
【ネタバレあり】日本を代表する”ロボットアニメ”『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズを総復習! 今さら聞けない『エヴァ』の物語を履修しよう!
謎が明かされ、謎が生まれる(第21話-第24話)
ネルフの動きが過激になっていくにつれて、ネルフの上部組織であるゼーレは冬月やミサトに尋問をするなど牽制をみせます。
第21話ではゼーレの尋問と冬月の受け答えが意味深なセリフとともに語られ、冬月とゲンドウ、そして碇ユイとの出会いが回想で語られていきます。
大学の教授と生徒として出会ったユイと冬月。そしてユイに近づく印象の悪い男・六分儀ゲンドウ。ユイの後ろ盾である謎の組織。その組織がひた隠しにするセカンドインパクトとその原因になったと言われる光の巨人ことアダム。アダムから創り出したエヴァンゲリオン初号機。
冬月はゲンドウの誘いを受け入れ「アダム再生計画」に参加したのでした。
ゼーレを裏切った加持は冬月を救出。その報いを受けて抹殺されてしまいます。ゼーレ、ネルフそして碇ゲンドウが何をしようとしているのか。「真実を知りたいだけ」と冬月に語った加持はその意志を葛城ミサトメッセージとして残し引き継ぎました。
第22話ではアスカの壮絶な幼少期のエピソードが明かされます。ゲヒルン(ネルフの前身組織)の科学者の娘であるアスカは、エヴァの研究によって精神汚染されてしまった母親とネグレクト状態で暮らしていました。母親は最後に自殺してしまい自分1人で強く生きていくことを誓います。
自分が思うように活躍することが出来ていないアスカは、シンクロ率低下による大人たちからの焦燥感や何も言わないレイに対しての自意識などによって追い詰められてしまっていました。
無情にもそこに現れる使徒。またもや衛星軌道からアスカらを見下ろしています。ここで戦果を挙げないとパイロットを降ろされると思ったアスカは作戦を無視し前線へ。すると使徒から神々しい光が発せられアスカを照らします。
その光によってアスカの心理状態に異常が発生。使徒の精神攻撃による精神汚染がみられます。ついに人の心に接触し始めた使徒。アスカは過去の辛い記憶が呼び起こされて精神的に大きなダメージを負ってしまいます。
初号機を失うわけにはいかないゲンドウは零号機を使ってロンギヌスの槍を使い殲滅する作戦をとります。ロンギヌスの槍はアダムが眠るネルフ本部の最深部に保管されており、エヴァとアダムが接触するとインパクトが起こると言われているためミサトは不信感を更につのらせます。
槍を持って現れた零号機は使徒に槍を投げ殲滅。帰還したアスカにねぎらいの言葉をかけるシンジですが、アスカの心中には屈辱感だけが残るのでした。
アスカは完全に自信を無くし、初号機も動かせない状況でロンギヌスの槍を地球外に投擲したことをゼーレもよく思っておらず、ネルフはジリジリと追い詰められています。危機的状況のなか新たな使徒が訪れます。
二重螺旋のリングののような形状をした使徒は応戦した零号機とパイロットの精神へ干渉します。人間に興味を持った使徒が現れレイは自分自身と向き合い涙を流します。
その瞬間に零号機をまたたく間に侵食していく使徒。慌てて初号機の凍結を解除し出撃させます。襲ってくる使徒に応戦する初号機に、使徒はレイのような姿に変形してシンジの元へ行きます。レイのシンジに対する気持ちが使徒の形を変え初号機の元に向かわせたのでした。
初号機とシンジを守るため、レイは使徒を引き戻し使徒を取り込んだ零号機のコアとともに自爆を選択するのでした。数日後、項垂れるシンジ。その姿を見て自分自身の寂しさまでも実感するミサト。レイが見つかったとの連絡を受け、駆けつけるシンジとミサトだがレイ本人は「私は3人目だ」と言うのであった。
一方ではゲンドウの責任逃れのためにリツコはゼーレに尋問という名の陵辱を受けていた。ゲンドウに利用されていることを再確認したリツコはネルフのある施設へ向かう。リツコを尾行していたミサトは彼女の目的の場所に同行することを要求。リツコはシンジも同行させるという条件でそれを許します。
進んだ先には、レイが育った場所と言われる謎の部屋、大量のエヴァの残骸が残された施設がありました。そしてシンジの母親が消えた場所であり、幼い頃のシンジはその一部始終を見ていたとリツコは説明します。
最深部に進んだ3人は驚くべき光景を目の当たりにする。それはレイと全く同じ少女の体が水槽の中に大量に保管されているものでした。リツコの説明によると、15年前神様を見つけ拾おうとした人間は罰(セカンドインパクト)が当たった、それに懲りること無く神様を再生しようとアダムを作った、アダムから作られたものがエヴァだったのです。
そして人が作った魂のない器たちのなかで唯一魂が宿ったのがレイだったと語るリツコ。彼女はどうあがいてもレイには勝てない事に嫉妬し、結局自分も母親と同じゲンドウの都合のいい女である事に失望し、レイのクローン肉体をすべて破壊したのでした。
