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小野大輔さんと桑島法子さんが観た『宇宙戦艦ヤマト2202』の世界

小野大輔さんと桑島法子さんが観た『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』の世界を語る──「大きな愛」「希望」を信じるしかない

 いよいよ、2017年2月25日(土)より『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下、2202)第一章が、2週間限定で劇場にて上映されます。前作『宇宙戦艦ヤマト2199』(以下、2199)でひとつの旅を終えたヤマトクルーたち。ついに、新たな冒険が幕を開けます。

 その後の動向や新キャラクターなどの情報が話題となっていますが、そんな『2202』について、第一話のアフレコが終わったばかりの小野大輔さん(古代進 役)と桑島法子さん(森雪 役)に、気になるあれこれを直接伺うことができました。ラフな雰囲気の中、ネタバレギリギリの質問と答えが飛び交う取材で見えて来たものとは……。

※ネタバレギリギリのため、冒頭12分をご覧になったのち、お楽しみください。


「大きな愛」「希望」を信じるしかない
──お二人は、2016年9月に行われた製作発表会にも登壇されていますが、そこからアフレコまでの間に、何か準備はされたのでしょうか?

古代進 役・小野大輔さん(以下、小野):『2199』の時もそうでしたが、僕はオリジナルのシリーズを観ないようにしてきました。意識的にでもあるし、無意識的でもあるんですが、偉大なる旧作をなぞってしまいそうで……。

森雪 役・桑島法子さん(以下、桑島):わかります。わかります。

小野:貰った台本をそのまま演じると“ヤマト”になるという実感が『2199』でもありました。アフレコ現場へ行けば全てが“ヤマト”になる、戻ってくるという確信がありました。

──桑島さんはいかがですか?

桑島:9月に製作発表に登壇して、「本当にやるんだ」という実感がわきました。それまではなんとなく「やるんだろうな」という気持ちだったんです。小野さんと一緒に出た発表会ではたくさんの記者さんが来てくださって、雰囲気が凄かったですよね(笑)。

小野:物々しい感じでしたよね。

桑島:「こんなに気合いが入ったプロモーションをするんだ」「やっぱり凄い作品だな」って思いました。ここまでしていただけるアニメーションは凄く貴重ですし、そんな作品に出演できることもドキドキします。

『2199』の雪は、もちろんメインヒロインとして登場するんですが、ひとりでスポットライトを浴びているスーパーマンのようなイメージはありません。手の届きそうな現実的な女性としての描かれ方もしていますし、演じている身としてもひとりの乗組員という感覚が強かったんです。それが『2202』ではスタッフさんに「古代と雪にスポットがあたりますよ」と言われて……(笑)。

なので私は「じゃあ、記者会見もあるし『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(以下、さらば)(※1)を観た方がいいのかな?」「なにかヒントがあるかもしれないし」と思って、観ました。そして打ちのめされました(笑)。こんなに辛い物語だったんだって。

※1:1978年に公開されたアニメーション劇場用映画。TVシリーズの『宇宙戦艦ヤマト』の続編にあたる。

──それで製作発表会の時の「よくない方向に行くかもしれない」という発言になったんですね。

桑島:はい。小野さんもなんとなくの内容は聞いていますよね?

小野:そうですね。伝説の作品ですし、本当にいろんな方から「こんな風な話になるよ」「文字通りさらばだよ」という話も聞いていました。

収録現場では、桑島さんが先んじて物語を教えてくれるんです。それ以上の情報はあえて入れていません。聞きすぎないようにしています(笑)

桑島:そんなには教えれられないし、なんて伝えていいのかわからない(笑)。


──『さらば』を知ってしまったが故の不安はありましたか?

