
ReoNaスペシャルインタビュー|全国18都市20の映画館にてライヴ・フィルム上映が決定した筆舌に尽くし難い、2日間のとくべつなステージを振り返りながら『ガンゲイル・オンラインⅡ』OPテーマ「GG」収録10thシングルを語る
巡る巡る季節の先にあった6年目のはじまりに、原点の『ガンゲイル・オンライン』に出会えることとなったReoNa。
ReoNaにとって、アニバーサリーイヤー、そして新たな季節の序章は、かつてないほどに濃密な時間だっただろう。アニバーサリーイヤーを記念した全国ワンマンツアー『ReoNa 5th Anniversary Concert Tour “ハロー、アンハッピー”』がスタートしたのは2024年5月。同年7月からは海外ツアー『ReoNa 5th Anniversary Concert Tour “Hello, UnHappy” in ASIA』も開催。その間、5月にはライブで人気を博していた「オムライス」、6月には「Believer -English ver.-」を配信リリースするなど、精力的な活動が続いた。
そうした中で、10月3日に発売されたゲーム『ソードアート・オンライン フラクチュアード デイドリーム』の主題歌として「私たちの讃歌(ワタシタチノウタ)」が起用され、さらにアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインII』のオープニングテーマとして「GG」が抜擢。同作の第二話と同時に、神崎エルザ starring ReoNaの新曲「Game of Love」の配信がスタート。神崎エルザ名義としては、『Prologue』以来約5年ぶりの音源発表となった。さらに第8話では「Toxic」が挿入歌として放送され、同時に配信も開始されている。そして、10月19日(土)には『神崎エルザ starring ReoNa × #ReoNa Special Live “AVATAR 2024”』、10月20日(日)には『ReoNa ONE-MAN Concert “Birth 2024”』を開催。この2公演の模様を収録した映像商品が、2025年6月4日(水)にそれぞれリリースされる予定だ。
「背中を押さない」「手も引かない」──“応援者”ではなく“代弁者”として、お歌を届け続けてきた絶望系アニソンシンガーReoNa。その声は、その言葉は、その存在は、いつだって“誰か”の半歩先、一歩先の道のりを照らしてきた。偶然の積み重ねが導いたような、あまりにもドラマティックなアニバーサリーイヤー。その軌跡を、改めてReoNa自身に振り返ってもらった。インタビューの前半部分ではライブについてじっくりと。そして後半では、発売中のシングル「GG」に収録された楽曲について語ってもらっている。
2025年3月、全国6都市を巡るZeppツアー ReoNa ONE-MAN Live Tour 2025 “SQUAD JAM” を完走した今、膝を突き合わせて、いまだからこそ語れる“想い”を、言葉を尽くして伝えてもらった。
※以下、敬称略
今だからこそ見せられる景色
──10月19日(土)『神崎エルザ starring ReoNa × ReoNa Special Live “AVATAR 2024”』、 10月20日(日)『ReoNa ONE-MAN Concert “Birth 2024”』、それぞれすごい2日間でしたね。
ReoNaさん(以下、ReoNa):会場になった東京ガーデンシアターという場所にはじめて立ったのが、 2022年11月に行われた、『ソードアート・オンライン(SAO)』10周年記念イベント「ソードアート・オンライン -フルダイブ-」の時だったんです。
イベント当日は、劇中での《ソードアート・オンライン》正式サービス開始日だったこともあって、ある種、思い出のある場所でもありました。その場所に、エルザ とのツーマン “AVATAR 2024”、ワンマンライブ “Birth 2024”で立たせてもらったことが思い出深いです。
実際にステージに立つと一人ひとりの顔がよく見える会場で、ReoNaのライブのテーマ「1対1」、それをとても感じやすい会場だったと思います。
──1日目と2日目では雰囲気がガラリと違っていましたよね。どこからお話をうかがうべきか悩むところではありますが、そもそも、どうやってあの2日間の構想を考えられていったのですか。
ReoNa:まず、5周年イヤーを終え、新たに6年目を踏み出すきっかけとして、5年ぶりとなるワンマンライブ “Birth 2024”を開催しようと思いました。
