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『アークナイツ』渡邉祐記監督インタビュー

「ひとりひとりがあくまでテラという世界の中に立っているだけの存在であることを意識しました」──アニメ『アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】』渡邉祐記監督インタビュー

株式会社Yostarが運営する、アプリゲーム『アークナイツ - 明日方舟 -』を原作としたTVアニメ『アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】』が、2022年10月より好評放送中です。

原因不明の天才が不規則に各地で発生するテラの大地。天災の跡地に残された源石は、莫大なエネルギーで文明の進歩に寄与する一方で、不治の病“鉱石病”をもたらすことに。迫害の対象になり抑圧を受けた鉱石病の感染者は反旗を翻し、鉱石病の治療法を研究する製薬会社“ロドス・アイランド”は病から人々を救うために武器を取るという物語です。

まるで映画のような視聴体験ができる「シネマティックアニメーション」も大きな特徴である本作。臨場感あふれるサラウンドによって描かれる重厚なストーリーと美麗な作画による迫力あるシーンなど、今後の展開からも目が離せません。

本稿では、TVアニメ『アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】』の監督・渡邉祐記氏にメールインタビューを実施。アプリ原作のアニメ化に際し、本作で意識したところやこだわりなどお伺いしました。

 

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アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】
テラの大地では、原因不明の天災が各地で不規則に発生している。そこで大多数の人々は天災から逃れるために、長い年月を経て開発された移動都市で暮らすようになった。天災の跡地に残された莫大なエネルギーを持つ源石は、文明の飛躍的な進歩に寄与する一方、不治の病——鉱石病をもたらす。鉱石病の感染者は徐々に体が結晶化し、死亡時に新たな感染源となることから、各国で隔離や強制労働の体制が敷かれ迫害の対象になっている。抑圧を受けた感染者は反旗を翻し、鉱石病の治療法を研究する製薬会社”ロドス・アイランド”は、病から全ての人々を救うために武器を取り、自らの往くべき道を進む。作品名アークナイツ【黎明前奏/PRELUDETODAWN】放送形態TVアニメスケジュール2022年10月28日(金)〜2022年12月16日(金)テレビ東京ほか話数全8話キャストドクター:甲斐田ゆきアーミヤ:黒沢ともよドーベルマン:種﨑敦美Ace:松山鷹志ニアール:佐倉綾音チェン:石上静香ホシグマ:安野希世乃フランカ:加隈亜衣リスカム:石川由依エクシア:石見舞菜香テキサス:田所あずさメテオリーテ:種田梨沙ケルシー:日笠陽子Medic:麻倉ももGuard:小林千晃ウェイ:山寺宏一タルラ:坂本真綾クラウンスレイヤー...

 

キャラの描き方やセリフのひとつひとつが最終回に向けて収束していきます

──TVアニメ化にあたって、新たに挑戦したことはありますか?

渡邉祐記監督(以下、渡邉):1クール作品での監督経験は初めてで、30分枠の作品でコンテを描いたことも無かったため、自分にとっては作業の全てが挑戦ということになるかもしれません。

特別意識したこととしては、既に原作をプレイされている方とアニメから『アークナイツ』を初めて知る方、双方に同じくらい楽しんでいただける作品にする、という点です。

メディアミックス作品は如何に原作の魅力を広く伝えるかが至上命題と考えているので、既存プレイヤーの方には原作の雰囲気を可能な限り再現した映像を見ていただきつつ、ゲームをプレイしていない方にも映像を通して疑似的にドクターやアーミヤ達の状況を追体験してもらう作りを意識しています。

映像の流れ(テンポ)を止めてしまいがちな「心の声」であったり、以前の出来事を視聴者に思い出してもらうための説明的な回想はなるべく排除し、キャラクターたちの視点に自然と立って、物語を追っていけるような映像を目指しました。

──映像演出面で、特にこだわったところや意識したことを教えてください。

渡邉:前述のように、ドクターたちが置かれている状況を追体験してもらうため、実際に現場にいたらどんな景色を見ることになるのかという点を意識しました。

美術・色彩・撮影の各工程の方々と画面の最終的なルックを相談するうえで、原作イラストのもつ埃っぽさ、冬の冷たさ、天災が迫る大気の状態など、観ただけでそこにある空気の質感が分かるようにしたいと話していました。

視聴者の方々にも登場人物たちと同じ景色を見て、同じ空気を吸い、同じ危機感を肌で感じてもらうことでより深く作品に没入してもらうという狙いです。

一般的なアニメ作品では、キャラを引き立たせるために周囲の環境を整える表現が多いですが、この作品ではおそらく他では許されないくらいキャラが風景に溶け込む画面になっていると思います。

原作シナリオでも人間ひとりひとりの非力さや無力さについてたびたび言及されていますが、その価値観に沿う形で主人公もモブのレユニオン兵も例外なく、ひとりひとりがあくまでテラという世界の中に立っているだけの存在であることを意識しました。

各工程の方々の素晴らしい作業のおかげで、ドクターたちがどんな場所で活動しているのかがとても明確になったと思います。

 

──キャストへの演出面で、特にこだわったところや意識したことがありましたら教えてください。

渡邉:キャストの皆さんが本当に素晴らしい演技をされており、自分はただただ感動するばかりでこだわったところというと難しいのですが、ひとつあげるとすれば生っぽい質感だと思います。

2話でMedicが霧の中で悲鳴をあげているところが分かりやすいかなと思いますが、本当に犬の牙が腕の肉に食い込んでいる人の悲鳴を、とお願いしていました。

視聴者に「このキャラクターは痛がっている」という情報を伝える目的であれば、セリフとしての悲鳴……つまり「やめて!!」と台本に書いてあるテキストの読みをそのままはっきり「やめて!!」と発音することでも、心情の表現として十分成立しうると思うのですが、それだけでは『アークナイツ』という作品のもつ緊迫感や悲壮感を表すのに不十分だと感じていました。

そこで、「やめて!!」の「や」の音の出だしが少し弱かったり、「め」と「て」の中間に「へ」の音が混在していたりと、それぞれの音節が成立せず崩れた発音を想定し、キャラクターのシチュエーションに合わせた実感のある印象を重視してディレクションしていました。

この作品だからこそ可能な方向性ですし、キャストの皆さんの優れた技術があって初めて成立する表現だと思います。

──監督のお気に入りのキャラクターは誰でしょうか?