桑島:やっぱり結末は不安になりました。でも、製作発表会で監督(羽原信義さん)や福井さん(シリーズ構成・脚本:福井晴敏さん)が「希望」とおっしゃっていたので、大丈夫じゃないかなって思っています。

小野:僕はスーパーポジティブ野郎なので、だいたい良い方に捉えてしまいがちで。「愛の戦士たちか」と思って製作発表会に臨み、「いちゃいちゃすることに期待しています」と発言しました。あとでいろんなところに掲載されているレポート記事を読み返してちょっと後悔しました(笑)。ただ「大きな愛が描かれる」というのは羽原監督も福井さんもおっしゃっていましたよね。

桑島:「希望のない物語はつくらない」という福井さんの言葉を信じるしかありません。我々は。

小野:そう、信じるしかないですね。

争いの前の静けさにも感じて、怖くなりました
──すでに第一話のアフレコ収録が終わっているそうですが、第一話に関してその希望は生まれそうですか?

小野:第一話では、希望や愛を語ったのがなんと“敵”なんです。

桑島:衝撃的な言葉から始まりますよね。台本には男の声って書いてあるんです。「男って誰?」って最初思わなかった?

小野:確かに「誰?」って思いました。


──取材前に台本などの資料を見せていただきましたが驚きました。

桑島:ネタバレになりますかね。


──ギリギリかもしれませんが、このままお話を伺います。

小野:その人が言っていることはもの凄く真っ当なことで、情熱的でロマンも感じるんですよ。実は僕、あのセリフはこの作品の中で希望を持てる象徴的な部分だとすら思っちゃったんです。

桑島:ここで? なんてポジティブな思考なの!

小野:はい……。凄く面白そうなお話になりそうだなって。これがあることでどんな終わりが来たとしても、作品として伝えられることは凄くポジティブなんじゃないかなとか。

桑島:このセリフは本当に……そういう捉え方でいいの?

小野:スーパーポジティブ野郎なので(笑)。

桑島:(笑)。何かありそうだけどね。

──ちなみに、他のキャラクターたちはどんな感じでしたか? 『2199』と同じですか?

桑島:全く同じではないですね。

小野:声を老けさせたりはしていないですね。でも、やはりあれだけの戦いに身を投じて、地球へ帰って来ましたからね。キャラクターも達成感を感じていますよね。だから少し落ち着いているというか。

第一話に関しては、比較的平和な時代に生きている……と思います。落ち着きや和やかさがある部分は自然とお芝居には乗っていると思います。古代は新たな戦艦「ゆうなぎ」に乗っているシーンから始まるんですけど、ゆうなぎに乗っていながらもどこかやはり平穏な感じといいますか。そこは不思議な感覚でした。

みんなを見ていると、『ヤマト』に戻って来た感覚はありつつも、あのときの命を懸けた戦いからすると少し落ち着いたところに居るんだろうなって思います。逆にその平穏さや落ち着いた感じが、この先に待っている争いの前の静けさにも感じて、怖くなりました。


──他の声優さんの反応はいかがでしたか?

小野:真田役の(大塚)芳忠さんが和ませてくれて。かと思っていたら、沖田艦長役の菅生(隆之)さんも登場して、音響監督の吉田さんから「拍手でお迎えください」と紹介されたり(笑)。

先輩や後輩、自分以外のキャストの方々を見て声を聴くと、細かいことは考えなくても……。

桑島:このままヤマトクルーになれるという感覚になるんですよね。これは長旅を経た我々にしか感じ得ないことなんでしょうか?

小野:そうですね。そうかもしれませんね。

桑島:……と胸を張って言ってみたり(笑)。

小野:それこそ愛、ヤマト愛ですね。

試されると思うんです、二人の愛が
──桑島さんから見た第一話は?

桑島:アフレコスタジオで小野さんから「雪のカットが気合いが入っている」って言われたのを覚えています(笑)。

小野:めっちゃ可愛いんですよ。

桑島:描き込まれていて綺麗で印象的でしたね。それに薬指に指輪が光っていたりとか。「あらあらまあまあ、幸せなのかしら」って(笑)。

小野:それは桑島さんの個人的感想ですね?

