音楽
絶望系アニソンシンガーReoNa 心に寄り添う歌を囁くように届けた夜

1曲目、イントロの表情だけで「今日は最高のライブになる」と確信したReoNaツアーセミファイナルレポ

アニソンシンガー・ReoNaさんがワンマンライブツアー「ReoNa Live Tour 2019 "Wonder 1284"」を大阪・名古屋・福岡・東京の4都市5公演で開催。今回のツアーはオールスタンディングというReoNaとしては初の試みで、チケットは全公演早々にソールドアウトとなった。

TVアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』の神崎エルザ starring ReoNa名義のプレデビューから約半年、アーティストとして進化する20歳のReoNaの現在地。今回の記事では、セミファイナルとなる3月9日(土)東京・東京キネマ倶楽部のレポートをお届けする。

冒頭からあの曲を……

洋館風のキネマ倶楽部の空気感、エド・シーランの会場BGM、期待感を胸に静かにその時を待つファン……。ライブハウスならではの明るい声も時には響くが、いわゆるアニソンのライブとは一線を画すような、神聖さすら漂う空間に不思議な気分にさせられる。同時に"これぞReoNaのライブだ!という嬉しい気持ちにもなるから面白い(前回のレポートを読んでもらえれば、その理由はわかるはず)。

今か今かとその時を待つファンの期待と熱気があふれるなか、暗転して、バンドメンバーの4人=ギター・堀崎翔、ベース・池尻 晴乃介、ドラム・バタヤン、キーボード・荒幡亮平がステージに。続けて、革ジャン+ワンピース姿のReoNaがステージ中央へと佇み、最新シングル「forget-me-not」の爽やかなピアノの旋律が響くと、一転、下を向いていたReoNaが顔を上げ、照明が明るく。爽やかな風が駆け抜けていくかのようなイントロで、ReoNaが客席を見た瞬間の穏やかな微笑みに、胸がじんわり熱くなる。

いきなりTVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』EDの、アップテンポナンバーで観客の心に飛び込んでいったReoNa。歌い終えると、ゆっくりと口を開く。

「"Wonder 1284"こんばんは、ReoNaです。人生はじめてのツアー、"Wonder 1284"。ついに東京まで来ました。今日こうして、みんなと顔を合わせてお歌を届けられること、本当にほんとうに、楽しみにしてきました。最後まで楽しんでもらえたらいいな」

ReoNaの日常の"こえにっき"を聞いている気分になる、ささやきのような、心地の良い声。温かな拍手が送られると「それではみなさん、おやすみなさい」とライトが落ち、瞼を閉じる。照明も真っ暗に。そのまま深く潜り込んでいくような、不思議な感覚に陥る。

次の瞬間はじまったのは「おやすみの詩(うた)」と「怪物の詩(うた)」。過去のいじめの体験を重ねて歌われる「おやすみの詩」と、<愛をもっと>と叫ぶ「怪物の詩」。「2つで1つ」の曲たち、今回のツアーでも手を放すことなく、エモーショナルに繋がっていく。痛烈な魂の叫びは、前回見たライブよりも、さらに胸を震わすものとなっていた。

さらに英詞で綴られている「Let it die」(音源未発表曲)を前回同様このブロックに添える。慈悲の光のように、音の洪水のように、壮大なサウンドスケールが観客に降り注ぐ。曲中、手を高く伸ばしたり、身体を少し揺らしたりと何かしら動きがあった彼女が、この曲だけは微動だにせず、眩しい明りを背後から浴びながら、まっすぐに客席を見つめ歌う。終始、荘厳な雰囲気が漂っていたことが印象的であった。

「改めましてこんばんは、ReoNaです。人生はじめてのツアー、Wonder 1284。初日、大阪からはじまって、名古屋、福岡、そして今日、東京まできました。(客席を見て)……すごい、いっぱい人がいますね。今日は、お外あったかかったですね。今日こうして、ここに来ることを選んでくれて、本当にほんとうにありがとうございます。そしてここからは……ちょっと落ち着いたお歌をお届けします。今日、1人ひとりの居場所が決まってないからこそ、隣のひと、近くのひと、そして自分自身の世界を大切に。ことばの一つひとつ、ギターの音色とか、ゆっくり聴いてもらえたら嬉しいです」

