マンガ・ラノベ
『魔道祖師』姑蘇藍氏特集|藍氏双璧を生み出した超名門をご紹介

【シリーズ五大世家①】『魔道祖師』姑蘇藍氏特集|規律を重んじる雅で奥深い「姑蘇藍氏」──藍氏双璧を生み出した超名門をご紹介!

人気作家・墨香銅臭先生が綴る中国BLファンタジー小説『魔道祖師』。アニメや実写ドラマ『陳情令』、ラジオドラマ、漫画などのメディアミックスも展開し、世界が熱狂するメガヒット作品です。

本作は、妖魔や邪気などが人々の生活を脅かしていた架空の古代中国を舞台に、主人公・魏無羨(ウェイ・ウーシエン)と藍忘機(ラン・ワンジー)の激動の運命を描く物語。勢力争いが繰り広げられるなか、五大世家として名を連ねる仙門──姑蘇藍氏・雲夢江氏・清河聶氏・蘭陵金氏・岐山温氏が世の中の秩序を統治しています。

本日10月8日はそんな五大世家のひとつである姑蘇藍氏の宗主・藍曦臣のお誕生日。おめでとうございます! 本稿では、お誕生日を祝して「姑蘇藍氏特集」をお届けします。模範的存在でもある藍忘機や藍曦臣を生み出した超名門を覗いてみましょう!

※本稿には『魔道祖師』『陳情令』のネタバレが含まれます。ご了承ください。

 

規律を重んじる正統派の姑蘇藍氏、開祖は寺の出身

仙府:姑蘇・雲深不知処

 

姑蘇の雲深不知処(うんしんふちしょ)を本拠地とする姑蘇藍氏(こそランし)。魏無羨が蘇って莫家荘で遭遇した仙門の使者は、姑蘇藍氏の者たちでした。家訓は「雅正」、規律を重んじる一族で三千条以上の家規があり、のちに四千条以上にも。かつて雲深不知処が焼かれる悲劇に見舞われましたが、その後再建。

姑蘇の銘酒「天子笑」のことは大絶賛している魏無羨ですが、彼にとって雲深不知処は入りたくない場所でもあります。過去には「あいつの家は飯はまずいし規則は多いし、俺はもう行かないよ」(小説番外編「蓮蓬」より引用)なんて言っていました。

とんでもなく多い家訓は藍啓仁により「雅正集」として一冊の分厚い本に纏められており、藍氏が額に結んでいる巻雲紋の「抹額」は「自らを律する」という信条を表します(巻雲紋は藍家の家紋)。魏無羨は座学時代に雅正集を写すように命じられ、「俺は藍家の人間でもないし、これから藍家に婿入りするつもりもないのに、そんなもの書き写してどうするっていうんだ?」(小説第1巻「雅騒」より引用)などと口にしていたことも。

 

 

規則正しい生活を送る藍家の人間は、卯の刻に起床し亥の刻に就寝。そして男女に明確な区別があり、学習区域と休息区域は男女で厳格に分けられています。

ルーツを辿ると、藍氏の開祖「藍安(ランアン)」は寺の出身。彼は成人を迎えて「伽藍」の「藍」を姓とし、高僧から俗人に。楽師になり修行を積むなか、姑蘇で藍安は探し求めていた運命の人と出会います。二人は道侶となり、藍家の基盤を作り上げました。

また、藍安は天が定めし者、つまり愛する人の前でだけは何も律する必要はないという言葉を残しています。それゆえその後代々伝わる教訓では、唯一の相手を除いて抹額は自分以外触れることを禁忌としているのですが、魏無羨は藍忘機の抹額に何度も触れています。岐山温氏主催の百家清談会において、魏無羨が藍忘機の抹額を外してしまうという大事件もありました。

 

代々、美男子揃いの一族で「藍氏双璧」を生み出した超名門

代々、美男子揃いの姑蘇藍氏。「世家公子の風格容貌格づけ」では藍曦臣が第1位で藍忘機が第2位。なんと姑蘇藍氏が1位&2位を独占!

 

 

藍忘機と藍曦臣は双子ではないですが、容姿は非常によく似ており、揃って秀逸な美貌の持ち主です。ただ、印象は全く違ったもので、兄は穏やかで優美、弟は他人を一切寄せ付けない冷たい表情なのも特徴です。

「藍氏双璧」の美名を持つ彼らは、模範とされる抜きん出た存在で、同世代の公子たちのなかでも二人の名前を知らない者はいないほど。そんな優秀な兄弟を育てたのは、彼らの父・青蘅君の弟、つまり藍忘機と藍曦臣の叔父にあたる藍啓仁です。