5th Anniversary Tour “ハローアンハッピー”で、今まで5年間紡いでいたお歌たちのシングルカットを中心に、ReoNaの今までを詰め込んだツアーをお届けしました。この5年間の歩みと、ツアーを経て、新曲もリリースして6年目に突入する中で、届けたいお歌たちが1日じゃ到底収まらない、というところから、2日に分けてお届けしよう、となりました。
そして、開催するタイミングに、ReoNaの原点のひとつでもある「ガンゲイン・オンライン」という作品との再会も待っていました。
であれば、神崎エルザという存在を改めて皆さんに感じてもらいたいという気持ちもあって、2days公演にして、初日は神崎エルザ曲を中心に、2日目はReoNaの集大成と新たな踏み出しを届ける。それが屋台骨となりました。
それからReoNaチームで話し合いをした時に、神崎エルザとReoNaの2マンをしたいということを伝えました。
──それではまずは『神崎エルザ starring ReoNa × ReoNa Special Live “AVATAR 2024”』からお伺いいたします。
ReoNa:はい。今回は3回目にして、初の神崎エルザ主宰の “AVATAR”でした。今までの “AVATAR”はReoNaがホストだったので、エルザからReoNaへ。今回は神崎エルザから招待をもらって“AVATAR”が実現したので、ReoNaからエルザへ。
──“神崎エルザ”をこの世に顕現する、というのもひとつテーマになっていました。脚本と演出に加東岳史さん(SPICE編集部、劇団GAIA_crew代表、劇作家、演出家としても活動中)が入られていましたね。
ReoNa:「神崎エルザっているよね」というのは、実際にずっと感じていたことで。実はそれは、神崎エルザとしてReoNaが寄り添わせていただくことになったことが決まった当時から、ずっと話していたことだったんです。そして今年『ガンゲイル・オンラインII』の放送が決まり、久しぶりに神崎エルザに再会できる機会が訪れて。「それなら、やっぱり神崎エルザに会いたいよね」「じゃあ、どうやって会おうか」と、自然に話が進んでいきました。
──生みの親である時雨沢恵一先生が「自分が生み出したキャラが、喋って歌ってライブしてた」という感想を書かれていましたね。それってすごいことだと思うんです。
自分が生み出したキャラが、喋って歌ってライブしてた。みんながメッチャ盛り上がっていたのを後ろから見た。
— 時雨沢恵一(Sigsawa Keiichi) (@sigsawa) October 19, 2024
なんだこれ。
そうか最高か…。最高だった…。 https://t.co/ZpvkZbINW2
ReoNa:本当に嬉しいことです。私にとって『ガンゲイル・オンライン』は本当に大切な作品で、おこがましくはあるのですが恩返しができたらいいなと思っています。でも、実際にあの日を終えて、今は「逆にこちらがもらってしまった」という気持ちです。
この規模でそれができたというのは、本当にありがたい機会でした。規模、というのは会場の大きさのことだけじゃなくて……。本当にたくさんのスタッフの方々と、日笠陽子さんも、この日のために心を尽くしてくれました。そのおかげでとても特別なライブになったと思います。
ただ、前例がなかったために、当初は不安もあって雲を掴むような気持ちではありました。舞台監督さんをはじめ、演出・脚本の加東さん、ミュージシャン、チームReoNaのスタッフ、コンサートスタッフ……それぞれのセクションにスペシャリストが集ってくれましたが、これだけいろいろな現場をやっている人たちが集まってもなお、初めてのことだらけで、途中から「これって世界で初めての試みなのでは?」という話になりました。
──本当に未知の世界だったと思います。
ReoNa:そうした試行錯誤の日々の中、日笠さんが入られたリハーサルで、全てが見えたような気がしました。「私たちがやろうとしているのは、こういうことなんだな」と。それでも分からないところはあったのですが、ライブが終わったときに「私たちがやりたかったことは、こういうことだったんだな」と、チームのみんなが思っていたと思います。それができたのは、携わってくれたスタッフの皆さん、バンドメンバーが全力以上の力を尽くしてくれたからだと思います。6年目にして、はじめてのことばかりで手探りな部分も多かった分、気づきや新しい発見がたくさんありました。
普段はReoNaのライブには来たことがなくて、純粋に神崎エルザや『ガンゲイル・オンライン』が好きで来てくれた方々もいたと思うんです。そういう人たちにも「神崎エルザがここにいるんだな」と思ってもらえたのではないかなと感じています。
