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視聴者の常識も「逃し屋」たちがぶち壊す!? ツッコミどころ満載だけどなぜだか翌週も見たくなるスルメ的TVアニメ『エスタブライフ グレイトエスケープ』をレビュー

ツッコミどころ満載でなぜだか翌週も見たくなると話題のTVアニメ『エスタブライフ グレイトエスケープ』。原案・クリエイティブ統括に谷口悟朗氏、監督に橋本裕之氏、シリーズ構成・脚本に賀東招二氏、そしてアニメーション制作がポリゴン・ピクチュアズという強力な布陣で送る本作の魅力に迫っていきたいと思う。
(フジテレビ「+Ultra」で現在放送中。FODで先行独占配信、FOD・TVer・GYAO! にて毎週1週間限定の無料見逃し配信を行っている。)

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かわいさとは何なのか……。かわいいに隙がない作品が登場!

4月よりフジテレビ「+Ultra」にて放送されているTVアニメ『エスタブライフ グレイトエスケープ』。谷口悟朗オリジナル企画として、魔改造された「東京」を舞台に、TVアニメ、スマホゲーム、映画と、メディアミックス展開をしていく作品だ。

谷口悟朗氏といえば、『プラネテス』『コードギアス 反逆のルルーシュ』シリーズなどのイメージがあるが、TVアニメ『エスタブライフ グレイトエスケープ』では、原案・クリエイティブ統括という立場で、監督は『ご注文はうさぎですか?』シリーズ、『スロウスタート』の橋本裕之氏が務める。

橋本監督と言えば『魔法少女育成計画』などのイメージもあるが、今回は“『ごちうさ』感”を求めての起用であったことがインタビューでも明かされていた(https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1650334614&p=3)。ただ本作のアニメーション制作は、3DCGアニメの先駆者とされるスタジオ、ポリゴン・ピクチュアズである。

ポリゴン・ピクチュアズ作品といえば、『シドニアの騎士』シリーズや『亜人』『空挺ドラゴンズ』といった、どちらかというと硬派な作品の印象が強い。“かわいい”と結びつかない視聴者も多かったと思うし、実際、今回が初の美少女作品となる。橋本監督×ポリゴン・ピクチュアズが、どのような回答を本作で出してくれるのか……そこを一番楽しみにしていたのだが、やはり橋本監督は“かわいい”のマエストロだ。CGでもしっかり“かわいい”を実現していた。

セルルックのCGアニメーションで、“かわいい”を表現するのは難しいとされている。最近では、ライブシーンがあるアニメを中心に、“かわいい”をCGでも十分表現できるようになってきたし、ライブシーンに関しては、もはやCGでも手描きと遜色がないし、むしろそれ以上のことができるようになってきていると思う。だが、依然としてドラマ部分を手描きにするアニメが多いのは、やはりまだ難しさがあるからなのだろう。

確かに顔の表情の自由度は高くなってきたし、豊かになってきたと思うが、実は“かわいい”は顔だけでは作ることはできない。顔と連動した体の微妙な傾き、立ち姿やひとつひとつの仕草、さらには体のラインの見せ方まで含めて“かわいい”は作られる。

しかもそれが声にぴったり合っていなければならないので、アニメーターのセンスが非常に重要になってくるのだが、その動かし方にセンスがあるように感じた。それはきっと、監督の手腕によるところが大きいのだと思う。

今回、CGレンダリングソフトウェア「PPixel(ピクセル)」を採用したことで、手描きのペンの強弱を再現したタッチができるようになっていたり、眉毛の動きがわかりやすくなったことも大きいが、それよりも、絵全体で“かわいい”に説得力を持たせているところが素晴らしかった。だからこそキャラクターに愛着が湧くし、違和感なくドラマに自然にのめり込むことができる。

しかも第2話の一発屋のトイチ(CV.青山穣)の夢や、第3話に関しては秘密警察のミールペン(CV.草尾毅)のかわいい効果音に至るまで、美少女キャラクターだけではなく、全方位に“かわいい”を振り切っているあたり、まったく隙がない! アルガ(CV.速水奨)のAIロボットなのに口が悪い(でも声が渋カッコいい)、ウルラ(CV.三木眞一郎)が狼獣人で「ワン」しかしゃべらない(でも声が渋カッコいい)というのも、じわじわとかわいく思えてしまうから面白い。

