マンガ・ラノベ
舞台『薔薇王の葬列』若月佑美&有馬爽人&和田琢磨インタビュー

話し合うほどに新たなリチャードが誕生する・両性の魅力を表現する稽古とは?――舞台『薔薇王の葬列』俳優 若月佑美さん&有馬爽人さん&和田琢磨さんインタビュー

2022年6月10日(金)より上演される舞台『薔薇王の葬列』。シェイクスピアの『ヘンリー六世』、『リチャード三世』を原案とした菅野文先生によるダークファンタジー漫画を原作としたTVアニメの初舞台化です。

本作は、中世イングランドにて白薔薇のヨーク家と赤薔薇のランカスター家が争った「薔薇戦争」が舞台。男女2つの性を持ち、母から「悪魔の子」と蔑まれていた主人公・リチャードは、愛してくれる父が望む王冠を手にするため、戦争へと身を投じていきます。

戦争に明け暮れる日々の中で出会った羊飼いのヘンリーでしたが、彼は宿敵ランカスター家の王・ヘンリー六世。互いの素性を知らぬまま、心を通わせてしまい……。

本舞台の公演に際して、アニメイトタイムズではリチャード役のWキャスト・若月佑美さん&有馬爽人さん、ヘンリー役・和田琢磨さんにインタビューを実施。原作の感想やWリチャードの演じ方、殺陣や演技の稽古方法などについて語っていただきました。

美しい漫画に惹かれ、舞台にしか表現できない領域へ!

ーー舞台の基になるTVアニメや漫画の『薔薇王の葬列』を読んだ印象はいかがでしたか? 漫画が好きでリチャードを演じたい!と強く思っていた若月さんから、まずは読者視点での感想をお聞かせください。

若月佑美さん(以下、若月):『薔薇王の葬列』は繊細で美しい漫画のイラストにグッと惹かれて読み始めたんです。

読むと一人一人のドラマがきっちりとあるのが素晴らしいなと思いました。一見、家族内の裏切りなどでドロドロしているんですけど、みんなそれぞれの正義を持って進んだ結果、戦わなければいけない展開となっていく点にすごく惹かれました。リチャードたちの前に立ちふさがる敵側の理由がきっちり描かれている部分も魅力的だと思います。

アニメになっても美しさはしっかりと反映されていて、芸術的・絵画的な美しさがプラスされているシーンがあったり。漫画のコマ割りではリチャードの後ろに本当はケイツビーがいるのに、リチャードに寄っていたりします。アニメならではの描写によって、見たかったケイツビーの顔が見られるところはすごく面白いなと思いました。

ーーおふたりは出演が決まってからご覧になったそうですが、作品に対してどのような感想を持ちましたか?

有馬爽人さん(以下、有馬):僕は漫画から読み始めました。漫画とアニメ、それぞれに魅力があることから、僕の中では別作品と思えるくらいで。漫画では、キャラの絵の表情、リチャードが父上に伝えたいことが一面にバンっと描かれていて、リチャードらしさを強く感じます。

アニメは色と音が付くことで、敵を斬り裂くシーンも赤だけではなく、いろんな色が混ざって、見ていて恐怖より美しさを感じることがあり、違った良さを感じました。舞台にも違う良さが生まれると思うので楽しみです。

和田琢磨さん(以下、和田):私も作品のお話をいただいてから漫画を読みました。アニメと舞台はスピード感が全然違うので、まったく同じようにはならないと思います。有馬さんがおっしゃったように、それぞれの良さが見出せるのがこの作品の素晴らしさだと思いますし、可能性をどんどん探っていきたいです。

また、松崎さんがおっしゃっていましたが、人が放つ声や表情、芝居の根本的な物と『薔薇王の葬列』の歯車が噛み合った時に、アニメにも漫画にも表現できない領域で作品の良さをお客様に伝えられると思っています。

発散型と内向的、両極端なリチャードは互いに磨き合う

ーーお互いの役をご覧になった感想をお聞かせください。

和田:ビジュアル撮影の時は有馬さんと一緒で、若月さんのリチャードは生で見たことないんですけど、(若月さんを見ながら)ショートカットが似合いますよね!

