![『死神坊ちゃんと黒メイド(第3期)』(8話放送後):内田雄馬×日笠陽子インタビュー【連載第3回】](https://img2.animatetimes.com/2024/05/7b2b9002f2a396b8722c8fc72b7f539a664455e315f895_68145318_509029898d60e7735557ae7df720be2adb770de4.jpg)
春アニメ『死神坊ちゃんと黒メイド(第3期)』(クライマックス直前):ウォルター役・内田雄馬さん×ダレス役・日笠陽子さんインタビュー|ウォルターとダレスは一人じゃないことによって縛られ続けてきた人たちかも【連載第3回】
「サンデーうぇぶり」にて連載された、累計発行部数180万部を突破する人気作『死神坊ちゃんと黒メイド』(著者:イノウエ)。本作のTVアニメ第3期が、2024年4月より放送中です。
“触れたものを死なせてしまう”という呪いをかけられ、森の中でひっそりと暮らす貴族の坊ちゃん。第2期では坊ちゃんに呪いをかけたのが、かつて最強と恐れられていた魔女・シャーデーであったことが判明しました。第3期では、物語の完結までが描かれます。
アニメイトタイムズでは、第2期に続き本作の連載インタビューを実施! 連載最後となる今回は、坊ちゃんの弟であるウォルター役・内田雄馬さんとシャーデーの妹であるダレス役・日笠陽子さんに、ウォルターとダレスの変化などについてお聞きしました。
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優しさや柔らかさはウォルターが元々持っていたもの
――8話ではシャーデーとの戦いが激化していくなか、過去のダレスにウォルターが向き合いました。
ダレス役・日笠陽子さん(以下、日笠):ウォルターは十分にダレスを救ってくれているにも関わらず、過去の彼女も救ってくれようとするんです。そこにグッときました。ウォルターはやっぱり、ダレスの王子様ですね。
ウォルター役・内田雄馬さん(以下、内田):ウォルターにとってダレスは理解者だと思うんです。過去のダレスであっても現在のダレスであっても、その根底は変わらない。根本的に分かち合えるものが二人にはあるんだろうなと感じました。
――共感しあえる部分が二人にあった。
内田:二人とも次男と次女で、そこにある意味で縛られているというか。生まれ落ちた段階で「弟」「妹」であるということがもう決まっている訳なんですよね。
本作は「孤独」がひとつのテーマになっていると思いますが、ウォルターとダレスはある意味で一人じゃないことによって縛られ続けてきた人たちかもしれません。だからこそ、ウォルターは自分“らしさ”を求めて、ダレスは自分“なんて”と思ってしまったのかなと。
日笠:そこが二人のちょっとした違いだよね。ウォルターは坊ちゃんがいることで悩んだことがあって。一方のダレスはお姉ちゃんがいることでお姉ちゃんしか信じられない世界になっちゃった。ウォルターはきっと周りから呪いをかけられ、ダレスは自分自身で呪いをかけたんだと思います。そして傷ついて、その傷を隠した。例えば体に傷が付いたら治療などを経て治っていくのが目に見えますが、心の傷はふさがっているかどうか見えません。その傷が温かい言葉や真心、愛によって収束していったのかなと。
――ゲームのようにメーターでそういうものが見えるわけじゃないですもんね。
内田:そうじゃないからこそ、人間は思いやるわけで。僕はそう思っています。
――私もそうだと信じています。過去のダレスが登場しましたが、日笠さんは演じる際、どのようなことを意識しましたか?
日笠:過去のダレスはあまり人前に出たがらない闇属性。闇と友達みたいな感じでした。一方の現在のダレスはウォルターと出会って色々な感情が芽生えていて。その対比が描けたらいいなと思いながら演じました。
――陰湿さはウォルターと出会う前、アニメで登場した頃くらいの塩梅で演じましたか?
日笠:そのさらに前ですね。第1期のときのダレスはお姉ちゃんが死んで、自分が魔女の長になっていて仲間がいました。その時点で既にちょっと変化しているんですよね。お姉ちゃん以外と会話をしていない頃の彼女は、もっと陰湿だったと思います。なので、「そんなんじゃ、相手に聞こえないよ……?」というくらい独り言に近いような感じで、過去のダレスを演じました。会話しているようで、していないみたいな。今のダレスはウォルターという相手がいて、ちゃんと話していますからね。相手への言葉のかけ方を意識しました。
――ウォルターに関しては第1期、第2期ではコミカルな面が目立っていたという印象もありました。ここまでの物語を振り返ってみて、内田さんはウォルターの成長や変化を感じていますか?
内田:確かにダレスの前での彼は、これまでと変わったように見えるかもしれません。ただ、ウォルター自身はそんなに変化があった訳じゃないと僕は思っていて。これまでのウォルターは、貴族という立場があるゆえに、重圧の中で会話することが多かったと思うんです。それで神経質にやらなきゃいけない場面も多々あって。だから、優しさや柔らかい部分を見せることがあまりなかったんだと思うんです。
――なるほど。
内田:ダレスの前では柔らかい彼の姿が見られるから変化しているように感じますが、それは表面化していなかっただけで、彼が元から持っていた本質だと思います。意外と坊ちゃんに対しても全部を否定している訳じゃないんですよね。いいところはちゃんといいと言っているので。すべてを憎んでいる訳じゃないんです。ただ、自分ではなくて坊ちゃんが家長として必要とされていると思っちゃったがゆえに、自分って何なんだろうと悩んでしまった。そうして、自分を守るために攻撃的な部分が出てしまうようになったのかなと。でも、だからこそ、分かり合えると思ったダレスに対しては真っすぐに言葉を届けられたのかなと思います。