声優
保志総一朗さんインタビュー『復興応援 政宗ダテニクル 合体版+』

声優・保志総一朗さんに舞台挨拶直前インタビュー!『復興応援 政宗ダテニクル 合体版+(プラス)』が劇場公開中!

2021年4月1日(木)より全国で劇場公開中の『復興応援 政宗ダテニクル 合体版+(プラス)』。4月2日(金)には保志総一朗さんによる舞台挨拶もTOHOシネマズ池袋で行われました。

『政宗ダテニクル』は福島県伊達市と共に福島ガイナが制作してきた作品で、2016年からYouTube、ニコニコ動画等にて配信開始、第6話まで公開されました。

今回はこれまでの物語を合体させた上、新たなキャラクターやシリーズの締めを飾る新エピソードも加え、『復興応援 政宗ダテニクル 合体版+(プラス)』として劇場作品となっています。

保志総一朗さんが演じるクロードは、伊達政宗に仕える謎めいた忍者ですが、実は裏の主人公にあたるキャラクターだったことが発覚! 黒クロードという「もうひとりのクロード」も登場し、新エピソードでも重要な役割を担います。

舞台挨拶を控室で待つ保志さんに、作品やクロードのことを伺っていたところ、なんと横で作業をしていた浅尾芳宣プロデューサーが裏設定を次々に暴露。保志さんもこのタイミングで初めて知るという、驚愕のネタばらしインタビューとなりました。


 

『復興応援 政宗ダテニクル 合体版+』舞台挨拶直前の保志総一朗さんにインタビュー!

――東日本大震災から10年という節目の年に、『政宗ダテニクル』が劇場公開の運びとなりました。まずはお気持ちをお聞かせください。

保志総一朗さん(以下、保志):『政宗ダテニクル』も5年くらいやってきた集大成という形で、新たなエピソードも加えて一本の作品として完成したものを公開できるというのは嬉しいし、舞台挨拶でみなさんと直接お会いできる機会を持てたのも良かったです。

――これまで6本のエピソードが公開されていましたが、さぁこれからというところで話がお預けになっていた感じがありました。今回は最後まで描かれるのでしょうか?

保志:一応、描かれていますね。6エピソードありますが、ひとつひとつのエピソードが長いものではないし、ご先祖様もたくさんいますので、まだまだいろんなことができる作品だなとは思っていました。

もっと観たいと思っていた中で、一区切りという形までちゃんと描いてもらえたし、クロードも一番謎めいた立ち位置だったけど、そこも描いてもらえたので嬉しかったですね。

――役名を見ると「黒クロード」というのが増えているのですが、これは別キャラなんですか?

保志:いや、別キャラではなくて、クロードの中の一面なんですよ。収録しているときはダークなクロードということで、黒クロードと言ってましたけど、そのまま役名になっていたから面白かったです。黒とクロもかかってるし。

――ほかのキャラクターが実在の人物をモチーフにしている中で、クロードだけ完全オリジナルの忍者というのはいかがでしたか?

保志:そうなんですよね。ほかにもオリジナルのキャラクターっていますか?

浅尾芳宣プロデューサー(以下、浅尾):いや、いないです。味方のほうは基本的には実在の人物です。

保志:ああ、味方は全員実在なんだ。

浅尾:クロードも一応は実在なんですよ。

保志:えっ、モデルがいるってこと? 伊達の忍者で?

浅尾:そうです。世瀬蔵人(よせ くらんど)という名前で、黒脛巾組(くろはばきぐみ)という忍者部隊を伊達政宗が使っていたんですけど、それの頭領になった人です。

保志:いるじゃないですか。ちゃんと名前も踏襲してるじゃないですか。

浅尾:実際には、あの年齢のときに政宗と出会っている人ではないんです。政宗が東北に勢力を広げていく中で、福島の信夫山(しのぶやま)というところで負けて逃げないといけなくなったときに、それを助けたのが世瀬蔵人なんです。そのときの活躍が政宗に評価されて、忍者の頭領に取り立てられたんですよ。

保志:へぇぇ~!

