音楽
6年目に突入のReoNa 原点が導く、新たな挑戦の物語/ロングインタビュー

ReoNaスペシャルインタビュー|全国18都市20の映画館にてライヴ・フィルム上映が決定した筆舌に尽くし難い、2日間のとくべつなステージを振り返りながら『ガンゲイル・オンラインⅡ』OPテーマ「GG」収録10thシングルを語る

 

『SAO』はエモーショナル、『ガンゲイル・オンライン』は熱さ

──さて、今回のライブで初披露された「GG」はグランジ色の強い曲で、これまでになかった毛色となりましたね。持っているギターはまさにあのライブの日、神崎エルザから譲り受けたものですが、この機種って……。

ReoNa:Mustang(ムスタング)です。

──それこそ歌詞の中に出てくるニルヴァーナのカート・コバーンには、勝手にジャガーのイメージがありました。

ReoNa:実は今回使ってるムスタングはFender公式のカート・コバーンモデルをリフィニッシュさせてもらったものなんです。ピトフーイカラーと、私は呼んでいます。

──いいですね。ReoNaさんはグランジはお好きですか。

ReoNa:音楽をジャンルで分けて聴くということをあまりしていなかったんです。だからこそ、ジャンルにこだわらず、いろいろな音楽を聴いていて。ニルヴァーナもカート・コバーンももちろん知っていましたが、その人たちがグランジというジャンルに入るということは大人になってから知りました。

 

 

──例えば〈錆びつく前に燃えつきろ〉は、カートの遺書に書かれたというニール・ヤングの「ヘイ・ヘイ、マイ・マイ(イントゥ・ザ・ブラック)」の一節とも重なるなと思いました。〈Hello, hello, halo〉も「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」の一節を彷彿させますが〈how low〉じゃなく〈halo〉となっています。

ReoNa:〈halo〉は直訳すると「後光」という意味があったり、FPSの始祖ともいえるゲーム『HALO(ヘイロー)』や、パラシュート降下で知られる「ヘイロー降下」という意味もあったり。そして、何より「Hello」という言葉自体は、私にとってとても大切な言葉です。

──そんなにたくさんの意味があるのですね。それこそ“ハロー、アンハッピー”もありますし、〈Hello, hello, halo〉から続く〈goodbye〉も、ReoNaさんの大切な言葉。

ReoNa:そうなんです。そのふたつはとても大切にしてきた言葉です。

──少しシリアスな話にはなってしまいますが、カートは銃にも結びついています。今回はニルヴァーナの要素が散りばめられつつも〈ゴミのように 美しく〉と、ReoNaさんらしいワードも散らばっていますね。〈Gun Gun ⾏こうぜ〉はクスりとしてしまいました。

ReoNa:ありがとうございます。遊び心を詰め込みました。音でも楽しめるし、読んでも楽しめる。深読みしがいがあるものになれば良いなって思いました。

〈Nevermind〉〈Live and let die〉〈We are the champion〉〈I’ve gotta feeling〉……いろいろな言葉が散りばめられています。

──それこそ、タイトルの「GG」にも言えることですよね。

ReoNa:「GGO」を思い出す人もいれば、ゲームをやっている人にとっては挨拶(good game)だなと考える人もいるかもしれない。「GG」というタイトルが思い浮かんだときは「これしかない」というくらい、必然性を感じていました。

──ラストの〈We are the champions〉は突然のQueenかな?とも思いつつ……

ReoNa:それを連想する人もいるかも知れませんね(笑)。FPSゲームで最後まで勝ち残った人ってchampionsと呼ばれることが多いんです。winnerよりもchampion。championsという言葉自体、闘志たち、闘う人たちって意味があるそうなんです。それも『ガンゲイル・オンライン』ならではなのかなと思いました。

──と、前のめりぎみに歌詞のことを聞いてしまったのですが、今日の成り立ちについてもあらためておうかがいさせてください。「GG」は、rui(fade)さんが作詞・作曲の両方に携わっています。もともとはどういう経緯で誕生した曲だったんでしょうか。

ReoNa:本当に最初の最初に遡れば、作品チームの方との打ち合わせからはじまったんです。今回『ガンゲイル・オンライン』にReoNaとして携わらせていただくのは初めてのことで、それだけに、作品の世界観を大切にしつつも、「ReoNaならではのもの」にしたいという思いがありました。そういったお話をしていく中で、『SAO』はエモーショナル、『ガンゲイル・オンライン』は熱さです、というお話をうかがったんです。その「熱さ」という言葉からグランジにつながりました。

 

 

──グランジとReoNaさんに、不思議と共通点も多いような気がします。

ReoNa:グランジには「薄汚れた」という意味があって、そこに私自身、親近感を覚えていました。それと時を同じくして、ruiさんからデモが届いたんです。ruiさんは制作をお願いしたタイミングではない時も「こんな曲が書けたんですけど」とデモを送ってくださることがあって、そこから生まれていったお歌もあって。「これはReoNaさん向けじゃないかもしれないけども、どうですか」と。それが「GG」のもととなりました。