ここからはアコギ伴奏のアコースティック・コーナーへ。日替わり曲として、以前から歌ってきた「生きてることが辛いなら」(森山直太朗)のカバーと、TVアニメ『ハッピーシュガーライフ』挿入歌「カナリア」を。『ハッピーシュガーライフ』の中でも一際強烈な場面で流れた「カナリア」。

歌い終わると「歌うたびにハピシュガの"あのシーン"が頭に浮かびます。アニメ『ハッピーシュガーライフ』は、アニメに携わること、歌いたいと願ったひとりの女の子の大きなおおきな夢を叶えてくれた、そんな作品」と振りかえった。さらに「その夢のきっかけをくれたのが、神崎エルザという存在でした。今日はその神崎エルザの歌をお届けしようかなと。私の声が、お歌が、初めてテレビから流れたのは、この曲でした」

息をたっぷりと吸い込んではじまった「ピルグリム」は、序盤のサビで一気に照明が上がるという、ドラマティックな演出。ギターを掲げ、華奢な身体で絞り出すように歌う姿に神崎エルザが重なる。さらに「step, step」「Disorder」……とエルザ名義の楽曲を連射。

なかでも激しい盛り上がりを見せたのはロックナンバー「Disorder」から。マイクをフロアに向け、コールアンドレスポンスで観客と交感。言葉だけではなく、音で、歌で、濃密にコミュニケーションを図っていく。

バンドの激しいインストを挟み、自分の道を生きることを歌う「Independence」を。<ただ 自分で選びたいだけ>と歌うときの、凛とした表情が美しい。

今度はガラりと雰囲気を変えて、エルザ名義の「レプリカ」「ヒカリ」「Rea(s)oN」を暗闇に光を指すような、心の中が晴れ渡っていくような楽曲を届ける。<そしてあなたがいる ただそれだけで命は輝くから>というメッセージは、彼女の伝えたいメッセージの根幹にあるもの。直後のMCを聞いて、改めてそれを感じさせた。

「みんな、私の言ってる絶望系アニソンシンガーって、どういうイメージなのかな。失恋したときに傷ついた心に寄り添ってくれる、慰めてくれる曲はたくさんあって。前を向きたいときに、頑張りたいときに"頑張れ"って背中を押してくれる曲もたくさんあって。でも他に居場所がない悲しみだったり……逃げたいような気持ちのときに、それをかわりに言葉にしてくれてるものって、少ないなって私は感じて。じゃあ私が……私のお歌を歌ってもいいよって言われたときに、どこかにいるかもしれない、どこかで待っているかもしれない、あの時と私と同じ気持ちの人に届いたら……。失恋で傷ついた心を癒すのが同じように失恋を歌いあげた曲なら、前を向きたい気持ちを後押ししてくれるのが"頑張れ"って曲なら、私は誰かの絶望に寄り添えるような、そんなお歌をうたっていきたい。そう思って、色々な人の力を借りながら、ReoNaとしてお歌を紡いでいます」

観客を顔をのぞきこむように、じっと見つめながら。そこにいる"あなた"のことを思いながら。さらに続ける。

「1日が楽しければ楽しいほど終わってしまうのが悲しくなって、大切な人になればなるほど、いなくなるのが、離れてしまうのが、別れが、つらくなって。じゃあ喜び、幸せ、楽しみ……最初からそんなものがなければ、出会いなんてなければ、心なんてなければ、悲しむことも、痛みを感じることも、辛い別れも、なかったんでしょうか」

そんな言葉からピアノ伴奏で始まっていったのは、「虹の彼方に」。第19話『右目の封印』のラスト、特殊EDにも使われた、最新シングル収録曲。ユージオの心の葛藤が聞こえてくるようなサビの言葉に思わず息をのむ。聴き入る観客の姿を含めて心に残った(私自身もペンを止めて、じっと見入ってしまった)。

