マンガ・ラノベ
BLの楽しみ方は十人十色! BL愛好家座談会【BL塾・連載第8回】

あなたはどうやってBLを選んでいますか? BLの楽しみ方は十人十色! BL愛好家座談会【BL塾・連載第8回】

ゆぴプレゼンツ「なかなか結ばれない作品」

ゆぴ:選びきれなかったので4作品を紹介させてください……! どの作品も簡単には結ばれないストーリー重視の作品です。
まずはベタで恐縮ですが『窮鼠はチーズの夢を見る(※15)』。「エロければエロい作品がいい!」と思っていた時に出会い、「BLってこんなに困難を極めるのか……!」とめちゃくちゃ衝撃を受けた作品です。


※15:窮鼠はチーズの夢を見る
小学館の『NIGHTY Judy』にて掲載された水城せとなさんの漫画作品。サラリーマンの大伴恭一と大学時代の後輩・今ヶ瀬渉の恋愛模様を描いた作品。BL作品ながら女性キャラクターとの恋愛模様も描くなどリアルな心理描写が人気を博している。

 


ゆぴ:主人公はバリバリの異性愛者ですが、以前から自分のことを好きだったと言う大学時代の後輩が現れ、とある事情で脅され、BL的な展開に発展していきます。しかし、この主人公がなかなか落ちないんですよ。異性愛者として生きてきた自分の価値観、男である以上は女性を愛し、女性と幸せになるべきという価値観がなかなか拭えない。その主人公の心情がめちゃくちゃリアルだなと思いました。もし結ばれたとしても、ひとたび好みの女性が現れてしまえばあっという間に関係が破綻してしまうのではないか、そんな危うさをはらんでいるのが本作の肝です。

同性どうしの恋愛の障壁の高さや醍醐味を感じられる。それがとてもリアルで、最初に手に取った時の衝撃はいまだに忘れられません。これを超える作品は現れていないなと思っています。大人のビターなBLに興味がある人だけでなく、BLの甘い部分しか知らない人にぜひ読んでほしい作品です。

続いて、こちらも王道かもしれないですけど『恋する暴君(※16)』がすごく好きです。まだ続いている作品で、ずっと追いかけています!


※16:恋する暴君
海王社にて現在連載中・高永ひなこさんのマンガ作品。大学生のヘタレでワンコな後輩・森永とツンデレで横暴な先輩・宗一のすったもんだのラブストーリー。すれ違う二人の心情が丁寧に描かれる。「ヘタレ攻め×ツンデレ受け」の源流的作品。

 


ゆぴ:お話のテイスト自体はライトですが、設定は結構ヘビーなんですよ。攻めのキャラクターが同性愛者で幼なじみの男の子と付き合っていたけど、お兄ちゃんにバレてしまい家族から絶縁の状態に……。一人大学に進学したときに出会ったのが、弟が同性愛者で同性愛者嫌いな先輩(受け)で、その人のことを好きになってしまうお話です。『窮鼠』同様、『恋する暴君』の二人もなかなか結ばれない(笑)。受けは攻めのことを後輩としては好きだけど、それが恋愛的な意味での好きなのかは分からない。だから、なかば強引に迫られたときにヒステリーを起こし、「信用してたのに……」と傷ついてしまいます。同性愛者嫌いを公言しているだけあり、「自分が男を好きになるわけがない」という先入観が強すぎるんですよ。友情と愛情の情の狭間にいるのがリアルで、思わず感情移入して読んでしまいます(笑)。

同性愛者であることで家族から拒絶・断絶された現実味のある世界を描いているけれど、お話はテンポよくポップだからBL初心者にもオススメしやすい作品です。「年下ワンコ攻め」の走りでもあるから、そういう攻めが好きな人もぜひ読んでみてください! 現在12巻まで発売していますよ~!(2021年8月時点)

ここまでは少し前の作品を紹介してきましたが、最後は少し新しめの作品を用意しました! 苑生先生という作家さんの作品『兎の森(※17)』と『被写界深度(※18)』です。この2作品もなかなか結ばれない系が好きな私にとってドンピシャで……久しぶりに「キター!」と思ったので、紹介します!


※17:兎の森
大洋図書にて現在連載中・苑生さんのマンガ作品。1歳差の幼なじみである志井洵太と弓永環。志井は環に対し、「普通」ではない感情を抱いていた。そして、高校生になった二人の関係が急速に変化していくー。

 
※18:被写界深度
大洋図書にて刊行された苑生さんのマンガ作品。高校の同級生である紺野と早川。二人が織りなすモラトリアムなラブストーリー。高校時代に折り重なる日常の中での葛藤、複雑な心情が丁寧に描かれた1作。

 


ゆぴ:まずは『兎の森』から。2巻まで発売していて現在連載中です(2021年8月時点)。幼なじみで幼い頃から成長を共にしてきて、攻めは受けのことが大好き。「絶対いけないことじゃん」と思いながらも恋心を募らせます。だけど、受けは攻めに対して恋愛感情はなく、むしろアセクシャル気味。抱きしめられても頬すら染めず冷や汗を流します。

お試しで付き合う展開になるのだけど、キスも冗談抜きで嫌々な感じ。何なら攻めとは友達でいたいし、女の子と付き合いたい。それにはややこしい理由があるのですが、今のところ好きになる気配が全くないんですよ。だからこそ、今後の展開がめちゃくちゃ楽しみ。BLって比較的早い段階で、片方が好きになって、ほだされてもう片方も好きになるパターンが多いと思うのですが、本作は受けがめちゃくちゃ冷静なのがいい。落とすのが難しい方が燃えますよね。

もう一つの『被写界深度』は完結している作品です。これは両方がノンケで、上下巻の中でジワジワと友情が恋に変わっていくお話。主人公は音楽の才能があるけれど、それゆえに人が離れてしまった過去を持ち、カメラの才能があるのにまわりから受け入れられている友人に対して嫉妬と苛立ちを覚えます。

好きな人に対して「あんたといるとイライラする」と言う人はなかなかいないと思うけど、高校生で友だちだからこそ芽生えるこの感情がリアルですよね。恋愛的な関係より友情を大切にしたい。でも好きだからムラムラもしてしまう。そんな葛藤が高校生ならではで最高です。最初に表紙を見た時、どっちが攻めか受けかパッと見て分からないのもよかった。絵・ストーリーともに美しいのもオススメのポイントです。

苑生先生は本当にごく普通の高校生を描くのが上手すぎる。思春期ならではの闇の深さや攻め受けの心の揺らぎを丁寧に描いていくから、「最初は嫌がっていたのになんで急に好きになったの?」みたいな脈絡のない展開にならないのがよくて。『被写界深度』で信頼できることが分かったので、『兎の森』もどうなっていくのかすごく楽しみです。

おすすめタグ
あわせて読みたい

関連商品

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2024年春アニメ一覧 4月放送開始
2024年冬アニメ一覧 1月放送開始
2024年夏アニメ一覧 7月放送開始
2024年秋アニメ一覧 10月放送開始
2024春アニメ何観る
2024年春アニメ最速放送日
2024春アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング