音楽
斉藤朱夏が考えるライブハウスツアーと葛藤|『LIVE HOUSE TOUR 愛のやじるし』インタビュー

ライブハウスはやっぱり最強じゃん? 斉藤朱夏が語る、愛が目一杯詰まった『-朱演2023 LIVE HOUSE TOUR 愛のやじるし- at KT Zepp Yokohama』。「映像を見て“凛としてるなぁ自分”、って」

8月にリリースした3rdミニアルバム『愛してしまえば』を引っ提げたツアー「朱演2023 LIVE HOUSE TOUR『愛のやじるし』」は、誰もが充実した表情を見せる中で幕を閉じた。声出しが解禁となって初となるツアーかつ全公演フルバンド。ライブハウスツアーによってさらに磨き上げられたパフォーマンスは、その名の通り“最強”のものであったことは間違いない。

しかし、2023年9月17日(日)、ファイナルとなった神奈川・KT Zepp YokohamaのMCで語られたのは、彼女の中であった葛藤だった。「歌と向き合えなくなって、わかなくなって、ぐしゃぐしゃになってしまった」時期があったということ。そして、君のおかげで自分自身を取り戻すことができたこと。

このたびリリースされる『-朱演2023 LIVE HOUSE TOUR 愛のやじるし- at KT Zepp Yokohama』には、「愛のやじるし」ツアーファイナルのライブ映像に加え、ツアーを追いかけたドキュメントが収録される。彼女がここにたどり着くまでのドキュメント、壁を乗り越えたからこそ生まれた輝きと君へのさらなる愛を受け取ってほしい。きっと、斉藤朱夏のことをもっともっと愛してしまうはずだ。

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8月にリリースした3rdミニアルバム『愛してしまえば』を引っ提げたツアー「朱演2023LIVEHOUSETOUR『愛のやじるし』」は、斉藤朱夏を象徴する季節の8月からスタートとなった。初のワンマンライブ「朱演2019『くつひもの結び方』」を開催した場所である渋谷・SpotifyO-EASTから巡ってきたツアーは、9月17日に神奈川・KTZeppYokohamaでいよいよファイナルを迎える。どれだけ充実したツアーであったかは、ステージ上での表情を見れば明らか。数年ぶりに“キミ”の声を直接聴けたツアーで、大きな愛のやじるしを互いに放ち合った。「たくさんの愛、朱夏にくれますか?」満員のファンがフロアを埋め尽くす中、バンドメンバー(Guiter:ひぐちけい Bass:伊藤千明 Drums:今村舞 Keybords:西野恵未)が待つステージに、赤くふんわりとしたワンピースとコンバース、くつひもをアレンジしたヘアアクセサリーを身に纏い登場した斉藤朱夏。ライブは「声をきかせて」の<嬉しいときには声を上げよう>という第一声からスタートした。優しい歌声で<出会ってくれてありがとう そばに居てくれてありがとう>と、胸に手を上げながらお辞儀をすると「ツアーファイナルです!今日も一緒にたくさん遊ぼうね!」と、「く...

「今年も駆け抜けました!」

──ツアーが終わってからはどのように過ごされていたんですか?

斉藤朱夏さん(以下、斉藤):『ラブライブ!サンシャイン!!』のイベントを控えていたので、ファイナルの翌日にはリハに入っていました(笑)。ツアーであまりリハに行けていなかったのですが、なんとか気合いで追いつきました(笑)。

──その後一息ついたタイミングってあったんです?

斉藤:えっ……いつだろ? ずっとリハしていたような……11月は記憶がない(笑)。年末らしくバタバタしていましたね。だから休む暇なく、一息つく間もなく、今年も駆け抜けているなぁという印象があります。

──2023年を駆け抜け、そして12月には映像として『愛のやじるし』の模様がリリースされるという。ライブハウスの映像がパッケージになるのは初めてですよね。

斉藤:そうですね。大きい会場でのライブを映像に残すことはあったんですけど、今回やっとライブハウスでのライブを映像にすることができて。このタイミングから声出し解禁ということもあって、ライブ映像化しました。今までのライブももちろん大切にはしていますけど、みんなの声が加わるとこういうライブになるんだよねっていうのを映像に収めることによって、まだライブハウスのライブに来たことがない人が見たら斉藤朱夏のライブってこんな風に楽しんだらいいんだ!」というひとつのお手本にもなるのかなって。