ライトだからこそ伝わるもの。背景美術含め、超魅力的な世界観

ストーリーは、逃がし屋である主人公グループが、何らかの事情でにっちもさっちも行かなくなってしまった者に対して「逃げたっていい」と背中を押すもので、逃げたらダメという時代ではなくなってきた現代社会に生きる我々に訴えかけてくるものがある。

だからこそ、第2話の「逃げるのは生きるためです。それを選んだ人を私は絶対に見捨てません」というセリフは、心にグッときてもおかしくない名言・名シーンだったのだが、内容的にはヤクザ親分が魔法少女になるために新宿から逃げたいというものだったので、視聴者からすると、深刻なのかそうでもないのかよくわからなくなってしまう。

だが、この緩急・緊張と緩和が賀東招二脚本(『フルメタル・パニック? ふもっふ』『氷菓』など)の面白さであり、このライトさがあるからこそ、メッセージ性を引き立たせることに成功していると思う。

すごく深刻な社会問題を取り上げて、それに対するメッセージを伝えると、その当事者にしか響かないものになるかもしれないが、ユーモアの中に、好きなものをするために、今いる状況を変えたっていいんだよ!と大きなメッセージをさり気なく組み込む構造になっているので、なんとなく心に残る。その上、深く読み解くと社会風刺の要素もあったりするので奥深い。

本作の1話から4話までは、そこから逃げられない者たちを、逃がすということが主題になっていたので、世界観などを笑いながら軽い気持ちで見ていると、意外と自分の心の内にあるモヤモヤが晴れたりするかもしれない。

どこから逃げるのかという部分をさらに説明すると、『エスタブライフ グレイトエスケープ』では、魔改造された「東京」という舞台が関係している。この世界では、壁に囲まれた多様の“クラスタ”が存在していて、たとえば、「御茶ノ水大学園都市」(第1話)、「新宿ヤクザ街」(第2話)、「池袋ペン人街」(第3話)、大台場温泉郷(第5話)といったように、その街を象徴する景観や価値観を有している。池袋がペンギンなんだ!など、切り取り方が遊び心に溢れていて、ある意味ツッコミどころも満載なのだ。

さらにこの世界では多様性人類(※常人、獣人、魔族などの遺伝子改造によって生み出された多様な人種のこと)が暮らしているので、池袋にはペン人(ペンギン獣人)しか存在しないし、価値観という意味で、大台場ではノーパンでなければならないといった変なルールが存在する。“クラスタ”間には関所があり、物流などもなく、それぞれが独自の社会を築きあげている。

そこの住人も代々適性がある人が暮らしているため、基本的にはその常識に疑問に感じずに生きている。ただその常識に馴染まない人やエラー的存在が極稀に現れ、壁の向こうへ行きたがるというわけだ。そしてその“クラスタ”から抜け出したい人たちのために「逃がし屋」が存在する。

といっても、このあたりの説明がアニメで詳しくされているわけでもなく、“クラスタ”の背景美術の素晴らしさや常識の面白さなどを楽しみながら見るように設計されているように思う。それは「あまり深く考えずに、とりあえずはこの世界観を楽しんでね」というスタッフからのメッセージなのだろう。

逃がし屋の美少女3人。彼女たちのかわいさがやはり魅力

最後に、逃がし屋の女の子3人の紹介もしておきたい。エクア(CV.嶺内ともみ)は、逃げたいと思っている人は誰でも逃がすという強い意思があり、それが行き過ぎてしまうときに“サイコパスみ”を感じてしまうキャラクター。なぜそういう想いを持つようになったのかなどの説明が特にあるわけではないのだが、エクアはそういう子なのだという説得力が、嶺内さんの声や芝居にはある。純粋すぎるゆえに狂気も感じるし、それが同時に神のようにも見えるという、ある意味不思議な魅力がある、謎多きリーダーだ。

フェレス(CV.高橋李依)はガンウィザードで、その能力の高さは第2話で証明されていた。「今回だけだぞ!」と言いながら、エクアにお願いされると何でも言うことを聞いてしまうという、いわゆるツンデレで、クールな見た目に反して実はかわいいものが大好き。

