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映画『文豪ストレイドッグス BEAST』谷口賢志&田淵累生インタビュー

太宰治にとって織田作之助は“生きる意味”|映画『文豪ストレイドッグス BEAST』谷口賢志さん&田淵累生さんインタビュー

スタッフ全員が泣いた撮影現場

ーー撮影中のエピソードがありましたら、ぜひ教えてください!

田淵:賢志さんと一言も喋らずに撮影が始まったので、めちゃくちゃ怖かったです(笑)

谷口:撮影前に打ち解けたり仲良くしたりするのが、何となく嫌だったんです。“if”なので会うのは画面の中だけにしようと。しかも、織田は太宰を知らないわけじゃないですか。

ーーそうですね。このifストーリーの中で織田は太宰のことを知りません。

谷口:ただ、残念ながら、知っているシーンから撮影が始まったので、いきなりここからかい!いやいや、会ったばかりだよ!?と思いました(笑)

田淵:あはははは(笑)

谷口:でも、いざ撮影が始まってお互いの姿を見ると、感情が爆発したのか累生の涙が止まらないんです。その姿を見て僕も涙が止まんなくなっちゃって、「2人とも泣きすぎなのでこれは使えません」というエピソードがありました。

ーーそれはすごく胸に響くエピソード……。

谷口:あと、役者にとってカットがかかった後のモニターチェックが結構大事なんですけど、プロデューサーがモニターの前から離れなくて僕らがチェックできませんでした(笑)

一同:(笑)

谷口:監督がOKを言う前に、プロデューサーがモニター前で「良いね!良い!」となっていて(笑) プロデューサーをはじめとしたスタッフが世界観に入り込んでいました。そういうところが『文ステ』の良いところだよね。

田淵:間違いないです!

谷口:撮影でもスタッフが世界に入り込んでいて、全員が泣いていたりするんです。それがとっても『文豪ストレイドッグス』らしいなと。もちろん、緊張感はありますが、愛が溢れていた現場でした。

実は、それぞれの撮影期間が短いだけで、映画を撮影する期間はそんなに短くはなかったんですが、僕は荒木くんのせいでキャストの中で1番撮影期間が長くなりました(笑)

一同:(笑)

ーーなぜ荒木さんのせいなのですが?

谷口:荒木くんはそのとき全国を回っていたので、スケジュールが合わなかったんです。

ーーなるほど!

谷口:天才に見えて努力派な彼が演じる坂口安吾は難しいセリフをバーッと言う役なんですけど全然言えなくて(笑) 撮影に遅れてきて言えないのかい!とふざけてツッコんだら、彼はメガネを直しながら何もなかったように飄々としているんです。

田淵:(笑)

谷口:その姿に荒木くんらしさを感じました。あと、たまたま、荒木くんの撮影日が全体のオールアップだったんですけど、1日だけ撮影に来た彼が全部やりました感たっぷりに帰っていったんですよね。それがすごく面白くて(笑)

ーー想像しただけでも面白いです……(笑)

谷口:そこを含め、キャストもスタッフも愛があるなぁと思いました。舞台だとその場で稽古をしている姿や本番中も「熱く戦っているな」「あそこのセリフめちゃくちゃ気持ち込めているな」と目の前でわかるじゃないですか。

でも、映画だとどんなシーンが撮られているのか、何をしているのかわからないので、みんなが一発勝負なんです。スタッフから「鳥越くんと橋本くんの立ち回りすごかったよ」と聞いたら「僕もこのテーブルを飛ぶしかないか」と気合いが入ったり、そういう相乗効果が面白かったです。

ーー太宰と織田はそれぞれ中島敦と芥川龍之介と一緒にいることが多かったと思います。鳥越さんの中島敦と橋本さんの芥川龍之介と対峙して、それぞれどのように感じられましたか?

田淵:実は撮影中、織田作のことしか考えていなくて……

谷口:おい!

(予想外の言葉に、胸に手を置く取材陣)

谷口:いやいや、キュンとしている場合じゃないですよ!

田淵:あはははは(笑)

谷口:でも、そうだね。織田作のための「BEAST」だから間違ってはいないよね。

ーーすみません。こちらも取り乱してしまいました……改めて、それぞれ中島敦と芥川龍之介と対峙してどのように感じられましたか?

田淵:敦がポートマフィアに入って、今後光の世界に戻してあげることは可能かもしれませんが、芥川は同じようにポートマフィアに入っても光の世界に行かせるのは難しいなと感じました。なので、このifが結果的には正解なのかなと。その芥川を織田に引き合わせることで太宰と同じで“良い人間になるかもしれない”という期待も込めてこうしたのかな、と考えながら演じていました。

谷口:僕の場合、祥平がどう云々よりも織田自身、武装探偵社が初めてなので自分のデスクがあることにびっくりしました。国木田とかに「織田!」と呼ばれますが、「お前誰だよ!?」と(笑)

一同:(笑)

谷口:でも、そういう新鮮さがとても楽しかったです。もちろん、武装探偵社のキャストは知っていたので、織田を受け入れてくれている空気感が伝わってきましたし、“武装探偵社はなんてあったかいんだろう”、“殺伐としていないなぁ”と思いました。

ーーそうですね。武装探偵社とポートマフィアでは、まったく空気感が違いますから。

谷口:あと、あまり褒めたくないんですけど、今回改めて橋本祥平という役者はすごいなと思いました。ここ最近の祥平は役者として何段階が上がっているというか、シンプルにすごいなと思わせるお芝居をしていたので、織田作之助としては子供たちといる芥川はヤバかったですね。“うわぁ~”って思いました。

ーー確かに、あのシーンはすごいくるものがありました。

谷口:あのシーンは見ていて楽しかったですし、一瞬でも芥川に光が射せば良いなと思っていたので。それにしても、祥平のお芝居は本当にすごかったです。

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