──ライブに行かれていた方は分かると思うのですが、ReoNaから神崎エルザになった時の、ミュージシャンたちのセットの切り替えも見事でしたね。
ReoNa:バンドの皆さんの提案だったんです。みなさんがこだわってくださり、まさに心機一転という形で、新たな世界観を見事に作り上げてくださいました。
──ReoNaさん自身はどう気持ちを切り替えていたんでしょうか。
ReoNa:ここで切り替える、というよりは、ステージの上に上がったら自然とそうなりました。日笠さんがいてくださったことが、私にとって本当に大きかったと思います。
以前の“AVATAR”から少し時間が空き、その間にReoNaとしての活動を重ねてきました。その中で、私自身が改めて神崎エルザに会えることをとても楽しみにしていましたし、今日ここに来てくれている皆さんも、きっと神崎エルザに会いたいという思いで来てくれているんだろうなと感じていて。その思いに応えたい一心で、ひたすらまっすぐ向き合っていました。
──日笠さんの存在感というのも、エルザそのものなんですよね。あのカッコよさというか……。
ReoNa:豪快さも含めて、本当にカッコいいなって思います。当日アドリブでたくさん声を入れてくださり、ライブならではの生っぽさを感じていました。
──そしてあの日のライブを見て、ReoNaさんのライブも、エルザのライブも、これだけ多くの曲が『SAO』にあるんだなと感じました。まさに6年目ならではのセットリスト。かつ、ReoNaパートはかなり激しかったことも、いつもにはないペンライトも印象的でした。
ReoNa:本気で神崎エルザと勝負してましたから(笑)。
──その翌日、誕生日当日の “Birth 2024”のセットリストも素晴らしかったです。 “Birth”はもう5年ぶりになりますが、 “Birth”という言葉にはReoNaさん自身、どのような意味合いを持たせているのでしょう。
ReoNa:実はすごく幅広い意味として捉えています。何かが生まれた日、何かが生まれる日、誰かと出会えた日、その日そのものがなにかの “Birth”だと思っています。
──最近ライブでは披露されていなかった曲もセットリストに入っていましたね。
ReoNa:日本武道館以来、これほどの規模で行うワンマンライブは初めてでした。『ReoNa 5th Anniversary Concert Tour “ハロー、アンハッピー”』を終えて、この『ReoNa ONE-MAN Concert “Birth 2024”』では、“これまで”と“これから”を伝えたいという思いがまず最初にありました。
“ハロー、アンハッピー”ツアーは周年でのライブだったこともあって、これまで届けてきたお歌を、軌跡を、改めてここでお伝えしたいという思いがありました。
ただ、全てを伝えることは難しいので、シングルとしてリリースした楽曲を中心として添えていて。あのツアーがあってくれたからこそ、このセトリに踏み切れたところはあります。今までの足跡を振り返りつつ、今伝えたいことを噛み締めた結果、ああいうセットリストになったのですが……それでも断腸の思いで、泣く泣く外した曲も少なくありませんでした。
──2日間、舞台監督をはじめ裏方のスタッフは同じメンバーだったのでしょうか。
ReoNa:全員同じメンバーです。2日間合わせて37曲。ミュージシャンを含め、全員ものすごく大変だったとは思います。
──37曲。とても多いように聴こえるのですが、でも、この5年間で発表されてきた曲を考えると……。
ReoNa:神崎エルザ starring ReoNa のお歌も含めると約100曲になります。それが“まだ”なのか“もう”なのか、自分では分からないですけど……ただ、どれだけお歌が増えても、1曲1曲、それぞれに特別な想いがあることは確かです。
歌いたいお歌も、聴いてもらいたいお歌もありすぎて、選曲は毎回悩んでしまいます。ReoNaのライブに来てくださっている方の中には、「この曲は必ず聴きたい」と思ってくださる方もいらっしゃると思うんです。ただ、そのすべてに応えることができないのが、ライブの難しいところでもあります。
でもこれは、ずっと悩み続けることなのかなと思っています。皆さんがお付き合いしてくださるなら、いつか全曲ライブをやりたいな……なんて思いますが、まだ想像するだけの段階です。
──それこそミュージシャンは大変かもしれませんが、ぜひやって欲しいです。さきほど日本武道館の話題がありましたが、『ReoNa ONE-MAN Concert 2023「ピルグリム」at日本武道館 ~3.6 day 逃げて逢おうね~』は、今振りかえれば集大成というより、スタート地点だったんですね。
ReoNa:それはすごく嬉しい言葉です。私もそう思っています。