音楽
寺島拓篤11thシングル「Reincarnate」&ライブBD発売記念インタビュー

寺島拓篤さん11thシングル「Reincarnate」&昨年開催の配信ライブBD2カ月連続リリース記念インタビュー|『転生したらスライムだった件 第2期』第2部のエンディング主題歌は今までのタイアップ曲の中で一番作品に寄り添いすぎた曲!?

 

MVは花を投影したスクリーンをバックに歌った「デジタルとアナログの融合」

――多彩な引き出しを持つR・O・Nの作編曲でミディアムナンバーというのも驚きました。でもバンドサウンドのロックバラードっぽいところは、R・O・Nさんらしいなと。

寺島:音楽チームはすごいなと改めて思いました。R・O・NさんはSTEREO DIVE FOUNDATIONとして、第2期第1部のエンディング主題歌(「STORYSEEKER」)を担当されていたし、『転スラ日記』のオープニング主題歌の作編曲も担当されていましたが、こういうテイストで来るんだとビックリしました。

でも作品としての連続性が生まれていたし、R・O・Nさんにお願いした意味もあるんだろうなと。ギターサウンドなのはやっぱりR・O・Nさんだなと思ったし、R・O・Nさんの曲ってせつなさが入っている曲が多い気がして。

僕はスパンと抜ける曲をたくさんいただいていますが、今回の曲も「STORYSEEKER」も明るいだけではない、逆振りの要素があって、よりいい曲だなと感じさせるのがすごいなと思います。

――お気に入りのフレーズなどお聞かせください。

寺島:以前、おたく友達が「転生ものが流行っているのは仏教における極楽浄土や輪廻転生の思想がみんなの中にあるからだ」と言っていて。最初は何を言っているんだろうと思ったけど、今ではその説もあながち間違いじゃない気がするし、おもしろいなと。

極楽浄土で花が咲き乱れている情景と重なって、リムルが作るジュラ・テンペスト連邦国はこの生を終えた先にある極楽かもしれないというイメージが湧いてきました。そこから最初は1人だったリムルの世界が様々な出会いによってどんどん彩られていく様子を表現しているのが大サビの「殺風景な世界を彩るよ」で。

「殺風景」という言葉を入れてみたらハマりがよかったところから、知っているけどあまり使わず、耳なじみがない言葉を入れてみたいなと思って、仏教っぽい「金輪際」や「千載一遇」も入れてみました。

――今のお話を聞いて、「Reincarnate」のMVのイメージと重なっていると思いました。

寺島:お花にいっぱい囲まれて(笑)。最初は外ロケで生の花を撮れたらいいなと思っていましたが、監督の大野(敏嗣)さんが提案してくれたスタジオで撮影してきた映像を投影するというやり方は、今まで僕がやってきた「デジタルとアナログの融合」にもピッタリハマっているなと。

実際、投影していると思えないほど発色がよくて鮮明で、逆に生だったら撮れない映像になっていて、クリエイターってすごいなと感動しました。

 

 

――たくさんの赤いバラが弾き詰められたところに横たわる寺島さんの姿は耽美だなと。

寺島:メガネもハズしてましたからね(笑)。顔に貼る花はメイクさんが見つけてくださって、それを際立させるのであればメガネはないほうがいいねと。でも「本当にメガネなしでいいんですか?」と何度も確認されましたが「別にいいですよ」って。僕自身はメガネ推しというわけではないので(笑)。

――投影された黄色の花など夏っぽさも感じました。

寺島:言われてみれば。今回のシングルのイメージカラーは黄色で、ジャケットも同じで。「Reincarnate」はリムルのスキルである「大賢者」の視点で歌詞を書いていて、「大賢者」が進化した「ラファエル」のイメージカラーがイエローなんです。丸いデザインはデザイナーさんが「輪廻転生」を表現して作ってくださったそうです。

丸い窓には和室っぽい感じもあるし、すごいセンスですよね。楽曲だけでなくMVやジャケットすべてが仏教的なものにつながっているのは僕からのオーダーではなかったのに、そんな共通項が生まれたことに驚いているけど、チームの一体感がなせるものなのかもしれません。

今までのタイアップ曲の中で一番作品に寄り添いすぎたかも!?

――他に注目してほしい点はありますか?

