やなぎなぎさんの2ndアルバム『ポリオミノ』を解く!【前編】

「繋げ方を変えたらまた新しい答えが見つかる」──やなぎなぎさんの2ndアルバム『ポリオミノ』を解く!【前編】

 繊細なタッチで、色とりどりの音を紡いできたやなぎなぎさんが、2ndアルバムを発売する。多角形/パズルゲームを意味する『ポリオミノ』は前作から1年5ヵ月ぶりとなるアルバムで、テレビアニメ『凪のあすから』EDテーマ『アクアテラリウム』『三つ葉の結びめ』、テレビアニメ『ブラック・ブレット』EDテーマ『トコハナ』、新海 誠監督のZ会アニメーションCMイメージソング『クロスロード』や日本テレビスペシャルドラマ『殺人偏差値70』挿入歌『Esse』など、全15曲を収録。やなぎなぎさんのクリエイティブな欲求と遊び心が結実した大傑作である。

 今回は前半・後半に分けてインタビューを公開。心境の変化やアルバムのコンセプトなどを穏やかな表情で応えてくれた。


●「自分が持っている音を尖らせていったらどうなるんだろう」

──最近では顔出しのテレビ取材があったり、ミュージックビデオにもしっかり素顔が映っていたりと、やなぎなぎさんの心境の変化を感じます。

やなぎなぎ:この2年で環境がガラッと変わりました。最初は家でこもってしか音楽をやってなかったのが、ライヴも増えて、バンドメンバーとのリハーサルでのやりとりも増えて……。人と音楽をやる機会が多くなったので、自分ひとりだったらまた違った答えにいってたと思うんですけど、みんながいることによってまた別の答えに辿りついているみたいなところもあって。自分の持っているものと、人の持っているものをうまく一緒に外に出せるようになってるのかなって思いますね。


──人と関わることって、人見知りを公言するなぎさんにとってハードルの高いジャンルですよね?(笑)

やなぎなぎ:ふふふ(笑)。そうですね。ただ、バンドメンバーとやりとりしたり、コンポーザーさんと一緒に曲を作るように変わってきたというか。人見知りなので最初は恐る恐るではあるんですけど、その方のこだわりを聞いて “このひとはこういう音楽をやってきて、こういう道のりでここまで歩んできたんだな”って理解していくのが楽しくて。だんだんと自分も自分のことを出せるようになってきたというか。

──必然的に音楽も変わっていきますよね。

やなぎなぎ:今回のアルバムもそうなんですけど……これまではエレクトロニカをベースにした音楽で、どうしても丸い音を選びがちだったんです。

──丸い音というのは、聴き手の内側に入り込むような繊細な音色というか、ちょっと幻想的で柔らかい音ですよね。

やなぎなぎ:そうです。でも、いろいろな方とやっていくうちに、自分が持っている音を尖らせていったらどうなるんだろうって考えになったりもして。なので、音の面でも“新しいことをやってみようかな”って思考になりました。


●「繋げ方を変えたらまた新しい答えが見つかる」

──今回のアルバムにもそういった思考が反映されている曲が見受けられますが、尖らせてみようと思ったのはいつぐらいですか?

やなぎなぎ:このアルバムを作り始めてくらいかな……去年の今頃ですね。

──それは音に限らずということですか?

やなぎなぎ:はい。元々自然のなかにいくことは好きだったんですけど、頻度が増えて、やらず嫌いだったことも誘われたらやってみるようになりました。今年始めたのがボルダリングで。ボルダリングって全身を使うし、頭も使うんです。その作業が音楽にも似てるような気がして、結構楽しくて。今まで直線しか見えてなかったものが、枝分かれした道もたくさんあるんだなぁって見えてきたかなぁってところはあります。

──そんな新鮮な変化を経て、アルバムはどんな風に作られていったんでしょうか。

やなぎなぎ:作りたいコンセプトが自分のなかにあったんです。それがアルバムタイトルでもある『ポリオミノ』。ポリオミノって正方形の辺を繋げた多角形を並べるゲームなんですけど、繋げ方を変えたらまた新しい答えが見つかるってところが面白くて。

──まさに今のなぎさんの気持ちとリンクしてますね。ポリオミノ自体はどんな風に知ったんですか?

やなぎなぎ:ボードゲーム好きの友達がいて、そのひとに詳しく教えてもらいました。言葉自体キャッチーで可愛いし、不思議な響きもあるし、いいなって。

●「アルバムの肝がココと言っても過言ではない」

──そのコンセプトからどういう風に制作に繋がっていったんでしょう。

やなぎなぎ:いちばんやりたかったことが──1曲目『polyomino-intro-』と最後の15曲目『polyomino-outro-』をまず1曲で作って、それを分解して2トラックに分けるということ。これが“繋げ方を変える”という意味で、どうしてもやりたかったことなんです。

──なるほど! オープニング、エンディングという風に捉えていたんですが、まさか同じトラックだとは……。

やなぎなぎ:1曲として作ったんですけど、別々に聴いたときに同じ曲だとあまり分からないようにするのが目標だったんです。歌詞は重ねると掛け合いになってるんですよ。初回のブックレットを見ると正解の歌詞が出てきます。……ちょっと説明が難しいんですけど(笑)。アルバムの肝がココと言っても過言ではないですね。

──それは凄く面白い試みですね。とは言え、頭の中では分かったんですが、実際にどんな風に作られていったのか気になるところです。収録はどうされたんですか?

