声優
『WUG! FINAL TOUR PART Ⅱ』千秋楽を振り返る

「当たり前の日々が送れるということは、当たり前じゃない」『Wake Up, Girls! FINAL TOUR - HOME - ~ PART Ⅱ FANTASIA ~』千秋楽を振り返る

世間が平成最後のクリスマスに浮き足立つ3連休の初日。『Wake Up, Girls!』が神奈川・横須賀芸術劇場 よこすか劇場で『Wake Up, Girls! FINAL TOUR - HOME - ~ PART Ⅱ FANTASIA ~』を開催した。

2018年10月大阪で幕を開けたファイナルライブツアーパート2もいよいよ千秋楽を迎える。

彼女たちにとって2018年の年内最後となるソロライブ。これは何かサプライズがあるかもしれないと、少々胸が高鳴る中、京急本線へ乗り込んだ。

本稿では、2018年12月22日に開催された『Wake Up, Girls! FINAL TOUR - HOME - ~ PART Ⅱ FANTASIA ~』夜公演の模様を届けたい。

2018年の締めくくりとなるソロライブで、彼女たちはどんなパフォーマンスを魅せたのか。

そして、この日発表されたクリスマスのビックサプライズで、彼女たちはどんなことを語ったのか。時間が許す限り、記事の最後まで目を通していただければ幸いだ。

【Wake Up, Girls!メンバー】
吉岡茉祐さん
永野愛さん
田中美海さん
青山吉能さん
山井七海さん
奥野香耶さん
高木美佑さん
 

おもちゃ箱の中身を楽しむような時間

FANTASIAはイタリア語で空想や幻想、思いつきという意味を持っている。

これまでの『WUG』の魅力を詰め込んだおもちゃ箱のようなライブ。そして、この日がクリスマス・イブ×3ということもあり、随所に演出が施されていた。

RPG風のBGMが鳴り響き、奥野香耶さんの歌声が会場を包み込んだ。『Wake Up, Girls!』9thシングル「スキノスキル」だ。

紗幕映像演出は見てみて、見るとまさに圧巻の一言である。歌詞に合わせた様々な光の演出が巻き起こる中、歌い踊る7人。ツアータイトル通りの楽曲から千秋楽の幕は開けた。

また、『Wake Up, Girls! FINAL TOUR - HOME - ~ PART Ⅰ Start It Up, ~』の一曲目が同曲のカップリングである『SHIFT』だった。同じ2018年に発売されたシングル曲がツアーの一曲目で咲き誇る。なんとも上手い選曲だ。

今回のライブで最も遊びゴコロを感じたのが、ロールプレイングゲームに扮したメンバーたちが伝説の勇者として冒険するムービーだろう。敵を倒す度に会場から拍手が巻き起こるなど、千秋楽を感じさせる雰囲気が会場を包み込んでいた。


冒険に出るマユが選んだパーティーはヨシノとナナミとカヤ。ボスとの戦闘が始まると、4人の楽曲である「outlander rhapsody」がはじまった。スクリーンには歌詞にもある「魔物=ドラゴン」が映し出されている。2番のサビが終わると、アイリ、ミナミ、ミユも加わり、剣を持った7人でのパフォーマンスを魅せる。

こうした演出はこれまでの『WUG』のライブではなかったものである。まさに、FANTASIAだ。

 

夢の様な『I-1club』のカバー

これは贅沢な話でもあるのだが、『WUG』の楽曲が増えるに連れて、自らの楽曲だけでライブを構成できるようになった。また、各メンバーのソロ曲もある。彼女たち7人が他のアーティストのカバー曲を披露する瞬間は貴重な時間となっていた。

事実、4thライブツアーでは『I-1club』を含めて、カバー曲がライブ内に構成されていなかった。

だからこそ、FANTASIAでは様々なカバー曲が披露されたこともワグナーとしては嬉しかったと思う。

『舞台・Wake Up, Girls! 青葉の記録』で『I-1club』が披露した「Knock out」や『Wake Up, Girls!新章』の「Jewelry Wonderland」を連続で歌い上げる姿はまさに贅沢な時間である。

『I-1club』のカバーが終わり、リーディングライブのコーナーへ。その内容はクリスマスライブで何をしようか?というものだった。時折入る菊間夏夜(奥野香耶さん)のツッコミが会場中に笑いを誘う。

そして、彼女たち自身が作詞を務め、代表曲となった「Polaris」へ。真っ白のサイリウムに染まる会場が、落ちサビ 吉岡茉祐さんのソロパートになった瞬間に赤へと染まる。白から赤へ。そして、ラストのサビでは緑も灯りだした。会場全員で作ったクリスマスカラーは、この日だけの大切な宝物になったに違いない。

 

透明感溢れる彼女たちからクリスマスの贈り物

ここからは、クリスマスシーズンにピッタリなカバー曲をそれぞれのメンバーに分かれて連続で披露した。

「あわてんぼうのサンタクロース」と「ジングルベル」は青山吉能さんと高木美佑さん。「寒い夜だから」を吉岡茉祐さんと永野愛理さん「ホーリーナイト」を田中美海さんと山下七海さん、奥野香耶さんが歌い上げた。

少し話は逸れるが、僕が初めて『WUG』を取材したのが2015年のニコ生・「わぐらぶ愛してる」七人のクリスマスだった。

https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1451350809▲神回!ニコ生・「わぐらぶ愛してる」七人のクリスマスをレポート!
https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1451272974▲「わぐらぶ愛してる」七人のクリスマス放送直後に特別インタビュー!

