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舞台『薔薇王の葬列』公開稽古場レポート

舞台『薔薇王の葬列』公開稽古&取材会をレポート! 感情の表し方が違うWリチャード・若月佑美さん、有馬爽人さんらが話す作品への思いとは?

全キャストが作品に対する思いを語る!

稽古が公開された後、俳優陣から作品の感想や舞台、意気込みについて語られ、演出家・松崎史也さんからは舞台のこだわり、新キャストについてコメントされました。

――稽古序盤ですが、舞台『薔薇王の葬列』をどのように捉えていますか?

演出家・松崎史也さん(以下、松崎):先日、顔合わせと読み合わせをして殺陣を行って、みんなで話すのは2度目です。

原作がとても好きで、演出家のライフワークとしてシェイクスピアを10年くらい再構築して上演していました。私はシェイクスピアの好きな部分を原作とアニメが最適化し伝えている内容に共感します。

特に(シェイクスピアのリチャードは)背骨が曲がって醜い稀代の悪役ですが、原作で両性具有の母に愛されていない人物として描くことで、捻れて曲がったと表現する見事さ。またジェンダーやネグレクトなど現代社会の問題にアップデートされて、シェイクスピアの言葉と美しい絵画を通すことで伝わりやすく工夫されておりとても好きです。

2.5次元舞台も、シェイクスピア舞台も演出している自分は(作品の)テーマに共感しており、この座組みで上演できるなら演出したいこと全部やろうと思い、脚本の段階から内田さんと話させていただきました。

先日、読み合わせをしてすでに作品の成功を確信していますし、実力が確かで演劇を愛している役者のみんなとできることを嬉しく思います。

――新たに発表されたジャンヌダルク役・佃井皆美さんについてお聞かせください。

松崎:佃井さんは演劇界のジャンヌダルクだと思っています。10年前に小劇場で初めて佃井さんを拝見した時から、なんてしなやかで力強いんだと。ジャンヌとジャンヌ・ダルクは厳密には違いますが、舞台で両方やってもらう前提でした。

ジャンヌは中性的な存在で、佃井さんは女性的でありながらユニセックスな引き出しを自在に出せる方です。彼女しかジャンヌ役は考えられなかったので、参加してもらえて嬉しく思っています。

 

――舞台にかける思いをお聞かせください。

リチャード役・若月佑美さん(以下、若月):これから稽古をたくさん積んで、ひとりで台本を読んでいた時の思いとは違う方向性が見えてくるんだろうなと。キャストの皆さんにたくさん影響をいただいて自分も頑張ろうと思います。

原作がすごく大好きで、読めば読むほど台詞が面白いんです。シェイクスピアの昔ながらの舞台の面白さと2.5次元の美しさ、アニメと漫画から飛び出した素晴らしさから、とても面白い舞台になるんじゃないか、(面白い舞台に)しなければならないと思っています。

リチャード役・有馬爽人さん(以下、有馬):舞台『薔薇王の葬列』リチャード役として出演でき感謝しています。稽古が始まってからは殺陣など初めての練習が多く、僕にとって新たな挑戦と目標ができました。台本を読むたびに(リチャードの)体や心の痛みを知って、辛いし苦しい。でも希望を持ちたいという気持ちがだんだん強くなっています。まだまだ稽古をしてリチャードの深さをもっと追求し、原作・アニメ以上のリチャードを見せていけたらなと思います。

ヘンリー役・和田琢磨さん:漫画と台本を読みましたが、王家の物語で地位や権威、欲望、人の愚かさ、醜さがすごく美しく描かれてる作品です。一見、(作品の美しさと心の醜さは)反比例する感じもしますが、両立させられるパワーがある作品だと思っています。

また、ここにいる素晴らしい役者の方々のいろんな表情を見られることが個人的な楽しみです。お客様にも伝えられるように、自分も作品の一部として一所懸命に頑張っていきたいと思っております。

エドワード役・君沢ユウキさん:僕は個人的にヨーロッパの昼ドラだと思っています。人間の絡み合いが重厚で、王家に生まれた幸せと不幸せ、さらにリチャードには(両性具有に)生まれてしまった運命があって。

作品の中で一番好きなワードが「何人も運命には逃れられない」。皆さんも経験があると思います。シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』のように心が苦しく重くなる、(話の)奥行きがすごいですよね。

