声優
■新アニソン通信 File.9 上坂すみれ[後編]

■新アニソン通信 File.9 上坂すみれ[後編]

毎回、アニソンやゲーソンを歌うアーティストをクローズアップしていく『新アニソン通信』。4月24日(水)に『七つの海よりキミの海』でアーティストデビューした声優・上坂すみれさんの特集を2回に渡ってお届けしています。

 後編となる今回は声優になったきっかけから、多岐に渡ると言われる上坂さんの音楽趣味のルーツ、影響を受けた1枚などを掘り下げていきます!

●声優になるきっかけは『ナースウィッチ小麦ちゃん』とネット!?

――では上坂さんが声優になるまでの道のりをご説明ください。

上坂:小さい頃からアニメが好きでよく見ていましたが、声優を目指す大きなきっかけになったのが小学生の時に見た『ナースウィッチ小麦ちゃん マジカルて』で。「二次元っていいな。声優さんっていいな。あんなふうになれたらいいな」とあこがれと感動を覚えて。今の事務所にはその時、ジュニアモデルとして所属していましたが、声優セクションがあることを知ってから独学で勉強を続けていました。ジュニアセクションを卒業する年に声優セクションのオーディションを受けて、合格し、念願叶って声優への道を歩み始めました。

――『ナースウィッチ小麦ちゃん』は2ちゃんねるや秋葉原ネタほか、おたくパロディ満載の作品でしたね。でもOVAで知る人ぞ知る作品だったので、幼少期に目にすることが奇跡ですね。

上坂:あとで聞いた話だと発売前に先行放送していたのを見たようです。それと当時から2ちゃんねるをよく見ていたので(笑)。小麦ちゃんのかわいさと、2ちゃんねる熱、全体に毒気とチャレンジ精神にすっかりハマりました。また当時はフラッシュが流行り始めていた頃で、小麦ちゃんを演じていた桃井はるこさんの歌う電波ソングも好きで、あとKOTOKOさんの「さくらんぼキッス」などを聴いて過ごしてました。

――かなりおたくっぽい子供だった?

上坂:普通だと思いますよ。ゲームが好きで、『ポケットモンスター』や『ファイナルファンタジー4』とかやっているような。きっかけはお家にWindows 98のパソコンがやって来て、自分でダイヤルアップやパスワードの設定などをして、お父さん専用から私専用になって。ブラックアウトしたり、ブラウザクラッシュなど世界の怖さも知って(笑)。ポストペットとたわむれながら、ヤフーキッズから始めたら、2ちゃんねるにたどりつきました(笑)。

●多趣味さはまるでサブカルの申し子か?

――ミリタリーやロシアへの傾倒もネットがきっかけだったんですね?

上坂:インターネットと一緒に育ったので、必要な情報を仕入れるのにも便利だしネットサーフィンしてても自分の好きなものに必ず行き着けるんですよね。ミリタリーも最初は全然違う言葉を調べていたのに、紛れ込んでいた第二次世界大戦のドイツのポスターに心ひかれて。その時は中学生でしたが興味を持って、神保町でドイツ関連の本を買いあさったりしました。

――ロシアにハマったのは?

上坂:高校時代に、ソビエト連邦の国歌を聴いて感動したんです。それでソ連とロシアの違いもわからない状態からウィキペディアで調べたら、私が生まれたすぐ後にソ連は崩壊していたことがわかって。またロシアマニアの人って深くて、研究サイトが発達していたことも大きかったです。おかげさまで文学から書記長、戦闘機、戦車まで幅広く情報収集できました。

――ゴシックファッションも好きというすみれちゃんは、それぞれに造詣が深くて、サブカルチャーのアイコン的な存在かも。

上坂:偉大な先人達に比べたら私なんてまだまだ浅いです。でも本当に好きなものなら突き詰められるし、サポートしてくれるツールも発達しているので、今が幸せです。

――多趣味な上坂さんですが、飽きることはないんですか?

上坂:私にはブームとかなくて、自分を構成する新しい要素が積み重なっていく感覚なんです。例えば最初にハマった漫画は幼稚園の時に読んだ『ゴルゴ13』ですが、私の中で今も息づいていますし、中学時代のバイブルは『ジョジョの奇妙な冒険』で全巻そろえて、日々、名ゼリフを言ったり、ポーズをしていました。

――かなりディープだったり、昔の知識が瞬時に出てくるのもすごいです。

上坂:好きなものしか覚えないからですかね。理数系が苦手で数式は頭に入らないけど、ジョジョ3部に出てくるスタンドの名前はだいたい覚えてます(笑)。

●上坂すみれの気になる音楽ルーツとは?

――そんな上坂さんが子供の頃に触れていた音楽は?

上坂:両親がディスコ世代なので、お父さんの車でドライブに行くとユーロビートやサイバートランスがよく流れてました。それが今のテクノ好きにつながっているのかな? 他にもJポップのCDも両親が買っていたので、モーニング娘。とかKinKi KidsとかSMAPとかも聴いてましたね。

――自分で初めて買ったCDは?