寺島:繰り返しになりますが、曲とアニメのエンディングの映像とのマッチング感のすごさはお伝えしたいです。第2期第1部の最後にあった大賢者がリムルの体を使っている時に目が赤くなるところが拾われていたり、第1期からもちゃんと反映されていて。

それでいてリムルとヴェルドラが主体に描かれているし、サビの「咲き誇る花が殺風景な世界を彩るよ」では仲間たちがみんないて、「僕が見たかった光景だ!」と感動しました。

こちらからオーダーしていないのにこちらの想いが伝わっていて、『転スラ』っていいチームで作られているんだなと思って、すごく嬉しかったということをお伝えしたいです。

ぜひ一度、歌詞を読みながら映像を見ていただきたいですし、アニメでは聞けない2番以降も聞いていただき、『転スラ』の情景をイメージしてもらえたら、もっと楽しんでいただけると思います。

今までタイアップを何度か担当させていただきましたが、今回が一番作品に寄り添えた気がします。これまでは作品を離れたところでのメッセージ性も織り込んでいましたが、「Reincartnate」はつい作品に寄り添いすぎてしまいました(笑)。

 

「ファントムライツ」はゲームのオリジナルキャラに焦点を書いた歌詞に、ドラマチックなサウンド

――カップリング曲「ファントムライツ」は、2021年リリース予定のスマートフォン向けアプリゲーム『転生したらスライムだった件 魔王と剣の建国譚』の主題歌であり、ご自身で作詞されていますが、どのようなイメージやテーマで作詞されたのでしょうか?

寺島:「Reincarnate」よりも先にオーダーをいただきました。新しいゲームが制作されることも自分が主題歌を担当させていただけることも嬉しかったです。第2期第1部では自分が主題歌を担当していなかったので、リムルの元にいろいろな人が集まってくるみたいに、いろいろなアーティストが『転スラ』を彩っていくと思っていたので驚きました。

それと同時にこんなに『転スラ』に関わらせていただいていいのかなと思いつつも、託されたからには頑張らなきゃと励みにして作りました。

また「ゲームの中のオリジナルストーリーを主題に書いてください」ということだったので、いただいた設定を参考にしつつ、オリジナルのキャラクターにフォーカスを当てていきました。発表されていたゲーム内容の説明にジュラ・テンペスト連邦国を作っていく要素もあったので、明るい感じのゲームなのかなと思っていました。

でも楽曲のオーダーも「『メグルモノ』みたいなテイスト」というオーダーで驚きましたが、設定や内容を見ると意外とシリアスだったので「なるほどな」と。「メグルモノ」と同じ桑原 聖さん(Arte Refact)に曲を作っていただきましたが、「メグルモノ」っぽいけど、全然違う楽曲になっていて、桑原さんのセンスにも驚かされました。

 

 

――1A、1Bあたりはメロディも歌い方せつなげで、サビ直前から盛り上がって。サビはエモーショナルにと主題歌っぽいですね。

寺島:すごいですよね。歌詞もシリアスな方向で書いているので、ハマっていると思います。まだストーリーも知らない状態で聞くと、「何でこんなにドラマチックなの?」と不思議に思われるかもしれませんが、ゲームをプレイして、ストーリーを見ていただければ、納得していただけると思います。

――リムルはひょうひょうとしているように見えるけど、国民や仲間たちを背負う責任や苦しさを抱えながら戦っている印象がありますが、歌詞にもそれが表されているような。

寺島:歌っているのはリムルではなく、オリジナルキャラクターの視点で。ストーリーを知っているからこそ、「頑張れよ!」という僕の想いを込めているんです。

今までの『転スラ』の楽曲とも違う雰囲気やカラーの曲になっていますし、この歌詞を見て、どんなキャラクターが登場するのか、どんな物語が展開されるのか、想像しながらゲームを楽しみに待っていただけたら。

 

「sweet mirage」は「君の季節」の続編で、あきらめきれない恋心を持ったまま迎えた夏の気分を曲に

――もう1曲のカップリング曲「sweet mirage」もご自身作詞ですが、ちょっとほろにがい夏のラブソングですね。

寺島:僕の夏らしい曲といえば明るい曲ばかりで。元々、ちょっとウェットな、夏の終わりかけのイメージの曲が好きだったので「そういう曲が歌いたいです」とお願いしました。そして『転スラ』から何のイメージをもらおうかなと考えたら、季節感があることをやっているのは『転スラ日記』だなと。

