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『魔道祖師』岐山温氏特集|温寧&温情と魏無羨の絆、『生魂』をご紹介

【シリーズ五大世家④】『魔道祖師』岐山温氏特集|温氏の栄枯必衰、温寧&温情姉弟と魏無羨の繋がりを振り返る──「鬼将軍」の後日談を描く『陳情令』スピンオフ映画『生魂』もご紹介!

人気作家・墨香銅臭先生が綴る中国BLファンタジー小説『魔道祖師』。アニメや実写ドラマ『陳情令』、ラジオドラマ、漫画などのメディアミックスも展開し、世界が熱狂するメガヒット作品です。

本作は、妖魔や邪気などが人々の生活を脅かしていた架空の古代中国を舞台に、主人公・魏無羨(ウェイ・ウーシエン)と藍忘機(ラン・ワンジー)の激動の運命を描く物語。暴虐の限りを尽くしていた岐山温氏を討伐すべく、雲夢江氏、姑蘇藍氏、蘭陵金氏、清河聶氏は一致団結します。

本稿では、かつて温若寒(ウェン・ルオハン)を宗主とし絶大な勢力で頂点に君臨していた岐山温氏をご紹介。温寧(ウェン・ニン)&温情(ウェン・チン)姉弟と魏無羨の繋がり、鬼将軍の後日談が描かれる『陳情令』スピンオフ映画『生魂(せいこん)』もご紹介します。

※本稿には『魔道祖師』『陳情令』のネタバレが含まれます。ご了承ください。

 

かつて頂点に君臨していた岐山温氏

仙府:不夜天城(ふやてんじょう)

 

仙門に属する世家が大小数えきれないほど多く存在するなか、かつて岐山温氏(きざんウェンし)は絶対的な存在として頂点に君臨していました。「太陽とともに生き、太陽の光より輝く」の意で太陽紋を家紋に。仙府は非常に広大で、そこには夜が訪れないと言われ「不夜天城」と命名され、「不夜仙都」とも呼ばれています。

温氏の開祖は温卯(ウェン・マオ)。抱山散人(魏無羨の母・蔵色散人の師匠)や姑蘇藍氏の開祖・藍安らと同時期に世に出たと言われています。当時は温卯を筆頭に門派よりも血族を重要視し、血縁関係を要として仙術を修練する勢力が頭角を現し始めており、名のある修士たちの多くは初代宗主として自分の世家を作りあげました。

それから時を経て、宗主の温若寒を筆頭に温氏は暴虐の限りを尽くして他家を圧倒しており、雲夢江氏、姑蘇藍氏、蘭陵金氏、清河聶氏の四大世家でさえ彼らに従うしかありませんでした。

 

 

温家宗主の長男・温旭(ウェン・シュー)は姑蘇に乗り込んで、藍氏の者たちに自分の手で仙府を燃やせと脅しており、雲深不知処の半分以上が焼けてしまいます。藍家宗主は重傷を負い、蔵書閣を燃やせとの命令を拒んだ藍忘機は脚を折られ、藍忘機の兄・藍曦臣(ラン・シーチェン)は行方知れず。そんななか、温氏は教化機関を設置するのでした。

 

温氏が教化機関を岐山に設置

 

温氏は、自分たちに逆らう者には容赦なく相手を滅ぼしにかかるという卑劣極まりない行為を繰り返していました。そして「教化機関」と称して、各世家から本家直系の者も含む二十名以上の若い弟子を強制的に召集。そこには魏無羨と藍忘機の姿も。

温家宗主の末息子・温晁(ウェン・チャオ)が意気揚々と仕切り、有頂天な様子で全員の剣を没収するなど傲慢に振る舞っていました。温晁を相手にするときに注意するべきは護衛を務める温逐流(ウェン・ジューリウ)。彼は金丹を消す能力を持つため「化丹手」と呼ばれています。

ある日、温晁によって夜狩に連れ出された各世家の弟子たちは暮渓山へ。その洞窟に魏無羨と藍忘機は閉じ込められて数日間二人きりで過ごすことになり、妖獣・屠戮玄武を見事に仕留めています。

 

