マンガ・ラノベ
漫画『ナナシ ナくしたナにかのさがシかた』藤野晴海&片山愁 インタビュー

藤野晴海先生が体験したゾッとする話、物悲しい話、救われる話を片山愁先生が漫画として描く! 『ナナシ ナくしたナにかのさがシかた』3巻発売を記念した両先生インタビュー

『ナナシ』の執筆中に遭遇した怖いエピソードとは?

――『ナナシ』は藤野先生の体験がベースになっていますが、先生ご自身が遭遇して一番怖かったエピソードはどこでしょうか?

藤野先生:ナナシが『何か』を埋めているエピソードですね。どんなお化けよりも、彼が僕の知っている彼では無くなっていっているのを自覚してしまったあの時が一番怖かったです。

――オカルト作品に携わるクリエイターさんは心霊現象に遭う、という話を聞いたことがあります。『ナナシ』の執筆中に霊的なものに遭遇したことはありますか?

藤野先生:執筆していると、誰もいないはずの部屋なのに何かの気配をかなりはっきりと後ろに感じることがあります。もちろん怖いので振り向きませんけど……。

片山先生:私は霊感ゼロなので描いててそう言った経験をしたことは全く無いです。もしかしたら何か起こってるのかもしれませんが気付いてないだけとか?

――片山先生は、『師匠シリーズ』に続き、2つ目のオカルト作品ですが、今までの作品と比べて、作画で大切にしているところ、注意しているところがありましたら教えてください。

片山先生:以前に別の所でも表現したのですが、『師匠シリーズ』とナナシは色で言うと正反対のイメージで描いています。師匠の吸い込む黒とナナシの反射する白。『師匠シリーズ』は師匠というキャラクターに謎の安心感があったのですがナナシにはそれがないので、その不安な感じを描けていたらいいと思っています。

――『ナナシ』はゾッとする話から、どこか物悲しい話、ほっと救われるような話まで幅広いバリエーションエピソードがあります。片山先生が原作を読まれた際に「一番好き」と感じたエピソードは何ですか?

片山先生:一番、というのはものすごく悩みますね……! 好きなお話がたくさんあるので。ここまで漫画で描いて来た3巻までの中で限定すると「星の欠片を僕たちは」でしょうか。原作には絵がついていないのに幻想的な場面が頭に浮かんできました。切なく美しいお話ですよね。でも何が一番って、最後まで通して読んだ時の言葉にできない余韻に勝るものはありません。漫画もそうなるよう頑張ります。

――藤野先生は自身の体験や記憶をもとに原作を起こすと思うのですが、片山先生のネームなどを見られて、イメージの差を感じる部分はありますか?

藤野先生:ナナシが現実の本人よりイケメン過ぎて、ちょっと……いや、かなりズルいなと思います(笑)。それ以外は読んでいて泣きたくなるほど、記憶にある情景や若く幼い頃の自分たちがそこに描かれていて、差を感じなさすぎて怖いくらいです。

――原作が漫画になる過程で、尺やテンポの関係でどうしても入り切らない部分などあると思うのですが、「実はこのエピソードでカットされた部分では……」のようなこぼれ話があったら教えてください。

藤野先生:こぼれ話も片山先生に共有させていただいてますが、基本的にカットになるのは(というか大体僕がお願いしてカットしてもらってます)大体ナナシのえげつない下ネタとか放送禁止な内容なので、解答は控えさせていただいておきます……。

「青臭い未成熟な想い」を込める

――そのほか、作品中でこういったところに注目してほしいというポイントを教えてください。

藤野先生:片山先生の作画はただ美しいだけでなく、キャラクターの表情が「意味」を持っていると勝手ながら思っています。例えばヘラヘラと笑うナナシの笑顔も、同じ笑顔でも全て違いがあり、その時々の彼の台詞には出していない感情とその意味がちゃんと表情から読み取れるんです。登場人物の表情に注目していただくと、よりこの話の深いところを感じていただけると思います。

片山先生:気を配って描いているのでちょっとした風景や仕草なんかにも注目してもらえたら。そして何と言っても居心地の悪いちょっと歪な友情ですね。決して綺麗な友情とは言えないのかもしれないのだけれど、精一杯の友情なのは確かです。

――片山先生はもうじきデビュー30年を越えるのではないかと思います。先生の作品が好きでずっと追いかけている読者の方へ一言お願いいたします。

片山先生:じ、実は2021年でデビュー35年になります。いつの間にこんなに時間が経ってしまったのでしょう……。

長いだけにもう漫画を読むこと自体卒業なさった読者さんも多いかと思うのですが、中にはずっと読んでくださってる方々もいらっしゃるみたいで、本当にありがたいです。作風はだいぶ変わりましたが、自分の描くものの根底には「青臭い未成熟な想い」を込めることは変わってないんじゃないかと最近ようやく自覚しています。多分それをずっと描いて行くことでしょう。これからも追いかけて頂ければとても嬉しく思います。

――藤野先生ははじめての漫画原作だと思うのですが、ご自身の体験を漫画として読者が読む、というのはどのような感覚なのでしょうか? 「こんな風に読んでほしい」というメッセージも含め、読者の皆さんに一言お願いいたします。

藤野先生:僕は文章で自分の思い出を書いてきましたが、漫画にしてもらえたことで余計に思い出がはっきりと実体化したような、もう一度あの頃の時間を過ごせているかのような、不思議な感覚を覚えました。漫画の中の僕たちはまだ幼くて、ちぐはぐてポンコツでどうしようもなくて、でも互いのことが大好きで大切な、どこにでもいる中学生です。

この漫画は、その僕たちが互いを「祈り」にしてしまった日々と、「祈り」は決して「救い」ではないと知った日までの記録です。これを読んでくれた皆さんに、こんなふうになってはいけない、こんなふうにならなくて良かった、と思っていただけたら何よりです。そして読み終えたら少しだけ、僕の大切な親友を記憶の片隅に置いてあげてください。彼は、寂しがり屋だったので。

――ありがとうございました。

SNS

・藤野晴海先生公式Twitter
・片山愁先生公式Twitter

コミック情報

第1巻

価格:649円(税込)

 

第2巻

価格:715円(税込)

 

最新3巻

価格:825円(税込)
発売日:2020/09/30

アニメイト特典:ブロマイド

※特典は無くなり次第、終了とさせて頂きます。ご了承下さい。
※こちらの特典表記が商品ページから無くなりますと、配布終了となりますのでご注意ください。

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