あれから早いもので3年が過ぎた。こうした素敵なステージでクリスマスソングを歌う彼女たちが非常に懐かしく感じたのは、このためだったのかもしれない。

閑話休題。

4曲のクリスマスソングを歌い上げ、『舞台・Wake Up, Girls! 青葉の記録』で披露され、『Wake Up, Girls!4th LIVE TOUR ごめんねばっかり言ってごめんね!』の1曲目に抜擢された「ゆき模様 恋のもよう」へ。

人気ナンバー16歳のアガペーの姉妹曲と言われるこの曲は、彼女たちのコーラスやハモリがとても美しく響き渡る。

「ニットの手袋に舞いおりてくる 冬の結晶 今朝も寒いねという 凛とする」

デビュー以降、大きく表現力が成長した彼女たちにピッタリな透明感あ溢れるアレンジは12月という季節にもベストマッチしている。

間奏中には、彼女たちがワグナーへクリスマスプレゼントを投げ入れるなど、しっとりとしつつも、遊び心溢れる時間が流れた。

続いて「7 Girls War」から「16歳のアガペー」を連続で歌い上げ、FANTASIAは本編のクライマックスへと向かっていく。

 

憧れの場所に立つ7人と1人

『TVアニメ「Wake Up, Girls!新章』のED「雫の冠」を歌い終えた瞬間、ステージにスクリーンが現れた。

次々とこれまでのライブ映像が映し出される。

2014年の『Wake Up, Girls!1st LIVE TOUR 素人臭くてごめんね!』。
2015年の『Wake Up, Girls! 2nd LIVE TOUR 行ったり来たりしてごめんね!』。
2016年の『Wake Up, Girls!3rd LIVE TOUR あっちこっち行くけどごめんね!』。
2017年の『Wake Up, Girls!4th LIVE TOUR ごめんねばっかり言ってごめんね!』。

こう見ると謝ってばっかりだ。ただ、一度たりとも謝るようなステージはなかったように思う。

懐かしい衣装。まだ幼さの残る7人の表情。ライブを一緒に作り上げてきたワグナー。たくさんの笑顔や真剣な表情が流れ、2018年の『Wake Up, Girls! FINAL TOUR』のオフショットが映し出される。

そして、彼女たち7人による -PART III KADODE-への意気込みを書いたメッセージカードが流れ終わると、映像が暗転した。

「Wake Up, Girls!を愛してくれた 全てのワグナーさんともう一度ライブがしたい」

Wake Up, Girls! FINAL LIVE in さいたまスーパーアリーナ 2019年3月8日(金)

この瞬間、会場が爆発した。全席から飛び交う怒号の様な声。

そう、彼女たちがずっと目指していた舞台に立つ。憧れていたステージでパフォーマンスをするのだ。

こんなに嬉しいことはない。すると、その瞬間、彼女たちと、もう一人の彼女たちの声が響き渡った。

「いつもの力を出そう」(菊間夏夜&奥野香耶)
「想いを込めて、届けよう」(林田藍里&永野愛理)
「元気を届け、元気をもらおう」(岡本未夕&高木美佑)
「思いっきり楽しもう」(片山実波&田中美海)
「悔いのないようにやろう」(久海菜々美&山下七海)
「私たちらしさをここで見つけよう」(島田真夢&吉岡茉祐)
「この七人にしかできないパフォーマンスをしよう」(七瀬佳乃&青山吉能)

いくぞ!(七瀬佳乃&青山吉能)がんばっぺ!(菊間夏夜&奥野香耶)Wake Up, Girls!(全員)。

7人の声が重なり「Beyond the Bottom」がはじまった。この一曲のためだけに、白いあの衣装に着替えをした7人がいた。彼女達は2019年3月、約束の場所に立つのだ。

 

again & again

『WUG』のファイナルライブはさいたまスーパーアリーナに決まった。彼女たちにとって最高の舞台が整ったと言えるだろう。

今日この日、さいたまスーパーアリーナのイベントスケジュールを見てみると、超有名ロックバンドの名前が踊っていた。

彼女たちは日本を代表するアーティストと同じ場所で単独のファイナルライブを行うのだ。

太宰治の初期作品である「葉」の冒頭に、「選ばれてあることの恍惚と不安と二つ我にあり」というフレーズがある。

これは自身が選ばれた特別な存在であると、自覚している一方で不安もあるということを指している。

『WUG』はワグナーから選ばれ続けることで、最後の機会を得ることができた。また、会場もさいたまスーパーアリーナという特別な舞台を掴み取った。

この動画を覚えているだろうか。

2014年から彼女たちは目指してきたステージなのである。

「さいたまスーパーアリーナに立てるということは夢のようですが間違いなく、皆さん一人一人のちからがあって実現するんだと思ってます。なので、本当に感謝しています。ありがとうございます」(吉岡茉祐さん)

