『ムシブギョー』「仁兵衛の熱さを歌った」ガガガSPにインタビュー

テレビアニメ『ムシブギョー』「仁兵衛の熱さを歌った」ガガガSPにインタビュー!

 2013年4月よりテレビ東京ほかにて放送がスタートしたテレビアニメ『ムシブギョー』。どこまでも真っ直ぐな主人公・月島仁兵衛を主人公に描いた剣劇バトルアクションだ。

 そのオープニングテーマを歌うのは青春パンクロックバンド・ガガガSPである。今作『友よ』が自身の4年3ヶ月ぶりとなるシングルCDとしてリリースされる。どのような形でこの曲が作られたのか──ボーカルのコザック前田さんと、『友よ』を作詞・作曲したギターの山本聡さんに話を聞いていくと、仁兵衛に負けないほどの "どこまでも正直な"バンドの姿勢が見えてきた。

●「聴いてくれるひとたちの判断に任せようと」(コザック前田)

――今回の曲『友よ』はタイトル通り"友達"がコンセプトになっていますが、なぜ"友達"をテーマにしようと思ったんですか。

山本聡さん(以下、山本):今回は『ムシブギョー』のタイアップということでまずは原作を読んでみたんですけど、主人公が友情に熱い猪突猛進タイプの男の子で。こういうコって身の回りにいるかな?って考えたときに、自分の身の回りのバンドマンを思い浮かべたんです。バンドマンってこういうヤツ多いなぁというか……こういうタイプの友達が多いので友達に対して歌う曲にしようと。

――主人公の月島仁兵衛くんのまっすぐな熱さが、バンドマンの情熱と重なったと。

山本:そうですね。掛け合わせてみたような感じです。歳を喰ってくると純粋な人間って少なくなってくるじゃないですか。でもバンドマンってわりと熱い人間が多いので……。

――ご自身は含まれないんですか?

山本:僕ですか? 僕はドロベチャに汚れてもうてるので(一同笑)。だからこそ憧れもあるんですよ、こういう人間になりたいなっていう。

コザック前田さん(以下、前田):でも逆に言うとヤマモっちゃんがそういう対象に見られているかもしれないよね。就職した同級生からしたら憧れられてるかもしれないよ。

山本:えっ……それは考えてなかった。自分のことは全然考えてなかった(笑)。

──(笑)友達に対しての憧れを歌う<あんなふうに あんなふうに 生きれたなら どんなふうに どんなふうに 死ねるかな>というブリッチ部分が印象的です。

山本:必然的にそういう言葉が出てきたというか。もうひと展開欲しいなと思ったときに、"友達"を自分がどう捉えているかを示さないといけないなと思って。「そいつみたいに生きていったら、どういう風に生きて死ねるのかな」って正直な気持ちを書いたんです。

――<死ねるかな>って言葉にするととても悲しいモノですけど、この曲ではとても爽やかに響いてきますよね。そこは意図的に?

前田:うんうん。意図的にではないんですけどね。あまり起伏のある曲が好きじゃなくて、強いんだったら強いまま、弱いんだったら弱いまま歌おうと思っていて。ここは勢いのままに歌っている感じですね。ま、声質の問題だったりするんですけど。(山本に)「もっと強く歌ってください」って言われたりしましたから(笑)。

山本:録るときに「ガナってください」ってお願いしたりすることもあるんです(笑)。

前田:そう、だからいつも奴隷のように歌ってるんです(一同笑)。

――(笑)前田さんは歌詞を読んだときにどんな印象を受けましたか?

前田:……自分のなかでどう考えてるかっていうのは、あまり考えないようにしてるというか……。自分で作った曲に関してもそうなんですけど、歌ってるときにあまり歌詞を意識しないんですよ。意識されるモノであるべきで、自分らが訴えかけるような行為はあまりしないでおこうと思ってるので、聴いてくれるひとたちの判断に任せようと。だからリズムに乗っかって歌ってるようなイメージでした。

――身体が感じたままに歌おうと。歌詞には反映されていないんですが、最後に叫ぶ部分がありますよね。正に"感じたままに歌った"のかなと思ったんですが、あれは当日に急遽歌われることになったんですか。

前田:そうですね。その部分だけ「語れ」と(山本に)言われて(笑)。語るつもりはなかったんですけどね。

山本:ちょっと隙間があいたんで、語ったらいい感じになるんじゃないかなと思って(笑)。

前田:ギターソロとかにはしないんだよね(笑)。喋っちゃうっていう。

──そういえばガガガSPの曲って長いソロってないですよね。

前田:そうですね。趣味の問題だったりするんですけど、僕は幅の狭い人間なので1、2分ソロがある曲っていうのは苦手なんですよ。だからそういう曲が多くなったりするんですけど。アルバム一枚20分ないみたいな作品を好んで聴いてきた世代なので、なるべくコンパクトにまとめたいというか。それは昔からそうですね。

山本:ライヴを想定しているので、やりやすい展開を曲で持っていくというか。ギターソロ好きじゃないしね(笑)。

●「バンドのあり方としてはポップだと思います」(山本)

――ところで、事前に制作サイドから「こういう曲がいい」みたいなリクエストはあったんですか?

