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アニメ映画『あした世界が終わるとしても』中島ヨシキインタビュー

アニメ映画『あした世界が終わるとしても』中島ヨシキさんインタビュー|梶裕貴さん演じる狭間真と対をなすキャラクターだからこそ表現したこと

2019年1月25日(金)に公開される、劇場長編アニメーション『あした世界が終わるとしても』。梶裕貴さん、中島ヨシキさん、内田真礼さん、千本木彩花さん、悠木碧さん、水瀬いのりさんといった豪華キャスト陣に加え、さらに先日、水樹奈々さん、津田健次郎さん、森川智之さんの出演も決定し、大きな話題を呼んでいます。

アニメイトタイムズでは、ジン役の中島ヨシキさんにインタビューを実施! 自身が演じるキャラクターの印象や、アフレコを終えた感想、本作の魅力について語っていただきました。

また、本作の舞台が新宿ということで、中島さんの新宿おすすめスポットについても伺っています!

ジンは“冷徹な判断を下せる”キャラクター

——『あした世界が終わるとしても』に出演が決まった時の感想を教えてください。

中島ヨシキさん(以下、中島):実は本作のきっかけとなった『ソウタイセカイ』の高校生役で出演させていただいていたので、大体のストーリーは把握していました。

でも、スケールアップしていたり細かい設定が増えていたり、キャラクターも増えていたりと、全く違う作品になっていたので驚きもありました。

櫻木優平監督の作品はTVアニメ『イングレス』で翠川誠役として出演させていただいているので、また監督の作品に関わることになったと決まって嬉しかったですね。

——監督からディレクションや、アドバイスはありましたか?

中島:僕が演じるジンという役は、梶さん(梶裕貴さん)が演じる狭間真と“対をなす”キャラクターなんです。

監督からは、「もう1人の主人公でもあるので、梶さんが収録現場にいらっしゃらない場合は座長を務めるつもりで」と言われていましたね。

——収録を終えた感想をお願いします。

中島:30分のアニメを12本録るのと、約2時間の劇場アニメを録るのとでは達成感が違いますね。

1日かけての収録だったので、「終わったなぁ」という達成感がある半面、もっとジンを演じたかったという思いがあります。

2時間に収めるために、監督たちも泣く泣くカットしているシーンもあると思うので、映画だけじゃなく、テレビシリーズにも広げていけるんじゃないかという気がしています。

——ジンについて、どのように演技をしようと思いましたか?

中島:僕は現場で一発目に出たものを大事にしているんです。オーディションの時に出た声というのが大人しめでクールな感じだったので、それをベースに考えました。

ジンは前髪が長くて顔が隠れていますし、着ている服もゴテゴテしていて、“戦場の男”という印象でした。暗さというより、背負っているものの冷たさを感じましたね。

真にα世界とβ世界について説明するシーンで「俺はお前だ、お前が死ねば俺も死ぬ」というセリフがあるのですが、“冷徹な判断を下せる人”というイメージで演じました。

——クールなキャラクターというのは演じやすかったですか?

中島:明るいキャラクターの方が感情の波が乗せやすくて、元気な時と落ち込んでいる時が明確に出るじゃないですか。

逆に、繊細な表現はジンのような感情が表に出ないキャラクターの方が向いていると思うんです。

絵がすごく綺麗だったり、真役が梶さんという大先輩だったので、細かい感情の機微はジンに関してはより丁寧に分かりやすくしたり、逆に分かりづらくしたところがあります。

——3DCGアニメならではの収録の難しさだったり、やりがいはありますか?

中島:3DCGとは関係ないかもしれませんが、収録現場では40%ぐらい映像が完成していて演じやすい部分はありましたね。

普段のアニメーションだと、現場によっては丸に点々で顔を描いてあるだけのコンテの状態の映像を見ながらの収録もあるんです。距離感や表情など、絵ができている方が情報が多いのでありがたかったです。

ただ、映像が完成されすぎているとキャラクターの口の動きができてしまってるので、それに合わせて喋ることが大前提になってしまうんですよ。

昨今では声優さんのセリフに合わせてアニメーターさんが描いてくれるのがベーシックになりつつあると思うので、口パクができていると少し緊張してしまうんです。

現代の声優さんの悪い所なのかもしれないですね(笑)。

中島さんが梶裕貴さんの魅力を語る

——自身が演じられているジンに対して、共感できる部分だったり、演じていて難しかった部分はありましたか?

中島:ジンが今まで生きてきた背景というのはとてもハードなので、なかなか想像ができないんですよ。登場シーンから人を殺そうとしていますし(笑)。

18歳の少年なので、大人になり過ぎないように意識をして演じていました。

——アフレコ現場で印象的だったことはありましたか?

中島:冒頭での学生生活を描くシーンですが、登場する高校生がすごくリアルというか、元気がないんですね(笑)。

元気よく「おはよう!」と挨拶するんじゃなくて、「おはよぉ……」みたいな、生っぽい感じのお芝居だったり(笑)。

確かに、今時元気よく挨拶する人はなかなか見かけないので、リアルな映像とマッチしたお芝居が印象的でした。そこまで勉強好きじゃないんだろうなとか、そういったリアルさが伝わってくるので(笑)。

——(笑)。ジンと対になるキャラクター・真役の梶さんの演技は意識されたんですか?