上坂:自分が欲しくて初めて買ったのはサイバートランスのCDでした。中学時代によく秋葉原に行っていたので、桃井はるこさんやMOSAIC.WAVさんのなどの電波ソングのCDをいっぱい買ってました。たぶんゲームボーイやスーパーファミコンで遊んで過ごしてきたから電子音が好きなんでしょうね。

自分でCDを買うようになってからはディスクユニオンやレコミンツのお世話になって。限られたおこずかいの中でいろいろなものを聴きたいと思うと中古CDショップで買うしかないんですが。そういうショップって店員さんの個性が出ているポップやライナーノーツもいいんですよね。

 中学生になって、中野ブロードウェイに行くようになり、レコミンツに入ると筋肉少女帯が置いてあって、ジャケットにひかれたわけです。ロリータ系の雑誌に筋少が載っていたり、大槻ケンヂさんが連載されていたので「ああ、これがあの筋少か」と。買って聴いてみたら案の定ハマって。インディーズのナゴムレコード時代のCDを買ったり、そこから同じナゴムに所属していた電気グルーヴも聴くようになりました。

――テクノ系だとYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)もお好きなんですよね。

上坂:お父さんが持っているCDの中に『スネークマンショー』があって、その中にYMOの曲が入っていたんです。それから『YMOヒストリー』という2枚組のベスト版を買ってから『テクノデリック』など次々と……。

――他にはどんなCDを買っていたんですか?

上坂:中古CDショップではいろいろな名アルバム、バンドと出会えましたね。名前だけで買ってみたら良かったザ・スターリンとか。ハードコアパンクバンドで、ちょっとロシア語が入っていたりして、しびれました。あと戸川純さんも。ソロやユニットなどいろいろな形で活動されているので買い集めてみたり。

――YMO、ザ・スターリン、戸川純とアルファレコードつながりで。アラフォーの宝島世代が好んでいた音楽を20代前半の女の子が聴いているのは何か不思議です。

上坂:時代をさかのぼるのがとっても好きで、昭和史が好きなのも同じですね。昭和の流行語集などを買ってはワクワクしながら読んでいて。60~80年代の音楽と世相って変化が激しくて、照らし合わせて聴くとまた楽しいんです。

 昭和の初期から終盤までの、年代別に流行した曲を集めたコンピレーションアルバムシリーズ『青春歌年鑑』が大好きで、「リンゴの唄」や「東京ブギウギ」とか。戦後まもない時に流行った曲はジャズの影響からか、キャッチーで、60年代だと銀幕のスターが歌う名曲があったり、70年代はわびしいフォークが輝いて、80年代はいろいろなジャンルが一気に出てくる音楽のビッグバン期ですね。

●古今和洋、ジャンルを問わない音楽好き

――歌謡史も語れるほど、昭和歌謡が大好きとは。

上坂:80年代はテクノ歌謡もブームになったことも注目点で。アイドルだとセイントフォーが好きです。知ったのは最近ですけど、衛星放送の邦画専門チャンネルで、吉田豪さんがアイドル映画について熱く語っていてすごく興味が湧いて。『ザ・オーディション』という映画を見てみたら、すごくディープで(笑)。もちろん劇中に流れる曲も「不思議Tokyoシンデレラ」など昭和歌謡曲らしくて素敵でした。

――ちなみに今、好きで聴いている音楽は?

上坂:今、メタルが熱いです。去年からメタルにも興味が湧いて、ブラックサバス、アイアンメイデン、チルドレン・オブ・ボドム、ハロウィン、パンテラ、メタリカなどを聴いてます。でもプログレになるとキングクリムゾンやピンクフロイドくらいしかわからないですね。

――同じ20代の子が聴いていそうな音楽が出てきませんね(笑)。

上坂:Jポップも好きですよ! きゃりーぱみゅぱみゅさんとか。中田ヤスタカさんプロデュースの曲はエレクトロポップなので、Perfumeもcapsuleも好きです。あとハロプロ!も好きです。

 あらゆるジャンルの「カワイイ」を提供するラジオ番組『TOKYO No.1カワイイラジオ』で共演している師匠・櫻井孝昌さんに一度、ハロプロ!のコンサートをご一緒させて頂いたのですが、パフォーマンスの素晴らしさはまさに櫻井さんいわく「日本の伝統芸能」だなと。

 あとYMOをオマージュしたOMYも好きで最近、同志の方に入手できなかったCDをいただいて、『Lady Go!!』という私がやっているラジオ番組で、自分が選曲できる枠すべてOMYをかけたら、OMYの方にTwitterでフォローしていただくといううれしい出来事もありました。

●気付かないうちに一人カラオケに?

――リスナーとしてはすごく広いジャンルを聴いていることがわかりましたが、歌うことは好きだったんですか?