僕はリチャードとヘンリーの関係性が一番好きです。リチャードは男女キャストで、男性キャスト故の女性の苦しみ、女性キャスト故の男性になれない苦しみと全然違う面が見られると思います。ぜひ男女が演じるリチャードの違いを楽しみにしていてほしいです。

ジョージ役・高本学さん:最近の2.5次元舞台にはダンスや歌が盛り込まれている中、『薔薇王の葬列』はお芝居だけで2時間見せるチャレンジをしています。キャストの皆さんのお芝居だけでお客さんを退屈させないようにしたいと思っています。

演劇と真摯に向き合い、(お客さんに)伝えられたらいいなと思います。

ケイツビー役・加藤将さん:僕の中では舞台『薔薇王の葬列』が始まったばかりなので、まだ“薔薇王の葬列”をしていないのですが(笑)。僕が思ったことは、様々な制約や区別がなかったら人はもっと自由に考えられて、今とは違う世界が生まれるんじゃないかなと。ヘンリーの言葉に共感を得ていますし、お客さんにも影響力を与えられる作品です。

ケイツビーとしてはWリチャードを見守れる存在でいたいなと思います。

ウォリック伯爵役・瀬戸祐介さん:ウォリックは作品内で一番実直で素直な人物だと思いながら演じています。私も演劇界のウォリックとして立たせていただこうと身の引き締まる思いです(笑)。

これから皆さんとお芝居を重ねて行く中で(ウォリックの)確信が持てればいいなと思ってます。信頼できる松崎史也さんの作品なので、シェイク史也として後世に語り継がれるようなすごいものをお届けします。よろしくお願いします!

エドワード王太子役・廣野凌大さん:僕はこの役を演じるにあたり原作を読みシェイクスピアを学んで、それぞれ正義を持っていて純粋に生と愛にしがみついている人間讃歌だと思いました。

今回、2.5次元のテクノロジーに頼らない、人間の力を使って演じる作品なので自分も真っ直ぐ取り組んでいきたいなと思います。まずは皆さんと仲良くしたいです。

アン役・星波さん:本読みをさせていただいて以来の稽古で、まだ役を掴めていなく考えている段階です。皆さんの稽古動画を観て早く混ざりたいなとずっと思っていました。

私は普通の家の子ですが、アンは貴族の娘だから気持ちを優先できない人生。アンは真っ直ぐで素直で純粋で、政略結婚など神の定めや運命に左右されてしまいます。もがきながらもアンのピュアさを大切に演じていきたいと思っています。

アンはリチャードと関わることが多く、Wキャストが男女であるおふたりの演技によって私がキャッチできるものも違います。神経を研ぎ澄まして自分からもパスを出せるように頑張っていきたいです。

セシリー役・藤岡沙也香さん:周りに何を言われても自分の考えを通していくセシリーを演じていけたらなと思っています。『薔薇王の葬列』の世界観を楽しんでいただけるように、課題は山積みですが精一杯演じられるよう頑張っていきたいです。

マーガレット役・田中良子さん:顔合わせて本読みをさせていただいた時、原作にふさわしい色っぽい俳優さんたちだとすごく感じました。その中で自分も毒々しく立っていきたいですし、最終的にはただひとりの母親として存在できたらいいなと思っております。

ヨーク公爵リチャード役・谷口賢志さん:コロナで寂しかったので、稽古場に来ると美しい嫁と可愛い子どもたちがいて寂しさが紛れて幸せだなと思っています。

コロナ禍で演劇の娯楽性と社会性について考えていました。心が苦しい時にみんなを楽しませる演目もいいですが、演劇が社会のためにできる可能性はもっとあると僕は思っています。まさにシェイクスピアがそうだったように。

娯楽性も高めつつ社会と繋がる覚悟を持って、命がけで世界に演劇は必要なんだと言えるように戦っていきたいなと思っています。

ジャンヌダルク役・佃井皆美さん:原作を読んで本当に胸がいっぱいになって、登場人物に感情移入しました。ジャンヌはリチャードと関わりがあるので(リチャード役の)おふたりとの関係を大切し、素晴らしい作品を皆さんにお届けできるように頑張りたいと思います。

――珍しい男女のWキャストのリチャード役ですが、演技の考えや稽古についてお話ください。

有馬:性別の違うWキャストはどうなっていくんだろう? と不安な気持ちでした。若月さんと一緒に(リチャードの感情を)話せば話し合うほど、思っていることの違いがたくさん見つかって新鮮な気持ちです。まだ本番まで時間があるので、リチャードや他の役について話し合い、違うリチャードをお届けできたらなと思います。

