないころですね。

――もう完全にオタクですね。

cortさん:で、ふと思ったのが「MMDでカッコイイPVを作ろう」と思い、そのころからMMDでボカロのPVを作り続けています。それで去年、映像のなかで踊るだけじゃなくて、リアルに歌って踊ってもらいたいようになって、アニメロサマーライブ2012の初音ミクステージの映像を担当しました。

――趣味から始めたMMDが、アニメロサマーライブの映像を担当するまでになるとは……。cortさんのモーションは手打ちですか? それともモーションキャプチャーですか?

cortさん:すべて手打ちですね。一部Kinectも使いますが、ほとんど手打ちです。

――では次の質問です。cortさんが初めに『直球表題ロボットアニメ』の話を聞いたとき、どう思いましたか? 15分アニメは作れると思っていましたか?

cortさん:はい。15分くらいなら作れると思っていました。自分の作品はPV風が多いですが、会話劇も5本くらい作っていましたから。もちろんいままでは声優さんは使えるわけがないので、字幕だったり無声映画風ですけど。

――今回の仕事で苦労されたところは?

cortさん:いつもの作業と同じなので、それほど苦労はしてないです。むしろ「動かないでくれ」というオーダーが来るくらいです。

石舘さん:会話劇なので、キャラクターが動きすぎると気が散るんです。パペット劇のような感じでしゃべってるキャラクター以外は動かないでほしい。両方が動いていると、視聴者は聞こえなくなっちゃうんですよね。

――動かすのがものすごく上手なcortさんなのに!

石舘さん:そうなんですよ。なのに「このモーション削ってくれ。ここも、ここも」って(笑)。

cortさん:作ってる側としては、動いていないことが不安になっちゃうんですよね。

石舘さん:わかります! でも、そこは動かなくていいんです。最近はわかってくれて、とてもスムーズに仕事が進んでいます。

■ サークルのノリで作られた数々の登場キャラクター

――キャラクターデザインについて伺います。主人公3体のロボットは「KEIさん」ですよね? すごい人に依頼してます。

石舘さん:KEIさんには以前、『gdgd妖精s』のBDのパッケージを描いていただいたんです。今回はせっかく仲良くさせていただいてるし、KEIさんが「ロボットのデザインを一回もしたことがない」とおっしゃるので、おもしろいんじゃないかと思ってお願いしました。

3人の主役ロボットは、KEIさんがデザインを担当。

3人の主役ロボットは、KEIさんがデザインを担当。

――通常だと、経験がある人に依頼をしますよね?

石舘さん:ほら、これだけ低予算で、しかもショートアニメだと、人がやったことのないことに挑戦していかないことには勝ち目がないんです。

――では作中に登場するかっこいいロボットのデザインは?

cortさん:これはロボ好きなヤツらばっかり集めて、「お前が考えたかっこいいロボットを作ってくれ」と(笑)。

石舘さん:そうそう。名前も設定も、全部決めてもらいました。なので名前も性能も決まっていますが、本編にはまったく関係ないです。

――あはははは! それも普通のアニメ制作とぜんぜん違いますね。

石舘さん:あ、でも、制作してもらう前に、いちおうザックリとした設定は渡してます。

――設定があれば作りやすそうです。

石舘さん:まぁ設定と言っても、「リベリオン連邦とシン公国が戦っています」と。それだけなんですけどね。

――ぜんぜんデザインについて触れてないじゃないですか(笑)。

石舘さん:はい。お金もあんまり払えないですし、みなさん勝手に楽しんで作ってくれないと。

cortさん:ロボ好きのモデラーって、だいたい自分用のロボットのフレーム(ロボットCGの骨格)を持ってるんですよね。だからそれに外装をつける手法で作れば、短時間で作れます。なので作中のロボットをよく見ると、外装の隙間から同じようなフレームが見えます。

――なるほど! それもCGアニメならではですね。

cortさん:そうなんです。だからリベリオン連邦のロボットはこのフレーム……とか。同じ企業が同じ生産ラインで開発したロボットだからフレームは同じ、そんな設定です。

――そんなモデラーのみなさんが考えてかっこよく作ったロボットに、第1話から「ローションプロレス」ですか。

石舘さん:かっこよく作ったオープニングを、どうしたらダイナシにできるか? そのためだけにローションプロレスをさせました。オープニングの映像はMMD杯で優勝した「ビームマンPさん」に作ってもらうことにしました。こんなオープニングなのに、アニメが始まったら会話劇って詐欺っぷりがおもしろいんじゃないかな~と。

戦争を止めるために、地球にローションを! その結末とは!