浅尾:信夫山になぜそんな人がいたかというと、元々山岳信仰があって、山伏が修行していたようなところなんですよ。世瀬蔵人も修行をして身体が丈夫だったので、政宗が諜報部隊に登用したんですね。

保志:蔵人って、なんか横文字っぽい名前ですよね。

浅尾:それでクロードにしたんですよ。

保志:僕はそれを知らなかったから、オリジナルキャラクターのつもりで演じてきたんです。やっぱり『政宗ダテニクル』という世界の中で、クロードは異質なんですよ。唯一の真面目キャラですしね(笑)。

ご先祖様のせいなんですけど、お遊び要素がかなりあって、ふざけたキャラが多いんです。特に番外編のおバカなエピソードの印象が強いせいもあるんですけど、クロードは唯一のシリアス担当というところを意識して、崩れないようにがんばっていました。

ただ、愛姫がひどい歌声で歌ったときの、クロードの崩れ方は酷かったですね。僕も昨日観直していて、ここまでやっちゃって大丈夫だったのかなとは思いました。

――ほかの人たちが遊んでいるのを、うらやましく見るようなこともあったのですか?

保志:傍観者として楽しめたというか。逆にあそこに混ざるとまずいなと。ご先祖様(役のキャスト)が今時のイケイケの若手声優たちばっかりだったので、普段から仲が良いんですよ。若い人たちだけで盛り上がってもらったほうがいいし、下手に入ると事故になりそうなので(笑)。

――お気に入りのご先祖様などはいましたか?

保志:みんな面白かったですよ。また声優の話になっちゃうけど、それぞれを個性的で面白い人たちがやっているから、そのせいもあってご先祖様たちも個性的になるし、かわいいところからかっこいいところまで味を出している感じがありましたね。

――これを観て、初めて伊達家歴代当主の名前を知ったという人も多いと思うんですよ。そうなると、ここで描かれるキャラクターのイメージが、その当主のイメージになるだろうなと。

保志:なっちゃいますね。歴史上の人物って、アニメ作品とかから入る人が多いから、そのイメージになっちゃうことはけっこうあるけど、『政宗ダテニクル』の場合はご先祖様がたくさんいるから、正直名前を憶えられない(笑)。九代は大丈夫かな。

――ああ、同じ政宗ですからね(笑)。時代劇で伊達政宗を扱えば登場する父親の輝宗くらいしか、伊達家歴代当主は全国的には知られていないと思います。逆に勉強にはなりますが。

保志:初代が朝宗(ともむね)? 勉強にはなるけど、全部は憶えられないなっていう(笑)。

――今回は新エピソードを加えて物語に一区切りがつくということで、どんなシーンがあるのでしょうか?

保志:クロードの内に潜んでいた、もうひとりのクロードが登場するわけなんですけど、今までよりもさらにシリアスで、悪者という立ち位置ではあるんです。

――ひょっとして、ラスボスがクロードだったんですか?

保志:ラスボスというほどではないんですけど。

浅尾:伊達家と因縁のある一族の生き残りで、それを輝宗が引き取って育てていたんです。その因縁の部分が彼を呑み込んでしまって……。

保志:仇の一族みたいな感じなんですか?

浅尾:そうですね。

保志:最後はクロードが自分の居場所を見つける物語になりましたね。

――猿面や鳥面はとりあえず置いておいて、という話になるんですか?

保志:あそこ、最後はなんで仲間みたいになっちゃってるんですか?

浅尾:実はクロードは、その猿面や鳥面側の一族なんです。猿面や鳥面は、伊達政宗が持つ冥龍眼を目的にしているんですけど、もう一方ではクロードをどうやって取り戻すかも狙っていたんです。

保志:それって描かれてましたっけ?

