音楽
『ミルグラム』×『クロケスタ』コラボ記念 仕掛け人 超ロングインタビュー

Never↓andへ誘われた囚人たちとの楽しい楽しい夢裁判──『MILGRAM』×『Clock over ORQUESTA』コラボレーション記念!『MILGRAM』原案者・山中拓也さん&『Clock over ORQUESTA』原作者・大河ゆのさん&プロデューサー・岡本純さんの初対談

DECO*27×OTOIRO×山中拓也による視聴者参加型音楽プロジェクト『MILGRAM -ミルグラム-』と、SNS連動型キャラクターソングプロジェクト『Clock over ORQUESTA(クロックオーバー オルケスタ)』。始動時期も近く、共通のファンも多いこの2タイトルがタッグを組むことを発表し、ファンを沸かせたのは今年4月のこと。翌月にコラボレーション漫画「ぷちミルケスタ」を解禁。“Never↓andへ誘われた囚人たちとの楽しい楽しい夢裁判”が展開されたのだった。

そのコラボレーションを記念して、『MILGRAM -ミルグラム-』原案者・山中拓也、『Clock over ORQUESTA』原作者・大河ゆの、プロデューサー・岡本純の初対談が実現した。

さて、インタビューに入る前に、それぞれの作品について簡単に説明したい。『MILGRAM -ミルグラム-』は「音楽による裁判員制度」をテーマに掲げ、ユーザーは監獄の看守となって、個性豊かな10人の囚人の罪を考察。囚人の罪を反映させた楽曲を視聴しながら「有罪」か「無罪」かを投票し、多数決によってその囚人が「赦されるか否か」を決め、物語が進んでいく。個性豊かな囚人たちを天海由梨奈、堀江瞬、花江夏樹、愛美などが演じている。

一方、『Clock over ORQUESTA』の舞台は夢の世界・Never↓and(ネバーランド)。“12人の主人公たちが夢の世界で繰り広げるバトルロイヤル”をテーマに、SNSアンケート機能などを使った投票によって、物語の展開やキャラクターの運命が決まっていく。参加声優陣は、山下大輝、田村睦心、森川智之、皆川純子など。ボカロP×声優のコラボレーションによるキャラクターソングも発表している。

どちらも一言では説明しにくく、奥深さのあるコンテンツのため、詳しくはそれぞれのHPやSNS、以下のインタビューを参照してもらいたいが、両者ともに“ユーザー参加型”の音楽プロジェクト、かつ、独自性の強いオリジナリティ溢れた物語を展開、さらに前述の通り始動時期も近い……と、コンセプトやスタンスには違いはあれど共通点は枚挙にいとまがない。クリエイティビティに向かう姿勢や感性に共鳴し、話は大いに盛り上がった。ディープな超ロングインタビューをお楽しみください。

『MILGRAM -ミルグラム-』『Clock over ORQUESTA』の邂逅

──おふたりは今日が初対面だそうですね。貴重な場所に立ち会わせていただきうれしいです。

山中拓也さん(以下、山中):完全にはじめましてです。

岡本純さん(以下、岡本):はい。ずっとお会いしたかったのでとてもうれしいです。

──まず自己紹介を兼ねて作品紹介をお願いできますか。

山中:では僕から。『MILGRAM -ミルグラム-』は音楽の裁判員制度をテーマにしています。ある監獄に閉じ込められた10人の囚人はそれぞれヒトゴロシ。どんな理由でそうなったのか、楽曲やシナリオやその他の情報から考察して「赦す」「赦さない」を視聴者が看守エスとなって判断していきます。ユーザーの投票結果によって、その後の展開やキャラクター同士の関係性が変化していくという、ユーザー参加型のコンテンツです。僕はその『MILGRAM -ミルグラム-』の企画とシナリオを書いています。

