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アニメ『エデン』入江泰浩監督インタビュー

新型と旧型のロボット対決は“あの作品”があったから!? Netflixオリジナルアニメシリーズ『エデン』入江泰浩監督インタビュー│監督が考える、ロボットと人間の共存する未来は“ギブアンドテイク”が必要

ロボットの中で育てばなにが起こるのか。シナリオ会議から生まれたアイディアも

――先ほどお話いただいたように、主人公・サラの活発な姿はとても印象的です。どのようなことを意識して、サラというキャラクターを描いたのでしょうか?

入江:サラはこの世界で唯一の人間であり、自分が人間であることを“情報として”でしか意識できないんです。ほかの人間がいないですからね。そうした中で、この世界の核心に切り込んでいくには、すごく活発でおてんば、やんちゃなところが必要だろうと思いました。

もともと僕はこういうキャラクターが好きですし、自分から一歩踏み出していくタイプであることを強調することで、面白いキャラクターになるんじゃないかなと。

――絵の作り方で何か意識したことがあれば教えて下さい。

入江:絵の作り方は、自分が30年ぐらい作り続けてきた日本の手描きのTVアニメーションの文法に従ってやっています。やっぱり、自分にとってはそれがキャラクターの感情を表現する一番得意な手法ですから。これまでの手描きアニメ、自分がやってきた仕事の延長としてやっています。

――では、ロボットの中で1人育ったことで、なにか特徴的だった描き方や表現はありますか?

入江:そこはシナリオ会議でのディスカッションで、参加した人からいろいろなアイディアをいただきました。ロボットだけの中でほかに人間がいないならどういうことが起こりうるか、どんな発言があり得るのか。

例えば、「サラは言葉を学習する前からロボットと触れ合うことの方が多かったので、『ピーグルグルグル……』といったロボットの言葉(通信音)でやり取りするんじゃないか」といったアイディアが出ました。面白いと思って、そういうシーンも作ったので、シナリオ会議でのアイディアがすごく大きかったですね。

――そのロボットたちも愛着の湧くキャラクターが多いですよね。そのあたりは無機質感ではなく、言い方は変かもですが“人間らしさ”を強調したのでしょうか?

入江:もともと、ロボットには“人間とコミュニケーションをとることが可能なロボット”と“そうでないロボット”の2つの種類があって。前者なら会話を進める中でどんどん学習していき、相手とコミュニケーションをとりやすいように言葉遣いも変わっていくのが面白いんじゃないかと思いました。

ロボットだからずっと無機質なのではなく、サラとコミュニケーションをとることによって変化していく。だから、もしサラが全然違う方言を使っていたり、性格が違っていたならば、ロボットたちも違う言語の発達をしたんだろうなと感じています。

――人間の言葉を聞くと、自動的に言語プログラムが起動するのも面白いです。

入江:面白いですよね。ロボットたちだけであれば通信や信号でやり取りをすればいいけど、人間の声が聞こえた瞬間にプログラムが立ち上がるのは、ジャスティンのアイディアとして最初からあった部分なんですよ。

サラが乗った巨大ロボットの登場シーンは、“あの作品”があったから生まれました

――相手側の重要なキャラクターとしては、やはりゼロの存在が大きいです。ご覧になった方はゼロとフィールズ博士の関係性もわかったと思いますが、デザインや見せ方はどのようなことを意識したのでしょうか?

入江:ゼロのデザインは(キャラクターデザインの)川元利浩さんが担当していまして、それ以外のロボットたちは(コンセプトデザインの)クリストフ・フェレラがスケッチしたものを元にしています。

ゼロはロボット側の統治者・指導者・管理する者、という形でほかとは全然違うビジュアルが欲しかったので、川元さんに強烈なカリスマを持った方向でデザインをお願いしました。

クリストフ・フェレラが作ったものは工業製品としての効率性がありますし、そういうデザインの差別化はしました。

――見た目からして、ラスボス感がすごいですからね。

入江:威圧感をカラダ中で体現しているようなデザインを作っていただけて、すごく嬉しいですね。

▲ゼロ(CV:山寺宏一)

▲ゼロ(CV:山寺宏一)

――それも含めて、入江監督が可愛いと思ったデザインやお気に入りのロボットがいれば教えて下さい。

入江:PJという、ひとつ目で車輪のついた人間の言語を話さないロボットですね。PJはクリストフ・フェレラがデザインしたロボットで、言葉は喋らないけど、ぷんぷん怒っているのがわかります。そういうアニメーションを作ることができたので、とても気に入っているデザインのひとつです。

――PJは喋らないからこその良さもありますよね。

入江:そうですね。台湾のCGCG(本作のアニメーション制作)のアニメーターがこちらの想像以上の楽しいアニメーションを作ってくれました。

――ロボットで言えば、第1話の冒頭や物語の後半には巨大ロボットが出てきて、ほかのロボットとはまた違う迫力がありました。

入江:ロボットアニメの監督はやったことがないのですが、これまでアニメーターとしていろいろな作品に参加してきて、巨大ロボットはやっぱり魅力的だなと思ってきました。

こういう風にすれば巨大感が出るんだなとか、ロボットの得意なアニメーターたちの素晴らしい仕事を見てきましたからね。自分は巨大ロボットをどう描くことができるのか、新たなチャレンジになったと思います。

――ゼロが乗る巨大ロボットが新型で、サラは以前博士が使っていた旧型で戦うという対比も興奮しましたね。

入江:あの朽ちた感じ、砂漠の中にいる巨大ロボットの登場シーンは『太陽の牙ダグラム』にインスパイアされたものなんです。

――なるほど! 『ダグラム』は見ていましたので、すごく納得です。

入江:『ダグラム』がなければ、あのビジュアルはなかったと思うぐらいですね。

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