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『FGO』ディライトワークス“肉会Vol.12”レポ

あの『エースコンバット』に関わった東山朝日さんが登壇! 『FGO』ディライトワークス“肉会Vol.12 第5制作部キャリア相談会 ~“おもしろい”をつくるコツ教えます~”レポート

大人気ゲーム『Fate/Grand Order(FGO)』の企画・開発・運営で知られるディライトワークス。同社が定期的に開催しているイベント“肉会(MEAT MEETUP)”の第12回目「第5制作部キャリア相談会 ~“おもしろい”をつくるコツ教えます~」が、2019年5月17日(金)に開催されました。

今回は第5制作部のキャリア相談会となっており、同部署でジェネラルマネージャーを務める東山朝日さんが登壇。東山さんは、ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)の傑作フライトシューティング『エースコンバット』や、PlayStation(R)3用ソフト『機動戦士ガンダム戦記』に関わられていました。

そんな有名タイトルたちを生み出した秘訣を、今回の講義では座談会形式でレクチャー! 東山さんが投げかけた質問に、受講者のみなさんも積極的に答えることで熱い時間となりました。


 

身近なところに面白いは転がっている

まずは今回のスピーカーである東山さんのプロフィール紹介。超有名タイトルに関わられていたことは先述した通りですが、『エースコンバット』ではプレイヤーに立ちはだかる敵機のアルゴリズムを組んだり、ミッション構成全般を担当されていたそうです。

この他にも、2006年のリリース以降今なおゲームセンターで絶賛稼働中の『機動戦士ガンダム 戦場の絆』に繋がるドームスクリーン型筐体を用いた『スターブレード オペレーションブループラネット』。そしてネジコン、ジョグコン、ガンコン2といった特殊なデバイスのプランニングディレクションなども担当してきたのだとか。


 
そんな東山さんが今回の講義を通して伝えることは、イベント自体のサブタイトルにもなっている“おもしろい”をつくるコツ。そこへ迫っていくため、まずは受講者のみなさんに最近体験した“面白かったコト”を話してもらうことになりました。

ここで話題となったのは新幹線がロボットに変形する某アニメ。東山さんがこの作品の魅力を分解していくと、「子供たちの日常生活に基づいた公共の乗り物であること」「自分と年齢の近い少年が操縦している」点をピックアップ。この要素によって、現実と地続きの乗り物がファンタジーとの懸け橋になっていると述べました。

もうひとりの受講者からは誰かを誘って食事に赴き、その会計を自分が払う立場になったことに感慨深くなったというエピソードが飛び出しました。ここで注目ポイントとして挙げられたのが、この受講者が「コストを払っている」という点。それでも面白い体験だと本人が感じていることは、確かに興味深くはあります。

こういった体験をしたことのある方は多いと思いますが、東山さんはこの現象を「誰かを誘って食事に行き、美味しいと言ってもらえる。自分が良いと思ったものを認めてもらえる」から面白いと感じ、だからこそ発生するコストは何でもないと判断したのではないかと推察しました。


 
ここまでで“面白い”という概念を持ったエピソードが世の中にはたくさんあると理解できたところで、オランダの歴史学者、ヨハン・ホイジンガの「人間は遊ぶ存在である」という言葉が取り上げられました。
 

身近な面白いはゲームに活かせる!

人が面白い、楽しいと思うからにはそれだけの理由があるそうで、ここからは面白いという感情を享受する側ではなく、人にそれを提供する“料理人”の立場になろうとする受講者のみなさんにむけて、東山さんは実例をまじえながらそれを見つけるコツを紹介していきました。

東山さんは自身の日常体験として、とあるSF映画のクライマックスシーンで、追手が迫る様子にハラハラしたことや、バイクに乗った際の体験、某ロボットアニメ劇場版の最終決戦で感動したこと、落語や任侠もの作品の魅力を話しました。


 
これだけ聞くと東山さんが多趣味であることしかわかりませんが、なんとこういった体験から『エースコンバット』など東山さんが手掛けた数々のゲームが出来ているという驚きの発言が飛び出しました。それを掘り下げるため東山さんの体験をもとにトークを展開していくと、まずは先ほど挙げたSF映画のクライマックスシーンでは、異なる場面を交互につないで臨場感や緊張感を演出する“カットバック”の技術が使われていることを話しました。

