なぜ劇団アルタイルに入団したのか？――ツキノ芸能プロダクション」所属『劇団アルタイル』ショートストーリー連載第7回！

　2.5次元芸能プロダクション「ツキノ芸能プロダクション」に設立されたバラエティタレントユニット『劇団アルタイル』。歌もダンスもお芝居も……というマルチなタレント活動をする彼らの日々を、ショートストーリーと挿絵でお届けする連載です。

　前回から引き続き、メンバーがなぜ劇団アルタイルに入団したのか、そのきっかけや心情が語られます。今回語り合うのは、イズモ、リツ、ヒジリ、イツキの4人。ツキプロ俳優部門から移籍したイズモ＆リツと、ツキプロモデル部門から移籍したヒジリ＆イツキ。彼らの過去と、現在の変化にご注目ください。

アニメイトタイムズからのおすすめ

ツキノ芸能プロダクション（ツキプロ）シリーズ｜作品一覧

ツキプロシリーズの画像まとめ

[アニメイト通販]【グッズ-ブロマイド】ツキウタ。ぱしゃこれ/クリアVer.

[アニメイト通販]【グッズ-ポストカード】ツキウタ。メモリアルポストカードセット/Six Gravity/10thイラスト/6枚セット

◆2023秋アニメ（今期10月）新作アニメ情報一覧

◆2024冬アニメ（来期1月）新作アニメ情報一覧

劇団アルタイル『いつから、いつのまにか』
【あらすじ】
共有ルームで、他愛ない話に花を咲かせるイズモ、リツ、ヒジリ、イツキ。劇団アルタイルの新規メンバーや、自分たちの入団理由について話しているうちに、イズモはあることに気がつく。

【ストーリー】
「あ、イズモ。お帰り」
　共有ルームのソファに座っているリツが、こちらを振り返った。
「おう。……てか、こんな時間になにやってんだ？　お前ら」
　向かい合わせのソファには、イツキとヒジリもいる。テーブルにはそれぞれのコップがあり、飲み物が入っていたらしい形跡があるから、そこそこ長居していることが覗えた。
（へえ。あのリツがなぁ）
　リツとの付き合いはわりと長い。お互いツキプロ俳優部門所属の子役出身、デビュー時期も近いし、何度か共演もしている。
　リツは昔から少々引っ込み思案で、ふと気づくと現場の隅に一人でにいることが多かった。ついつい世話を焼いたことは一度や二度じゃない。しかも『雑談』などというジャンルはかなり苦手な部類のはずだ。
（けどまあ、そういやヒジリとはグループ一緒だし、イツキは人当たりいいしな）
　にしても、アル劇メンバーとはいつの間にかずいぶん打ち解けたんだな、と少々驚く。

「イズモは新しいメンバーの話、聞いた？」
「新しいメンバー？」
　イツキの問いに首を傾げると、ヒジリが続ける。
「今度、アル劇の新規メンバーを募集するらしい」
「え、マジか」
「楽しみだよねー」
　イツキの言葉に、リツがうんうん、と頷く。
「どんなひとが来るんだろ？」
「さぁな。劇団、って銘打ってるけど、俺らも経歴バラバラだかんな」
「モデル部門から移籍って聞かされたときはビックリしたっけ」
　そのころを懐かしむようにイツキが呟く。
「そういやイツキとヒジリは、モデル部門コンビだな」
「うん。ヒジリはいまも、かなりハイペースでモデルの仕事を入れてるけどね」
「売れるときに売っておくべきだろ」
　事も無げにヒジリが言うと、イツキが苦笑いした。
「ヒジリが移籍って聞いたときは、自分が移籍することよりビックリしたよ。俺と違って、モデル部門じゃ頭ひとつ抜けてるヒジリが、まさかって」
「いつまでも売れる保証なんてないからな」
　にべもなく言い放つ。先天的な才能や運に寄りかからない、こういうところは嫌いじゃない。
（根っからのプロなんだよなぁ、コイツ）
　オーディションで入って来た未経験者や、突然の移籍に戸惑うメンバーも多かった中で、ヒジリは最初からプロ意識が高かった。一本筋が通っていたから、ときおり鼻につくセリフも、まあ、許せる。もう少し言い方を考えろよ、と思うことはあるけれど、自分だって人のことを言えた口ではないのは重々承知だ。
（……そういやヒジリ、最近あんまトゲトゲしてねえな）
　いつからだろう？　ハッキリ思い出せない。
「俺と自分を比べるなよ、イツキ。Regulusの活動に集中して、きちんと結果を出してるお前を……俺は尊敬してる」
「あ、ありがと、ヒジリ……」
　目を丸くしたあと、イツキが笑った。
「ヒジリにそう言われると、なんか、すごく嬉しいなぁ。俺のほうこそ、ヒジリにはずっと憧れてるんだよ」
「憧れても俺にはなれない。お前はお前だ。自分を誇れ」
「そういうとこ、ホントにカッコいいよねえ」
「うん、カッコいい」イツキの呟きにリツが頷いて、続ける。
「それに、すごく頼りにしてる。Sargasのみんなも」
　リツが面と向かって言うと、とうとうヒジリはふいっと視線を逸らしてしまった。
（わかりやすく照れてやんの）
　カッコいい、なんて毎日浴びるほど言われているくせに。そう思うと、つい、口許が緩む。
（ホント、いつからこんなだよ。俺ら）
　思っていることを真っ直ぐ言えるようになったリツ。苦戦しながらも着実に歌とダンスのレベルを上げているイツキ。
　和気あいあいと雑談する連中の様子を「微笑ましい」なんて思っている自分も。

（ま、さっさと入ってこいよ、後輩）
　まだ見ぬ新規メンバーを思い描きながら、イズモは内心でこっそり笑った。
（ぜってーおもしろいもん、見られるからさ）