だが、不安もあるだろう。何せさいたまスーパーアリーナの敷地面積45,007mだ。

事実、MCでメンバーそれぞれが期待と不安を語っていた。自身も不安な気持ちを語っていたリーダー・青山吉能さんが突如叫んだ。

「私たちが自信を持たなきゃ!」と。

そうなのだ。これが彼女たちらしさであり、心惹かれるポイントなのだ。いい意味でとても人間らしい。

この日、地元に錦を飾った田中美海さんは飄々(ひょうひょう)としている様に見えるが、一番涙脆いし、ステージでイケメンっぷりを発揮する吉岡茉祐さんは、裏手で「ブルブルと震えていた」と語る。

そんな7人だからこそ、もっと、もっと、もっと応援したくなるのだろう。

そして、山下七海さんは度々口にしている、自身が大切にしている言葉「again & again」についてMCで語った。

「もう一度、もう一度、皆さんの笑顔が見たい」

一つひとつのステージを大切にすること。そうすることで、次の機会を生み出し続けてきた。

いつもステージに立つ直前、数秒後の自分を信じ続けてきた山下七海さんだからこそ、「again & again」というフレーズがよく似合うと思った。

もう一度、もう一度、皆さんの笑顔を彼女たちに届けて欲しい。

「当たり前の日々が送れるということは、当たり前じゃない」(青山吉能さん)

最高な時間を過ごすためには、全力を尽くすことが大切だと改めて教えてくれた彼女たちのために。

 

彼女たちのKADODEから目が離せない

アンコールでは、高木美佑さんがセンターを務める人気ナンバー「セブンティーン・クライシス」、「ハートライン」、「少女交響曲」を歌い上げた。

そして、この瞬間。遊びゴコロ溢れる「FANTASIA」の幕が閉じた。これまでの『WUG』の魅力をたくさん詰め込んだおもちゃ箱をひっくり返したみたいな時間は、あっという間に過ぎていった。

2018年1月5日から『Wake Up, Girls! FINAL TOUR - HOME - ~ PART Ⅲ KADODE ~』が熊本からハジマル。大阪や徳島、長野、初上陸となる愛知。地元・仙台。HOMEからのKADODEを果たす彼女たちはどんなパフォーマンスを魅せるのだろうか。

そして、3月8日にはFINAL LIVEが開催される。

「新規、古参関係ない!」と青山吉能さんが語ったように、今からワグナーになったって遅いなんてことは間違いなく無い。

「Wake Up, Girls!を愛してくれた 全てのワグナーさんともう一度ライブがしたい」

愛することに早いも遅いも関係ないのだ。愛した瞬間から物語ははじまるのだから。

そして、永野愛理さんが『Animelo Summer Live 2018 “OK!”』で落としたキラキラな宝物を7人と1人で探しに行こうではないか。

2019年の『Wake Up, Girls!』からも目を離すことができない。

[文・川野優希]
 

セットリスト(夜公演)

  1. スキノスキル
  2. outlander rhapsody
  3. リトル・チャレンジャー
  4. Knock out
  5. Jewelry Wonderland
  6. Polaris
  7. あわてんぼうのサンタクロース&ジングルベル/青山吉能・高木美佑
  8. 寒い夜だから/吉岡茉祐・永野愛理
  9. ホーリーナイト/田中美海・山下七海・奥野香耶
  10. ゆき模様 恋のもよう
  11. 7 Girls War
  12. 16歳のアガペー
  13. 雫の冠
  14. Beyond the Bottom
    EN1. セブンティーン・クライシス
    EN2. ハートライン
    EN3. 少女交響曲

 

イベント概要

■タイトル
Wake Up, Girls! FINAL LIVE(タイトル未定)

■日時
2019年3月8日(金)
開場17:30 開演18:30
※開場・開演時間は変更になる可能性があります。

■会場
埼玉・さいたまスーパーアリーナ

■主催
エイベックス・ピクチャーズ株式会社

■内容
声優ユニット「Wake Up, Girls!」によるFINAL LIVE
※内容は変更になる可能性があります。

■出演者
Wake Up, Girls!(吉岡茉祐、永野愛理、田中美海、青山吉能、山下七海、奥野香耶、高木美佑)
※出演者は予告なく変更となる場合がございます。出演者変更に伴うチケットの払戻しはいたしません。

Wake Up, Girls! 総合公式サイト|WUGポータル
Wake Up, Girls! 公式Twitter(wakeupgirls_PR)

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