温寧&温情姉弟への恩義

暮渓山屠戮玄武の乱からしばらく経った頃、雲夢江氏の本拠地である蓮花塢に温晁の近侍の一人・王霊嬌(ワン・リンジャオ)が乗り込み、江家宗主・江楓眠(ジャン・フォンミエン)の妻である虞(ユー)夫人と対峙。粗野な振る舞いをする王霊嬌に苛立ちつつ最初は大人しく言う通りにしていた虞夫人でしたが、蓮花塢を監察寮にすると言う王霊嬌に尊卑を教えて反撃。しかし、温氏の大群に攻め込まれて蓮花塢は壊滅します。

江楓眠と虞夫人が亡くなり、義弟・江澄(ジャン・チョン)まで姿を消してしまい、魏無羨は己の無力さを呪い、恨みや悲しみ、悔しさでいっぱいに。一人ぼっちで、しかも没収されたため剣の一つも持っていないなかで、魏無羨に手を差し伸べてくれたのは岐山百家清談会の弓比べで出会った温寧でした。

 

 

崖っぷちの状況下、江楓眠と虞夫人から託された思いを裏切ってはいけないという思いもあり、江澄を助け出せる唯一の望みにかけるしかなかった魏無羨。当初、彼は非常に警戒心を持っており、助けようとしてくれる温寧を見て、温狗の中にこんな親切な奴がいるのかと相当疑っていました。けれど江澄を助け出せるという温寧の言葉に尋常ではない喜びが湧き上がります。

 

 

温寧は、捕えられ痛めつけられた江澄を連れて来るだけでなく江澄の霊器である紫電を取り返し、さらには江楓眠と虞夫人の亡骸も引き渡してくれることに。その後、魏無羨と江澄は夷陵の監察寮で匿ってもらい、温寧の姉であり医師・薬師でもある温情は調合した薬を江澄に与えてくれています。

 

 

江家の者を隠していると温晁に知れたら無事ではいられないにも関わらず、自ら救いの手を差し伸べてくれる温寧と、なんだかんだと言いながらも見逃してくれた温情。危険をおかしてまでも江家のふたりを救ってくれた温姉弟に、魏無羨は大きな恩義があるのです。

 

金、 聶、 藍、 江の四家が同盟を結び「射日の征戦」が始まる

雲深不知処が焼かれ、 蓮花塢が滅ぼされ、 岐山温氏によって他にも大小数えきれないほどの世家が犠牲になっていました。やがて蘭陵金氏、清河聶氏、姑蘇藍氏、雲夢江氏の四家は同盟を結び、先頭に立って反乱を引き起こし「射日の征戦」と旗印を掲げることに。

当初、温氏の人々は気にも留めずにいましたが、三ヶ月が経つ頃には戦況は完全に予想外の筋書きへと進んでいき、多くの要地を破られて取り返されていました。

温家長男の温旭は清河聶氏の宗主・聶明玦(ニエ・ミンジュエ)によって討ち取られており、温家末息子の温晁もまた悲惨な最期に。温晁によって乱葬崗に放り込まれ行方知れずとなっていた魏無羨は「鬼道」を修めており、江澄と共に江氏の恨みを晴らすべく温晁を追い詰め、江楓眠と虞夫人を死に追いやった温逐流に復讐を果たしています。

射日の征戦では、温氏に間者として数年間潜伏し、誰にも気づかれることなく数えきれないほどの機密情報を外部に漏らしていた孟瑶(モン・ヤオ)(=後の金光瑤(ジン・グアンヤオ))の功績も非常に大きく、彼は温若寒の腹心にまで上り詰めていました。金光瑤は、共にこの戦いで尽力していた聶明玦、藍曦臣と三人で義兄弟の契りを結んでいます。

地上の太陽は沈み、射日の征戦が幕を閉じたあとは、かつて最も栄えていた不夜仙都は一日にして跡形もなく消え失せ、やがて廃墟と化するのでした。

 

 

義を尽くして恩を返すとき

岐山温氏が崩壊し、温寧たちはじめ温家の残党は虐げられていました。彼らは痛めつけられ苦役を強いられており、 温情から必死に助けを求められた魏無羨は、温寧たちが連れて行かれたという窮奇道へ向かいます。この時の温情の姿はかつての高慢さなど少しもなく、魏無羨に江澄と一緒に逃げていたあの時のことを思い起こさせていました。