若月:男女のWキャストは自分がお客さんで見に行く立場でもとても面白いと思います。稽古してもひとりだと男性らしさを出そうにも限界があって。女性の仕草をしようと意識して動いていないので、殺陣も何が女性らしくて何が男性らしいのかがわからないんです。有馬くんの殺陣を観て男女の違いを勉強させていただいて、(有馬くんが)頼もしくありがたい存在だと思っています。

原作でも両性具有と描かれており、読んでいる方の視点次第で男性メインで女性が出るのか女性メインで男性が出るのか、原作ファンの皆様にも面白く見てもらえるのではないかなと思います。

――本作だからこそできることを教えてください。

松崎:舞台美術が回転する際、(本作では)人力で回しているため、舞台上で起こっている感情や演技に合わせてリアルタイムで動きを変えられます。

全体を通したアナログ感、演技に頼るところもありますので、役者に任せる表現を強めに演出したいです。

――代表してWキャストのおふたりから、お客様へコメントをお願いします。

有馬:『薔薇王の葬列』はとても繊細な物語です。原作、アニメ、舞台の良さはそれぞれあります。他のキャラクターも感情の起伏が強くて一回見ただけでは満足しないなと思っています。ふたりで違った物語になると思うのでいろんな視点から見ていただけたらなと思います。

若月:稽古は始まったばかりですが、キャスト陣と話していく中で原作へのリスペクトをとても感じます。皆さんとお話することで、よりリチャードの感情が見えてきたり、物語を知っていくことも多いです。カンパニー全員が『薔薇王の葬列』を上演したいと思っています。

男女のWキャストで感情の面の違いもあり、お客様がシーンによって違って見える面白い舞台にできたらいいなと思っております。ぜひ足を運んでいただけたら嬉しいです。

全体練習は始まったばかりで演者一同本番を楽しみにしている様子。Wキャストのリチャードはどう演じられどんな違いがあるのか、共演者はリチャードの演技を受けてどう変化していくのでしょうか。6月の公演に期待が高まります!

 

 

舞台『薔薇王の葬列』

2022年6月10日(金)~2022年6月19日(日)
日本青年館ホールにて

あらすじ

中世イングランド。 白薔薇のヨーク家と赤薔薇のランカスター家による王座を巡る戦い―"薔薇戦争"。 ヨーク家の三男として生を受けたリチャードは、 同じ名を持つ父の愛を一身に受けるが、 実の母セシリーには「悪魔の子」と呼ばれ蔑まれていた。 戦乱の中、父・ヨーク公爵を王にすることを願うリチャードは、 森で羊飼いの青年・ヘンリーと出会い、束の間の逢瀬に心を通わせる。 互いの素性を知らぬ二人。 しかしヘンリーの正体は、宿敵ランカスター家の王・ヘンリー六世その人であった。 リチャードは運命の戦禍を必死に生き抜いていく。 その身に宿す「男」と「女」、二つの存在に身を引き裂かれそうになりながら―。

キャスト

リチャード:若月佑美/有馬爽人
ヘンリー:和田琢磨
エドワード:君沢ユウキ
ジョージ:高本学
ケイツビー:加藤将
ウォリック伯爵:瀬戸祐介
エドワード王太子:廣野凌大
アン:星波
セシリー:藤岡沙也香
ジャンヌダルク:佃井皆美
マーガレット:田中良子
ヨーク公爵リチャード:谷口賢志

スタッフ

原作:TVアニメ「薔薇王の葬列」
脚本:内田裕基
演出:松崎史也
アクション:船木政秀
美術:乘峯雅寛
舞台監督:田中聡
照明:大波多秀起
音響:天野高志
映像:O-beron inc.
衣裳:雲出三緒
ヘアメイク:新妻佑子
小道具:平野雅史
演出助手:小林賢祐
宣伝美術:羽尾万里子(Mujina:art)
宣伝写真:渡邉和弘
WEB制作:遠藤嘉人(EAST END CREATIVE)
ロゴデザイン:橋本清香(caro design)
宣伝:ディップス・プラネット
制作:赤堀一美
プロデューサー:鳥居玲/木村学/下浦貴敬/山本侑里

舞台『薔薇王の葬列』公式サイト
舞台『薔薇王の葬列』公式Twitter

(C)菅野文(秋田書店)/舞台「薔薇王の葬列」製作委員会
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