そしてマルテース(CV.長縄まりあ)は、お芝居面でいうとアドリブが多かったのだろうなと思うくらい、細かいニュアンスが面白く、思わずクスッと笑ってしまう。エクアのことが大好き過ぎる後輩で、基本全ての判断基準がエクア。スライム人間で、スライム化すると人間の姿に戻ったときに全裸になるというサービスまであるキャラクターだ。

▲左からマルテース、エクア、フェレス

▲左からマルテース、エクア、フェレス

基本的に、この3人のやり取りが中心で物語は展開されていく。社会の裏側で活躍するヒーローが描かれる作品として、スパイ、探偵、泥棒モノなどがあって、わりとおしゃれでカッコいい会話があるイメージだが、この「逃がし屋」の3人はゆっる~い会話をしながら、任務もへんてこな方法で遂行していく。

そのゆっる~い会話のかわいさこそが、この作品の大きな魅力と言えるだろう。TVアニメ『エスタブライフ グレイトエスケープ』は、これから展開されるメディアミックスの入り口として、軽い気持ちで踏み込んで、「かわいいな」「くだらないけど面白いな」と思いながら見たら、気持ちがちょっとラクになって、明日から頑張ろうかなと思える作品だ。まだこの先何が起こるかわからないTVアニメを楽しんで、これから続くゲームと映画を期待して待っていてほしい。

[文・塚越淳一]

TVアニメ『エスタブライフ グレイトエスケープ』作品情報

放送・配信情報

フジテレビ「+Ultra」ほかにて毎週水曜日24:55から放送開始

FODにて先行独占配信中
(配信ページはこちら)
第1話は無料配信中

フジテレビ:毎週水曜日24:55~25:25
関西テレビ:毎週木曜日26:25~26:55
東海テレビ:毎週土曜日25:45~26:15
北海道文化放送:毎週日曜日25:10~25:40
テレビ西日本:毎週水曜日25:55~26:25
BSフジ:毎週水曜日24:00〜24:30
※放送・配信日時は予告なく変更になる可能性がございます。

★見逃し配信情報
FOD・TVer・GYAO! にて毎週1週間限定無料見逃配信(毎週水曜日25時25分最新話配信)

ストーリー

「生きるのがツライ? なら逃げちゃえばいいんですよ」

ずっと先の未来。人間はそれまでの姿形だけでなく、獣人・サイボーグ・魔族など多様な姿を持つようになった。東京の街は、AIが管理する高い壁に囲まれた数多の地域「クラスタ」となり、自由な行き来をやめ、それぞれが独自の文化・常識を育んだ。人々は、自らが生まれたクラスタの常識を基準に幸せな人生を送る。

しかし、なかには自らのクラスタに適応できない者も現れる──。
そうした人々を、別のクラスタへと「逃がす」ことを生業にする者たちがいる。

「逃げたい人」たちから依頼を受け、あらゆる方法を駆使してAIの裏をかき、本来は不可能であるクラスタ間の移動を成し遂げる者たち──「逃がし屋」。

逃げて、逃げて、逃げまくる!!
逃げたい人をお手伝いする、5人の逃がし屋たちの物語──!

スタッフ

原案・クリエイティブ統括:谷口悟朗
監督:橋本裕之
原作:SSF
シリーズ構成・脚本:賀東招二
キャラクターデザイン原案:コザキユースケ
コンセプトアート:富安健一郎(INEI)
音楽:藤澤慶昌
企画・プロデュース:スロウカーブ
アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ

キャスト

エクア:嶺内ともみ
フェレス:高橋李依
マルテース:長縄まりあ
アルガ:速水奨
ウルラ:三木眞一郎

公式サイト
公式ツイッター(@establife)

スマートフォンゲーム『エスタブライフ ユニティメモリーズ』

スタッフ

原案・クリエイティブ統括:谷口悟朗
原作:SSF
制作:スクウェア・エニックス

劇場アニメ『エスタブライフ リベンジャーズロード』

スタッフ

原案・監督・脚本:谷口悟朗
原作:SSF
企画・プロデュース:スロウカーブ
アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ

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