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――作中のモーションのこだわりは?

cortさん:なんだろうなぁ? ネタ出しをするときに、「キャラの設定を守りながらブッ飛んだポーズにするか」というところかな。それと、各話でシーンごとに決まったカメラワークにしているとか。

石舘さん:カメラワークがパターン化していると、見ている側が受け入れやすくなるかな、と。

――映像はすべてMMDで作っていて、キャラクターも配布していますが、ものすごいサービスですね。

cortさん:今回作るために使用しているMMDが、制作している自分たちと視聴者が同じものを持っているのは新しいです。

石舘さん:なんなら作品で使っている全データを配布しちゃってもいいんですよ。3DデータとかSEはすべて配布しましょうか? 声優さんの声だけは権利の問題で配布できないけど、視聴者が作品を作るときは字幕でも作れますからね。

cortさん:「オレのほうがおもしろいのを作れる」って人は、どんどん作ってほしいですね。MMDは「放流するからおもしろいものを作れ」って文化で育ってきたツールなんです。

――オープンソースアニメですね。これはいままでなかった! MMDユーザーには歓迎されると思います。

石舘さん:ほんとに全データ配布したら、みんなお布施感覚でパッケージ買ってくれないかな? いちおうこっちも予算かかってるんで(笑)。


■ ZAQさんが歌うエンディングテーマは音源化される!?

――エンディングテーマにZAQさんを起用していますが、またすごい歌詞ですね。

石舘さん:ランティスさんに相談したら、紹介してくれました。

――ZAQさんは、この曲についてなんておっしゃってましたか?

石舘さん:まず初めに歌詞のイメージはお渡ししたら、作詞をしてくださいました。しかも2回くらい直してくれて、ありがたいです。さらに収録では「すごく楽しい! こんな現場は他にない」っておっしゃってくださいました。

――曲を依頼したとき、どのようなオーダーだったのですか?

石舘さん:えーと、曲のイメージは菅野よう子さんの『ぼくらの』のエンディングですってお伝えして、あとはおまかせで!

一同:(笑)

石舘さん:すっごく切ないけど、よくよく歌詞を見ると「なんだこれ?」というコントラストを楽しみたいと。それだけでZAQさんは「すごくおもしろいです」と言ってくださったので、仕事がしやすかったです。

本当にスタッフのみなさんが楽しんでる空気が伝わってきます。

石舘さん:そうね、だって、みんなギャラには見あってないから楽しまなきゃね~。パチンコ化からも一番遠いアニメだし、きっと声はかからないだろうし。

一同:(爆笑)

<放送情報>
東京メトロポリタンテレビジョン 2月5日(火)25:30~25:45
とちぎテレビ 2月6日(水)24:00~24:15
NOTTV 2月12日(火)21:30~21:45(シフトタイムでも放送予定)
ニコニコチャンネル(※地上波放送終了後順次公開)

<STAFF>
監督:石舘 光太郎(@ISHIDATE_Kotaro)
アニメーション監督:cort(@cort0927)
キャラクターデザイン:KEI(@keigarou)
音響:なかのとおる
脚本:石舘光太郎、山口正武、高橋聡之
オープニング映像制作:ビームマン(@BeamManP)
エンディング映像制作:三重の人(@mienohito)
制作:cort、和菜、瓜うり、fuu、Mishika、tommy
キャラモデリング:しえら、自称動画、ほたるん、kito
アイテムモデリング:バネ、やまもと、澪姉、すぎや
予告イラスト:pikomaro(@pik0maro)、藤ちょこ(@fuzichoco)
本編挿入画:鈴木 愛
ロゴデザイン:原 耕造
原案:妹尾Pファクトリー
チーフプロデューサー:寺井 禎浩
プロデューサー:福原慶匡(@fukuhara_ystd)
スペシャルサンクス:樋口M、rossi、おやぶん、かんなP、極北P、V.P.V.P.、STAR GATENET WORK
製作:こういうときどういう顔していいのか分からな委員会

<CAST>
フジイ:西 明日香
カトウ:荒川美穂
モリ:大久保瑠美
ナレーション:平田広明

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