
アニメ『ULTRAMAN』SEASON2 神山健治&荒牧伸志監督インタビュー|原作のエッセンスを残しつつ物語を構築するために『ウルトラセブン』から取り入れられたアイディアとは!?
ウルトラマンスーツのCG制作やタロウのスーツ着用に関する裏話も
――SEASON2から登場するタロウ、ジャック、ゾフィーのスーツについて、みどころや注目ポイントを教えてください。
荒牧:基本的には原作コミック通りです。制作時の段取りから説明させてもらうと、円谷プロさんに公式のデザインから起こした商品化用の3DCADデータをいただき、それをこちらでアニメーション用のデータに落とし込みます。その時からカッチリしたデータがくるのですが、僕から見ると少し足りない部分があって。
それがどういう部分なのかというと、原作コミックでは清水さんがデザインし下口さんが漫画にする作業をしていると思うのですが、僕は下口さんが段々とこなれてニュアンスを変えていく部分がかっこいいところだと感じていて。それをもう少しだけ反映したほうがモデルの見栄えがアップするので、指示して直してもらったシーンがいくつかあります。
神山:ギミックとかは、漫画ではできないCGならではの良さが出ているよね。
荒牧:ヘルメットの部分が開いたり閉まったりとか、スーツの装着の部分ですね。特に光太郎の装着シーンは見せ場になりますので、SEASON1から引き続き、こちらでどういう風に装着するかアイディアを練りました。
技を出すときに炎を噴射して、強力な技を出すと炎が青くなってみたいなところは注目です。シリーズ監督の内山寛基さんが頑張ってくれました。
――新スーツにも特撮のウルトラマンの要素を取り入れたりしているのでしょうか?
荒牧:僕らは最初の『ウルトラマン』から見ている世代で、『ウルトラマンタロウ』の存在は知っていて視聴もしていたのですが、毎週追いかけるのは難しくカバーできていなかったところがあります。
ですがシリーズ監督として入ってくれた内山さんがドンピシャ世代で、彼の中にやりたいことがたくさんあったので、そのこだわりをぜんぶ詰め込んで欲しいとお願いしました。
現場のスタッフになるともっと若い世代が多いので、ウルトラ6兄弟は知らない人も多いんです。なので、そのあたりは彼が一手に担ってくれたところです。
神山:ハリウッド映画やマーベル作品だったり、世界中でこういったものが進化している中で、それらの良いところを上手くアップデートして持ってきているギミックもたくさんあります。僕らの世代はお互い影響されあうと言いますか、やっぱり日本はいつもハリウッドに影響されているので(笑)。
――自分もこの作品を初めて知ったのがSEASON1からだったので、当初は少し『アイアンマン』っぽいと感じちゃったことがありました。
荒牧:それを言うと清水さんたちに怒られるので、あまり言わないんだけれども(笑)。
神山:でも避けては通れないよね。そういうものがある中で、それを無視して旧作の要素だけで作るのは難しいよなとは思っていました。
荒牧:原作コミックでもそのあたりのデザインは、質感とか描き方を含めて日本のアニメと特撮がブラッシュアップしてきた成果だと思います。でもそれで言うと、実は清水さんから最初はカメラをスーツのヘルメットの中に入れないでくれと言われていました。あの見せ方は僕ら的にはやりたくないからと。
ですがアニメでは敢えてこれをやることで、それらしい絵にしたいと要望して実現しました。
――原作サイドの許可という話で思い出したのですが、原作のあとがきで光太郎にスーツを着せることにかなり葛藤があったというような話がありましたが……
神山:そこもアニメの事情を大分説明しました。
荒牧:よく書かれていましたね。随分理解を示してくださいました。
神山:清水さんは『ウルトラマン』という作品を換骨奪胎して自分なりの解釈を入れてアプローチしているので、全員が同じようにスーツを着るという文脈じゃなくていいんじゃないか? というところは絶対に譲れないこだわりがあったんだと思います。
それとは別に、そうはいうけどスーツを着て欲しいというファンの声もあったと思うんです。だから、清水さんにも多分抗えない何かがあったんじゃないかなと。そういう意味ではファンも作品を作っているんだよね。だからそこは事前に相談させてもらって、前倒しさせていただきました。
荒牧:周りの期待感とか、圧はあったと思います。
神山:早く着させろみたいな声なき声が聞こえてくるみたいなね。















