そんな彼女に魏無羨は温寧を連れ出すと約束するも、温寧はすでに変わり果てた姿に。弟の死に慟哭する温情を前に、魏無羨は怒りを滲ませながら凶屍となった温寧に命じて、彼らを虐待していた者に手をかけます。その後、魏無羨は合わせておよそ50人の温氏の者たちを連れて窮奇道を脱走して乱葬崗へ。温寧と温情に大きな恩がある魏無羨は義を尽くして彼らを守り、共に乱葬崗で暮らし始めます。

 

 

共通の憎むべき相手が滅んだ今、温氏残党を守り邪道を使う魏無羨は脅威でしかなくなり、人々の敵意は彼へと向けられていきます。道理があろうとなかろうと関係なく、温姓というだけで極悪非道とされ、そんな温氏を庇うことは世を敵に回すということになります。

温氏残党を金氏に引き渡せば粛清以外の結末はなく、江澄との決闘のあと魏無羨は雲夢江氏から離反したと世間に伝わりました。

 

鬼将軍の誕生〜血の不夜天

 

一時的な衝動と憤怒のせいで温寧を低階級の凶屍に作り上げてしまった魏無羨ですが、彼を凶暴な傀儡にしたいわけではなく、その意識を呼び覚ましたいと考えていました。そして、夷陵の町で会った藍忘機の助けもあり、温寧の意識をとり戻すことに成功。温寧は魏無羨の第一の手下として「鬼将軍」の名で世に知られるようになり、天地を覆すほどの力を持つ凶屍として恐れられる存在に。

本当に制御できるのかと心配する藍忘機に大丈夫だと言っていた魏無羨でしたが、その後、窮奇道で温寧を制御できない事態に陥ることになります。温寧が魏無羨の師姉である江厭離(ジャン・イエンリー)の夫・金子軒(ジン・ズーシュエン)を殺害してしまい、魏無羨は激しく混乱し憤っていました。

そうしたなか、温寧と温情はけじめをつけなければならないと決意。過ちを認めて罰を受けると言い、魏無羨を一時的に動けなくして彼に謝罪と感謝の意を告げて金麟台へ。温氏の残党の頭二人を差し出せば不問にするとされていましたが、結果的には温寧と温情だけでなく一族の残りの者たちも始末されてしまいます。

 

 

そして、舞台は温家残党の骨灰を撒くと同時に決起するという不夜天城での決起大会。温氏残党の骨灰を撒くことと、打倒夷陵老祖(魏無羨)の意志を掲げるなか、その本人である魏無羨が姿を現します。まもなく戦いの火蓋は切られることとなり、これが後世に語り継がれる凄まじい戦い──「血の不夜天」なのです。

 

窮奇道における温卯の伝説

窮奇道は今や蘭陵金氏の手に渡っていますが、昔は岐山温氏の管轄地でした。言い伝えによると、その道は開祖である温卯が一戦で名を成した場所だそうで、数百年前、 彼は八十一日間そこで激戦を繰り広げて一匹の上古の凶獣を斬り殺しました。

その凶獣というのが窮奇。善を懲らしめ悪を勧め、世に混乱を招く邪悪な存在であり、正直で忠実な者を好んで喰い、悪事を働く者には贈り物をする神獣。

その伝説が事実なのか、 岐山温氏の後世の宗主たちが開祖を神格化して誇張しただけなのかどうかは、もはや考証のしようがないものとなっています。

 

魏無羨の復活後、鬼将軍も出現

血の不夜天後、非業の死を遂げた魏無羨は十三年後に蘇ります。それから程なくして、魏無羨の笛の音に引き寄せられるように、かつて焼かれたはずの鬼将軍・温寧が出現。さらに魏無羨が藍忘機と共に謎の左腕を調べていくうちに、過去に窮奇道や血の不夜天で起きたことの真相、何者かによる陰謀が明らかになっていきます。

また、第二次乱葬崗殲滅戦では魏無羨が守った温氏の者たちが現れ、魏無羨の窮地を救っています。第一次乱葬崗殲滅戦で殲滅者たちは彼らを殺したあと、50体余りの死体を血の池に放り込んでいたのです。血屍になってもずっと待っていた彼らは魏無羨に恩を返し、そこにはその骨を集める温寧を手伝おうとする仙門世家の少年たちの姿も見られました。

 

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