音楽
『とある魔術の禁書目録Ⅲ』『グリザイア』豊かな感性を生かしたシングル2枚を連続発表|黒崎真音インタビュー

黒崎真音さん『とある魔術の禁書目録Ⅲ』『グリザイアシリーズ』主題歌インタビュー|過去の出来事が結実した1年を経ていま伝えたいメッセージ、挑戦したいこと

『グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION』OP「幻想の輪舞」

──もう一方の、3月13日に発売されるシングル「幻想の輪舞」について教えて下さい。タイトルから素敵ですよね。

黒崎:タイトル、私もすごく気に入っています。時々「輪舞」(ロンド)がどう読むか分からないと言われたりするんですけど、そこも含めて好きですね。

──作詞・作曲は過去作の『グリザイアシリーズ』の曲と同じく、桑島由一さん、藤間仁さん(Elements Garden)が書かれています。曲をもらったときはどんなイメージでした?

黒崎:『グリザイアシリーズ』は一人ひとりのテーマ性がすごく重いというか。みんな心に傷を抱えていたり、トラウマを背負って生きていて。キャラクターたちに運命のようなものが課せられていて、そのなかで自分にできることや、自分の価値を見出してそれぞれのやり方で戦っているんですね。

歌詞を読んだときに、なにかを一度失ったことがあるひとが「もう失いたくない」という思いで、次のステップに向かって強く前に進んでいる……というイメージがあったんです。桑島さんの書かれる独特な世界観が生み出しているものだと思うんですが、「次は逃さない」って強い思いを感じました。

「楽園の翼」は母性のようなもの、「刹那の果実」は葛藤のようなものをそれぞれ感じていたんですが、「幻想の輪舞」はまた違うテイストだなと。母性だけじゃなくて、まだ育ち切ってない主人公が誰かのために命をかけてでも「次は絶対に守るぞ」って気持ちで未来に進んでいくような……そういうイメージを受け取りました。

──キャラクターそれぞれの凛とした強さが感じられる歌詞ですよね。

黒崎:そうですね。キャラクターたちに一種開き直った感じもあるんです。「考えていても仕方ないし、これが私たちの生きる道だから」というか。『刹那の果実』や前作の雰囲気と違うのはそこで。彼女たちが自分たちの強みを知っていて、生きていく方法を勝ち取っているんです。そこからスタートするというのが面白なと。

高校生ではあるんだけど、精神的に大人で。昔あったことも忘れてはいないけど、乗り越えていて、次にそういうことが起こらないように彼女たちなりに戦っている。その気持ちがこの曲に詰め込まれていると思います。

──<汚れた翼で>というサビの言葉も心に残ります。

黒崎:<汚れた翼で>という言葉からスタートするサビってなかなかないですよね(笑)。アニメを観ていただければ、この汚れた翼の意味も分かってもらえるかと思います。運命力が強い曲ですね。

──藤間さんの描く曲の世界がすごくドラマティックですよね。特にDメロののエモーショナルなメロディには、涙腺が緩んでしまいます。

黒崎:超エモいところですよね! 私も何度も泣きそうになりながらレコーディングしていました。こんなに素晴らしい曲があるんだというくらい、凄い展開で。Dメロの歌詞は本当に素晴らしいですね。

あと個人的に好きなところは、音がフッとなくなる瞬間の、<路地裏の孤独にも 風は優しくて>って部分のサウンド。実はこの「路地裏の孤独」という言葉は『ファントムトリガー』で重要なキーワードになってくるんです。この歌詞を見てから劇場版を見ていただくとハッとするところがあると思います。

──映画の公開は3月15日からで。すごく楽しみです。

黒崎:一足先に拝見させていただきましたが、素晴らしかったです。映像、音の迫力がすごくて。「幻想の輪舞」が2倍も3倍にも大きな存在になりました。

──また新たな名曲が生まれましたね。

黒崎:そうですね。また強い仲間が増えたなと。私がデビューしてなくていちファンとしてこの曲に出会ったとしても、たぶん凄く好きになって涙していると思います。初めて聴いたときから、それくらい好きな曲ですね。

「RUN FOR Re:BIRTH」は「大事な曲に」

──カップリングの「RUN FOR Re:BIRTH」は『パチスロ学園黙示録ハイスクール・オブ・ザ・デッド』で使われている曲です。シングル4曲中、3曲が偶然にも学園モノっていう。全然違う世界ですが(笑)。

黒崎:あ、確かにそうですね(笑)。実はこの曲はレコーディングしたのはもう1年以上前なんです。もう既に聴かれているかたもいて、ツイッターで感想をもらうこともあります。作曲のa2c(MintJam)さんには『学園黙示録』のときからずっとお世話になっていたんですが、今回は久しぶりに作曲していただいて。

──それこそ『Butterfly Effect』に収録されている「VANISHING POINT」もa2cさんが書かれた曲ですよね。同じ空気感があるというか……。

黒崎:まさに「VANISHING POINT」は少し意識したんです。疾走感が凄くて。

──基本的にハイトーンボイスで、低いところもあり……と歌声の変化も激しい曲ですよね。

黒崎:a2cさんの曲は勢いと重量感のある曲が多いんです。サビが結構高くて、そのまま高いままいって。裏声使いながら歌っていったのを覚えています。高低差が結構激しんですよね(笑)。Aメロが結構低いので……黒崎真音のなかではそういう曲が結構あるんですけど、まさにそういった楽曲だったので「とにかく上(のキーを)頑張って出そう」と。まさに熱血ソングです(笑)。迷ってしまったとき、くすぶってしまったときに聴いてほしい曲です。

