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すごーい!の連続、『けものフレンズ』チームに3万字インタビュー

話題沸騰中の『けものフレンズ』、プロジェクトチームに初インタビュー! 誕生秘話からブーム到来までの歴史など「すごーい!」の連続3万字の大ボリューム

空前のブレイク前にヒットの予兆はあったのか?

――それから数年経って、いまブレイクしてます。ここまでではないにしろ、手応えを感じたタイミングはありますか?
梶井:ここまでドーンと話題になることはありませんでした。



――ゲームの配信が行われた日はいかがでしたか?
梶井:残念ながら『けものフレンズ』の配信日は、それほど話題になりませんでした。スマホゲームはひと月に大量の新作が出ますから、その中の一つというくらい。『けものフレンズ』は静かな船出でした。

福原:静かな船出ではありましたが、当時から熱心なファンには喜んでいただけたのは嬉しかったです。

――吉崎観音先生の名前があれば、一定数のファンはつかめると思います。
福原:そうなのですが、吉崎先生から「僕の名前は出さないでほしい」と言われていたんです。「吉崎観音」という名前を大々的に出すと、先生のファンしか集まらない。それを懸念されていたんです。

――もったいない!
福原:でも、プロモーションをする立場としては、フックになるので名前をお借りしなければなりませんでした。先生ご自身も「IPを広める手助けができるなら名前を使ってほしい」とおっしゃってくださいました。主従関係が逆なんです。

梶井:それに、最初は「名前を出したくない」って言ってたけど、絵柄でわかっちゃいますもんね(笑)。なので「少しでいいから名前を使わせてください」と伝えて、「コンセプトデザイン」という肩書を作ったんです。

 

『けものフレンズ』の原点はシンガポールの動物園にアリ!?

――吉崎観音さんは動物がお好きなのですか?
梶井:はい。大好きですね。『けものフレンズ』が生まれたきっかけは、たしか吉崎さんがシンガポールの動物園に行ったときのインスピレーションだったと思います。吉崎先生とプロジェクトをやろうってことになったとき、最初はぜんぜん違うキャラクターを依頼していたんです。

――それは動物ではなかったのでしょうか?
梶井:はい。IPを使ってなにかをやると決まってから、いろいろ打ち合わせをしました。吉崎さんにはそれに沿ったラフをたくさん描いてもらって、プロジェクトを進めていたんです。そうしたらある日突然、「思いついた!」とイラストが送られてきたんです。それが「サーバル」でした。
▲サーバル(CV:尾崎由香)

▲サーバル(CV:尾崎由香)

――それを見た梶井さんは?
梶井:「すごくいいですね。もうコレにしましょうよ」と答えました。最初のコンセプトとはぜんぜん違うんですけどね(笑)。

――最初のコンセプトは、どんなイメージだったのでしょうか?
梶井:それは言えません(笑)。『けものフレンズ』は女子しか出てこないじゃないですか? 初めは男女が出てきて~みたいな企画だったんです。

福原:そんな吉崎さんの提案から始まった『けものフレンズ』のおかげで、「サーバルキャット」の認知度が一気に上がったと思います。普通だったら主人公は「ライオン」とか「ウサギ」とか、メジャーな動物にすると思うんですよ。このアニメをきっかけにして、いろんな動物を知ってくれたのはおもしろいと思います。

――「サーバルキャット」だけでなく、他にもマイナーな動物が多数登場します。「カワウソ」ではなくてわざわざ「コツメカワウソ」にする理由は、なぜでしょうか?
梶井:動物の知識をみんなで共有してほしかったからです。「サイ」も「クロサイ」とか「シロサイ」とか、何種類もいるんです。「シマウマの模様は4種類あるよ」とか、『けものフレンズ』に触れることで動物に興味を持っていただけるように、名前は細かく分けています。

福原:だからアニメでもキャラクターの名前を出すときに、「○○目○○科」と表示させています。「ネコ目(ねこもく)」と「食肉目」は同じ意味なんですけど、あるときに間違えて併記しちゃったら「ネコ目と食肉目は同じ! 勉強しろ!!」と梶井さんに怒られましたね(笑)。