岡本:『Clock over ORQUESTA(クロックオーバー オルケスタ)』は12人の主人公それぞれに叶えたい願いがあって、“Never↓andという夢の世界でその願いを叶えるためのバトルロイヤルを行うというストーリーがコンセプトです。キャラごとに青年・少年で2人、男女の声優さんをアサインし、楽曲などを展開しています。
これまで行ってきた施策としてはTwitterに投票システムを設け、ストーリーの分岐を読者に委ねたりもしました。各バトルのエンディングも各種パターン用意し投票結果によるマルチエンディングである、というのがこの作品のいちばんの特徴なのかなと思っています。私は原作者の大河ゆのさんの世界観やストーリー、アイディアを元に、プロジェクト全体のプロデュースを担当しています。

──ふたつの作品は共通点が多いですよね。

山中:僕らが『MILGRAM -ミルグラム-』を発表して、しばらくしたあとに『Clock over ORQUESTA』さんが発表になったんです。「あぶねぇ!」って(笑)。

岡本:(笑)

山中:このプロジェクトの形式を考えていた時期ってお互いに近かったんじゃないかなという想像をしていて。僕らの場合は個人制作に近いので、スピード感があったというだけで。『Clock over ORQUESTA』さん側はちゃんとした会社で、チーム制作をされていたと思うんですよね。だから少し時間がかかっていたのかなと。

──実際、制作時期は重なっていたんですか?

岡本:おそらくそうですね。確かに山中さんがおっしゃる通り、会社から発表している作品なので実際的に関わっている人数は多いんです。ただ、世界観と物語全体の原作は、大河先生が。運営については今日同席しているメインディレクターがつとめていて、実質的には三人で話し合って、少数精鋭で進めています。さてもうすぐリリースだ、というタイミングで、一足先に『MILGRAM -ミルグラム-』さんの発表があって「ん?」と(笑)。

山中:多分「もう少しで仕上げだ!」ってタイミングで、先に『MILGRAM -ミルグラム-』が(笑)。嫌ですねぇ……。

岡本:嫌じゃないですよ(笑)。

──でもクリエイターとしてはドキドキしますよね。

山中:そうですね。ただ『MILGRAM -ミルグラム-』はあまり商売っ気がないんですよ。商品というよりも作品に近い考え方をしていて。だからビジネス的な焦りはありませんでした。むしろ『Clock over ORQUESTA』さんが出てきてくれたことで、自分の頭で考えていたことが時代の潮流にマッチしていたんだなと心強く感じる部分もありましたね。

──では今回のコラボレーションの経緯についておうかがいできればと思うのですが。

山中:『Clock over ORQUESTA』さん側からオファーをいただいたことがきっかけだったんです。じっくり話すのは今日がはじめてなので、僕も改めておうかがいしたいと思っていました。

岡本:さきほどお話した通り、『MILGRAM -ミルグラム-』さんのことは存じ上げていました。だから私たちの間でも「近しい作品同士、どこかのタイミングでコラボレーションをしたいね」という話が上がっていたんです。私たちがコラボレーションをさせていただきたいなと思う作品って、“熱量の高いクリエイターが作っているもの”でして。

山中さんのご意見に近しいのですが、ビジネス的な観点に囚われすぎる作品制作は好んでいないんです。制作の熱量はお客さんに伝わるものですし、熱狂はロジックで作られない。要は、作品の価値って短期的なマネタイズが全てだとは思えないんですよね。……会社に属している人間がいう言葉ではありませんが(苦笑)。

山中:僕自身も会社務めの人間だったので、そことのせめぎ合いはずっとありました。だから気持ちはすごくわかります。

岡本:ありがとうございます。そこでコラボレーションしたい相手として一番にタイトルが上がったのが『MILGRAM -ミルグラム-』さんでした。「必ず実現したい」という強い思いでオファーさせて頂きました。

──その熱量の高いオファーを受け、山中さんはどう反応を?