桑島:はい(笑)。第一話は戦闘シーンがメインで、私(雪)は古代くんを心配して終わったんですけど、たぶん第二話以降はラブラブなんでしょうね。


──小野さんが待っていたシーンですね(笑)。

小野:一番受けとめやすい愛の部分ですよね。

桑島:『2199』で修羅場を乗り越えてきた二人ですから。

小野:平和ボケしているわけじゃないけど、まだ戦いには身を投じない感じです。

──古代と雪の愛は続くんでしょうか?

桑島:私は試されると思うんです。二人の愛が。古代くんの愛がどれだけ深いのか。

小野:古代が試される?

桑島:どんな状況に追い込まれたときに、その愛が揺らぐことになるのか。どんな境遇に陥ったら「もういいや」と思うのか。

小野:そういう部分も描かれそうですね。ずっといちゃいちゃしているだけではないと。

桑島:それはそうでしょう(笑)。それは能天気すぎる!(笑)

小野:いくら僕でもそれはわかりますよ!(笑)


──まもなく、そんな第二話のアフレコだそうですね。

桑島:はい。台本も先ほどパラっとだけ読ませていただきました。

小野:本当にパラッと見ただけです。


──では、内容については……?

小野:まだ収録していないのでなんともですが……。

桑島:あ、キーマン(CV:神谷浩史さん)が出て来ますよ。

小野:キーマンはキーマンっていう役名で、キーマンなのかは現時点では定かではないですが。

桑島:キーマンはキーマンじゃないの?

小野:確かにキーマンはいっぱい喋ってますからね。うん、間違いなくキーマンです。


──よくわからなくなってきました(笑)。

希望はあるのか……?
──では『2199』から受け継いだはずの幾つかの謎について伺わせてください。まずは、封印された波動砲について。お二人はどう感じていますか?

小野:第一話にもその片鱗は出ていますね。アンドロメダ(※2)が波動砲を撃っています。

※2:『2202』で新たに登場する地球防衛軍連合宇宙艦隊旗艦。

桑島:衝撃的でした。ビックリしましたね。

小野:南部(ヤマトの戦闘班・砲術補佐である南部康雄、CV:赤羽根健治さん)が喜んじゃうかも。「これでいつでも撃てる」って(笑)。

桑島:そんなバカな(笑)。

小野:それは冗談ですが、ヤマトしか持っていなかった波動砲がかなりのスピードで造られたということは驚異ですね。


──スターシャ(『2199』の舞台となったイスカンダルの女王、CV:井上喜久子さん)に「波動砲は封印する」と約束したのに。

桑島:「約束してください」「お約束します」。

小野:スターシャと沖田艦長のセリフですね。


──その約束を破るんでしょうか?

桑島:約束したのに。

小野:古代も雪もアンドロメダの波動砲を見て恐れているんです。何が起きているのか分からない恐怖と、何故起こったのか分からないという憤りを感じています。地球側も一枚岩ではない部分があるのかなと想像はしているんですが……。だから僕らも、凄く猜疑心に苛まれています。古代としてはとにかく怖いです。誰が造ったの? 誰が撃ったの? って。

──あの格好良いアンドロメダの登場を待ち望んでいたオリジナル世代も、やはりその疑問は抱いているはずです。

小野:オリジナルも『2202』の先も知らない僕としては「敵はガトランティス(『2202』で登場する帝国)なのか?」と言われたら「そうではないかも」とすら思ってしまっています。

桑島:ガトランティスは味方?

小野:そこまでは言えませんが、ガトランティスって『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』では蛮族と言われていたじゃないですか。もしかしたらそんな彼らだけが敵ではない可能性もありますよね。しかも地球はガミラスとは共闘、同盟を組んでいるじゃないですか。

桑島:そこもビックリしますね。艦が一緒にいるのを見て「え? どういうこと?」って思いました。

小野:第一話の情報量が多すぎて……。そこに戦々恐々としています。


──第一話からいろいろな感情が、演じる側にも、作品を観る側にも渦巻きそうですね。

小野:福井さんや羽原監督としてはしてやったりでしょうね。

桑島:私たちは手のひらで転がされていますね。

小野:『2199』でもそうでしたね。

桑島:それが楽しいんですよ。

小野:運命は決まっているとは思いますが、先読みをし過ぎないで自分たちの身を委ねています。今回のお話も「面白い」です。先がまったく読めません!