上坂:歌うことも好きです。一緒にカラオケ行こうと誘われれば行きますし。ただ人を誘うのがあまり得意ではなかったので一人でカラオケに行くこともありました。

――カラオケではどんな曲を歌うんですか?

上坂:軍歌とか筋少とか中森明菜さんとかCCBとか。

――きっとおじさん達とカラオケに行ったら盛り上がると思いますよ。

上坂:「同期の桜」とか肩を組みながら歌ってみたり、歌声喫茶も一度行ってみたいですね。

――サブカルとおじさんカルチャーの若き担い手として活躍期待してます(笑)。でもカラオケで歌っていたという話から人前で歌うことに対しては、気後れはなさそうですね。

上坂:いざ人前で歌うとなると緊張しますね。でも「CDを楽しみにしてます」というメッセージをいただくと勇気付けられてます。きっと皆さんがいなければ、今後のアーティスト活動もできないと思うので、同志の皆さんが必要なんです!

●上坂すみれの音楽趣味がわかるディープな音楽番組がスタート

――今後も音楽活動していく中で、こんな曲を歌ってみたいという希望は?

上坂:80年代テクノ歌謡っぽい曲や、4分間ずっとゴリゴリのメタルもいいし、戦時歌謡とか、戦後の洋風歌謡曲とか、やってみたい曲を挙げたらキリがないです。

――ぜひアルバムを楽しみにしてます。そして4月から『上坂すみれの乙女*ムジカ』というラジオ番組も始まりましたが、こちらも音楽をフィーチャーした番組とか?

上坂: “ムジカ”はロシア語で“音楽”という意味で、30分間、私が好きな音楽についておしゃべりしていくコンセプトの番組です。リスナーさんのお悩みに合わせて処方せん代わりの1曲をお届けするコーナーもあります。

――音楽に詳しくないとできない企画ですね。

上坂:これからももっと音楽について勉強しないと。ディスクユニオンに行く回数も増えそうです。

――あとアーティストもゲストに訪れることも。

上坂:そうなんです! 2回目と3回目でなんと大槻ケンヂさんがいらっしゃって、もう大変でした。大槻さんは「紹介したい人いっぱいいるよ」と言ってくださっただけでなく、詞も書くよとありがたいお言葉をいただいて。これからも私のiポッドに入っているアーティストさんが来てくれるかもと想像するだけでドキドキです。

――さて、上坂すみれさんにとって「音楽」とは?

上坂:「お薬」かな。自分が弱っている時、どんなお薬でも患部に届かないのに素敵なメロディだとすっと入ってきて、癒してくれて。メッセージも桃井さんの歌声とメロディなら自然と受け入れられるみたいな感じですね。



[My Favorite CD]
桃井はるこ「ワンダーモモーイ」

 声優として活動している中で、いつも勇気付けられるのが桃井はるこさんの『ワンダーモモーイ』です。歌詞に、強い自分も変身した後のかわいい自分もいるんだよ、だから君も大丈夫、というメッセージに励まされて。桃井さんのポジティブなメッセージは素直に心に響くんですよね。おたくの心を持ちながら、道を切り開いていった方なので、同じおたくの私達のことも大切に想ってくれているのもわかって、心に染みます。

 憂うつな方向でいえば筋肉少女帯の『レティクル座妄想』です。オーケンさんの世界が最も色濃く、闇深く出ているアルバムかなと。中学時代、塾に行って夜道を歩いて、レティクル座への列車が駆けていく、と聴くと救われた気がして。その2枚がお世話になったCDです。

●早くもセカンドシングル制作が決定!

――今後の予定やお知らせはありますか?

上坂:先日、東京で行われた決起集会で発表されましたが、早くもセカンドシングルを7月10日にリリースさせていただけることになりました。テレビアニメ『げんしけん二代目』OP主題歌なのですがどんな曲になるのか、今から楽しみです。

――では最後に皆さんへメッセージをお願いします。

上坂:ここまで2回に渡っての記事を読んでいただきまして、ありがとうございます。デビューシングル「七つの海よりキミの海」はたくさんの反響をいただいて、皆さんに喜んでいただけたようですごくうれしいです。カップリングの2曲も私らしくて、楽しい曲になっています。このシングルを御旗に“革命的ブロードウェイ主義者同盟”はまい進していきますので、皆さんも同志も一緒に趣味道を突き進もうではありませんか!

アニメショップやCDショップでジャケットだけでも見ていただいて、魔が差したらレジへ(笑)。音楽デビューしたばかりの私ですが、今後も自分にウソ偽りなく、自分を隠さない方向で行こうと思うので、どうぞお付き合いください!


★上坂すみれにとって音楽とは

この色紙のプレゼントページはこちら!!
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◆『七つの海よりキミの海』/上坂すみれ
発売日:2013年4月24日(水)発売中!
価格:
[初回限定盤] 1,700円(税込)

[アニメ盤] 1,500円(税込)

[通常盤] 1,200円(税込)

発売:キングレコード


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