ライブハウスといっても、Zeppは規模が大きいので、お客さんとの距離が意外とあって。いつもやっているもう少し小さいハコだと、グータッチとかできるんですよ。しかも今回はカメラもあったので、少し遠くて。リハの時に「いけるかな?」と思ってスタッフさんとやってみたんですけど、さすがにムリがあるからやめようって話になりました(笑)。でもライブハウスでの雰囲気が少しでも伝わったら良いなって。

ライブハウスに怖くて来れないなって人もいると思うんです。自分のライブに来てくれている人は、基本的にはドーム級やアリーナ級のライブを見ている方が多分多いので、ライブハウスというものがあまり想像つかないんだと思うんです。「オルスタだと潰れちゃうのかな」とか。たまに質問も来て、「女の子でも行って良いんですか?」とか。

──女子エリアがありますもんね。

斉藤:そうなんです。だから「大丈夫だよ」って。「小さい子どもを連れて行っても大丈夫ですか?」という質問もいただくのですが、そういう場合であれば、女子エリアの後ろのあたりであれば落ち着いてみることもできますし。

ライブハウスでやるときは質問が来ることが多いんです。でもこれを機に、どういうものなのか分かってもらえるんじゃないかなと。

朱演を支える朱夏バンドは欠かせない、大切な存在

──朱夏さんはここ数年、ライブハウスへの愛を語ってくれていて。

斉藤:近い距離感が性に合っているというか、自分の性格的に合ってるんですよね。私自身も最初にやったライブは横浜アリーナで、規模感が大きくて。ソロで初めて、ライブハウスの魅力を感じました。だから今年もライブハウスでツアーを組んで回らせてもらって。

──しかも今回はフルバンドで。

斉藤:フルバンドで全部の公演に行けたのは本当にありがたかったです。特に札幌などの遠方にはなかなか行けないので……しみじみしながら回っていました。すごいことだなぁって。

──いろいろな場所に今回行かれていましたよね。最終日のライブでは、仙台でプリクラを撮った話や、福岡で締めのパフェを食べた話をされていましたが。

斉藤:基本的にバンドメンバーと一緒に行動していました。メンバーと過ごす時間が長くなればなるほど、ステージ上だけでは見られない素顔にも触れることができて。本当にしょうもない話をして、笑って。特にうちの場合は全員女子なので、女子会のような感じなんですよね。

──バンドメンバーだけでなく、メイクさんもその輪にはいたとか。

斉藤:そうです! メイクさんも一緒に行動していたので、バンドメンバーとメイクさんと私っていう。ある意味、女子旅のような感じですよね。

──楽しそう……(笑)。

斉藤:(ニヤリとしながら)楽しいです。

──ライブでもメンバーとの絆がより深くなったことを感じました。今回はぜひ、メンバーひとりひとりの紹介もしてもらいたいなと。

斉藤:いつものMCのバンド紹介順で行くと、まずはドラムの今村舞さん。ものすごくパワフルなドラムを叩いてくれています。自身もメジャーデビューしていて、そのバンドが解散して、サポートにまわって……と、いろいろなことを経験しているからこそ見えるものがあるんだろうなって。舞さんはとにかくストイック人間。

──朱夏さんに負けないくらい?

斉藤:ヤバイですよ!(笑) 本当にストイックでリスペクトしています。性格がたぶん近いんですよ。プライベートで一緒にご飯を食べた際にも、共通するものが多くて。真面目な話をよくしています。

舞さんはリハが終わってからも、ずっとドラムを触っているんです。今回のツアーは特にそうでした。その姿を見なかった日はないくらい。ギターやベースであればホテルで触ることもできるかもしれませんが、ドラムだと難しいですし、私と一緒で舞さんは多分不安症なんですよ(笑)。「ライブは毎回緊張する」と言ってて。だからこそ、常に準備をされているんだと思います。

うちのメンバーって末っ子が多いんです。私もギターのけいちゃん(ひぐちけいさん)もベースのチャッキー(伊藤千明さん)も末っ子。で、舞さんと(西野)恵未ちゃんが姉。

──なんとなくわかるような気が……?

斉藤:(笑)。末っ子3人は末っ子気質な性格をどこかに持っているんです。中でもチャッキーは影から支えてくれるタイプ。それはベーシストとしても、人間としても。普段はあまり多くは語らないんですけど、必要な時に言葉をくれたり、行動してくれたりします。

それと、うちのバンドメンバーの中で一番動けます。多分、運動系なんでも得意できるんじゃないかな。ベースを持ってお立ち台からぴょーん!と飛ぶ姿を見る度に「よくできるなぁ」って思ってます。それと、知識の量がすごいんですよ! 「そんなツッコミする?」ってツッコミをします。

──ツッコミで知識量が披露されている!?