パイロットも大人たちもそれぞれが、不安や焦燥感、疑念を胸に浮かべながら過ごす中「フィフスチルドレン」渚カヲルが現れます。弐号機とのシンクロテストも難なくこなし、レイやシンジに接触するカヲル。
特にシンジに対しては明らかな「好意」を持っており、憔悴しきっていたシンジの心に寄り添うかのようにカヲルは振る舞います。ミサトは彼がシナリオを進行する差し金だと感じ警戒します。
ミサトの部下が確認した資料によるとカヲルは自分自身の力でエヴァとのシンクロ率を操作できる能力を持つことが発覚。そしてカヲルは弐号機を「アダムの分身、リリン(人間)のしもべ」とよび無人のまま起動させ、アダムが眠る場所へと向かいます。
カヲルは第17使徒タブリスだったのです。ゼーレが直接送り込んできた最後の使徒に驚きを隠せないゲンドウと冬月。すぐさま初号機にカヲルの殲滅を命令。シンジはカヲルを自分自身を騙し裏切った人物とし、追撃に向かうのでした。
カヲルは人類の事をリリンとよび、自身はアダムから生まれたエヴァと同じ存在だと語ります。カヲルを止めようとする初号機を弐号機で足止めし、ついにネルフ最深部・セントラルドグマへとたどり着いたカヲル。しかし彼の様子は一変し、ここに眠っているのはアダムではなくリリスであると語ります。
カヲルはそこですべてを悟り、シンジの手で自分の命を終わらせてくれと頼みます。突然の出来事に驚きを隠せないシンジをカヲルは説得します。自分を殺さねばリリンが絶滅する運命にある、そして自分自身がシンジに感じていた好意は本物であったことを。シンジが乗る初号機は手の中にいる使徒を握りつぶし、その体はセントラルドグマ奥深くへと落ちていきました。
賛否両論!? 『エヴァ』を『エヴァ』たらしめるエピソード(第25話~最終話)
『新世紀エヴァンゲリオン』は全26話構成の物語になっていますが、最後の2話は制作側にも様々な紆余曲折があり一風変わった展開になっております。
それにより当時リアルタイムでテレビを見ていた方々の『エヴァ』に対する感想も多岐にわたっており、ミステリアスさを絶賛するもの、理解が追いつかないもの、不完全燃焼な気持ちを抱いてしまうなど、その結末までもが社会現象になりました。
後にTVアニメ版では描ききれなかった部分を加筆した劇場版(下記にネタバレあり)作品や、新たにスタートした『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズなどでこの25話~最終話を作り直すような形になっています。
ここではTV版の最終2話の概要を示すますので、ぜひ自分の目で確かめてご自身の解釈をしてみるのも楽しみ方の1つだと思います。
25、26話の物語は「すべて誰かの心の中」だけで構成されています。24話でシンジはカヲルを殺しゼーレの計画を阻止したはずですが、なんと人類が1つになるという「人類補完計画」が始動した所から始まったと予測できます(性格には少し違う)。
世界というものの形が無くなってしまい、皆自分の精神世界で自分自身と向き合います。断片的な記憶や、本当に起きていたかもわからない事象、人類補完計画やネルフについての意味深なセリフの数々。葛藤するキャラクターたち。最後にはアフレコブースのような部屋で語りだすキャラクターたち。そして25話が終了します。
最終話冒頭にて、「全てを記すには時間が足りない、シンジの心の補完を語る」とのテロップが映し出されます。
そしてここからはシンジの自問自答が繰り返されるのです。シンジの中にある想い、言われた言葉や思い出が、その持ち主となるキャラクター立ちとともにシンジに何度も襲いかかります。
人に嫌われれたくない、自分が嫌い、人に期待されるのも怖い。これまでシンジの中にあったものが全て溢れます。自分の気持はなんなのか、どこからくるものなのか、本心なのか嘘なのか、自分が求めているものは何なのか、果たして自分に価値はあるのか。
そして自分とは一体何なのか?
徐々に深くなっていく疑問、そして彼なりの答えにたどり着きます。自分が自分であるということ、そして自分の中にある様々な可能性にも気づいていきます。このあたりから、アニメの世界の話なのか、視聴者の話なのかどんどんわからなくなっていきます。
そしてシンジは自分の存在したい世界を見つけます。そして有名なこのセリフで物語は締められます。
「父に、ありがとう。
母に、さようなら。
そして、全ての子供達に
おめでとう」
これが『新世紀エヴァンゲリオン』の最後でありました。シンジだけではなく、見ている視聴者一人ひとりの世界や解釈にまで侵食しようとする使徒のような最終話です。ぜひご自分の目で確かめてみてはいかがでしょうか?





























