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- 石橋悠
- 1989年(平成元年)生まれ、福岡県出身。『店舗貸切!お小遣いアニメイト』『BL塾』などを担当。

「スタン・リー×長濵博史×トレヴァー・ホーン」世紀のクリエイターたちが贈る、新たなアメリカンコミックヒーローが日本で誕生します。2017年7月22日よりNHK総合にて放送されるTVアニメ『THE REFLECTION (ザ・リフレクション)』。
マーベル・コミックの巨匠・スタン・リーと、日本を代表するアニメ監督・長濵監督はどのようなヒーローを描き出すのでしょうか。
今回、その中枢を担うエクスオン役の三木眞一郎さん、エレノア・エヴァーツ役の伊瀬茉莉也さんにインタビューを行うことができました。お二人も本作を見てかなりの衝撃を受けた様子。まだまだ語れない内容が多い中、熱いお気持ちをお伺いしました。
僕は一体なにを見せられているんだろう?
伊瀬茉莉也さん(以下、伊瀬):私は長濵監督がアメコミ好きだということを知っていたんですよ。今回、スタン・リーさんと長濵監督がタッグを組んでアニメを作るということで、「いよいよ来たか」という思いがありましたね。まさかその作品に携わらせていただけるとは思ってなかったので、すごく嬉しかったです。
──7月5日に開催された試写会でも熱い思いが伝わってきましたが、思い入れが深かったようですね。
伊瀬:私のデビュー作は『蟲師』(※2)という作品で、長濵監督も初めての監督作品が『蟲師』なんですよ。お互いに初めての状態の12年前から、今回までいろんな作品でご一緒をさせていただいています。近年だと『惡の華』(※3)でもご一緒させていただいたので、「また今回もご一緒させていただけるんだ」という思いで嬉しかったですね。
※2:漆原友紀氏原作の漫画作品。2005年にアニメ化。伊瀬さんは、廉子 役で第1話「緑の座」に出演。
※3:押見修造氏原作の漫画作品。2013年にアニメ化。伊瀬さんは、仲村佐和 役で出演。
──これもなにかの縁かもしれませんね。アメコミにどういうイメージを持たれていましたか?
三木:僕は視聴者のみなさんの印象と変わらないかな。
伊瀬:アクションのときに英語で「BOMB」って出たりしますよね。第1話でも壁のプロジェクションマッピングに文字が出ていました。「アメコミってこういうイメージだよね」って思いましたね。
三木:そうそう! そういうのもあるよね。
──今回、作品に関わってみて「やっぱりこれだよね」とイメージが合致した瞬間や、逆に想像していたイメージと違ったということはありましたか?
三木:僕は、見たときに「すごく斜め上をいってるな」と思いましたね。ポスターや資料をいただいたときには、自分の想像しうる範囲のアメコミのアニメーションかなと思ってたんですけど、いざ動いたのを見たときに、「一体なにを見せられているんだろう」って感じでした。良い意味で期待を裏切られてしまいましたね。そこからもう怒涛のように引き寄せられてオープニングに入った瞬間、鳥肌が立ちました。
伊瀬:オープニングが「ザ・アメコミ」みたいな。
三木:あそこは鳥肌が立ちますよ。今も立ってるもん
伊瀬:オープニングの曲の入りと映像の感じが、今まで見てきたマーベル作品を映画館で見ているような感じの興奮を味わえましたね。逆に、長濵監督や制作しているチームが日本の会社なので、すごく日本らしい感性もふんだんに盛り込まれているんです。色彩とか、線の太さとか、切り絵みたいな日本らしさも感じました。どこか和を感じさせるんですよ。
──マーベル作品はダイバーシティ=多様性がテーマになっていますが、本作で多様性を感じた瞬間はありましたか?
三木:エンディングテーマを歌っている9nineさんも声優で参加していますしね。そういう意味では、いろんなスタッフやキャストのこだわりが入っているのに、監督自身もおっしゃってましたけど、「できることをやりきらない」(※4)っていうことに繋がるのかもしれません。手を抜いているわけではなく、動いているときはめちゃめちゃ動いてるんですよ。敵のビルに引っ付いて。
そういう細かいところもあって、アメコミと日本の感性のハイブリッドな作品だと思います。
※4:7月5日に行われた会見で、長濵監督は「今の最新技術でできることをあえて使わずに描いている」と語っていた。
伊瀬:エクスオンの存在や、リフレクティッド(能力者)の能力をコピーできる能力自体も可能性を感じます。覆面をしていて顔が見えないということは、見る人によっていろんな想像ができるわけじゃないですか。もしかしたら女かもしれないし、日本人なのかアメリカ人なのかイタリア、イギリス……みたいに人種も分からないし、年齢も分からない。想像できるのも多様性なんじゃないかなって。あの覆面の下には、夢とロマンといろんなものが隠れていますね。
三木:分かんないじゃない。覆面じゃなくてああいう人なのかもしれない。
一同:(笑)。
伊瀬:タトゥーみたいな(笑)。多様性というか、作品の広がり、想像の余地というものが感じられますね。
三木:アニメができて100年経っても、まだアニメで夢が見られるところはすごく素敵ですよね。僕らも良い意味で裏切られてるし。可能性であり、夢であり、この作品にはいろんなものが詰まっています。
エクスオンの謎に切り込む
──お二人が演じているキャラクターはどんなキャラクターですか?
