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新海誠監督最新作『天気の子』制作発表記者会見レポ

新海誠監督最新作『天気の子』制作発表記者会見レポート|大ヒットした『君の名は。』を経た最新作の着想とは!?

2016年8月に公開され、興行収入250億円を超える人気を博した映画『君の名は。』。その監督を務めた新海誠監督の3年ぶりとなる最新作が、本日2018年12月13日(木)に都内某所で行われた制作発表記者会見でベールを脱ぎました。

タイトルは『天気の子』で、“天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄される少年と少女が自らの生き方を「選択」する物語”になるとのこと。

本稿では新海監督に加え、川村元気プロデューサーと川口典孝プロデューサー。そして本作に声優として出演する醍醐虎汰朗さん、森七菜さんらが登壇したこの会見の模様をお届けします。


 

『君の名は。』の夏に見た青空、そこに浮かんでいた積乱雲がビジュアル面での着想に

MCの呼びこみで新海監督、川村さん、川口さんの3名が会場に現れると、ひとりずつ挨拶していくことに。その後、MCからの代表質問の形で会見は進行していきました。

まずは川村さんが「日本国内だけでなく世界中が待ちわびた今作への意気込み」が語られます。

川村さんは既に全世界から配給のオファーが来ていることを明かすと、前作『君の名は。』をあまりにも大きな成功だったと回想。

今作はその成功を踏まえての新しい“チャレンジ”であり、チャレンジャーとしてどう映画を作れるかを主眼に置いていると話しました。

川口さんへの質問は「制作現場の雰囲気」。なんと『君の名は。』以降新しいスタジオを作ったそうで、今までで一番いいチームが出来たと作品への自信を覗かせます。

これまではいくつかのスタジオに別れて制作を進めていたそうですが、今回は一か所に集約したそうです。新海監督を中心に物凄いエネルギーで制作は進んでいるそうですが、新海監督自身もこの2年半で進化を遂げていると評していました。

そうして新海監督は「本作の着想」を語ることに。一本の映画には色々な着想のきっかけがあると前置きしつつ、本作では「『君の名は。』でいただいた経験が大きかった」とコメントした新海監督。

当時のプロモーション活動では色々なところへ足を運んでいましたが、やはり辛かったのだとか。そんななか街中で『君の名は。』の評価が聞こえてくることもあったそうで、消耗する夏だったと話しました。

その時に青空を眺めていると、夏場には積乱雲が見える。積乱雲は成長していくと横に広がっていき、成長しきった積乱雲の上部は平原のようになる、と語ると、そんな下から見えない雲の平原でゆっくりしたいと思い、そこからビジュアル面での着想を得たと語りました。

また、『君の名は。』を経て「家にいる人に電車賃を払わせ、チケットを予約させ、2時間我慢して椅子に座らせることができる」、そんな映画の力を再確認したそう。

そして次に何をやろうかと考えた時に、「誰もがこれは自分の話なんじゃないか」「誰もがこれは自分のものだ」と思えるものをテーマに持ってこれたらと考え“天気”に行きついたとコメント。
 


 
川村さんは映画の歴史上、大きいヒット後の映画監督は作家性の高いシュールな方向に行くものだと話します。しかし新海監督は、物凄いド真ん中のエンターテインメントがもう一発来たとコメント。

そのなかでも主人公がまっすぐな人ではないこと、“天気”をテーマにしてひとつステージが上がったところがあることを窺わせました。加えて『君の名は。』で残されていた新海監督の映像表現、“空”や“雲”、“雨”が本作では大いに見られるとも。

『天気の子』と言うタイトルについても聞かれると、新海監督は“天気”という言葉を入れたかったことを語りました。タイトルは色々な変遷をたどったそうですが、川村さんの言葉が決め手になったのだとか。

“子”という言葉には女の子と言う意味にも加え人類全てを内包している部分があるのではと考えたことも話すと、作品ロゴで見ることが出来る“Weathering With You”の“Weather”については困難を乗り越えるという意味もあることを明かしました。

そこに“You”という単語を付けることで、「君と」であったり「みんなで」と言った意味をも付加させているようです。

その後は制作に置いて新海監督が楽しいと感じていることと、逆に苦労していることが話題の中心に。自分に作れないものを誰かが作ってくれることは大きな喜びがあるとのこと。

逆に苦労してる点は、アニメーション映画が増えたため業界全体としてスタッフ不足に悩まされているところのようです。


 

2000人もがオーディションに参加! 監督が醍醐さんと森さんを選んだ決め手とは!?