逃げる主人公とそれを追う敵など、それぞれのシーンを順番に見せることで臨場感を出している“カットバック”の技術を、東山さんは敵味方双方に気を配るステージづくりに応用し、目まぐるしく状況が移り変わっていくことでハラハラドキドキさせていたのだとか。


 
バイクに乗った体験からは、狭い場所を走り抜けるときのスリル感と、50ccと250ccのマシンを乗りこなすための技術に焦点があたることに。これは峡谷抜けのミッションを例に挙げました。馬力の無い機体とハイパワーの機体で挑戦するふたつを用意し、これによって前者には全速力で峡谷を飛びぬける「スリル」を、後者にはハイパワーをねじ伏せて飛行する「制御する楽しみ」を生み出したそうです。

 
そしてヒロインの歌に合わせて一斉攻撃が起こる某ロボットアニメ劇場版については、感情と演出の同期による高揚が面白さに繋がっていると考え、ゲームへと応用。最初は陰鬱な曲を流し、最も盛り上がるシチュエーションで勇壮なマーチ風の曲へ切り替え、高揚感を出すという演出を盛り込みました

 
落語からは「笑いは緊張の緩和から生まれる」という有名な言葉を引き合いにだして、高度制限を設けたミッションを例に挙げた。高く飛ぶと敵に発見されるという緊張感を与え、敵基地への視界を遮る高い山を越えたところで制限を取り払い、自由に飛行できるようにする。あえて制限を設けることで、緊張状態を作り出し、それに打ち克つことで報酬を得て悦に入ることができるという仕組みを明かしました。

 
任侠ものについては毎回基本のパターンが同じであるにも関わらず盛り上がる点に触れ、一度悪役にやられながらもその後コテンパンにする点が、ストレスとその解放による高揚感を生み出し、面白さに繋がっていると述べました。

このストレスとその解放の仕組みを、プレイヤーが操作する機体に当てはめ、高性能な機体からスペックが劣る機体を経て、その後、再び高性能な機体に乗せるという意図的なストレスを適度に付加することで、解放感と高揚感を醸成したのだそうです。さらには、高性能な機体に乗り、気持ちが高揚したプレイヤーに対し、油断を誘うような仕掛けとして、一見防御が手薄に見えて、実は多数の隠し砲台が配備された基地攻略をさせ、ストーリーに合わせてピンチになるシチュエーションを作り出したと話してくれました。

一通りのトークが終了したところで質疑応答に。ここでは受講者みなさんも積極的に東山さんに質問していて、トークパートと同じかそれ以上に熱い時間となりました。

まずは日常にある“面白いこと”を分解・抽象化することをさらに掘り下げる質問が飛び出しました。面白いと思ったことを分解し、裏付けとするためには近い例を探すのがいいそうで、先ほどの新幹線が変形するロボットを引き合いに出し、日常にある乗り物が変形するロボットとして『トランスフォーマー』が取り上げられました。


 
また、面白い理由を抽象化し仕組化するテクニックを身に着けるまでにはかなりの時間を要するようで、東山さん自身も自信が付くまでに10000時間はかかったのだとか。

自分の心を動かされた体験を収集することの重要性や、なぜ心動かされたかの分析が大切だと改めて話す一幕があると、その体験を収集するための指針について質問する受講者も。これについては自分の興味の赴くままでOKなようです。

そして「プロデューサーとして一番大事にしている考え方」を問われた東山さんは「お客様に満足していただける品質を確保した上で、利益には執着すること」と語りました。ディレクターは面白いゲームをつくることを追求し、プロデューサーはビジネスになるかを冷静に判断する。この考え方は両方を経験したという東山さんだからこそと言えるのではないでしょうか。


 
傑作ゲームに携わってきた人の“面白い”を見つける方法が語られた本イベント。ゲーム業界を目指したいという方はこれを参考に、自分の周りにある“面白い”を見つけてみてはいかがでしょうか。
 

今回は魚“肉”! 肉料理のバリエーションが新たなステージへ!

“肉会”ということで、以下より毎回お馴染みの肉料理のフォトレポートをお届け! 今回は5月ということで、“端午の節句”をテーマに肉ちまきや、鯉のぼりから着想を得た魚“肉”料理がズラリ。

メインに据えられたカツオのガーリックバターステーキやマグロほほ肉の甘辛生姜焼きは特に人気な様子でした。

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