──走っている姿が見える曲ですよね。

黒崎:はい。それプラス、『学園黙示録』ならではの世界観が入っている。歌詞は私が書かせていただいたんですが……その後、原作者である佐藤大輔先生が亡くなって。凄くショックで。当時、病状など詳しいことはまったく知らなかったのですが、佐藤先生が最後に確認してくださったのが、この歌詞になるんじゃないかなと思うんです。

──佐藤先生への思いはブログにも綴られていましたが、この曲にはそういった経緯があったんですね……。

黒崎:はい。<途絶えない歌を歌うんだ>とか……その当時は意識せずに書いた言葉だけど、この『学園黙示録』がいつか何かの形で動いてくれたら嬉しいな、みんなに会えたらいいなという気持ちを含めて書いていて。自分にとって大事な曲になりました。

「夢の第一歩」

──「ROAR」「幻想の輪舞」、ジャケ写もMVのカラーが対照的な雰囲気なのが面白いですよね。

黒崎:そうですね。2つあわせてミニアルバムのような気持ちなんです。4曲それぞれ違う個性があるので、4曲繋いで聴いてほしいなと思っています。

──ではMVのことについても教えて下さい。「ROAR」はライブシーンさながらの迫力のある映像で。

黒崎:「ROAR」はライブシーンのように、髪の毛を振り回しながら撮影しました(笑)。まったく違う世界観のMVになったらいいなと思ってましたね。

──「幻想の輪舞」のMVは真音さんが原案を書かれてたそうですね。

黒崎:そうなんです。「ROAR」と「幻想の輪舞」のMVは近い時期に撮影しているんですが、予定がギュッと詰まっていた時期で、結構バタバタだったんです(笑)。

そういうこともあって、いつもMVをプロデュースしてくださっているかたが「幻想の輪舞はどうしようかな、なんかイメージある?」って聞いてくれて。「イメージはあるので、私のなかにある物語のあらすじを一度書いてみても良いですか?」って聞いたら「いいよ」と。

時間がなかったこともあってヤル気に満ち溢れていてすぐに書いて。後日あらすじを書いて、打ち合わせでお見せしたら「良いんじゃない?」と言ってくださり……。それで私の書いたお話をもとにMVができあがったんです。良い機会をいただけました。

──演技の経験が活かされたんですね。

黒崎:そうですね。最初は演技に苦手意識があったんですが、それを越えて、お芝居が好きになってしまって……。

あと去年、ゲームやアニメが好きな自分だからこそ生み出せるものがあるかもしれないと模索していたんです。オタクとしてきて生きていたゲームとアニメが大好きな私が……大好きな業界からもらったもので作っていけるものがないかな?と。その時に考えたのが、ゼロから新しい物語を生み出すこと。それで勝手に企画書とあらすじを書いて、知り合いに絵を描いてもらって……ということ水面下でやっていたんです。

──ほう!

黒崎:ただ「Gravitation」の制作がはじまったあたりから忙しくなってしまったので、その話が進めていなかったんです。でもプロデューサーから「何かアイディアがある?」と言われたとき、自分のやりやすい"書き方"を勉強していたので、そんなに時間をかけずに書けたんですよね。プロットを書くことが難しくなかった。やっておいてよかったなと思った瞬間でした。

──さきほどの"水面下で動いてた"お話の詳細がすごく気になるんですが。

黒崎:ラジオでよく「いつか乙女ゲームを作りたい」って話をしていたんですが……。いつか自分のゲームやアニメなどの原作を作るというのは夢のひとつで、冗談のように言ってたんですけど、実は本気で考えていたんです。

それの勉強を少しずつしたいなと思っていたんです。でも世の中にはたくさんステキな作品があるので、被らないように作るというのは難しくて。「こういうのないんじゃないかな!」って思って検索したらもうあったりとか……それを今ずっと模索しています。

でも自分が影響を受けたものに対して新しいものを作って、今の若い子たちが「この作品、本当に良かった!」って言ってくれるようなものを作れたらいいなと思っています。

──楽しみにしてます……! 日本武道館のライブもいつか。

黒崎:そうですね。日本武道館のライブと、原作者への道という2つの夢が同時進行しているんです。その第一歩がこのシングルと、「幻想の輪舞」のMVなのかなと思っています。

[インタビュー/文・逆井マリ]

CD情報

黒崎真音

『とある魔術の禁書目録III』後期オープニングテーマ「ROAR」/ 黒崎真音

【CD】
1.ROAR/作詞:黒崎真音、作曲:中沢伴行、編曲:中沢伴行・尾崎武士
2.To My Dear.../作詞:黒崎真音、作曲:板倉孝徳、編曲:宮崎京一・出口遼
3.ROAR(TV size)
4.ROAR -instrumental-
5.To My Dear... -instrumental-

◆初回限定アニメ盤
価格:1,944円(税込)

【DVD】
・TVアニメ「とある魔術の禁書目録Ⅲ」ノンクレジット新オープニング
・TVアニメ「とある魔術の禁書目録Ⅲ」MV for “ROAR”(特別編集映像)
・ROAR MV(Short size)

 
◆初回限定盤
価格:1,944円(税込)

【DVD】
・ROAR MV、MVメイキング、SPOT

 
◆通常盤
価格:1,296円(税込)

 

『グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION』オープニングテーマ「幻想の輪舞」/黒崎真音

【CD】
1.幻想の輪舞/作詞:桑島由一、作・編曲:藤間仁(ElementsGarden)
2.RUN FOR Re:BIRTH/作詞:黒崎真音、作曲:a2c(MintJam)、編曲:MintJam
3.幻想の輪舞(instrumental)
4.RUN FOR Re:BIRTH(instrumental)

◆初回限定盤
価格:1,944円(税込)

【DVD】
・「幻想の輪舞」 MV
・MVメイキング
・TVSPOT

 
◆通常盤
価格:1,296円(税込)

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