映画
『マトリックス レザレクションズ』 小山力也(ネオ/トーマス・アンダーソン役)インタビュー

映画『マトリックス レザレクションズ』日本語吹替版キャスト・小山力也さんが作品への思いを語る『マトリックス』という作品は、僕の人生とリンクしている作品

『マトリックス レザレクションズ』では抗い方がやりどころ

ーー今作を観終わった率直な感想をお聞かせください。

小山:やっぱり人間を信じなくてはいけないんだなと思いました。だから、タイトルに「レザレクション(復活、再生)」が入っているんだと思うんですけど、そうでないと、これからの未来に対する不安が大きすぎる。

その中でどうしていくかといったら、「何とか信じるしかないんだな」と、テーマとしてすごく突き付けてくるような気がしました。そういう意味では、この作品はエンターテインメントではあるんですが、それを越えたところで人の心に長く残るものであると思いました。

ーー作品の中で、印象的なシーンや展開を教えてください。

小山:機械が仲間になっているところです。機械同士が戦うようになっているという設定も、とてもリアリティーを持って感じられますし、その中である部分、機械が仲間になっているということも、これから現実に起こり得るような気がしますね。

その中でも抗っている人間が不信もあれば、でも信じないと立ち向かえないこともある。そういった中で信頼を取り戻していくというところがリアリティーを持って迫ってきたんだなと思いました。

ーー今回の作品では新キャラクターが登場しますが、その中で気になるキャラクターがいれば教えてください。

小山:ニューリーダーのバッグス(演:ジェシカ・ヘンウィック/日本語版:内田真礼)はとても魅力的ですね。キアヌ自身も年を取って、僕も人生後半戦に入って、今回の映画では若いリーダーが活躍していますよね。

彼女は強いし、かわいいし、賢いし、とても魅力的だなと思っています。「彼女にだったら、任せてみたい」とか、「彼女にだったら、一発蹴られてみたい」とかね(笑)。そういうことを勝手に想像します。

ーー今作ではこれまでの作品以上に人間ドラマが色濃く描かれていたような気がしました。ネオ/トーマス・アンダーソンというキャラクターの迷いや苦しみや繊細な部分がよく表現されていたなと感じたのですが、小山さんご自身はキャラクターの心情表現を意識されましたか。

小山:やっぱりそれは大きいです。キアヌさん自身も役の中でもそうだけども、ひとつこれで区切りがついたと思っていたら、まだ物語は続いていた。現在進行形なんだというその驚きと焦りと不安はありますし、そこから再生するまでにかかる時間と人の繋がりを信じることができるまでの時間と葛藤とがありますよね。

作品はこれだけフィクションの世界であるにも関わらず、そういった人間の心の移り変わりが非常にリアルですので、そこにとても惹かれましたし、それを大事に演じていらっしゃると思いますので、だからあえて、そんなにかっこよくしませんでした。

肉体は必ず老いていくものですし、それに抗いながらも、やっぱり老いていくし、どんなにかっこよく決めつけようと思っていても、虚飾ははがれていくようなところがありますから、そういうところもあえてキアヌさんは素直に出していらっしゃる気がしますので、その辺が魅力に繋がっていると思います。

ーーアクションシーンは前作のキレを感じるというよりは、重厚感があった印象を受けたんですが、小山さんご自身もあえて今作では自然に演じることを意識しましたか。

小山:そうかもしれませんね。とにかく、「瞬間瞬間の一挙手一投足を大事に」と思って演じると、自然にそうなりますかね。どれだけできているかはわかりませんけども、目指すところはそこですね。

他の作品やゲームの世界でかっこよく決めるのと、こういう立場に置かれた人間が、それでも何とか自信を取り戻そうとしながら戦うのとは、違いますからね。偉そうですけど、その辺の抗い方がやりどころではありました。

ーー小山さんが感じる今作の魅力をお聞かせください。

小山:この作品に関しては、人間の再生、復活を一番のテーマにしていますから、いろいろなことを連想しますよね。災害にしろ、国と国との関係にしろ、環境問題にしろ、いろいろなものが現実問題も避けられないところまで来ているなと感じています。

その中で、娯楽としてもちろん楽しむんだけど、娯楽が人の心に残るためには、自分自身に置き換えられるテーマがなければならない。その一人一人に与えるテーマが普遍的なものでなくてはならないし、それがたとえば、社会を考えるものになっていかなければならないし、自然を考えるものになっていかなければならないということですよね。

名作はどれもそういうふうに繋がっていくと思いますね。そういうことを何とか大事にしたいと思いながら演じました。

キアヌ・リーブスという俳優について

ーーこれまで『マトリックス』シリーズだけでなく、他のキアヌ・リーブス出演作品の日本語吹替版にも多数参加されていますが、キアヌ・リーブスの演技や魅力をどのように感じていますか。

小山:本当に子どもがそのまま大人になったような方だなと思いますね。お目にかかったことはないんですけど、とても素直で誰に対しても裏表のない方で、心のきれいな人だと感じています。

もっとアクションとしてかっこよくできるところもあるんだけど、あえてご自身のナチュラルな心のままの動きをなさっているところがあって。手の上げ方一つにしても子供っぽいなとか、何か小さい子が公園で遊んでいるみたいな印象があったりして、そういうところが彼の良さかなと思います。

ーーキアヌ・リーブスの吹替のお仕事をされる際に表現する、彼ならではの特徴のようなものはありますか。

小山:キアヌさんは特に素直に反応してらっしゃいますので、キアヌさんの喜怒哀楽と、その時の瞬間の表情、そういうものを大事に、それをこちらで汚い日本語で潰さないようにということを考えますね。

たとえば、トリニティーを見た時の顔のアップの表情のちょっとした変化とか、そういう自然なお芝居が上手な人ですね。形にとらわれないで、そういう子どもが自然に思わず顔に出てしまうような、良いことも悪いことも「あっ、見つかっちゃった」という感じがあるので、そういったところを汚さないようにとかは考えますね。

ーーキアヌ・リーブスに会う機会があれば、どんなことを聞いてみたいですか。

小山:子ども時代のこととか聞いてみたいですね。「どんなふうに育ったのか」とか、「どんな本を読みました?」とか、「どんな映画を観ましたか?」とか聞いてみたいですね。「悲しかったことはありますか?」とか、そんなことを聞いて、何か一つでも人生のヒントが得られたら嬉しいですよね。

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