作中でリムルではないスライムがテンペストに迷い込んでくるのは夏の風物詩だねというエピソードがあって。「夏の風物詩って何だろうな?」と考えたら、車の運転中や歩行中に見える逃げ水が思い浮かんできました。

逃げ水は遠くに水たまりがあるように見えて、近づくと逃げるように遠ざかって、いくらたっても追いつけない現象のことですが、以前、好きな人を追っても届かない「君の季節」という曲を歌っていたので、その続きを書いてみようと決めました。

だからタイトルも「甘い蜃気楼」です。「君の季節」は春の曲でしたが、あの主人公はどんな気持ちで夏を過ごしているのかなと。いまだにつかめない自分の恋愛感情、結末が見えない恋をもう一歩進めてみようと思って書きました。

――「揺らいで揺らいで」や「もう何度むし返してんだって」とあるように、まだ恋心は続いていると?

寺島:はい。「君の季節」では好きだけど、友達だからあきらめようとしたけど、夏になって再び好きという想いがあふれ出してきて。あきらめられないなら一歩進もうかというストーリー展開をしてしまったので、今後、秋そして冬と続きを書くんだろうなと思っています(笑)。

――歌詞が主人公の言葉や想いだとすれば、ちょっと大人っぽさがあるけど、背伸びしているようにも見えました。

寺島:僕の中では大学生くらいの自由度があって、大人っぽさもあるけど、まだ子供な部分もあって。そんな人の恋愛感覚ってどんな感じかなと想像しながら書いています。

――1Aで主人公が「You are so hot.」と女の子に言った後、「You flatter me!」(お世辞言って)と返すやり取りもちょっとおしゃれ感もあって。

寺島:そんな駆け引きができるのも大人だからかな。また「切ないその笑顔」や「前髪いじる癖」など「君の季節」で使った言葉も引用しているので、物語として一貫性もあって。我ながらいい歌詞が書けたかなと思っています。

――サウンド感もさわやかでどこか懐かしさを感じるような。

寺島:少しこじゃれた雰囲気でこういうタイプの曲はなかった気がします。今、シティポップが流行っているので、あのテンション感も入れたいなと思っていたら入っていました(笑)。

この力が抜けた感じはゆらっとした夏の熱気、アスファルトや建物からもわっと熱が立ち上がってくる雰囲気を感じさせて、1回落ち着けたはずの恋心がぶり返してくるところにもつながっています。作詞も割と早く書き上がりました。

――夏の終わり特有のせつなさや寂しさ、まだ残る暑さもあって、リリース日にピッタリですね。

寺島:まさに今リリースすべき曲になったと思っていて、気に入っています。ただ自分が歌詞を書いたと思ったらちょっと恥ずかしいですけど(笑)。

初の配信ライブ『TAKUMA TERASHIMA ONLINE LIVE 2020 4th STAGE~ASSEMBLE~』がBD化!

――昨年12月に『TAKUMA TERASHIMA ONLINE LIVE 2020 4th STAGE~ASSEMBLE~』が行われましたが、振り返ってみた感想をお聞かせください。

寺島:収録したのが「Reincarnate」のMV撮影と同じスタジオで、スタッフに聞いたら偶然とのことでしたが、縁を感じたし、このライブをした時のことを思い出しました。ライブを収録したのが昨年の年末で、『おれパラ2020』が終わってすぐだったので、ライブテンションが続いたまま臨めました。

 

 
またワンマンでのオンラインライブは初めてでしたが、直前に先輩たちと作り上げた『おれパラ』があったので、オンラインでライブをやることへの意識も高まっていて。画面の向こうにいる皆さんにどうやってライブをお届けできるか、生歌唱や生演奏だけではなく、熱や想いをどう伝えようかとすごく考えました。

衝動的に湧き上がってくるものと、冷静に伝えなければいけないことを同居させないといけなかったけど、『おれパラ』で勉強させていただきました。先輩方は三者三様の個性を持ち、表現しているので、それを吸収した僕は1人でやった時に何ができるんだろうと思いました。

――ライブハウスやホールではなく、スタジオ収録ということもあってか、TVなどで行われるスタジオライブみたいな雰囲気だなと思いましたが、寺島さんもバンドもライブハウスでやっているテンションで。