若月:ありがとうございます! この舞台のために切りました! 本番ではウィッグを被りますけど、稽古中からリチャードとしてキャストに見ていただきたくて髪型から寄せています。

有馬・和田:すごい……!!

若月:リチャードは片目が隠れているので、殺陣稽古でも実際と同じくリチャードの気持ちになれるようにと思い切りました。

和田:自分も髪型だけはヘンリーに寄せているんですよ。

若月:確かに! ヘンリーみたいにフワッとしてる!

ーー若月さんからご覧になった有馬さんのリチャードはいかがですか?

若月:本読みや演技面だと、私は発散型なんです。「どうして」と母上に甘えたかったのに甘えられない、要所に出てくる末っ子感で苦悩を吐き出すようにしています。

一方の有馬さんが演じるリチャードはいろんなことを悟れる末っ子。自分の悩みは自分で持っている感じで内に秘めていて、すごく素敵だと思います。人に言えなかったからこそ父上の死で(心のたがが)外れてしまって戦いへ出るリチャードらしさがとても勉強になりました!

有馬:なにも言えないです(笑)。逆に僕も若月さん(の演技)を見て、自分が考えていなかった、想像していなかったことを毎回感じます。台詞以外でも動作や表情とか、マスクがあるけど目だけでわかるようで。若月さんのリチャードは勉強になりますし、色々と吸収したいなと思います。

Wキャストだからこそ、どうすればお互いのリチャードを良くできるのか、ふたりとも成長するのかという悩みがありまして。話し合うべきか、話し合わないべきなのか共有するのかも悩んでいましたが、先日、時間を作って2人で話を擦り合わせました。すると、お互いに気がつかなかったこと、初めて知ることがたくさんあって、話しても全く同じリチャードが完成されずに、また違うリチャードが誕生するきっかけになりました。話せば話すほど新鮮な気持ちでいっぱいです。

ーー和田さんはそんなWリチャードをどう受け取っていますか?

和田:先日、本読みをした時に、若月さんはリチャードの葛藤や苦悩を外側に向けて表現しているなと思いました。有馬さんは葛藤などをもう一回自分に突き刺すような演じ方をされています。どちらもリチャードですが、ふたりによって私のリチャードに影響を与える方向が違うので2度美味しいですね。ふふふ(笑)。

ーー「影響を与える方向が違う」とは、ふたりのリチャードによってどう受けて変わっていますか?

和田:まだ稽古が始まったばかりなのでこれから実感していくことになると思いますが、今から楽しみにしています。(リチャードが)ふたりいることで私のヘンリーももっと深堀りできそうな気がするので、頼もしいですね。

ーーリチャードの殺陣についておふたりの稽古の様子など伺いたいです。

若月:有馬さんは女性らしい曲線の美を、私は男の猛々しさを考えるのが殺陣の先生からの最初に言い渡された課題です。そもそも身体の作りが男女で違うので、自分が思っているより意識して表現しようと話していただきました。

有馬さんの殺陣を見て足の開き具合を勉強したり。あとは歩幅が全然違うので、同じ動きをしても相手役と(タイミングが)合わない場面もあります。相手役とコミュニケーションをとったり、リチャードの足の動きでその体格差を埋めようと思っています。

有馬:それこそ身長も違うので、腰が高すぎたらリチャードらしく見えないシーンも結構あり、「男性らしさ」・「女性らしさ」を鍛える部分は話し合っていますね。(稽古の)動画を見るのはもちろん、お互いに見合ってリチャードらしさを話していくのは大事だと思います。

また、殺陣以外の演技面も話さないとリチャード役は務まらないのかなと思っていて、様々な面をお互いに研究して伸ばしていく、それぞれが先生で生徒の関係はとても楽しいです。

(C)菅野文(秋田書店)/舞台「薔薇王の葬列」製作委員会
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