中島:あまり意識しなかったですね。キャリアも違えば年齢も違いますし、僕には梶さんのようなお芝居はできないので。

ジンと真は全てが同じではないし、でも全てが違うわけでもない。でも、どこかでリンクする部分が感じられるように意識しました。

基本的には事前に収録されていた梶さんとの掛け合いを大事にしましたね。

顔が同じなので、息の吸い方を似せることで映像の説得力が増すんです。声を聴いてもらえれば、すんなり受け入れられるようになっていると思っています。

——梶さんの魅力というのは、どういうところにあると思いますか?

中島:実は梶さんと一緒にお芝居をさせていただくのは初めてで、まだきちんとお話しできていないんです。

実際に掛け合いの表現を聴いたときに、いろんな技術や複雑な感情を乗せるといった過剰装飾じゃない、“生”のお芝居を感じました。

狭間真はあまり感情が爆発したり大声を出すようなバックボーンを背負っていない役なので、難しいとは思うんですけど。その中での感情の揺れ動きはすごく感じました。

——そのほか、本編の中で印象的だったキャラクターがいれば教えて下さい。

中島:水樹奈々さんが演じるユーリや津田健次郎さんが演じる狭間源司、森川智之さん演じる泉宗など、個性的なキャラクターたちがたくさん登場します。

本編だけでなく、サイドストーリーも観てみたいと感じさせるような部分がたくさん用意されていましたね。

真と琴莉の関係性はどう思った?

——本作はストーリーはもちろん、映像の美麗さも圧巻でしたね。

中島:『イングレス』もそうですけど、クラフタースタジオさんの作る映像の綺麗さは圧倒的なんです。それはこの映画を語るにおいては絶対切り離すことはできない魅力だとは思います。

何においても人間の視覚的な情報量って凄まじいので、僕らは音声でも立体的に伝えられるように努力をしています。

覇気のない高校生も含め、現実にありそうな部分をお芝居で見ていただければと思います(笑)。

——(笑)。本作の魅力はどんなところに感じましたか?

中島:11月の段階でキービジュアルとPVしか出ていない状態なので、どういう作品になるか、皆さんには伝わってない部分がたくさんありますよね。

冒頭10分はラブコメが続くんですけど、物語の後半ではえげつないくらいパタパタと人間が死んでしまったり……。

王道な部分もありつつ、どういう話になるのか予想がつかないのが魅力だと思います。

——確かに、先の展開はポスターのビジュアルからは想像できないものがありました。ビジュアルと言えば、真と琴莉の関係について中島さんにはどのように映ってましたか?

中島:早く付き合っちゃえばいいのにと(笑)。でも、付き合っちゃうと話は終わっちゃうので(笑)。

冒頭から真のお母さんが亡くなったりとか、真の生活を琴莉のお父さんがバックアップしてるといった、精神的な結びつきというのが2人には最初からあったと思うので。何をモタモタやってるんだろうと思いましたけど(笑)。

もし僕が真の立場だったら、琴莉を掴んで離さないですよ(笑)。冒頭にちょっかい出してくるやつがいましたからね。告白を断ってくれて本当に良かったですよ。

——真とジンの関係性はどのように見られていましたか?

中島:2人は考えていることも違えば生きていた時代も世界も違うので、“顔がそっくりな人”ぐらいの感じじゃないかと思います。

戦争を知らない現代の日本人のジンと、レジスタンスとして今でも戦っているジンとでは比べられないというか。

でも多分、お互い顔を合わせた時から感じる部分はあったんでしょうね。

——2人が出会ったことで、化学反応的なことが起こったんですね。

中島:真にとってジンは奮起するキッカケになったり、非日常に巻き込まれていく象徴なんです。

逆にジンにとって真は、死なれては困るという意味の保護対象から、少しずつ友人になっていったという気はしています。

——なるほど。本作は新宿が主な舞台になっているということで、この映画を観られた方はその後に新宿を巡ってみようかという風になると思うんですけれども……。

中島:東京の人はすぐに聖地が巡れますからね。ぜひ本作は新宿ピカデリーで観ていただいて(笑)。

——本作にはピカデリーも登場していますからね。

中島:そうなんです。ガヤの中でも何人かが「ピカデリー! ピカデリー!」と言っていてますからね(笑)。

——(笑)。中島さんの新宿おすすめスポットがあれば教えてほしいです。

中島:新宿はどこに行っても名所だらけですよね。ちなみに、僕はよくビックロにいます(笑)。ユニクロも入っていますし、僕のインナーはほぼユニクロですよ。

あと、プラモデルを作るのが好きなので、オモチャを見るのが楽しいです。あとは新宿御苑とか……行ったことは一度もないですけど(笑)。

——ありがとうございます(笑)。最後に、本作を楽しみにしている方々へメッセージをお願いします。

中島:情報量がとにかくたくさんで、視覚的にも聴覚的にも楽しんでいただけるような作品になっていると思います。

終わった後に考える余地が多く残されている作品で、観ていただいた方の数だけ答えがあって、観ていただいた人の数だけモヤッとする部分もある作品だとも思います。

クライマックスをどう受け取っていただけるか、というところも含めての作品だと思うので、ぜひ劇場に足を運んでいただければと思います。

——ありがとうございました。

[インタビュー・写真・文/島中一郎]

作品情報

タイトル:あした世界が終わるとしても
公開日:2019年1月25日(金)

原作:クラフター 
監督・脚本:櫻木優平 
制作:クラフタースタジオ 
製作:『あした世界が終わるとしても』製作委員会 
配給:松竹メディア事業部

「あした世界が終わるとしても」公式サイト
「あした世界が終わるとしても」公式ツイッター(@ashitasekaiga)

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