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- わたなべみきこ
- 出産を機にライターになる。『シャーマンキング』『鋼の錬金術師』『アイドリッシュセブン』と好きなジャンルは様々。

突然ですが、和久井健先生の漫画作品『東京卍リベンジャーズ(略称:東リベ/東卍)』はお好きですか?
人生どん底のフリーター生活を送る26歳の主人公・花垣武道が、暴走族・東京卍會の抗争に巻き込まれ死亡した中学校時代の彼女・橘日向を救うため、12年前にタイムリープし未来を変えようと奮闘する姿を描いた人気作品です。
不良×SFという面白さや仲間や友達同士の絆によって生まれる人間模様が多くの人を虜にし、アニメ化、実写映画化、舞台化を遂げました。さらに、アニメは続編の製作が決定しており、舞台も本日3月18日から続編の公演が行われます。
不良モノになんとなくアレルギーのあった私ですが、「話題になってるし、ちょっと見てみるか……」とアニメを見始めるとあれよあれよという間にどハマり。どこまでも弱い、けれど泥臭く足掻く武道に、最強ながらどこか憂いを帯びたマイキーに、周囲に格好良い男がたくさんいるのに一途に武道を想う日向に、魅了されていきました。
そんな時、2.5次元の舞台の沼にどハマりしている友人のリツイートで、『舞台 東京リベンジャーズ』のキービジュアルを目にし、驚愕しました。
「リアルマイキーがいる……」
これまで2.5次元の舞台は一度も見たことがなく、ハマっている友人達は多数いても、10年近く様子見を続けていた私。ところが、キービジュアルを見た瞬間、「これは観ないといけない気がする」と天啓を受けたような感覚に。
その感覚が鮮明なうちに配信チケットを購入。友人達にも「観るぞ!」と宣言し、いざ迎えた配信当日。そこには、私の想像を遥かに超える2.5次元俳優さん達の熱い舞台がありました。
そこで今回は、いよいよ今日から「血のハロウィン編」の公演が行われる『舞台 東京リベンジャーズ(通称・リベステ)』の魅力について2.5次元舞台初心者の私がお伝えしていこうと思います。『舞台 東京リベンジャーズ』は原作ファン、アニメファンにこそ見て欲しい作品です!
原作やアニメのファンとしては、実写映画や舞台になったときにその作品の世界観を壊してほしくないもの。『東京リベンジャーズ』の世界観といえば、タイムリープというSF要素以外は、不良達の友情、仲間、喧嘩などの人間模様が泥臭く、そして熱く描かれているのが特徴です。
『リベステ』では、そんな魅力的な不良達を俳優さん達が全力の演技で表現。その体当たりっぷりが、感情的にも物理的にもぶつかり合うキャラクター達の人間模様と重なり『東京リベンジャーズ』らしい世界観となっています。
私が、こんなこともできるのか!?と驚いたのは、松田凌さん演じるマイキーの目に光がないこと。
原作やアニメでも、基本的に光のない目(死んだ目)をしているマイキーですが、絵であれば瞳孔を書かないことで表現することができます。しかし、それを生身の人間が舞台上で表現することができるとは思いませんでした。
確かに、見た目をどれだけマイキーに寄せていても、目に光が灯った途端、マイキーではなくなってしまうでしょう。全ての公演が終了した後の某動画配信サイトの生放送で松田さんご本人が「舞台上だと常に伏し目がちにしてたから」とお話しされていて、意識して光を消していたんだと改めて驚愕しました。(当然、マイキーになっていない松田さんにはちゃんと目に光があります。)
全力を尽くした演技の中に、細かいけれどそのキャラクターには絶対に必要な要素が入っている俳優さん達の演技力を感じられるのは、原作やアニメを見ているファンならでは。キャラが本当に舞台上に実在しているような感覚をぜひ味わってみていただきたいです!
アニメを見ていた私の脳内には、声優さん達が当てたそのキャラクターの声が記憶されています。これは私に限らず、アニメ『東京リベンジャーズ』のファンの方の多くが該当することではないでしょうか。