三木:エクスオンは言えないことが多すぎて……。長濵さんに聞いてください(笑)。
──リフレクティッドの能力をコピーできるということは現在わかっていますね。
三木:それぐらいしか言えないのが辛いところです……。
──今後すごいものが待っている可能性はあるんでしょうか?
三木:事前にエクスオンの履歴書みたいなものはいただいたんですが、僕が知っていることがこの先作品に出てくるかは分からないんですよ。今は長濵監督とスタンさんの頭の中にしか答えがない状態ですね。言えることが少なくて申し訳ないですが……。
──いえいえ。そこまでの情報でも大変貴重です。対する伊瀬さんはいかがでしょう?
伊瀬:エレノアは、そんなエクスオンを探し続けていた、カメラ好きの16歳の女の子です。彼女もリフレクティッドで、外見からすると自分の意志で動く、アクティブな子に見えるんですが、自分の能力をどう使ったらいいのか悩んでいます。エレノア自身はリフレクションのときに光に貫かれたのか、煙に貫かれたのかすらも分かっていません。
だから自分が存在する意味や価値を自分で決めることができなくて、自分の力を正しく使っているように見えたエクスオンに救いの手を求めるんです。だから、意外と常に自信のない女の子でもあるんですよ。
──この先、物語を引っ張ってくれるキャラクターなのかなと感じました。
伊瀬:物語の中心にはもちろんいるのですが、ポスターにも描かれているリサ・リビングストン、CV:花村怜美さんっていう車椅子の女の子との出会いによって、彼女の中の内面の変化も出てくるし、逆にリサの内面にも変化が出てきます。多分、エクスオン、エレノア、リサ、アイガイ/イアン・イゼット(CV:三上哲さん)のみんなで物語を引っ張っていくんじゃないかなと思います。
──他に、本作でお二人が気になったところはどこでしょうか?
三木:僕はやっぱり、トレヴァー・ホーンさんですね。ビックリですよ。楽曲が最高にかっこいいんですよね。あの絵にはまる。劇伴がトレヴァー・ホーンですよ!? ファンという立場からしても「トレヴァー・ホーンが日本のアニメの劇伴書くの!?」って感じです。しかも、エンディングテーマは、「作詞作曲トレヴァー・ホーン、歌9nine」ですからね
──(笑)。
伊瀬:羨ましいですよね。
三木:監督にトレヴァーさんが日本のアーティストに作詞作曲で書き下ろしたことあるのか尋ねてみたら、「“ないん”です」と言われてました。
一同:(笑)。
──個人的には、アイガイの「悪い。地元はLAなんだ」というセリフなどがアメリカらしくていいなと思いました。
伊瀬:私は第1話の最後にエクスオンが急にエレノアの部屋に立ってて「俺、君に何かしたかな」というセリフがすごい好きですね。三木さんの声色も醸し出すオーラも全部好きです。
三木:……僕もエレノア、全部好きですよ。
一同:(笑)。
伊瀬:すみません、ありがとうございます! 合わせていただいて(笑)。
三木:(笑)。そういう意味で言うと座組がしっかりしていますよね。あと、背景を見ていても国や地域が明確に描き分けられているところもステキです。最初のアイガイが活躍するシーンは、本当のアメリカの街だなと感じましたから。国旗がいっぱいあるところなんて、正にアメリカですよね。
そういう空気感がちゃんと描かれているから素敵なんだと思います。
──では最後に『ザ・リフレクション』を楽しみにしている方々に向けて一言ずつメッセージをお願いします。
三木:トレヴァーさんだったり、スタン・リーさんだったり、大人でも知っているクリエイターやアーティストが集結しました。随所にアメコミの要素があり、日本の要素があり、長濵監督の思いがあって、みんなの思いが詰まっています。そんな『ザ・リフレクション』は、“商品”ではなく、血と肉で作った熱い“作品”としてみなさんに届けられることが、本当にありがたいことです。ぜひぜひ多くの人に“商品”ではないこの“作品”を見ていただければなと思います。
伊瀬:『ザ・リフレクション』は、「ハートフルドキドキ学園コメディ」とか「熱血ドラマ」とか、そういった今までにあったジャンルに当てはまらない作品だと思います。単純に「アメコミです」という作品でもないですし、いろんなものが合わさった新しいエンターテイメントなので、いろんな方面から楽しめると思うんです。スタン・リーさんのファンの方々にも楽しんでいただけると思うし、音楽面でもトレヴァー・ホーンさんだったり、9nineさんからも楽しめる。それこそ多様性のある作品になっていると思います。第3話までとりあえず見ていただければハマると思いますよ。もう見ずにはいられなくなるような気がするので、ぜひともお付き合いのほどをよろしくお願いします
──本日はありがとうございました。
[インタビュー/石橋悠]

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