浅尾:つなげてよくよく観れば、そうかなっていう程度の匂わせ方ですね。お話のベースにはすごくあるんですけど、1話完結の短いエピソードの中で、そこの部分をメインにすることはできなかったんです。

保志:最後、「いつの間にか仲間になってないか、あいつら」と思って、そこの件を見てみたいなという感じはありましたね。

浅尾:いいですね。それをこの後の舞台挨拶のトークで話しますね。

――今回、タイトルに「復興応援」とついていることで、改めて震災からの復興という大事を思い出しました。昨今はコロナ禍の問題が大き過ぎて、被災地域以外では復興への想いがどうしても薄らいでいる感があります。復興応援の面からもメッセージをお願いします。

保志:プロデューサーの浅尾さんをはじめ、このプロジェクトに関わっている人たちは一貫してそういう意識を持ってやっているし、被災地の人たちも何年もかけて地道にがんばっているので、忘れちゃいけないことだなと思います。

ただ、どうしても被災地以外だと、自分が生きていく上で大変なことや乗り越えていくことがあるだろうから、復興の意識が薄れていくのは仕方がない部分もあるし、それぞれが自分の人生をがんばればいいと思うんです。

その中で、こういう作品をきっかけに、今でも復興にがんばっている人たちがいることを時々は思い出してほしいですね。

TOHOシネマズ池袋での舞台挨拶に保志総一朗さんが登壇

福島県伊達市で声優トークショーを開催するなど、ご当地を盛り上げる作品として実績を積んできた『政宗ダテニクル』。震災復興10周年という節目の年に公開する劇場版は、コロナ禍がなければ大規模イベントも用意されていたことでしょう。

そんな中で行われた舞台挨拶だけに、浅尾芳宣プロデューサー(以下、浅尾P)をはじめスタッフの意気込みは強く、観客席最後方に座って観ていた清丸悟監督も途中でトークに参加。短い時間ながら濃密なイベントとなりました。

司会進行も浅尾P自ら行い、『政宗ダテニクル』や『復興応援 政宗ダテニクル 合体版+』にかける想いを吐露。保志総一朗さんを呼び込んでからは、ネタばらし大会の様相も呈して来ます。

保志さんはお約束の「ぱっぴー」も交えて登場の挨拶をしますが、観客は声援が制限されているため拍手で応酬。いつもの感じとは行かないものの、それでも久々の生トークイベントということで、喜びが伝わります。

浅尾Pから今回の新エピソードの収録について聞かれた保志さんは、「『政宗ダテニクル』ってご先祖様たちがワイワイと楽しくやっているほのぼのアニメみたいな感じがしていたんですけど、今回のクロードはシリアスだけじゃなく、ダークという新たなチャレンジもさせていただいたので、気持ちも新たにアフレコに挑みました」とコメント。

『政宗ダテニクル』のイベントではアドリブ満載の朗読劇も行われ、アニメ本編以上にキャラクターが羽目を外すのが恒例となっていました。その中でクロードだけは崩れないようにしようと、清丸監督も気をつけていたそうです。

新エピソードでもダークなクロードが重要な役を担いますが、アフレコ時に便宜的に呼んでいた「黒クロード」がそのまま役名になっていたことに保志さんがつっこむと、浅尾Pが清丸監督に直接弁明してもらうべく、マイクを持って観客席最後方にいた監督のもとに移動。

清丸監督も、シナリオやコンテ上でクロードとわけるために仮で呼んでいた黒クロードが、完成したポスターに役名として表記されているのを見て驚いたそうで、「そういえばそうだなと思いながら(イベントを)観ていたので、振られて困っています」と赤裸々に告白。この若干ゆるいところも『政宗ダテニクル』らしさです。

保志さんは、5年前から関わってきた『政宗ダテニクル』の最後のエピソードでクロードの謎を描いてもらえたことには満足したそうですが、これまで敵対していた猿面たちが、ラストシーンでいつの間にかクロードの仲間になっていた理由の解説を求めます。

浅尾Pからは、クロードには世瀬蔵人というモデルになった人物がいて、『政宗ダテニクル』の世界では猿面たちと同じ一族の生まれであり、最後は彼らを束ねて黒脛巾組になったという裏設定が観客に明かされ、「次のシリーズではそこを描きますか?」と爆弾発言。

保志さんが「やってくれるんですか!?」と食いつくと、浅尾Pも干支面は12人いるうちの2人(猿面、鳥面)しか出せていないし、ご先祖様もあと6人くらい残っているそうで、やろうと思えばネタはあるようです。

さらに、『政宗ダテニクル』から次のステップに進む、新たな復興応援企画を進めていることも報告。なんでもありの作風や、伊達家、東北とのつながりはそのままに、新しいことに挑戦する作品を考えているとのことです。

