秋アニメ『とあるおっさんのＶＲＭＭＯ活動記』監督・中澤勇一さん×シリーズ構成・待田堂子さんインタビュー｜キーとなるのは「モノ作りシーンとアースのモノローグ」。一番意識したのは「話を必要上に進めないこと」!?

アース役・石川界人さんをはじめとしたキャスト陣を絶賛！　アフレコを受け、絵を手直ししたケースも

――監督は、全話のアフレコに立ち会われたそうですが、実際にキャストの皆さんが演じている様子をご覧になった感想は？

中澤：キャストの皆さんの中で、ほぼほぼキャラができていて、僕からは言うこと何もないくらいでした。実は当初、大地とアースを同じ方にお願いしたいと考えていました。でもテストで、石川さんが演じるアースを聞いて、あまりにも待田さんの脚本のイメージと合致していて。第1話は8割方、石川さんのセリフでしたが、ほとんどNGを出さずに収録を終えていました。音響さんから、収録が早すぎると言われたくらいで（笑）。本当に、石川さん以上のアース像は僕の中にありませんでした。キャストの皆さんは、僕以上に作品の理解度があって、皆さんのお芝居にビジュアルが引っ張られた部分があると言っても過言ではありません。

――浪川大輔さんが演じる田中大地は分別がある大人の社会人で、ゲーム内のアースは若々しさがあって、そのギャップがうまく出ていると思いました。

中澤：ダブルキャストでやらせていただいたことで、いい効果が出ていると思います。

――これから登場するフェアリークィーンは、キーになるキャラクターの1人で、いろいろな立場や表情が見られますが、上田麗奈さんのお芝居はいかがでしたか？

中澤：もう大絶賛です！　ギャグシーンやシリアスな部分を上手に演じていただいて。アフレコの時に絵が間に合わなかったことが多々ありましたが、上田さんのお芝居に合わせて作画されたところがあったくらいで、ありがたかったです。

――アニメの1話の収録の時、監督があいさつをすることがよくありますが、中澤監督も最初にキャストの皆さんに何か言葉をかけられたのでしょうか？

中澤：ごあいさつさせていただきました。僕自身、アニメーターということもあって、思い思いにやるタイプなので、最初のごあいさつでは「思い思いのキャラでやってください」と言わせていただきました。収録では「基本的にはお任せで、逸脱することがあれば声をかけますし、絵作り的にも僕のほうで直すことができますから」と。むしろ、アフレコの現場で「あれ、いいな」と急きょ決めさせていただいたり、最終回も決定していた絵コンテを僕から変えさせていただいたりして。アドリブも活かす方向で、セリフというよりキャラ作り的なアドリブに絵を合わせていく作業も行いました。

後々回収される伏線に注目！　新たに名前が付けられたキャラなど、原作ファンも新鮮に楽しめる内容に

――先日、第1話が放送されましたが、今だから話せる制作秘話や裏話などありましたらお聞かせください。

待田：第1話の本読みに椎名先生にいらしていただいて、お任せいただけたことがすごく嬉しくもあり、責任も感じました。いろいろとわかりやすく説明もしてくださったので、ありがたかったです。

中澤：僕のほうで、後々のつじつまを合わせていただいたところがあって。原作と脚本を照らし合わせて、あいまいになっていた部分をより明確にした部分があります。それによって気持ちいい伏線になったかなと思っています。構成は待田さんがやってくださって、各話担当のライターさんが脚本を書いてくれましたが、ライターさんたちが決めた名前が結構あって、それもアニメでは活かしています。第2話に登場するブラックスは、原作では「親方」という名前でしたが、待田さんと原作サイドで新たに「ブラックス」と名付けさせていただきました。他にも原作では名前が付いていないキャラにアニメでは名前が付いていたり、少し肉付けされているので、原作ファンの方は新鮮に、初めてアニメで触れる方には見やすくなったかなと思います。心に留めておいていただければ、後々回収されていくところもありますので、お楽しみに。

――原作の中でお好きなシーンやエピソードを挙げるとすれば？

中澤：原作、そして今後アニメにも登場しますが、戦隊が出てくるところはビックリしました。僕自身『サイボーグ009 THE CYBORG SOLDIER』に関わらせていただいたり、世代的にも石ノ森章太郎先生の作品が大好きなので、アニメではリスペクトしながらオマージュさせていただきました。「何か問題が起きたら僕に言ってください」というくらいの処理をさせていただきました（笑）。

また、作品に登場するのは最新のＶＲＭＭＯですが、プレイしているのはおっさんなので、僕ら世代にとっては懐かしい描写やシチュエーションを盛り込んでいます。昭和チックだけどしゃべっているテンポは今風、という世代間のギャップもこの作品の魅力かなと思いました。