藍啓仁には藍氏双璧だけでなく、多くの優秀な藍家の門弟を育て上げた実績があり、名門・姑蘇藍氏の座学には藍啓仁の評判を聞いた親に送り出される多くの公子が参加しています。魏無羨も15歳の頃、 義弟・江澄と共に雲深不知処へ勉強をしにやって来ました。そこで藍忘機と出会い、かけがえのない少年時代のひとときを過ごしたのです。

 

 

音律に長け、様々な名曲を奏でる

藍家の者たちは音律に長けており、藍忘機は琴を使い、戦闘だけでなく様々な曲を奏でます。「安息」「招魂」は世に広く伝わる玄門の名曲。「招魂」は亡霊を召喚するものですが、死者の躯かその一部、生前愛用していた物などを媒介する必要があります。莫家荘から持ち帰った謎の左腕にはこの曲が効かず、魏無羨と藍忘機は「安息」で鎮圧しています。

姑蘇藍氏の先人が作った名曲「問霊」は亡者の身元確認に使われ、媒介など何もない状態でも使うことができます。琴の音で亡者に問い、返答も音に変換されて琴の弦に反映されるというもので、双方は琴語で一問一答を続けます。これは姑蘇藍氏の秘術。藍忘機は琴語に精通しており、藍思追は藍忘機から及第点の評価をもらっているそうです。

姑蘇藍氏の秘技「破障音」は邪を払い魔を退ける効力があり、「清心音」は心を清め、気を鎮める癒やしの効能があります。さらに秘技のひとつ、骨を断ち肉を削ぎる「弦殺術」は藍安の孫娘・藍翼が考案。七弦の琴を使い、その弦を外して一本の長い弦にし、それは命を奪う凶器となります。玄武洞で、魏無羨と連携しながら藍忘機は弦殺術で妖獣・屠戮玄武に挑みました。

 

 

兄上から見た弟・藍忘機

藍曦臣は無表情な弟・藍忘機の感情をよく読み取り、彼の恋心もお見通し。そんな兄から見た弟の愛情はどんなものだったのでしょう。幼い頃から共に育った藍曦臣が知る藍忘機の執着心にも注目です。

 

 

連れて帰り隠したい

少年時代、魏無羨のことを意識する藍忘機の様子に藍曦臣はいち早く気づいていました。月日は流れ、鬼道を修めた魏無羨を心配して何度か姑蘇に連れて帰ろうとしていた藍忘機。その気持ちは魏無羨に上手く伝わらず強く拒まれていました。藍忘機は雲深不知処に連れて帰り隠したいという想いを兄に打ち明けるのですが、仲が良い兄弟とはいえ、こういった話は初めて。藍曦臣は弟の言葉に驚きを隠せずにいます。

 

 

その後、魏無羨は非業の死を遂げて十三年後に献舎により復活。再会を果たした藍忘機は魏無羨を雲深不知処へと連れ帰ってきました。そんな弟の様子を見た藍曦臣は、彼が嬉しそうにしていることを見逃しません。藍忘機は誰にも出入りを許したことのない静室(藍忘機の書斎と寝室)に魏無羨を通すのでした。その部屋に立ちこめるひんやりとした檀香は心地よく、魏無羨の心を落ち着かせています。

 

幼少の頃からの執念深さ

幼い頃、離れて暮らしていた母とは月に一度しか会えなかった藍忘機と藍曦臣。二人の母は忘機をからかうのが好きだったそうで、彼がからかわれるほどに黙り込んで、ますます表情も硬くなってしまうのはその頃からだったと言います。けれど、弟が母と会える日をずっと待ちわびていたのも分かっていたし、兄もまたその日を楽しみにしていたのです。

しかし藍忘機が6歳のときに母が亡くなります。誰に何と言われようとも毎月のようにその居所に来て母を待っていた藍忘機。彼は年少の頃からかなり執念深いところがあると藍曦臣は魏無羨に話しています。

 

 

兄上の怒り、そして弟の恋が成就

事件の真相を追うなかで、あくまで魏無羨を信じる藍忘機を前に「忘機、お前にはもう言葉もない」(小説第3巻「優柔」より引用)と藍曦臣が漏らす場面も。

そして観音廟では、藍忘機の気持ちを知らないと話す魏無羨に憤りを感じていました。感情を抑えることに極めて長けている藍曦臣が珍しく抑制できていない場面です。血の不夜天あたりの多くの記憶が消失している魏無羨に、彼は当時の藍忘機の行動や想いを告げることに。

汚れなど欠片もなかった弟が、今生で犯したたった一つの過ちは魏無羨だと言う藍曦臣。蘇ってからあらゆる方法で藍忘機に付き纏い、毎晩を共に過ごしたのは何故なのか、怒りをあらわにしています。けれど魏無羨からどんなに誘惑されようと、自制して礼儀を保ち続けていた藍忘機。紆余曲折を経てようやく長年の想いが通じるのでした。

 

 

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