『其れ、則ちスケッチ。』声優のキャステキングに迫る!監督インタビュー【後編】

「フォークダンスDE成子坂」名作コントが原作『其れ、則ちスケッチ。』声優キャスティングの妙を石ダテコー太郎監督が語る!インタビュー【後編】

かつて一斉を風靡したお笑い芸人「フォークダンスDE成子坂」のコントを題材にした3DCG動画作品『其れ、則ちスケッチ。』(略称、それすけ)。もともとはクラウドファンディングの企画としてスタートしたプロジェクトだが、なんと2022年4月からテレビ放送が始まる。

作品の監督を務めるのは『gdgd妖精s』や『直球表題ロボットアニメ』、『てさぐれ!部活もの』などを手掛けてきた石ダテコー太郎監督で、キャラクターデザインや世界観の構築は吉崎観音さんが担当する。

インタビュー後編の今回は、石ダテ監督が生み出す笑いの秘密や、フォークダンスDE成子坂さんへの感謝の気持ちなどを中心に伺った。


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石ダテコー太郎監督作品の「笑い」の秘密、お互いを困惑させるふたりの組み

――石ダテ監督がキャストを決めるときは、どこを見て決めているのでしょか?

石ダテ:僕が作る番組はすべてそうなのですが、似たもの同士を選ばないようにしています。女性ふたりを組ませるときは、学生時代に同級生だったら別々のグループに所属しているようなふたりを選びます。

――それはなぜでしょうか?

石ダテ:女子のコミュニケーションは「共感」を大切にします。なにか共通点を見つけて、そこを頼って親しくなろうとする人が多いです。それは日常生活ではいいことだと思いますが、お客さんがいるエンターテインメントとしてはおもしろくなりません。ふたりが共感し合っているだけで、ギャラリーは置いてけぼりになってしまうからです。

――なるほど!

石ダテ:反対に異なるタイプの女子を近づけた場合、ふたりは一生懸命に蜘蛛の糸をたぐり寄せようとします。なんとかして共通点を見つけようとするけど、元々違うタイプの人間なので、思いもよらなかったことに驚いてしまい、ふたりはお互いに振り回し合ってくれます。そうなってくれると、観客は困惑し合っている姿を見ておもしろがってくれるんです。だから、仲の良いふたりにラジオをやらせると、あまりおもしろくならないんです。

――石ダテ監督のキャスティングの秘訣を聞いてしまいました。書いちゃっていいのですか?(笑)

石ダテ:どうぞどうぞ。誰かのキャスティングの参考になるのならば嬉しいです(笑)。ですが、そのためには本人たちに直接会って30分くらい会話をして、その人の本質を見抜くスキルが必要になってくると思います。誰にでもできることではないように感じます。そもそも、「この人とこの人を組み合わせると、お互いを振り回し合うからおもしろいぞ」なんて、そういう目線で人間を観察している人は少ないと思います。

一同:(笑)

石ダテ:僕だけじゃなく、お笑いを経験していた人間は、みんな「お笑い病」にかかってますからね。人間の見方が違うんだと思います。

――お笑い病ですか(笑)。

石ダテ:僕はよく「お笑いサイコパス」と言われているくらい、共感とか他人の感情に興味がないんです。随分と昔に芸人をやめたいまも「おもしろく見えるにはどう立ち回ればいいか」というゲームをしてしまっているんです。

吉崎観音さんのアイデアをふんだんに取り入れた世界観や演出、ストーリー

――作中について伺います。『それすけ』の企画を始めたころから、テレビ放送は視野に入れていたのでしょうか?

石ダテ:いや、まったく考えていませんでした。テレビ放送はつい先日、急に決まった感じです。テレビ局の担当の方がYouTubeで公開している『それすけ』の動画を見てくださり、おもしろがってくれて、お話をいただけました。

――テレビ版はどのような内容になりますか?

石ダテ:30分枠で全6回放送です。『それすけ』はだいたい10〜15分なので、2本ずつつなげて6週放送する予定です。30分に満たない部分は新たに作りますが、本編の内容は同じです。

――新たに作る部分はどこですか?

石ダテ:具体的にはエンディングですね。YouTube版のエンディングに入れている「サバイバル豆知識」はご好評いただいていますが、テレビでやるなら全体的にドキュメンタリーっぽく見えた方が異色な感じに映ると思うので、テレビ版には入れないことにしました。なのでYouTubeだけのお楽しみってことにしようかと思っています。

――『それすけ』の本編に入る前に、まるでスマホで撮影したような縦画面が流れます。あの演出の意図は?

石ダテ:おっしゃる通り、ハジメとチヅルが自分たちで記録撮影している雰囲気を出したかったからです。最近は縦の映像が使われるアニメもありますから、違和感はないと判断しました。

――意外だったのは、本編の背景が実写映像だったところです。これも思惑があるのでしょうか?

石ダテ:それは吉崎さんのアイデアです。「せっかくきれいな島があるなら、すべて実写にしちゃうのもいいのでは?」と提案してくださったので、採用させていただきました。もちろん単純に作るのが楽だっていうこともあります。

――実写背景とCGキャラクターを合成するとなると、トラッキングに手間がかかりそうだと思いました。

石ダテ:そうですね。実は『それすけ』の映像編集は、すべて僕の家内がやっているんです。

――えっ!? 奥様が?

石ダテ:はい。うちの家内はCG屋なんです。あまり言ってないかもしれませんが、これまでの作品でもアニメーターや撮影として参加してくれたりしています。

――知りませんでした。

石ダテ:『それすけ』はクラウドファンディングで作っているし、足りない分は融資を受けていて予算が潤沢ではありません。なので、今回は無理を言って家内にひとりで編集してもらっています。さらに石ダテ家の事情を言うと、1年数ヵ月前に子供が産まれたんです。だから家内に作業をしてもらっている時間は、僕がずっと子供の世話をしなければならないんです。ふたりで作って予算を削減するはずだったのに、僕か家内か、どちらかしか働けない状態です。ウルトラセブンとモロボシ・ダンみたいな感じですね(笑)。

――それは仕方がありません(笑)。

石ダテ:しかもいまのところ『それすけ』にはまだ売り物と言える売り物がなく、ボランティアのような状態です。なので現在石ダテ家は、夫婦が週7日で全力のボランティアをしています。嫁がブチ切れないのが不思議なくらいです。

一同:(笑)

石ダテ:というのは冗談で、クリエイターだからモノ造りの苦労をわかっているし、僕の師匠の作品を世に残すプロジェクトなので、善意でやってくれています。本当に頭が上がりませんね(笑)。

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