寺島:声優、役者は想像力が強いし、声でイメージを実体化させることがうまいと思うんです。収録場所にはお客さんはいなかったけど、想像力で補いながらいつものライブと同じテンションでやれました。

パフォーマンスやアクション、お客さんをあおるところとか。あとはそれをいかにカメラのレンズサイズに絞ってお届けするかで。声優だからこそ、そして『おれパラ』やソロのライブ活動を続けてきたからこそできたことなのかなと思います。

――バンドステージでは、寺島さんがメインでいる位置にお立ち台があって、最初のうちはそこで歌っていましたが、はずれて左右に動いたり、ステージから飛び出してカメラ前に飛び出したりして。

寺島:いつものライブと変わりませんでしたね。絵替わりを考えた部分もありましたが、それ以上にこの会場でライブをしていることを感じたかったし、動きも入れたくて。ライブ直後の爽快感もいつも通りでした。

――今回はバンドセットが組んであるバンドステージと、ダンサー2人と踊るためのシンプルなダンスステージに分かれていたのもおもしろい試みだなと思いました。

寺島:オンラインライブだからこそやれたことだし、やらなくてはいけなかったことで。バンドを背負っている絵はすごく強いので、そうではない絵を作ろうと考えたら、何もないところでダンスかなと。今思うと、よくあれだけの曲数のダンスを一気にやれたものだなと。

――そしてライブタイトルにあるように4thアルバム『ASSEMBLE』から全曲パフォーマンスしています。

寺島:ツアーだったら公演ごとに散りばめていたかもしれないけど、今回は凝縮するということで、全曲入れて、ちゃんと流れができるようなセットリストを組むのは難しかったです。だから今までの楽曲織り交ぜつつ、何とか形にできました。

 

 

リハーサルや当日のメイキングも収録した「ライブの真空パック」!

――配信後の反響はいかがでしたか?

寺島:皆さんからの好評の声をたくさんいただいたようです。また一緒にラジオ番組『羽多野・寺島Radio 2D LOVE』をやっている(羽多野)渉君も見てくれたそうで、「すごかったね」と言ってくれて、いいものができたんだなと客観的にも感じることができました。

――羽多野さんも配信ライブをされたこともあって、共感できる部分も大きかったんでしょうね。

寺島:僕も渉君の配信ライブを見ましたが、僕とは全然違うステージングやパフォーマンスで。僕にはない発想だったので感動しましたし、お互いに違うことをして、高め合い、尊敬し合える相手がいることはありがたいことです。

――ライブの映像をご覧になった感想は?

寺島:冷静になって見てみると、「同じことをやれと言われたら今できるかな?」とビックリしました(笑)。

――今までの寺島さんのライブ映像の中でもっとも汗の量が見られる映像になっているんじゃないかなと思いました(笑)。

寺島:元々、汗かきですけど、そう見えるのは衣装のせいもあるかも(笑)。衣装が決まる前からダンスレッスンしていましたが、実際に着てパフォーマンスしてみると重くて。

あと久しぶりのワンマンライブだったこと、『おれパラ』があって代謝が上がってきたこともあると思います。よく「あんなに汗をかいて大丈夫?」と聞かれますが、僕は「ライブは汗をかいてなんぼ」と思っているし、それがちゃんと映像に残せてよかったです。

――その映像が9月22日にリリースされますが、映像をご覧になった感想や見どころ、注目ポイント、オススメの楽しみ方などお聞かせください。

 

 
寺島:配信を見てくださった方も、今回初めて見てくださる方も想い出補正なしで同じテンションで、同じものを味わえるところがオンラインライブならではかなと。

いわばライブの真空パックみたいなもので。あと本番前の最後のリハーサルやライブ当日のメイキングも収録されていて、リハーサルでライブを詰めていく過程やオフの状態での僕の姿なども見られます。

皆さんにお返しをするという目的でやっている音楽活動なので、かける想いや姿勢は変わらずにあって、それをちゃんとお話しできるのはメイキングのインタビューですし、しかもリハ中なので想いも高まっているし。どんな気持ちでライブに向かっているのかもわかっていただけるかなと。

そして『ASSEMBLE』を聞いてからみたり、このライブ映像から改めて聞いてみると印象が変わってくると思います。完成音源の良さもあるし、ライブならではの空気感もあるので、ぜひ合わせて楽しんでいただきたいです。

 

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