山中:他にも作品とコラボレーションのお話をいただく機会は以前からあったんです。とてもありがたいことではあったのですが、全てお断りしてきました。というのも、コラボレーションだからといって本編の世界観を歪めるようなことはしたくない……という僕のわがままがあって。『Clock over ORQUESTA』さんの場合は“夢”というひとつのキーワードがあるので『Clock over ORQUESTA』さんの夢の世界にお邪魔する形であれば実現できるかもなと、思いました。ちょうど『MILGRAM -ミルグラム-』3周年のタイミングでしたし、何か新しいことをやって、たまにはファンの方がただ純粋に喜ぶ企画をやってみようという思いもあって。

──「たまには」(笑)。

山中:(笑)

──実際ファンの方はすごく喜んでいましたよね。どちらの作品のファンという方もいらっしゃって。

山中:はい。「うれしい」というお声をたくさんいただきました。

岡本:本当に、いろいろな声が私たちのもとにも届いています。全てはご紹介しきれませんが、私としては「こんな夢のような世界線があっただなんて」というコメントは特にうれしかったですね。やってよかったなと思いました。

山中:そもそもコラボレーションを発表した時点で反響がすごかったんですよね。とてもキレイなPVも作っていただきましたし、クロケスタさん側の制作のスピードやエンタメ精神に大変感謝しています。

今回のコラボレーション漫画『ぷちミルケスタ』の作画を担当された色素さんとはどういったご関係だったのでしょうか?

岡本:色素さんは一周年の際の記念イラストや、シングルCD発売時に公開したイラストをご依頼したことがあったんです。それで、ミルグラムさん側にご提案差し上げて、といった形です。色素さんがすごくこだわって世界観を描いてくださったことも、私たちとしてはとてもありがたいことでした。本当に可愛く仕上げてくださって。

山中:本当にありがたくて。僕らとしては、本編のクオリティを下げたくないという思いがあるんです。それはMVを作っているOTOIROという会社の人たちも同じ思いです。

良い言い方をすると少数精鋭のチームで制作している状況もあり、本編のクリエイティブに集中するために日常のパートや、普段見せない一面って出せる量には限界があるんですよね。『Clock over ORQUESTA』さんのお力を借りて、とてもいい形でキャラクターの知られざる一面を見せられたのはすごく良かったなと。僕らだけではできないことだったと思います。

岡本:コラボレーションの漫画を見て、クロケスタとミルグラムはクリエイティブ設計の相性がとても良いなと感じました。

──今回のコラボレーションのシナリオに関しては『Clock over ORQUESTA』側で?

岡本:そうですね。大河先生は本編に関わる原作を担当していますが、もう一人、SSやパラレルワールドのストーリーは“あいざわあつこ先生”にご担当いただいています。あいざわ先生が書いた素案を、山中さんにこんなお話はいかがでしょうか? と、ご相談させていただいた形です。

大河ゆのさん(以下、大河):私が書くものは、人間の“弱さ”にスポットを当ててしまうので、なかなかライトにならないんです。ですが、あいざわ先生は、本編とは違ってポップに世界観を表現してくれると思ってお願いしました。作品を理解して寄り添ったライティングをしてくれるところが素敵なんです。

山中:『MILGRAM -ミルグラム-』とのコラボレーションは難しかったところも多いんじゃないかなと。僕の書くキャラは基本的に文語ではなく口語を意識しているので、汲み取りにくいところもあったとおもうんですが、そのすりあわせを熱心に行ってくださったので大変感謝しています。

岡本:ところで、ひとつ私からも質問をしたいのですが……いいですか?

山中:もちろんです。

岡本:少数精鋭というお話がありましたが、『MILGRAM -ミルグラム-』を作られているのは具体的には何人くらいなんでしょう?

山中:企画制作シナリオは僕だけで、音楽制作はボカロPのDECO27が中心です。全作詞はDECO27が、作曲はRockwellとTeddyLoidを含めたDECO27のチームのメンバーが作っています。MVはDECO27が立ち上げた会社であるOTOIROが中心になって制作しています。

岡本:では物語の根幹は山中さんおひとりなんですね。

山中:そうですね。僕以外が書いたシナリオや、キャラのセリフが世に出ることはないんです。だから今回のコラボレーションが初めてですね。

 

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