──では、『さらば』を観ている桑島さんは?

桑島:(この時点ですでに)違うから参考にはできません(笑)。

小野:凄いですよね。昔の『さらば』を好きな世代も、また新鮮な気持ちで観られるってことですね。

桑島:そうですね。


──そんな中、先程お話にあった希望が見えてくるんですね。

桑島:希望はかなり先にあるんじゃないでしょうか。

小野:いや、ずっと希望ですよ!

 今回のインタビューでは、かなりネタバレギリギリの話題もお聞きしていきましたが、そこから見えてきたこともありました。それは、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』が単純なリメイクではなく、どうやら『2199』シリーズ(全26話+映画『星巡る方舟』)から『宇宙戦艦ヤマト』に触れた人だけでなく、これから『ヤマト』に触れる人も「新鮮に楽しめる」作品になっている可能性が高いことです。

 誰にも予測がつかないストーリーの先には一体、どんな結末が待ち受けているのか?

 思い出の作品だから、過去の作品だからと敬遠していた方も、2月末には劇場へ足を運んではいかがでしょうか。そして、新たなる「希望」を受け止めてください。

[取材・文/小林治]

◇第一章STORY◇
時に西暦2202年。
あの壮大な片道16万8000光年にも及ぶイスカンダルへの大航海から宇宙戦艦ヤマトが帰還して、既に3年――。
〈コスモリバースシステム〉により、かつての青い姿を取り戻した地球は、ガミラス帝国とも和平条約を締結。復興の傍ら、防衛のためと最新鋭戦艦アンドロメダを含む新鋭艦隊の整備が進められていた。イスカンダルのスターシャの願いも虚しく、地球は軍拡への道を歩み始めていたのだ。はたしてこれが、かけがえのない数多くの犠牲の果てにヤマトが成し遂げた、本当の平和なのだろうか?
宇宙の平穏を願う女神テレサの祈りが、ヤマトを新たな航海に誘う。
いま、宇宙を席巻するガトランティスの脅威が、地球に迫っていた――。

―各話STORY- ※第一章は第1話、2話で構成されます。
第1話「西暦2202年・甦れ宇宙戦艦ヤマト」
あのイスカンダルへの大航海から3年。〈コスモリバースシステム〉によって蘇った地球は、急速に復興を遂げようとしていた。一方、地球とガミラスの混成艦隊が、謎多きガトランティスの前衛部隊と武力衝突を繰り広げる。その渦中に、元宇宙戦艦ヤマト乗組員・古代進の姿があった――。

第2話「緊迫・月面大使館に潜行せよ」
最新鋭戦艦アンドロメダの観艦式が盛大に執り行われる。新しく樹立された地球連邦政府は、軍備拡大路線を突き進んでいるのだった。沖田艦長の命日に英雄の丘へと集う元ヤマト乗組員は、イスカンダルとの条約を反故にしてまで再軍備を進める地球の現状に、激しい違和感を覚えていた。

<CAST>
古代進:小野大輔/森雪:桑島法子/真田志郎:大塚芳忠/徳川彦左衛門:麦人/南部康雄:赤羽根健治/
相原義一:國分和人/榎本勇:津田健次郎

<STAFF>
製作総指揮:西﨑彰司/シリーズ構成・脚本:福井晴敏/監督:羽原信義/副監督:小林誠/メカニカルデザイン:玉盛順一朗/メカニカルデザイン:石津泰志/キャラクターデザイン:結城信輝/音楽:宮川彬良

>>『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』公式サイト

(C)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会
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