斉藤:もはや豆しば的な感じ。豆知識をたくさん持ってます。本人は「深く知ってるわけじゃなく、浅く知っているだけだから」って謙遜するんですけど「すごくない?」「語彙力やば」とか言っていますね。私とけいちゃんがよくボケるので、ツッコミ役にまわってくれるんですよ。でもその知識量がエグすぎて、それ以上はボケられない!ってことがあります(笑)。

ギターのけいちゃんに関しては、バンドのムードメイカー。私からすると地元の友だちという感じ(笑)。いろいろなライブを見ていて思うのですが、ギタリストってキャラが立っていると言いますか。けいちゃんもけいちゃんなりのキャラがあって。でも女性であそこまでガシガシに弾けるギタリストはいないなぁと思っています。

──今回のツアーはさらにすごいことになってましたね。

斉藤:凄かったですね……! リハ中にギターのけいちゃんの指をめっちゃ見るんですよ。どうやって弾いているんだろう?って。もうとんでもない動きをしていて思わず謝りました。「この曲難しいよね、ごめんね」って。

私自身もいじってますし、ライブ中にはよくお客さんに絡まれていて(笑)。それはけいちゃんの雰囲気あってこそなんですよね。何よりも、ライブ中に私のことを見てくれているなという印象がありますね。

歌っているとき、背中にけいちゃんの視線をすっごく感じるんです。お互いにリスペクトを持ってステージに立っていることを感じますし……「ひまわり」の前に入るMCで「途中でギターを弾いて」とお願いしているのですが、あれは全部けいちゃん任せなんですよ。

──へえ! 決めていないんですね。

斉藤:完全に任せています。けいちゃんとはプライベートで遊ぶ機会も多いので、お互いの気持ちがわかる瞬間が多いんです。だから「今入って欲しい」という瞬間も彼女は分かっていて。初日は少し失敗しましたけど(笑)、以降は完璧な入り方をしてくれています。ギターソロの部分も、以前は「ここで(前に)出て」って言ってたんですけど、「自分が出たいところで出て」と任せました。そうしたら基本的に全部前に出ていましたね(笑)。めちゃくちゃ忙しい時はさすがに出てなかったですけど。ライブは生モノなので、いつ来るか分からないドキドキ感をお互いに楽しんでいました。

バンマスキーボードの恵未ちゃんはバンマスということもあってまとめ役をしてくれています。恵未ちゃんのキーボードの音ってとても繊細なんですよね。彼女自身の性格が表れていて、だからこそ、タイミングもバッチリあってるというか。恵未ちゃんに限らずなのですが、うちのバンドメンバーは私のことをよく見てくれていて……。

──それはライブを見ながらすごく感じていたことです。

斉藤:うちのバンドは「目を合わせること」を意識をしていて。その中で生まれてくるグルーブ感があるので「朱夏ちゃんが見てくれたら見る」的なことをみんなが意識しています
。それを軸として支えてくれているのが恵未ちゃん。頼りになります。恵未ちゃんは最初から見てくれていることもあって、だからこそわかる部分もあるのかなって。家族で例えるとお父さん。舞さんがお母さんですね。

──3人は……。

斉藤:全員末っ子(笑)。それをまとめてくれる3人がいるっていう。

──でも朱夏さんのリーダーシップ感には長女的な気質もあるような?

斉藤:あははは、それは座長ってことが大きいのかもしれません。でも確かに「末っ子だけど長女体質だよね」って言われることはあります。これまでの人生の中で、まとめることが多かったんですよ。クラスをまとめるとか、ダンスグループをまとめるとか。でもそれって決めたことではなくて、自然とやったことで。多分、性格ですよね。「誰がまとめるの?」ってなったときに「じゃあやります」と。ただの目立ちたがり屋です(笑)。自分の現場だと自分が中心となって動かなきゃいけないので、そこは。

──お客さんをまとめる役も担ってますしね。

斉藤:よく「お客さんはアーティストの鑑」っていうじゃないですか。自分がちゃんとしないと、フロアのルールやマナーもよく無いだろうなって。特にライブハウスでは「節度を守りながら遊ぼうぜ」という気持ちがあるんです。だから全然注意します。去年のツアーでもありましたね。「それは私が怒られるからやめてね」って。直接やめてと言うと、言われた側にとってはつらいと思うんです。だから言葉を変えて。

──それもあって、今回のツアーのお客さんの雰囲気といいますか。

斉藤:そうですね。去年のライブハウスツアーの経験があったからこそ、新しいものが生み出されていたように思っています。はじめましての方にも、みんなが教えてくれるんです。

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