やなぎなぎ:レコーディングのときは1曲として作って歌っていて、収録される際にピアノやヴォーカルをオフにしたものを15曲目に持ってくるというか。で、最後はバラードっぽく聴こえるようにピアノだけにして、しっとりと終わっていく形にして。

──素朴な疑問なんですけど、どうにかしてこの2曲を組み合わせて聴くことってできるんですか?(笑)

やなぎなぎ:自力でも……(笑)。2トラック並べられるソフトをお持ちのかたはできると思います。でも実は、初回限定盤のDVDのメニュー画面にこっそり流れてるんです。それを聴いていただければ。

────ところで“やなぎなぎ語”とでもいいますか、不思議な響きのコーラスがこの楽曲にも登場していますが、コーラスはどういう風に決め込んでいくんですか?

やなぎなぎ:コーラスは完全にそのときの気分ですね。その日の気分で、歌いながら作っていきます。


●「アルバム全体を通して、どこかに行きたがっている人が多くて」

──正にとがった部分が顕著に出ている『トコハナ』(テレビアニメ『ブラック・ブレット』EDテーマ)に続いていきます。『トコハナ』は蓮がテーマになった曲ですが、なぎさんは花をモチーフにされることが多いですよね。

やなぎなぎ:そうですね。

──今回のアルバムには、“手”というワードが多く出てくるように感じたのですが、これは意図的なものですか?

やなぎなぎ:そうですね。アルバム全体を通して、どこかに行きたがっている人が多くて。目指すところは全部違って、現実とは違う世界であったりとか、現実だけどもっと上を目指していたりとか……。別の場所に行く手段として、誰かの手、自分の手が出てくるのかなと思います。

──それはテーマのひとつにもなるんでしょうか。

やなぎなぎ:というよりかは、さっきお話した“繋ぎ方を変えたら答えが変わるかもしれない”ということに関係していて。自分は現状そこにいるんだけど、見方の角度を変えてみたり、素材は一緒でも順番を変えることで、今の場所から遠くへ行けるんじゃないかなって。それで、そういったワードが増えたのかなと。


[後編に続く] ※12月10日(水)18:30掲載予定


■やなぎなぎ 2ndアルバム『ポリオミノ』
発売日:2014年12月10日

[初回限定盤] CD+特典(CD/Blu-ray) 3枚組 4,200円+税

[初回限定盤] CD+特典(CD/DVD) 3枚組 4,000円+税

[通常盤] CD 3,000円+税

【収録曲】
1.polyomino-intro-
2.トコハナ(TVアニメ『ブラック・ブレット』EDテーマ
3.2つの月
4.テトラゴン
5.ファラウェイ・ハイウェイ
6.Sweet Track(日本テレビ系「スッキリ!!」12月テーマソング)
7.landscape
8.逆転スペクトル
9.navis
10.アクアテラリウム(TVアニメ『凪のあすから』EDテーマ)
11.三つ葉の結びめ(TVアニメ『凪のあすから』新EDテーマ)
12.Rainy veil
13.Esse(日本テレビ スペシャルドラマ「殺人偏差値70」挿入歌)
14.クロスロード(Z会アニメーションCM『クロスロード』イメージソング)
15.polyomino-outro-

<特典CD収録曲> (※ 初回限定盤のみ)
01. プリズム
作詞・作曲:池田綾子 編曲:保刈久明
02. センチメンタル
作詞作曲:rino 編曲:sasakure.UK
03. 流星ビバップ
作詞・作曲:小沢健二 編曲:Yokemura (YMCK)
04. 月灯りふんわり落ちてくる夜
作詞・作曲:RYUZI  編曲:真部脩一
05. セルの恋
作詞・作曲:めけて 編曲:やなぎなぎ
06. 冬のオルカ
作詞・作曲:堀込泰行 編曲: kz(livetune)


<仙台を皮切りに、名古屋、大阪、札幌、福岡、東京の6都市にてライブ開催!>

★2015年1月31日(土)    宮城・仙台Rensa
☆2015年2月7日(土)    愛知・名古屋ElectricLadyLand
★2015年2月8日(日) 大阪・BIGCAT
☆2015年2月11日(水・祝) 福岡・イムズホール
★2015年2月15日(日) 北海道・札幌PENNY LANE24
☆2015年2月21日(土) 東京・渋谷公会堂


>>やなぎなぎ Official Website

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