待田：アニメになっている部分だと、アースとフェアリークィーンとの関係性が結構好きです。2人はギャグシーンが多いですが、たまにあるシリアスなシーンのアースがめちゃめちゃイケメンで（笑）。アースがゲームの世界の中で、どれだけ周りに影響を与えているのかが顕著にわかるのがフェアリークィーンとの関係だと思います。

――お二人の好きなキャラクターをお聞かせください。

中澤：僕はアースですね。最初にお話をいただいた時から、アースはおっさんのつもりでしたし、とにかく感情移入できる雰囲気を意識していました。絵作りの時も「自分だったらこうするかな」という部分を盛り込んでいるし、スキルなども特化して、変えずに貫いているところも感情移入できました。

待田：私もアースがお気に入りですが、ツヴァイも結構、いい味を出していて。いいヤツですし、アースとの掛け合いをアニメでもっと描きたかったなと思うくらいで。あとはピカーシャですね。かわいいけど、できる子なので。グッズができることを期待しています。

第2話以降、アースの周りはどんどんにぎやかに。フェアリークィーンとの関係性にも注目！

――改めて、出来上がった映像をご覧になった感想をお聞かせください。

待田：声優の皆さんがキャラに声をあてて、動いている姿を見るとやっぱり感激します。PVの第1弾、第2弾でもサービス精神旺盛だなと。原作ファンの方も「おおっ！」と思われたのではないでしょうか？

中澤：初めての監督作品としては、とてもいいフィルムになったかなと思っています。ドイツで第1話、2話を先行上映させていただきましたが、そこでの反応も上々でしたので、アニメで初めて『とあるおっさんのＶＲＭＭＯ活動記』の世界に触れる方も自然に入ってもらえるのではないかなと手応えを感じました。

――第2話の見どころ、そして今後の注目ポイントなどのご紹介をお願いします。

中澤：第2話からブルーカラーのメンバーが一気に出てきますので、かなりにぎやかになりますし、ここからにぎやかなキャラが登場する回が続きます。普通は1人ずつ仲間が増えていくのがセオリーですが、本作ではいきなり、どんどん登場してくるので、そのにぎやかさを楽しんでいただけたらと思っています。

待田：第2話は、初めてアースがパーティプレイをしたり、いよいよクエストがスタートしたりと盛りだくさんです。キャラクターが次々と登場してにぎやかになりますし、次回への引きも作っていますので、楽しんでご覧になっていただければと思います。

――最後に、皆さんへメッセージをお願いします。

待田：静かにプレイを楽しみたかったアースがこの世界でどう動いていくのか、そしてフェアリークィーンとアースの関係性がどうなっていくのかを見守ってください。

中澤：声優の皆さんがキャラたちにいい芝居を付けてくれているので、原作ファンの方も原作を反芻しながら見ていただけたらと思います。アニメで初めて触れる方は、ご覧になったイメージで原作にも興味を持っていただけたら、アースの冒険をより長く楽しんでいただけると思います。アニメは始まったばかりですが、ぜひ最後まで楽しんで見てください。

TVアニメ「とあるおっさんのＶＲＭＭＯ活動記」作品情報

放送・配信情報

2023年10月2日(月)より
TOKYO MX、BS11ほかにて放送開始！
【ONAIR】
TOKYO MX：2023年10月2日(月)より毎週月曜日25:05～
BS11：2023年10月2日(月)より毎週月曜日25:00～
HTB：2023年10月4日(水)より毎週水曜日25:55～
AT-X：2023年10月3日(火)より毎週火曜日23:30～

【STREAMING】
2023年10月2日(月)よりdアニメストア／U-NEXT／アニメ放題にて
毎週月曜日25:00～最速配信開始！
その他配信プラットフォームでも順次配信開始！

STORY

超自由度を誇る新型ＶＲＭＭＯ「ワンモア・フリーライフ・オンライン」の世界にアースという名前でログインした、フツーのゲーム好き会社員・田中大地。

モンスター退治に全力で挑むもよし、気ままに冒険するもよしのその世界で彼が選んだのは、使えないと評判のスキルを究める地味プレイだった！

やたらと手間のかかるポーションを作ったり、無駄に美味しい料理を開発したり、時にはお手製のトンデモ武器でモンスター狩りを楽しんだり――

冴えないおっさん、ＶＲＭＭＯファンタジーで今日も我が道を行く！

STAFF

原作：椎名ほわほわ『とあるおっさんのＶＲＭＭＯ活動記』（アルファポリス刊）
原作イラスト：ヤマーダ
漫画：六堂秀哉
監督：中澤勇一
シリーズ構成：待田堂子
メインキャラクターデザイン：渡部裕子、大場優子
サブキャラクターデザイン：西田美弥子、山﨑香、舛舘俊秀、小島えり、加瀬政広、赤津豊、出口花穂
美術監督：柴田聡
色彩設計：渡辺亜紀
撮影監督：野村雪菜
音響監督：土屋雅紀
音楽：TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
アニメーション制作：ＭＡＨＯＦＩＬＭ