ぼくらの人生を変えたアニメ11選【2013年編】｜『Free!』が友情や仲間の大切さを教えてくれた

「400m先の未来へ」というキャッチコピー

TVアニメ『Free!』が放送されたのは2013年7月〜9月。おおじこうじ先生の『ハイ☆スピード！』が原案で、監督は内海紘子さん（『BANANA FISH』監督や現在放送中の『SK∞ エスケーエイト』の原作・監督などを担当しています）

『Free!』は2013年4月に開催されたニコニコ生放送での京都アニメーション新作発表会で発表されました。

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ここで『Free!』のあらすじを軽く紹介しましょう。

主な登場人物は、泳ぐことが好きで水に独自の思いをもつ高校2年生の七瀬遙（CV：島﨑信長）、遙の幼馴染で親友の橘真琴（CV：鈴木達央）、遙たちと同じ高校に入学してきた葉月渚（CV：代永翼）、渚の同級生で知的な理論派の竜ヶ崎怜（CV：平川大輔）、遙のライバル的存在である松岡凛（CV：宮野真守）。

普通の高校生活を送っていた遙と真琴の前に、同じ高校へ入学してきた渚と再会。かつて3人が通っていた岩鳶スイミングクラブが取り壊されると知り、3人で一緒に向かうと海外留学から帰ってきた凛と再会し、勝負を挑んできた凛と遙は対決することに。

遙、真琴、渚は再び集い、陸上部に入っていた竜ヶ崎怜を引き込んで岩鳶高校水泳部を設立。それぞれ男子高校生たちが抱える想いを胸に、水泳と青春と絆を描く物語となっています。

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私自身、最初は『けいおん！』や『氷菓』にハマっていたこともあって、京都アニメーションが制作する“水泳と友情をテーマにした青春ストーリー”がどのようなものになるのか、少し気になるくらいの気持ちで見始めました。

キービジュアルや見た目だけだと「筋肉質なイケメンがただ泳ぐだけ」と思う方がいるかもしれませんが……良い意味で予想を大きく裏切ります。

もちろん、イケメンキャラクターの筋肉も推したいポイントではありますが（京都アニメーションが描く筋肉がこれまた素晴らしい）、高校生という思春期ならではの葛藤や悩み、心情が事細かく描かれており、ついつい感情移入してしまいます。私もだんだんとテレビの前でかじりつくようになりました。

『Free!』をおすすめすると「何で好きなの？」「どこが面白いの？」と聞かれますが、その理由は本当にたくさんあります。「とりあえず見てほしい」ただこの言葉だけが出てくるんです。

いつの間にかハマってしまう、夢中になってしまう、応援したくなるのが『Free!』の魅力。

そして本作のキャッチコピーになっているのは、“400m先の未来へ”。「誰のために泳ぐのか——」と作中で遙が凛に投げかける言葉がありますが、キャッチコピーと併せてそのセリフに『Free!』で伝えたいすべてのことが詰まっているように感じます。

溢れ出てくる色々な感情

なぜ『Free!』が私の人生を変えてくれたのか、その理由の1つとして「色々な感情が溢れ出てくる」ところにあるでしょう。

アニメ作品を見ていると、キャラクターに感情移入してしまって涙したり笑ったり胸が苦しくなったりすることがあると思います。中には、感情移入できないキャラクターもいるでしょう。

水泳と青春と絆を描く物語とあるように、『Free!』は水泳をメインに思春期真っ盛りの男子高校生たちが、それぞれの悩みや葛藤と向き合い成長していく物語。

彼らが抱く葛藤や悩みは、思春期を経験した者なら誰もが共感できること。だからこそ、すべてのキャラクターに感情移入でき、「そうだよね」「そういうこともあるよね」と気持ちを共有できるんです。

そして、それを乗り越えようとするキャラクターたちを見ながら、自分の悩みやコンプレックスと向き合う力も湧いてきます。

たとえば、主人公の七瀬遙。彼は「水」に対して特別な想いを抱いており、ただ泳ぐことが大好き。しかし、中学生のときのある出来事がきっかけで泳ぐことから離れてしまいます。

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勝ち負けに対するこだわりがない、ただ水と触れ合い遙が勝負にこだわる凛と再会し、さらに「フリーだけしか泳がない」と言っていた遙が、真琴、渚、怜と共に岩鳶高校水泳部として「400mリレー」に出場することで“見たことのない景色”を見る。

少しずつ遙の周りが動き始め、そして遙自身も意識や見え方が変わっていく。そこまでの過程だけでもすごく濃厚で、いろいろな感情が溢れ出てくるんです（感情が溢れ出すぎて最後には泣いてしまうのが私のいつものオチ）。

私自身、当時は遙というキャラクターを通して“見たことのない景色”を見せてもらい、色々な感情を感じながら心が豊かになりました。“キャラクターと一緒に成長してく”ような感覚になるのも、私がこの作品を愛して止まない理由の1つなのかもしれません。

何かと生活に制限がかかっている今、どことなく心が「無」になってしまう方におすすめしたい作品とも言えます。きっとあなたの心を豊かにしてくれるに違いありません。