山本:特になかったんですよね。「恋愛モノ以外で」みたいなことは言われてましたけど、それくらいで。なので原作のイメージとガガガらしい感じを意識して作っていきました。

――ガガガらしくもあるんですけど新しさもあるように感じました。

山本:ありがとうございます。演奏やアレンジの持っていきかたとか、ちょっとだけ新しいことを入れたんですよ。ほんのちょっとだけですけど(笑)。

――ちょっとだけ、ですか(笑)。

前田:うん、なんでも"ちょっとだけ"なんですよ。ガッツリパンクなバンドでもないですし、いつも「ちょっとだけフォークが欲しい」「ちょっとだけロックが欲しい」って、基本がっつり寄り添わないんです。基本、何事も寄り添わない立ち位置というか(笑)。

――でも最近は自身のことを"青春パンクロックバンド"と公言されてますよね。昔はそれを嫌悪するバンドも多かったですけど……。

山本:もう数も少なくなってしまったので、寄り添うモノがなくなったんですよ(苦笑)。バンドの数が多かったときは「オレら、イチ抜けた!」ってすぐ言いましたけど……。

前田:そうですね。だからそういうバンドと会ったりすることも多かったんですけど……ルーツが全然違って。俺はパンクバンドのこともあまり知らなかったですし、かと言ってフォークがめちゃくちゃ詳しいかって言われたらそうでもないですし。

山本:パッとやってできたことをそのままずっと続けてるというか。努力しないっていうか(笑)。でもバンドのあり方としてはポップだと思いますよ。生粋のパンクバンドの人たちのようなマジメなやり方はまったくしてないんで。

――でもその何事にも正直な姿勢こそガガガSPらしいというか。そのナチュラルなスタイルが自分たちに合っていたからこそ、長く続けていけるのかもしれないですね。

前田:ああ、確かにそうですね。"詰めない""寄り添わない"というか。"そうしなきゃいけない"って掲げてないんですよ。寄り添うことがないって言ってしまえば格好いいけど、実際は逃げてるだけなのかもしれません(笑)。

――いやいや(笑)。カップリングには『ある一つの生きるという事』(NHKドラマ『現代の妖怪』主題歌/作詞・作曲:コザック前田)が収録されています。歌詞のなかに<普通>という言葉が出てきますが、コザックさんの歌詞のなかにはよく"普通"という言葉が出てくる印象があります。

前田:最初に「妖怪の曲を書いてください」って言われて曲を書いたら「妖怪に寄り添いすぎてる」って話になっちゃって。で「もうちょっと普通の歌詞にしてください」ってお願いされたので<普通>って言葉を入れたんです(笑)。自分のなかでは好きなワードなのでよく使うんですけど……歌詞には時間を掛けないし練らないほうなんですよ。

だから当日に歌詞を書き足したり、字数が異常に多い部分を対処するために早口になったり……後付けの部分が多いんですよね。そういう七転八倒があって曲ができてるんです。この曲も最初は弾き語りのバラードだったんですよ。でもアレンジしていくうちに早くなっていって完成しました。


●『(福田先生は)僕らと同年代なので話しやすかったです』(山本)

――実際『ムシブギョー』のオープニングを見たときはどんな印象でした?

山本:絵がつくと全然違うなぁと。曲の雰囲気も違って聴こえましたね。

――原作者の福田宏先生がガガガSPの大ファンということから、今回のお話に繋がったそうですね。ジャケットの描き下ろしイラストには仁兵衛くんとヒロインのお春、ガガガの4人が描かれています。

前田:そうなんです。実はついさっきもお話をしてきました。この間のツアーファイナルも見に来てくれて「ありがとうございます」ってお互い話をして。すごく腰の低いかたなんですよ。

山本:僕らと同年代なので話しやすかったです。すごくいい方でした。

――この機会にガガガSPを知るかたも多いでしょうね。

前田:そうですね。このアニメを観ているひとのなかには、ウチらとかを聴いたことがないって若いひとも多いと思うのでいい機会になるんじゃないかなと思ってます。楽しんでもらえたら嬉しいですね。

<リリース情報>
◆『友よ』/ガガガSP

発売日:2013年5月22日(水)
価格:
[初回限定盤] 1,890円(税込)
[通常盤] 1,260円(税込)

【収録曲】
1.友よ (※アニメ『ムシブギョー』オープニングテーマ)
2.ある一つの生きるという事 (※NHKドラマ『現代の妖怪』主題歌)
3.友よ(instrumental)
4.ある一つの生きるという事(instrumental)


>>ガガガSP公式サイト
>>テレビアニメ『ムシブギョー』公式サイト

[インタビュー&文・逆井マリ]

(C)福田宏・小学館/ムシブギョー製作委員会・テレビ東京
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