2年前、第6話まで制作した後の打ち上げで、保志さんから「まだまだ復興が終わっていないから、『政宗ダテニクル』も最後までやろうよ」と言われたことも、浅尾Pが劇場版を制作する原動力になったそうで、今回こうして一区切りをつけられたことにもほっとした様子でした。

最後は保志さんから「劇場の舞台挨拶も久しぶりで、お客様の目の前で喋るというのも久しぶりでした。最近は配信ばかりだったので、ここだけの雰囲気というものも大事にしたいし、直に話している、気持ちがつながっている空気も好きなので、今日は貴重な機会をいただけて本当にありがとうございます」と挨拶。

エンターテインメントにとっては厳しい状況が続く中、それでも集まってくれたファンへの感謝や復興応援への想いも述べつつ、久しぶりに生トークの醍醐味を思い出す舞台挨拶となりました。

『復興応援 政宗ダテニクル 合体版+(プラス)』公開情報

2021年4月1日(木)より全国公開

【CAST】
伊達政宗:村瀬 歩
初代朝宗:森川智之
愛姫:ブリドカット セーラ 恵美
クロード・黒クロード:保志総一朗
片倉小十郎景綱:小林裕介
伊達成実:逢坂良太
伊達小次郎:山口立花子
二代宗村:石川界人
三代義広:梅原裕一郎
四代政依:天月-あまつき-
五代宗綱:KENN
六代基宗:松岡禎丞
七代行朝:山下大輝
九代政宗:増田俊樹
十代氏宗:遠藤広之
十二代成宗:内田雄馬
十六代輝宗:土田玲央
猿面:山本兼平
鳥面:代永 翼
龍神:進藤尚美
もんも:森岡由花
あんぽん:田中音緒

OPテーマ・挿入歌:「ミカヅキリサイズ」
歌:天月-あまつき-
作詞・作曲・編曲:まふまふ
ギター・弦編曲:三矢禅晃
OPテーマプロデューサー:棚橋UNA信仁

EDテーマ:「ガラクタリブート」
歌:るぅと(すとぷり)
作詞:るぅと×TOKU
作曲:るぅと×松
編曲:松
EDテーマプロデューサー:ななもり。(すとぷり)
レーベル:STPR Records

【STAFF】
製作総指揮:木下直哉
監督:清丸 悟
原作:いこま
脚本:森 悠
キャラクターデザイン:木村 智
キャラクター原案:中山見都美
ご先祖様デザイン:中山見都美・田辺謙司・飯田恵理子・重本和佳子・木村 智
あんぽん・もんもデザイン:木野下澄江
美術監督:松本浩樹
色彩設計:高星晴美
撮影監督:口羽 毅
編集:平木大輔
音響監督:長崎行男
音楽:関 美奈子
アニメーションプロデューサー:吉田啓祐
企画・プロデューサー:浅尾芳宜・國崎久徳・古里尚丈
製作:政宗ダテニクル合体版製作委員会・木下グループ・ドリームシフト・おっどあいくりえいてぃぶ
配給:キノフィルムズ
提供:木下グループ
アニメーション制作:福島ガイナ・ガイナ

公開記念舞台挨拶

映画『復興応援 政宗ダテニクル 合体版+』公開記念舞台挨拶

【会場】kino cinéma横浜みなとみらい

【日時】2021年4月17日(土)
17:25の回上映終了後、舞台挨拶

【登壇者】梅原裕一郎、遠藤広之(予定)

【料金】通常料金
※ムビチケカード・ムビチケオンライン券利用可(ただし、劇場窓口のみ利用可/WEBでの利用不可)
※各種割引利用可 
※招待券・株主券等 無料鑑賞適用不可

【購入方法】
WEB:4月15日(木) 0:00~(=4月14日(水) 24:00~)
劇場窓口:4月15日(木) 劇場オープン10:00~
※先着順での販売となりますため、WEBで完売した場合は、劇場窓口での販売はございません。予めご了承ください。

『政宗ダテニクル 合体版+』公式サイト
YouTube「政宗ダテニクル」
『復興応援 政宗ダテニクル 合体版+』公式ツイッター(@gattaiban)

(C)ガイナ/政宗ダテニクル合体版製作委員会
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