監督たちのトークがひと段落したところで、主人公・森嶋帆高役の醍醐虎汰朗さんとヒロイン・天野陽菜役の森七菜さんも会場に!

おふたりが新海監督の作品に関われる喜びを話したところで、話題はオーディションやキャスティング周りに移っていきます。

キャスティングには大変な苦労があったそうで、オーディションには2000人もが参加していたそう。新海監督が今はもうこのおふたりに確信があると話すと、醍醐さんと森さんにお願いした決め手を明かしました。

醍醐さんについては「最初にマイク前で喋っている姿を見て、帆高にすごく似ている」と感じたそうで、立ち居振る舞いやちょっと初々しくて、一生懸命にやっているけれど空回っている感じがよかったとのこと。

役が決まった時にニヤニヤが止まらなかったと話した醍醐さんですが、『君の名は。』は映画館に3回も見に行っていたそう。そんな大好きな監督の作品に出演するプレッシャーもあるそうですが、それ以上にワクワクしている部分が大きいのだとか。

森さんの決め手は「とらえどころのないところ」だと新海監督はコメント。まさに“天気”みたいなのだそうで、予想が出来ないからこそ次に何をしゃべるのか惹きつけられてしまうのだとか。

陽菜は“100パーセントの晴れ女”なのだそうで、天気とリンクした女の子とするならこれ以上の存在はなかったとも話していました。

川村さんはこの作品がチャレンジだったと再び述べると、オーディションを受けた2000人もの人たちの中には有名な方たちも勿論来ていたことを明かします。

しかし、それでもふたりを選んだのは「全くの未知の人たちと一緒に仕事をすること」が挑戦としてあったことを話します。「これからジャンプアップする人の力を借りる」という意図もあったようです。

また、醍醐さんと森さんは以前にもドラマで共演したことがあったそう。今回久しぶりの再会とのことでしたが、醍醐さんによると森さんの反応は薄かったそう。

森さんによるとさらっと済んだというのは誤解だったそうで、実際には大きな感動があったとのこと。

森さんが役に決まった時のことを「合格だと聞いた時は自分の耳を初めて疑った」と、かなりの驚きがあったこと話してくれたところで、質疑応答の時間に。

新海監督へ「全世界から注目されていると思いますが、プレッシャーは感じていますか?」という質問が投げられると、「みんなが好きになってくれる映画を作らなければ」とかなり悩んだことも明かし、それを動機にすると物語が浮かばなかったとコメントしました。

自分を起点にしないと物語は浮かばなかったそうですが、作り始めてからは『君の名は。』のことを考えることは無くなったのだとか。

加えて興行的なところを頑張るのはプロデューサーの仕事だと切り分けられているそうで、その点でのプレッシャーはないそうです。

このほかにも『言の葉の庭』や『君の名は。』のようにフェチズムに溢れた描写があるのかという質問も飛び出しました。

新海監督は本作を恋愛映画と言っていいのかわからないところがあるとしつつ、そういう関係性は入っていて思春期ならではの甘酸っぱいドキドキするような描写はあるとしました。

加えて『君の名は。』でやり残したことはあまりないそうで、むしろ『君の名は。』で作品に複雑なメッセージを込められる立場を頂けたと感じているそうです。その経験を経ての本作は、実際に見てもらうと賛否が分かれるところもあるとのこと。

遂にそのベールを脱いだ新海監督の最新作『天気の子』。新海監督は最後に本作を、誰かを「そうじゃないでしょ、こう生きるべきなんだよ」と叱るのではなく、むしろ「見た人に叱られるような映画にしたい」と話しました。

叱られるかなと言う不安を抱えつつ、そんな要素を大事にしながら最後まで見て頂ければ損したとは思わない映画になっているとも語り、作品への自信も露わに。ぜひとも来年夏の公開に向けて、本作の最新情報に注目していきましょう!

[取材・文・撮影/胃の上心臓]
 

作品概要などはこちら

新海誠監督、最新作映画『天気の子』が2019年7月19日に公開決定!
 

関連リンク

Makoto Shinkai Works 新海誠作品ポータルサイト
『天気の子』ティザーサイト

(C)2019「天気の子」製作委員会
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