しかし、『リベステ』を見ている途中で気づきました。声に違和感がない、と。役者さん達の声がアニメのCVとかなり似ているのです。これが彼らが“2.5次元俳優”と呼ばれる所以なのだと思いました。
私が特に似ているなと感じたのは、ヒロインの日向です。アニメでは和氣あず未さんが声を担当されており、その特徴といえば、可愛らしいながらも強い意志を感じる凛とした声だと思います。
舞台では日向を演じる花瀬琴音さんも、普段のシーンでは女子中学生らしい可愛い声ながら、武道を励ましたり、かばったりするシーンでは凛々しく強い意志を感じる声で、それは「和気あず未さん声当ててる!?」と一瞬思ったほど。
俳優さん達がアニメを見ているのかはわかりませんし(おそらく見ていらっしゃると思いますが)、声を意識して寄せているのかもわかりません。もしかしたら、そのキャラクターの性格やまとっているオーラなどを考慮すると必然的に声が似ていくということもあるかもしれません。
いずれにせよ、アニメを見ていた方でもキャラクターの声に違和感をさほど感じることなく楽しめるでしょう。むしろ、アニメを見ていた方にこそ、私の味わった「声似てる……!」という驚きを感じて欲しいと思います!
『東京リベンジャーズ』最大の特徴は、武道が現代と過去を行き来することではないでしょうか。言わずもがな、物語の鍵となる力でもあります。それを舞台上では光を使って表現しているのです。
光を使うといっても、カラフルな色ではなく、シンプルな白い照明が使われるだけ。しかし、光の向きや強さによって、非現実的なタイムリープが起こっていることがわかるように表現されています。
タイムリープは、日向の弟・直人と武道が握手することで起こりますが、光を舞台側から当てることで握手した二人のシルエットが映し出されたり、他の全ての照明が落とされた状態で握った手の部分にだけ光が当てられ、固く握りあった手元だけが浮かび上がったりと、演出のバリエーションも一辺倒ではありません。
光でこんな表現ができることにも、そのバリエーションの豊かさにもとても驚きました。続編ではタイムリープでどんな演出が用意されているのか、ぜひ注目していただきたいポイントです。
アニメ『東京リベンジャーズ』ファンの私が舞台を観終わって感じたことは、「解釈違い一切無し!」でした。世界観、キャラクター、各シーンなど全てにおいて完璧に『東京リベンジャーズ』の世界が舞台上に作られていました。(当たり前かもしれませんが……)
そこまでしっかりとした『東リベ』の世界が作られているので、アニメの同じシーンを脳内で重ねながら舞台を観てしまっていました。ですが、それもまた良い意味でアニメとの比較ができて面白かったです。
何よりも役者さん達の熱い演技によって紡がれていくストーリーには胸を打たれるものがあります。アニメで同じシーンを観ていますが、生身の人間が演じるからこその熱や生々しさを感じられるのが舞台の醍醐味なのだと知りました。
続編『舞台 東京リベンジャーズ -血のハロウィン編-』は、本日3月18日(金)から公演がスタートし、最終公演は4月3日(日)です。ライブ配信も予定されているので、この機会にぜひ一度“2.5次元舞台”の世界に足を踏み入れてみてください。
[文:わたなべみきこ]

1990年生まれ、福岡県出身。小学生の頃『シャーマンキング』でオタクになり、以降『鋼の錬金術師』『今日からマ王!』『おおきく振りかぶって』などの作品と共に青春時代を過ごす。結婚・出産を機にライターとなり、現在はアプリゲーム『アイドリッシュセブン』を中心に様々な作品を楽しみつつ、面白い記事とは……?を考える日々。BUMP OF CHICKENとUNISON SQUARE GARDENの熱烈なファン。

『舞台 東京リベンジャーズ -血のハロウィン編-』公式サイト
舞台「東京リベンジャーズ」公式Twitter