渡邉:作品全体をフラットな視点で見ているので難しいですが、強いて言うならメフィストでしょうか。感情の発露が特徴的なキャラクターは、その振れ幅をどれだけ広く確保できるかが重要なので、急激な感情の変遷は演出する上でとても難しく、面白いです。

また、演じられた天﨑さんの表現がとても素晴らしく、メフィストの突飛な人物描写に深い奥行きを与えていただきました。

 

──物語後半でぜひ注目してほしいポイントがありますか? 展開、演出、こだわった部分などありましたら教えてください。

渡邉:少しずつ登場人物も増えてここから関係性がより複雑になってゆき、キャストの皆さんの素晴らしい演技を沢山見ることができると思います。舞台も変わり、スラム街などそれぞれの場所の映り方や効果音・BGMもシチュエーションに合わせて少しずつ変化していくので、注目してみてください。

また、1話から展開の種を少しずつ蒔きつづけていて、キャラの描き方やセリフのひとつひとつが最終回に向けて収束していきます。

序盤話数の時点では、原作を知る人と知らない人で作品の見え方が大きく異なっていたと思いますが、そのギャップがおそらく最終回を迎える頃には埋まり、原作をプレイしている人もアニメだけを見ている人も大体同じような顔のまま見終えることになるのではないかと思います。是非最後までご覧ください。

──渡邉監督にとってTVアニメ「アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】」という作品はどのような存在でしょうか?

渡邉:自分が持っている引き出しの中の暗い部分を全力でぶつけさせてくれる作品です。その分、気を抜いたらすぐに握りつぶされてしまうような大きな存在だと思います。

──今後の物語を楽しみにして下さっているファンの方々へ一言お願いします。

渡邉:いつも『アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】』をご視聴いただきありがとうございます。テラの大地はとても非情で、ドクターやアーミヤが対峙する現実は厳しいものばかりですが、皆さんに最後まで見届けていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

 

TVアニメ『アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】』作品情報

 

放送&配信情報

2022年10月28日(金)より放送開始!
【テレビ放送】
テレビ東京 10/28(金)25:23~
テレビ大阪10/28(金)26:10~
BS11 10/30(日)23:30~
アニマックス 11/5(土)22:00~

配信情報

下記の配信サイトにて、10 月 29 日(土)10:00 以降、順次配信開始!

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イントロダクション

テラの大地では、原因不明の天災が各地で不規則に発生している。

そこで大多数の人々は天災から逃れるために、長い年月を経て開発された移動都市で暮らすようになった。

天災の跡地に残された莫大なエネルギーを持つ源石は、文明の飛躍的な進歩に寄与する一方、不治の病——鉱石病をもたらす。

鉱石病の感染者は徐々に体が結晶化し、死亡時に新たな感染源となることから、各国で隔離や強制労働の体制が敷かれ迫害の対象になっている。

抑圧を受けた感染者は反旗を翻し、鉱石病の治療法を研究する製薬会社"ロドス・アイランド"は、病から全ての人々を救うために武器を取り、自らの往くべき道を進む。

スタッフ

原作:Hypergryph / Studio Montagne
キャラクター原案:唯@W
監督:渡邉 祐記
副監督:西川 将貴
シリーズ構成:Yostar Pictures
アニメキャラクターデザイン:高藤 彩
プロップデザイン:若山 温
美術監督:大西 穣(ビック・スタジオ)
美術設定:坂本 竜(ビック・スタジオ)
色彩設計:後藤 恵子
撮影監督:棚田 耕平
編集:重村 建吾
音響監督:渡邉 祐記
音楽:林 ゆうき
音楽制作:レジェンドア
アニメーションプロデューサー:畑 岳央
アニメーション制作:Yostar Pictures
製作:Hypergryph/ Studio Montagne/ Yostar/ Yostar Pictures

オープニングテーマ

「Alive」
歌:ReoNa
作詞:rui(fade ) / ReoNa
作曲:rui(fade)
編曲:堀江 晶太
(SACRA MUSIC)

キャスト

ドクター:甲斐田ゆき
アーミヤ:黒沢ともよ
ドーベルマン:種﨑敦美
Ace:松山鷹志
ニアール:佐倉綾音
チェン:石上静香
ホシグマ:安野希世乃
フランカ:加隈亜衣
リスカム:石川由依
エクシア:石見舞菜香
テキサス:田所あずさ
メテオリーテ:種田梨沙
ケルシー:日笠陽子
Medic:麻倉もも
Guard:小林千晃
ウェイ・イェンウ:山寺宏一
タルラ:坂本真綾
クラウンスレイヤー:千本木彩花
メフィスト:天﨑滉平
ファウスト:堀江瞬
W:竹達彩奈
ミーシャ:松田颯水
スカルシュレッダー:松田利冴

TVアニメ公式サイト
アークナイツ公式サイト
アークナイツ公式ツイッター(@ArknightsStaff)
Yostar Pictures 公式サイト
Yostar Pictures 公式ツイッター(@YostarPictures)

 

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