同じく最新シングルから「トウシンダイ」、カバー曲「決意の朝に」(Aqua Timez)。「トウシンダイ」は「次の世界への儚い希望を歌った曲」(過去のインタビューより)として、具体的にその内容については言及していないが、様々な想像が膨らむ曲。キネマ倶楽部の特徴ともいえるステージ上のせり出した、誰もいないステージにピンスポットが当たっていたのが印象的であった。

「"Wonder 1284"……1284というこの数字は、私がこの世に生まれたときのグラム数から取っています。1284グラムという小さな身体ではじまった私がこうして自分の足でみんなにお届けにこられていること、ツアーまでできるようになったこと、そんな奇跡という意味を込めて、"Wonder 1284"というツアータイトルになっています。そして、今年の10月20日、私の21回目の誕生日、Zepp Tokyoでワンマンライブをさせていただくことが決定しました。はじめて立てるZepp Tokyoの舞台、そして、21回目の、21歳の誕生日当日に、みんなと同じ時間を、お歌と一緒に過ごせたら嬉しいなと思います。来てくれますか?」

ツアー初日に発表になった「ReoNa ONE-MAN Live "Birth 2019"」。問いかけには大きな拍手が上がり、笑顔を見せる。息をふうっと吸って、ラストナンバーへ。

「ReoNaのライブにアンコールはありません。最初から最後まで、余すことなく受け取って帰ってね」。そういってはじまったのはReoNaのデビュー曲「SWEET HURT」。ピンク色の照明が光るステージで、「今日は"Wonder 1284"来てくれて本当にほんとうにありがとうございました! またこうしてお歌を聴きに来てくれますか? その時まで、"じゃあな!"」とReoNaならではの挨拶で、等身大の笑顔をのぞかせる。最後の伴奏中にReoNaはバックステージへと戻っていき、演奏が終わった瞬間に大きな拍手が起こった。

表現力がさらに豊かになっていたり、ギターの指さばきがより美しくなっていたり、バンドや裏方との結束力の強さを感じたり……ツアーならではの進化と成長も感じさせた "Wonder 1284"セミファイナル。小さな体で生まれ、つらい経験をしながらも、生きていてくれてありがとう。使命のように、歌を届けてくれてありがとう。そんなことを思わずにはいられないステージだった。10月20日、21回目の誕生日。Zepp Tokyoのステージに立ったとき、彼女の瞳には、どんな景色が映るのだろうか。

[取材・文/逆井マリ]
Photo by 山本哲也

ReoNa、初のZepp Tokyoワンマンライブ決定!

ReoNa ONE-MAN Live “Birth 2019”

■日程:2019年10月20日(日)
■会場:Zepp Tokyo(東京)
■開場:17:00/開演:18:00
■チケット:自由 ¥5,500(整理番号付 tax in / drink 代別)
※4歳以上チケット必要

ReoNa オフィシャルファンクラブ「ふあんくらぶ」会員先行予約(抽選)
→2/23(土)21:00~3/10(日)23:59

ReoNa オフィシャルファンクラブ「ふあんくらぶ」

ReoNaファンクラブ会員限定イベント&アコースティックワンマンライブも決定!

ReoNa オフィシャルファンクラブ ふあんくらぶ presents ReoNa Acoustic Live "ふあんぷらぐど”

Photo by 渡邉一生

Photo by 渡邉一生

【ライブ概要】
■日程:2019年5月2日(木・祝) OPEN 14:30 / START 15:00
■会場:浜離宮朝日ホール(東京)
■チケット:全席指定 4,000(税込)
※ファンクラブ会員限定1アカウントにつき2枚まで購入可能 ※4歳以上チケット必要
詳細は「ふあんくらぶ」オフィシャルサイトをチェック!

ReoNa オフィシャルファンクラブ「ふあんくらぶ」
 

ReoNa Acoustic ONE-MAN Live “ハロー、アンプラグド。”

【ライブ概要】
■日程:2019年5月2日(木・祝) OPEN 19:00 / START 19:30
■会場:浜離宮朝日ホール(東京)
■チケット:全席指定 4,500(税込) ※4歳以上チケット必要

ReoNa 公式サイト

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