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アニメ『ノクターンブギ』森田と純平監督インタビュー

アニメ『ノクターンブギ』森田と純平監督インタビュー│コロナ禍を受けての“完全リモートショートアニメ”で表現する、手のひらの中で楽しむエンタメ

2020年7月より、毎週金曜23時からGYAO!、YouTubeにて、完全リモートショートアニメ『ノクターンブギ』が好評配信中です。

監督を務めるのは、これまで数々の映像作品を手掛け、TVアニメ『LOST SONG』では原作・脚本・監督を務めた森田と純平氏。新型コロナウイルスによって作品づくりの環境が大きく様変わりしてしまった2020年に、「従来の作り方ができないのならば新しい方法を見出せばいい!」と打ち出してきた意欲作となっています。

完全リモートショートアニメと銘打っているように、本作は打ち合わせからキャストの収録まですべてがリモートによるもの。さらに、視聴者が参加できる「プロジェクト」を多数展開しているのも特徴で、それが作品に反映されるのは『ノクターンブギ』の大きな魅力と言えるでしょう。

どのような作品なのかまだわからない方、リモートと言っても具体的にどうやって作られているのか興味のある方も多いと思います。そこでアニメイトタイムズでは、すべてを作り上げている森田と純平監督を直撃。作品制作からキャストたちとのやり取り、本作の魅力、アニメ制作の未来図までたっぷりと語っていただきました。

本読みはオンライン、収録は自宅、制作はCGもほぼ1人でやっています

――公式サイトの<Introduction>に「従来の作り方ができないのならば新しい方法を見出せばいい!」と書かれていますが、いつぐらいから構想を練っていたのでしょうか?

森田と純平監督(以下、森田と):構想自体は1年ぐらい前から考えていました。その時は通常のアニメ制作のような形でできないかなと思っていたんですけど、そんな折にコロナがあって自分のものづくりの場がなくなったんです。

エンタメを待っている人たちにとっても楽しみが奪われてしまったので、これはもうガタガタ言っていられないなと。それに、『ノクターンブギ』のような会話劇の作品なら、ミニマムの体制でもできるかなと思って始めたんですね。

――ミニマムというか、音楽の白戸佑輔さんやCG協力でGreat Creatorsさんが入っている以外、基本的には監督1人で作られていますよね。具体的な作業フローについても教えていただけますか?

森田と:最初に脚本を書いて、それをキャストの皆さんに配り、一緒に本読みをして芝居を合わせます。そこから僕が(本読みを反映させた)脚本に合わせてCGでレイアウトをとって、絵をどんどん作っていくんです。

同時進行でキャストの皆さんから届いた音声データを聞いて「キャストの芝居の方が想定より面白いぞ」と思ったら絵をそっちに合わせたりして。そうやってフレキシブルに作って、最終的に音楽を入れて完パケとなります。

――白戸さんの音楽もすごく素敵ですよね。

森田と:めちゃくちゃかっこいいですよね。白戸さんの音楽はやっぱり外せないです。

――本読みはZoomを使ってオンラインでやっているとのことで、実際にやってみてどうですか?

森田と:すごく楽しいです! キャストの皆さんとは(他の作品を通じて)仲良くさせてもらっていたんですが、コロナで面と向かって会うことができなくなっていたので、みんなが画面に現れた時はちょっと泣きそうになりましたね。

――その場でキャストさんからの提案などもあるのでしょうか?

森田と:ありますね。芝居をしながら「こうした方がよさそう」とか「こういう言い回しに変えていいですか?」と直接やり取りをして、いいと思えば「じゃあ変えましょう」と。

――この人がこんなことを言っていたとか、具体的なエピソードがあればお聞かせください。

森田と:小山剛志さん演じる影山狩宇(かげやましゅう)が、瀬戸麻沙美さん演じる夢仲魔理(ゆめなかまり)に「とんだスケベだるまですね」と言われて、「スケベだるま? いや、私がスケベなことはないだろう」と返すセリフがあるんです。その「スケベだるま」という言い方が、本読みの時は面白かったんですけど、少し時間が経って収録されたのを聴いたら若干ニュアンスが違うなと思って。それでリテイクをお願いしたんですよ。

ただ、お願いしたのが深夜だったので、自宅で深夜に何回も「スケベだるま」と録ってくれているんだなと思ったら、申し訳なくて……(笑)。「こんな経験初めてだった」と言われちゃいましたが、これもリモートならではだなと思いました。

――確かに、山下誠一郎さんが演じている久結霧矢(きゅうけつきりや)のセリフも、ちょっと恥ずかしいものがあったりしますからね。でも、作品を始める際にキャストの皆さんに声をかけたら、二つ返事で了承してくださった方も多かったと。

森田と:そうなんですよ。皆さん役者なので、やっぱり芝居をしたいんだなとすごく感じました。コロナでアフレコが止まっている時にお声がけしたので、「本当にありがたい」と言ってくれましたし、楽しんでやってくれている印象が強いです。

Zoomでの本読みも、みんなで(画面に)顔を並べてゲラゲラ笑いながらだったり、小山のアニキが突っ込んだり、すごく和気あいあいで文化祭のような感じです。皆さんが目をキラキラさせて「やっぱり掛け合い楽しいよね」と言っていたのも印象的でした。

――ところで、監督はこれまでCGの経験がほとんどなかったとお聞きしました。

森田と:ほぼゼロですね。トーシロでした(笑)。

――そんな素人だった監督が、どんなソフトを使ってどういうことから始めたのですか?

森田と:メインで使っているのは「Unity」というゲームエンジンです。以前『B-PROJECT』のミュージックビデオを作った時に、Unityでモーションキャプチャーを使ってアニメ映像を作った経験があって。このリアルタイム性はアニメでも使えるだろうなと思ったんですよ。とはいえ、その時はUnityを使うスタッフがいっぱいいたので僕は全くタッチしておらず、本当にCGの知識がゼロだったんですね。

でも、好奇心はいっちょ前にあるので、現場で「これはどうやってるんすか?」と聞いたり、自分のパソコンに入れて動かしてみたりして、どんどん覚えていきました。そして、今回はCGのモデリングも自分でやってみようと思い、キャラクターに絵を貼って顔を作るテクスチャーも全部自分でやっています。

――そこまでご自身でやられたのなら、CG協力とはどのあたりを?

森田と:衣装ですね。衣装をモデルに合わせて、重力に対する数値・パラメーターを決めていくところはさすがにわからなくて。なので、システム整理と衣装だけ協力してもらいました。それ以外は本当に1人でやっています。

次ページ:深みのあるキャラクターによる会話劇が魅力
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