梶井:我々も作品を作りながら勉強してるんです。おもしろいことを見つけたら、アニメとか『けもフレ図鑑』に載せて、みなさんと情報を共有します。僕らも「動物」を通して楽しんでいます。

▲『けもフレ図鑑』、公式サイトより

▲『けもフレ図鑑』、公式サイトより

――アニメで「ツチノコ」が登場したり、『けもフレ図鑑』に「人面魚」も出てきますが。あれは動物なのでしょうか? 実在しないと思うのですが。
梶井:どうでしょうね? どこかにいるかもしれないですよ。発想の元が動物なんで、なんでもアリです。「ツチノコ」どころか、『けものフレンズ』はこれまでに『攻殻機動隊』ともコラボしてます。「タチコマ」でさえ女の子化してフレンズなんです。

一同:(笑)

梶井:主役は動物ですが、いろんなバリエーションが考えられます。この世界はなんでもフレンズ化できちゃうという。

福原:あとは「サンドスター」っていうモノの曖昧さに、ありがたみを感じます。

 

「サンドスター」や「じゃぱりまん」などの謎に迫ってみた!

――それも知りたい人が多いと思います。「サンドスター」の正体はなんですか?(笑)
福原:それが、吉崎先生のコンセプトは文章化されていないんです。その他に、よくファンのみなさんが議論している「じゃぱりまん」も、どんな食べ物なんでしょうね? たまに「あれはなにを食べてるの?」と聞かれます。

――深夜の時間帯にフレンズたちが美味しそうに食べてるので、気になって仕方がありません!
福原:動物のアニメを作るに当たって、我々は「動物らしさを出すにはどうしたらいいのか」を考えたんです。いろいろ考えた結果、答えは動物番組にありました。あの手の番組を見ればわかると思いますが、だいたい「子育て」と「狩り・食事」、「群れ」とかの映像で構成されているんです。

――言われてみると、よくある動物番組はそういったシーンばかりですね。
福原:ですよね? 群れることで有名な「ヌー」が、ソロで登場することはほとんどありません。

――「ヌーのソロ」という言葉を初めて聞きました(笑)。
福原:『けものフレンズ』で「動物の群れ」や「子育て」のシーンを出すわけにはいかないので、簡単に「動物らしさ」を表現できる手法が奪われているんです。

梶井:『けもフレ図鑑』も同じです。見ていただければわかるのですが、なるべく「雌雄の違い」とか「生殖や交尾」、「食性」を書かないようにしてるんです。それ以外で動物を紹介しなければいけない、けっこうつらいんです。

福原:でも『けものフレンズ』では「動物らしさ」を表現する必要がある。なので、登場する各動物たちの習性をよく見て研究しました。ひとつ例に挙げると、「コツメカワウソ」が劇中で石をコロコロ遊んでいるシーンがあるのですが、あれは本物のコツメカワウソが実際にやるんです。たぶんアニメから入ってる人は、「なんでコイツはお手玉してるんだ?」と思うかもしれないけど、ちょっと興味持って調べていただけたら、「ほんとにやるんだ!」と喜んでいただけるかもしれない。あのシーンで「コツメカワウソらしさ」を表現しています。

梶井:誰かが「こんな石遊びのどこが楽しいんだ?」と言ってる人もいましたね(笑)。でも、動物ってこういうのを夢中でやるじゃないですか。そこを表現しています。

福原:1話で、「サーバルちゃん」がセルリアンから逃げるときにジャンプするんですけど、あのジャンプは本物のサーバルキャットの動きに合わせて作ったんです。

梶井:そういう細かいところにも気を配って作っている作品ですので、気づいていただければ、より楽しめると思います。

福原:熱心なファンの方々は同じ話数を何度も見てくださる方がいるみたいですが、そんな楽しみができるのは、細かいところまでこだわって作ったからかもしれません。気づいてくれて嬉しいです。

 

次ページでは「動画まわりをすべて手がける「たつき監督」の恐るべき守備範囲」
(C)けものフレンズプロジェクト
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