──へえ。偶然であり必然であり。

ReoNa:巡り合わせだなと思っています。初めて聴いた瞬間、ピンク色の荒野とレンちゃんがそこを走り抜ける姿が思い浮かび、テンションが高まりました。

──歌詞はruiさんをはじめ、ハヤシケイさん(LIVE LAB.)、ReoNaさんの名前も。どういう役割分担をされていったんでしょうか。

ReoNa:アニメ『ガンゲイル・オンライン』は世界中にファンの方がいらっしゃる作品で、GGは海外の方にも届くような歌詞にしたいと思いました。

ruiさんのデモはいつも全て英語で仮の歌詞が入って届いていて、英語がネイティブな方なので英語の部分をruiさんに相談しながら。そして、ハヤシケイさんの歌詞をベーシックに、遊びの部分や、ReoNaとして伝えたいものを加えていって、作っていきました。ReoNaとして、これまでも歌詞を大切にしてきました。今回はまた違った切り口でReoNaの歌詞の世界を表現しようと、一歩踏み出したお歌ができたと思います。

──「とても長かった」というのはどのくらいの制作期間を指しているんでしょう。

ReoNa:振り返れば10ヶ月くらいかなと。

──そんなにも。

ReoNa:レコーディングが終わった時にruiさんが「やっと終わったー!」と叫んでらっしゃいました(笑)。何回も書き直して。全員が全員、大変だったと思います。

──編曲には、毛蟹さん(LIVE LAB.)とSugiさん(from coldrain)のお名前も。

ReoNa:ruiさんからの提案で、Sugiさんに参加していただくことになりました。Sugiさんに入っていただいたことで、楽曲に説得力が生まれたと思いました。Sugiさんとどうグランジを表現するかを試行錯誤して。

結果、普段からロックサウンドを鳴らしているSugiさんにしか出せないグランジの音があるように感じました。デモ制作の段階からSugiさんに入っていただいていたからこそ、今のGGができたと思います。

Sugiさんとは、2ndフルアルバム『HUMAN』に収録されている「FRIENDS」でギターを弾いていただいたことからのご縁ですが、今回も改めてレコーディングやミュージックビデオでご一緒できたのが、とても嬉しかったです。

 

 

──MVには、Sugiさんの他、Survive Said The ProphetのShowさん(Dr.)、knosisのKosukeさん(Bs.)が参加されていますね。

ReoNa:はい。「GG」という楽曲が出会わせてくださったミュージシャンさんたちとご一緒することができました。

──それこそ、ニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」のMVにもたくさんのエキストラが参加していましたが、今回、70人を超えるエキストラギタリストが参加されていますね。

ReoNa:毛蟹さんとお話している時に、グランジの本質は“叫び”じゃないか、という話になりました。ReoNaチームとしては、その“叫び”をどのように表現するかにこだわり抜き、MVでは、そのテーマを視覚的にも強く伝えることを目指しました。それで皆さんにご協力していただいたんです。学生さんたちに好きなギターを持ってきてもらって「不平不満でも、言いたいことでもなんでも良いから、今の気持ちを叫んで欲しい」と。

──それこそ「シャル・ウィ・ダンス?」のミュージックビデオで高校生ダンサー(TSM高等課程の学生たち)が参加したり、日本武道館でも学生さんたちをステージに連れて行ったりという出来事もありました。今回のエキストラギタリストも学生さんが多かったとうかがいました。参加された方はプロの演奏を間近で見ることができ、一生忘れられない体験になったのではないかなと。

ReoNa:そうなっていたら嬉しいです。「シャル・ウィ・ダンス?」における学生さんたちとの出会いがチームReoNaに及ぼした影響ってとても大きかったんです。もともとはひとりぼっちではじまったプロジェクトだからこそ、「誰かと一緒に表現したい」という気持ちが徐々に芽生えていったのかもしれません。今回も、お互い良い影響を与え合えたのであれば、それはなによりの喜びです。

チームReoNaのメンバーは、学生さんたちが叫びながらギターをかき鳴らす姿にものすごく感動していました。ものすごい熱量で、監督も「もっともっと!」と叫んでいて、私たちも負けてられないなと。もうあの咆哮だけのシーンをMVで作りたいくらい、ものすごくエモーショナルで、感じうるものがあって。心の初期衝動をそのまま感じ取れるような、そんな瞬間だったと思います。音楽を通じて、それぞれが熱を高めることができて、その思いが映像にも乗っているんじゃないかなと思います。

──そして、今回「弾いてみた」の動画、すごく多いですよね。歌ってみたにしかり。

ReoNa:皆さんの「好き」という気持ちや衝動が伝わってくるのが印象的で、それこそがグランジの根っこのスピリットなんじゃないのかなと思いました。そのスピリットに共感して、投稿が増えているのかもしれません。

──なるほど。これまで『SAO』シリーズでさまざまな曲を歌ってきましたけども、そういう意味でも、どれにも似ていない、オンリーワンの曲になりましたよね。

ReoNa:『ガンゲイル・オンライン』の魅力をReoNaとして伝えたかったんです。『SAO』としてのReoNaも、神崎エルザとしてのReoNaとも、どれとも違う曲にしたくて、だからこそ歌詞の成り立ちもこれまでとは少し違ったんです。『ガンゲイル・オンライン』も『SAO』も私にとって本当にとくべつな作品で。ここまで深く作品に関わることができているからこそ、そこまで考えることができたのかもしれません。

 

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